【禁断の森に潜む宇宙の悪夢】クトゥルフ神話の恐怖の町「ゴーツウッド」とは?

神話・歴史・伝承

静かな田舎町の広場に、奇妙なガラスの物体を取り付けた塔が建っている。

夜になると、町の人々はその塔を使って「何か」を召喚する儀式を行うのです。

そして町の近くには、誰も近づかない禁断の森があり、その奥には遠い宇宙から来た恐ろしい生物が潜んでいるといいます。

クトゥルフ神話に登場するこの不気味な町が、イギリスにある「ゴーツウッド」なんです。

この記事では、地母神への信仰と宇宙からの侵略者が交わる恐怖の町「ゴーツウッド」について、その特徴や伝承を詳しくご紹介します。

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概要

ゴーツウッド(Goatswood)は、クトゥルフ神話に登場するイギリスの架空の町です。

イギリス南西部のグロスターシャー州にある地方都市ブリチェスターの近郊に位置する小さな町として描かれています。

主にイギリス出身の作家ラムジー・キャンベルの作品に登場し、原始的な邪神信仰が続く異様な場所として知られています。

町の名前「Goatswood」は「山羊の森」を意味し、クトゥルフ神話に登場する地母神シュブ=ニグラス(「森の黒山羊」とも呼ばれる)を暗示しているんですね。

この町には、不可解な事件が頻繁に発生し、特に町の近くにある森では、宇宙から来た恐ろしい生物による被害が絶えないとされています。

ゴーツウッドってどんな場所?

ゴーツウッドは、一見すると普通の田舎町に見えますが、その実態は非常に異様な場所なんです。

町の基本情報

  • 所在地:イギリス南西部グロスターシャー州、ブリチェスター近郊
  • 規模:小さな町(朽ち果てた状態とも表現される)
  • 特徴:原始的な邪神信仰が現存する稀有な土地
  • 評判:奇怪な事件が多発する場所として知られる

この町の最大の特徴は、地母神シュブ=ニグラスへの信仰が今なお続いていることです。

シュブ=ニグラスとは、クトゥルフ神話に登場する邪神の一柱で、「千匹の仔を孕む森の黒山羊」という別名を持つ恐ろしい存在。住民たちはこの邪神を崇拝し、その恵みを授かろうとしているんですね。

現代においても古代の邪神信仰が続いているという設定が、この町の不気味さを際立たせています。

ムーンレンズの塔

町の広場には、ゴーツウッドで最も目立つ建造物があります。

それが「ムーンレンズ」と呼ばれる奇妙な装置を取り付けた金属製の塔です。

ムーンレンズの特徴

  • 外観:ガラス状の物体を先端に取り付けた塔
  • 材質:金属製
  • 機能:シュブ=ニグラスの化身を召喚する装置
  • 設置場所:町の広場の中心

このムーンレンズは、単なる飾りではありません。

住民たちはこの鏡のような装置を使って、「ムーンレンズの番人」と呼ばれるシュブ=ニグラスの化身を丘の下から召喚していたのです。

召喚の目的は、豊作や繁栄といった「実り」をもたらしてもらうため。つまり、恐ろしい邪神に対価を払って、町の繁栄を維持していたわけですね。

この塔の存在は、ゴーツウッドが普通の町ではないことを象徴する重要なポイントなんです。

禁断の森

ゴーツウッドで最も恐れられているのが、町の近くにある禁断の森です。

この森こそが、数々の奇怪な事件の舞台となる場所なんですね。

森の特徴

  • 歴史:数百年前に隕石が落下したとされる
  • 中心部:灰色の金属でできた円錐塔が存在
  • 住人:宇宙から来た昆虫生物が棲息
  • 評判:周辺の人々が避ける危険地帯

