「Outlookのメールで、ネットワークドライブのファイルを共有したいけど、どうすればいいの?」
社内のファイルサーバーに保存されたファイルを、メールで共有したいことってありますよね。添付ファイルとして送ると容量が大きすぎたり、常に最新版を参照してほしかったりする場面があります。
実は、Outlookでは、ネットワークドライブ上のファイルへのリンクを簡単に挿入できるんです。ただし、いくつか注意点があり、正しく設定しないと相手がファイルを開けない場合もあります。
この記事では、Outlookでネットワークドライブのファイルへのリンクを挿入する方法、UNCパスの使い方、そしてトラブルシューティングまで詳しく解説します。社内でのファイル共有をスムーズにしたい方は、ぜひ参考にしてください。
ネットワークドライブとUNCパスの基本

まず、ネットワークドライブとUNCパスについて理解しておきましょう。
ネットワークドライブとは
ネットワークドライブとは、社内のファイルサーバーやNAS(ネットワーク接続型ストレージ)上の共有フォルダを、自分のパソコンのドライブ文字(Z:やY:など)として割り当てたものです。
エクスプローラーで「PC」を開いたときに、Cドライブ、Dドライブなどと並んで表示されるネットワークの場所ですね。
UNCパスとは
UNCパス(Universal Naming Convention Path)は、ネットワーク上のファイルやフォルダの場所を示す標準的な表記方法です。
UNCパスの形式
\\サーバー名\共有フォルダ名\ファイル名
例:\\fileserver01\documents\report.xlsx
ドライブ文字(Z:など)は、パソコンごとに異なる割り当てができますが、UNCパスはネットワーク上で共通の表記なので、他の人と共有するときに便利なんです。
ドライブ文字とUNCパスの違い
ドライブ文字(ローカルパス)
- 例:
Z:\documents\report.xlsx - 自分のパソコンでのみ有効
- 相手のパソコンでは同じドライブ文字とは限らない
UNCパス
- 例:
\\fileserver01\documents\report.xlsx - ネットワーク上で共通
- 誰でも同じパスでアクセスできる(権限があれば)
メールでリンクを送る際は、UNCパスを使うことが重要です。
Outlookでネットワークドライブのリンクを挿入する方法
それでは、具体的な操作方法を見ていきましょう。
方法1:ファイルをハイパーリンクとして挿入
最も一般的な方法です。
ステップ1:新規メールを作成
Outlookで「新しいメール」ボタンをクリックして、メール作成画面を開きます。
ステップ2:リンクの挿入を開始
メール本文にカーソルを置いて、「挿入」タブ→「リンク」(または「ハイパーリンク」)をクリックしてください。
ステップ3:ファイルのパスを指定
「ハイパーリンクの挿入」ダイアログが開きます。
- 左側で「ファイル、Webページ」を選択
- 「アドレス」欄にUNCパスを入力
- 「表示文字列」に任意の説明文を入力(例:「売上レポートはこちら」)
- 「OK」をクリック
これで、メール本文にリンクが挿入されます。
ステップ4:送信
通常通りメールを作成して送信してください。受信者はリンクをクリックすると、ネットワークドライブのファイルが開きます。
方法2:エクスプローラーからドラッグ&ドロップ
より簡単な方法もあります。
ステップ1:エクスプローラーを開く
ネットワークドライブのフォルダをエクスプローラーで開きます。
ステップ2:ファイルをドラッグ
共有したいファイルを、Outlookのメール本文にドラッグ&ドロップしてください。
注意点
この方法では、デフォルトでファイルが「添付」されてしまうことがあります。リンクとして挿入したい場合は、以下の操作が必要です。
Ctrlキーを押しながらドラッグすると、添付ではなくハイパーリンクとして挿入されます。
方法3:UNCパスを直接入力
手動でUNCパスを入力する方法です。
ステップ1:UNCパスをコピー
エクスプローラーでファイルを右クリック→「パスのコピー」を選択します。
または、アドレスバーのパスをコピーしてもOKです。
ステップ2:メールに貼り付け
Outlookのメール本文に、コピーしたパスを貼り付けます。
\\fileserver01\documents\report.xlsx
ステップ3:リンクに変換
貼り付けたパスを選択して、「Ctrl + K」を押すと、ハイパーリンクの挿入ダイアログが開きます。そのまま「OK」をクリックすれば、リンクに変換されます。
または、Outlookが自動的にハイパーリンクとして認識してくれることもありますよ。
UNCパスを確認する方法
ファイルのUNCパスが分からない場合の確認方法です。
エクスプローラーのアドレスバーで確認
ステップ1:ネットワークドライブを開く
エクスプローラーで、ネットワークドライブ(Z:など)を開きます。
ステップ2:アドレスバーをクリック
