パソコンを買い替えるとき、「Thunderbirdの設定やメールはどうやって移行すればいいの?」と困ったことはありませんか?
また、万が一パソコンが故障したときのために、メールデータをバックアップしておきたいですよね。
Thunderbird(サンダーバード)には、設定やメールデータをまとめて保存(エクスポート)して、新しいパソコンや復旧時に簡単に読み込める(インポート)機能があります。
この記事では、Thunderbirdの設定とデータをエクスポート(バックアップ)する方法と、それを復元(インポート)する方法を、初心者の方にも分かりやすく詳しく解説していきます。
エクスポートとは?

まず基本的な用語を確認しましょう。
エクスポートとインポート
エクスポート(Export)
- データを外部に書き出すこと
- 簡単に言うと「バックアップを作成する」作業
インポート(Import)
- 外部からデータを読み込むこと
- 簡単に言うと「バックアップから復元する」作業
何がエクスポートされるの?
Thunderbirdのエクスポート機能では、以下のデータがまとめて保存されます:
- メールアカウント設定
- メールアドレス
- サーバー設定(受信・送信)
- パスワード(暗号化されて保存)
- すべてのメール
- 受信トレイ
- 送信済みトレイ
- 下書き
- フォルダ分けしたメール
- アドレス帳
- 連絡先の情報
- 設定情報
- フィルタ設定
- カスタマイズした表示設定
- アドオン(拡張機能)の設定
つまり、Thunderbirdのほぼすべての情報が一度にバックアップできるんです。
なぜエクスポートが必要?
パソコンの買い替え時
新しいパソコンを購入したとき、古いパソコンの設定をいちから入力し直すのは大変です。
エクスポートしておけば、新しいパソコンにインポートするだけで、すぐに使い始められます。
故障や不具合への備え
パソコンが突然起動しなくなったり、Thunderbirdが壊れてしまうことがあります。
定期的にエクスポートしておけば、万が一の時でも大切なメールを失わずに済みます。
再インストール時
Thunderbirdを一度アンインストールして、再インストールする必要がある場合も、エクスポートしておけば安心です。
【方法1】設定とデータのエクスポート機能を使う(推奨)
Thunderbird 115以降では、公式のエクスポート機能が搭載されています。これが最も簡単で確実な方法です。
対応バージョン
この機能はThunderbird 115以降で利用できます。
自分のバージョンを確認するには:
- 右上の「≡」メニューをクリック
- 「ヘルプ」→「Mozilla Thunderbirdについて」をクリック
エクスポート手順
ステップ1:エクスポート画面を開く
- Thunderbirdを起動
- 右上の「≡」(メニューボタン)をクリック
- 「ツール」をクリック
- 「設定とデータのエクスポート」をクリック
ステップ2:エクスポートを実行
- 「エクスポート」画面が表示されます
- エクスポートされる内容が表示されます:
- アカウント
- メッセージ
- アドレス帳
- 設定
- 「エクスポート」ボタンをクリック
- 保存先を選択するダイアログが表示されます
- 分かりやすい場所(例:デスクトップやUSBメモリ)を選択
- ファイル名を入力(例:Thunderbird_backup_2025-11-20)
- 「保存」をクリック
これで、すべてのデータがZIPファイルとして保存されます。
エクスポートの所要時間
メールの量によって時間が変わります:
- メールが少ない(~1000通):数秒~1分程度
- メールが多い(1000~10000通):数分~10分程度
- メールが非常に多い(10000通以上):10分以上かかることも
処理中はThunderbirdを閉じないでください。
注意点
容量制限について:
エクスポート機能には、データサイズの上限があります。非常に大量のメールがある場合(数GB以上)、エクスポートが失敗することがあります。
その場合は、後述の「方法2:プロファイルフォルダの手動コピー」を使用してください。
【方法2】プロファイルフォルダを手動でコピーする
古いバージョンのThunderbirdや、データ量が多すぎてエクスポート機能が使えない場合は、この方法を使います。
プロファイルフォルダとは?