森の中央にそびえる円錐塔は、実はアザトース(クトゥルフ神話の最高神で「魔王」とも呼ばれる)の寺院の頂点部分なのです。

この寺院は、17世紀頃に遥か彼方の宇宙から地球へと転移してきたもの。つまり、この森には文字通り「異世界の神殿」が存在しているんですね。

そして、その神殿の中には…

シャッガイからの昆虫

禁断の森の円錐塔に棲みついているのが、「シャッガイからの昆虫」と呼ばれる宇宙生物です。

これこそが、ゴーツウッドの森を恐怖の場所にしている元凶なんですね。

外見の特徴

シャッガイからの昆虫の姿は、地球の生物とはまったく異なる悪夢のような姿をしています。

身体的特徴

  • 大きさ:地球の鳩ほど
  • :瞼のない巨大な眼
  • :二つ(または三つ)の口
  • 触毛:黒光りする触毛が生えている
  • :渦巻きのように曲がりくねった巻きヒゲ
  • :十本の脚
  • :半円形の羽

この異形の姿は、ひと目見ただけで人を戦慄させるほど恐ろしいものです。まさに「異世界から飛来した悪夢」と表現するにふさわしい外見なんですね。

恐るべき能力と性質

シャッガイからの昆虫が恐れられるのは、その外見だけではありません。

主な特徴

  • 高度な文明:優れた科学技術を持つ知的生命体
  • 信仰:魔王アザトースを崇拝している
  • 性質:サディスティックで残虐極まりない
  • 精神支配:犠牲者の精神を支配する能力を持つ

彼らに襲われた者は、身の毛もよだつやり方で精神を支配され、発狂や自殺といった悲惨な末路を迎えることになります。

高度な文明を持ちながら、その性質は純粋な悪意に満ちているのです。

地球に留まる理由

実は、シャッガイからの昆虫は好きで地球にいるわけではありません。

彼らの故郷である惑星シャッガイは、大異変によって滅亡してしまいました。生き残った彼らはアザトースの寺院に逃げ込み、寺院ごと空間転移して他の惑星へと逃亡したのです。

途中、ザイクロトルという惑星に立ち寄った際には、そこに住む「ザイクロトルの怪物」という木のような生物を奴隷化し、労働力や兵力として使役していたといいます。

しかし、地球の大気に含まれる何かの成分の影響で、他の世界へ移動できなくなってしまったのです。

つまり、彼らは地球に閉じ込められた状態。そのため、やむをえず禁断の森に留まり、新たな犠牲者を待ち続けているんですね。

住民たちの対応

禁断の森の恐ろしさを知る周辺の人々は、当然ながらゴーツウッドを避けるようになりました。

しかし、薄暗い森の奥では、今なお残虐な妖虫が餌食を待ち受けているのです。

ゴーツウッドの住民たちは、シュブ=ニグラス信仰を続けながら、同時に森の危険とも共存しているという、非常に特異な状況に置かれています。

邪神への信仰と宇宙からの侵略者、二つの超常的な脅威が同時に存在する町。それがゴーツウッドなんですね。

作品での位置づけ

ゴーツウッドは、主にイギリス出身のホラー作家ラムジー・キャンベルの作品に登場します。

キャンベルは、アメリカを舞台にすることが多いクトゥルフ神話を、イギリスに舞台を移して独自の世界観を構築した作家として知られています。

ゴーツウッドは、キャンベルが創造したイギリスのクトゥルフ神話の重要な舞台の一つ。『ムーン・レンズ』などの作品で、この不気味な町の物語が語られています。

アメリカのアーカムやインスマスと並ぶ、クトゥルフ神話におけるイギリス版の「呪われた町」として、多くのファンに知られているんですね。

まとめ

ゴーツウッドは、古代の邪神信仰と宇宙からの脅威が交わる、クトゥルフ神話を代表する恐怖の町です。

重要なポイント

  • イギリス南西部グロスターシャー州にある架空の小さな町
  • 町の名前は「森の黒山羊」シュブ=ニグラスを暗示
  • ムーンレンズという装置で邪神の化身を召喚する信仰が続く
  • 禁断の森には宇宙から来た円錐塔(アザトースの寺院)が存在
  • 「シャッガイからの昆虫」という残虐な宇宙生物が潜む
  • 主にラムジー・キャンベルの作品に登場
  • イギリス版クトゥルフ神話の重要な舞台

静かな田舎町の裏に隠された恐怖、遠い宇宙から来た悪夢の存在。ゴーツウッドは、人知を超えた恐怖が身近に潜んでいる可能性を描いた、クトゥルフ神話ならではの恐怖を体現する場所なんです。

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