画面上部のアドレスバーをクリックすると、ドライブ文字ではなくUNCパスが表示されることがあります。
ステップ3:コピー
表示されたパスを選択してコピーしてください。
プロパティから確認
ステップ1:ファイルを右クリック
共有したいファイルを右クリックして、「プロパティ」を選択します。
ステップ2:場所を確認
「全般」タブの「場所」欄に、フォルダのパスが表示されます。
ただし、ここに表示されるのはドライブ文字の場合もあるので、UNCパスに変換する必要があります。
コマンドプロンプトで確認
ステップ1:コマンドプロンプトを開く
Windowsキー + Rを押して、「cmd」と入力してEnterキーを押します。
ステップ2:コマンドを実行
以下のコマンドを入力してEnterキーを押してください。
net use
現在接続されているネットワークドライブと、そのUNCパスの一覧が表示されます。
例えば、「Z:」が「\fileserver01\shared」に割り当てられていることが分かりますよ。
ドライブ文字からUNCパスに変換
ドライブ文字のパスしか分からない場合、手動でUNCパスに変換します。
変換例
ドライブ文字パス:Z:\documents\report.xlsx
↓
UNCパス:\\fileserver01\shared\documents\report.xlsx
「Z:」の部分を、対応するUNCパス(\サーバー名\共有名)に置き換えればOKです。
ネットワークドライブのリンクを送る際の注意点

リンクを送る前に、以下の点を確認しておきましょう。
注意点1:相手がアクセス権限を持っているか
最も重要なポイントです。
ネットワークドライブのファイルは、アクセス権限がない人は開けません。リンクを送る前に、相手がそのフォルダやファイルへのアクセス権を持っているか確認してください。
IT部門やファイルサーバーの管理者に確認するのが確実ですね。
注意点2:相手が同じネットワークに接続しているか
社外の人にネットワークドライブのリンクを送っても、通常は開けません。
ネットワークドライブは、社内ネットワークに接続している人だけがアクセスできるからです。
解決策
- VPN接続を使って社内ネットワークにアクセスしてもらう
- OneDriveやSharePointなどのクラウドストレージを使う
- ファイルを添付ファイルとして送る
注意点3:サーバー名やパスが正確か
UNCパスのスペルミスや、サーバー名の間違いがあると、リンクが機能しません。
コピー&ペーストを使って、手入力のミスを防ぎましょう。
注意点4:ファイルが移動・削除されていないか
リンクを送った後に、ファイルが別の場所に移動されたり削除されたりすると、リンクが切れてしまいます。
重要なファイルは、安定した場所に保管しておくことが大切です。
注意点5:セキュリティ設定
一部の企業では、セキュリティポリシーでネットワークドライブのリンクがブロックされることがあります。
メールにリンクを挿入できても、クリックすると警告が出る場合は、IT部門に相談してください。
リンクが開けない場合のトラブルシューティング
受信者がリンクをクリックしても開けない場合の対処法です。
原因1:アクセス権限がない
症状
「アクセスが拒否されました」「権限がありません」といったエラーが表示される。
対処法
IT部門またはファイルサーバーの管理者に連絡して、受信者にアクセス権限を付与してもらってください。
原因2:ネットワークに接続していない
症状
「ネットワークパスが見つかりません」「サーバーに接続できません」といったエラーが出る。
対処法
- 社内ネットワーク(有線LANまたはWi-Fi)に接続しているか確認
- VPN接続が必要な場合は、VPNに接続
- ネットワークドライブが正しくマウント(割り当て)されているか確認
原因3:パスが間違っている
症状
「指定されたパスが見つかりません」といったエラーが表示される。
対処法
UNCパスが正確か、もう一度確認してください。特に、以下の点をチェックしましょう。
- スペルミスがないか
- バックスラッシュ(\)が正しく使われているか
- サーバー名が正確か
原因4:Outlookのセキュリティ設定
症状
リンクをクリックしても反応しない、または警告が表示される。
対処法
Outlookのセキュリティ設定を確認します。
「ファイル」→「オプション」→「セキュリティセンター」→「セキュリティセンターの設定」→「添付ファイルの取り扱い」
ここで、ネットワークパスへのアクセスがブロックされていないか確認してください。
原因5:ファイアウォールの影響
症状
一部のユーザーだけが開けない。
対処法
ファイアウォールやセキュリティソフトが、ネットワークドライブへのアクセスをブロックしている可能性があります。
IT部門に相談して、ファイアウォールの設定を確認してもらいましょう。
添付ファイルとリンクの使い分け
ネットワークドライブのファイルを共有する際、添付ファイルとリンクのどちらを使うべきでしょうか?
リンクを使うべき場合
以下のような場合は、リンクの方が適しています。
- ファイルサイズが大きい(数十MB以上)
- ファイルが頻繁に更新される
- 常に最新版を参照してほしい
- 複数の人が同じファイルを編集する
- メールボックスの容量を節約したい
リンクなら、ファイルを更新しても、メールのリンクから常に最新版が開けますね。
添付ファイルを使うべき場合
以下のような場合は、添付ファイルの方が安全です。
- 社外の人に送る
- 受信者がネットワークに接続していない環境で見る可能性がある
- ファイルのスナップショット(その時点の状態)を保存したい
- 小さいファイル(数MB以下)
- セキュリティ上、ネットワークドライブへのアクセスを避けたい
添付ファイルなら、ネットワーク接続やアクセス権限の問題がないので確実です。
OneDriveやSharePointとの違い
最近では、OneDriveやSharePointを使ったファイル共有も一般的になっています。
ネットワークドライブとの違い
ネットワークドライブ(ファイルサーバー)
- 社内ネットワークでのみアクセス可能
- VPN接続があれば外部からもアクセス可
- 従来型のファイル共有方法
- 社内のIT部門が管理
OneDrive / SharePoint
- インターネット経由でどこからでもアクセス可能
- クラウドベースのファイル共有
- 共有リンクの生成が簡単
- Microsoftが提供するサービス
どちらを使うべき?
企業のポリシーや、ファイルの種類によります。
- 社内の機密情報:ネットワークドライブ(オンプレミス)が推奨されることが多い
- 社外の人との共有:OneDrive/SharePointが便利
- リモートワーク対応:OneDrive/SharePointが適している
どちらを使うべきか迷ったら、IT部門のガイドラインに従ってくださいね。
Outlookでリンクを安全に共有するベストプラクティス

ネットワークドライブのリンクを安全に共有するための推奨事項です。
1. アクセス権限を事前に確認
リンクを送る前に、必ず受信者がアクセス権限を持っているか確認しましょう。
2. UNCパスを使う
ドライブ文字(Z:など)ではなく、必ずUNCパス(\サーバー名…)を使ってください。
3. 分かりやすいリンクテキストを設定
「\fileserver01\documents\report.xlsx」というパスをそのまま表示するのではなく、「売上レポート(最新版)」のような分かりやすいテキストにリンクを設定しましょう。
4. ファイルの場所を安定させる
頻繁にファイルを移動すると、リンクが切れてしまいます。重要なファイルは決まった場所に保管してください。
5. 有効期限を伝える
一時的なファイルの場合は、「このリンクは○月○日まで有効です」と記載しておくと親切です。
6. 代替手段を用意
万が一リンクが開けない場合に備えて、「開けない場合はご連絡ください」と書いておくと良いでしょう。
よくある質問と回答
リンクと添付ファイルを両方入れても大丈夫?
はい、問題ありません。リンクをメインにして、念のため小さなPDFを添付しておく、といった使い方もできます。
スマートフォンでもネットワークドライブのリンクは開ける?
基本的には難しいです。スマートフォンから社内ネットワークにアクセスするには、VPNアプリや専用のファイルアクセスアプリが必要になります。
リンクの有効期限はある?
ネットワークドライブのリンク自体に有効期限はありません。ただし、ファイルが削除されたり、アクセス権限が変更されたりすると、開けなくなります。
複数のファイルのリンクを一度に送りたい
フォルダへのリンクを送るか、複数のファイルリンクをリスト形式でメールに記載する方法があります。
以下のファイルをご確認ください:
・売上レポート:\\server\docs\sales.xlsx
・顧客リスト:\\server\docs\customers.xlsx
Macユーザーにも送れる?
MacがWindowsのファイルサーバーに接続できる環境なら可能です。ただし、Mac側で適切にネットワークドライブをマウントする必要があります。
まとめ:UNCパスを使って効率的にファイル共有しよう
Outlookでネットワークドライブのリンクを共有する方法について解説しました。
重要なポイントをおさらい
- ドライブ文字ではなくUNCパス(\サーバー名…)を使う
- 相手がアクセス権限を持っているか事前に確認
- ハイパーリンクとして挿入するのが基本
- リンクが開けない場合はアクセス権限とネットワーク接続を確認
- 社外の人にはOneDriveやSharePointの利用を検討
ネットワークドライブのリンクを使えば、大きなファイルをメールに添付する必要がなくなり、常に最新版を共有できます。ただし、アクセス権限やネットワーク接続の問題には注意が必要です。
この記事を参考に、社内でのファイル共有がよりスムーズになることを願っています!

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