プロファイルフォルダは、Thunderbirdのすべてのデータが保存されている場所です。このフォルダを丸ごとコピーすれば、完全なバックアップができます。
エクスポート手順
ステップ1:Thunderbirdを完全に終了
バックアップ中にThunderbirdが起動していると、データが正しくコピーされません。必ず完全に終了してください。
ステップ2:プロファイルフォルダの場所を確認
Windows 10/11の場合:
- エクスプローラーを開く
- アドレスバーに以下を入力してEnterを押す:
%APPDATA%\Thunderbird\Profiles
- プロファイルフォルダが表示されます
- 名前は「○○○○○○○○.default」という形式
- 例:「abc12345.default」
Mac の場合:
- Finderを開く
- 「移動」メニュー→「フォルダへ移動」を選択
- 以下を入力:
~/Library/Thunderbird/Profiles/
ステップ3:プロファイルフォルダをコピー
- 表示された「○○○○○○○○.default」フォルダを選択
- Ctrlキーを押しながらドラッグして、別の場所(USBメモリやデスクトップ)にコピー 重要:Ctrlキーを押さずにドラッグすると「移動」になってしまい、元のThunderbirdが使えなくなります!
- コピーが完了するまで待つ(数分~数十分かかることもあります)
ステップ4:Thunderbirdフォルダ全体をコピー(推奨)
より完全なバックアップのため、プロファイルフォルダの2階層上の「Thunderbird」フォルダ全体をコピーすることをおすすめします。
Windowsの場合:
C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Roaming\Thunderbird
この「Thunderbird」フォルダ全体をコピーすれば、復元がより確実です。
【インポート】エクスポートしたデータを復元する

方法1でエクスポートした場合(ZIPファイル)
ステップ1:新しいパソコンにThunderbirdをインストール
まず、新しいパソコンに最新版のThunderbirdをインストールします。
公式サイト:https://www.thunderbird.net/ja/
ステップ2:インポート画面を開く
- Thunderbirdを起動
- 右上の「≡」メニューをクリック
- 「ツール」→「設定とデータのインポート」をクリック
ステップ3:バックアップから復元
- 「インポートツール」画面が表示されます
- 「ファイルからインポートする」を選択
- 「次へ」をクリック
- 「バックアップしたプロファイルをインポートする」を選択
- 「次へ」をクリック
- エクスポートしたZIPファイルを選択
- 「開く」をクリック
- インポートする項目を選択(通常はすべてチェック):
- アカウント
- メッセージ
- アドレス帳
- 設定
- 「次へ」をクリック
- インポートが完了するまで待つ
これで、以前の環境が完全に復元されます。
方法2でエクスポートした場合(プロファイルフォルダ)
ステップ1:新しいThunderbirdを一度起動して終了
新しいパソコンにThunderbirdをインストールしたら、一度起動して、すぐに終了します。
これで、新しいプロファイルフォルダが作成されます。
ステップ2:新しいプロファイルフォルダを削除
- エクスプローラーで以下の場所を開く:
%APPDATA%\Thunderbird\Profiles
- 新しく作られた「○○○○○○○○.default」フォルダを削除
ステップ3:バックアップしたプロファイルをコピー
- USBメモリなどからバックアップした「○○○○○○○○.default」フォルダをコピー
- 先ほど開いた「Profiles」フォルダに貼り付け
ステップ4:Thunderbirdを起動
Thunderbirdを起動すれば、以前の環境がそのまま復元されています。
バックアップの保存場所
おすすめの保存先
USBメモリ
- メリット:持ち運びやすい、手軽
- デメリット:紛失のリスクがある
外付けハードディスク
- メリット:大容量、安全
- デメリット:持ち運びに不便
クラウドストレージ(Googleドライブ、OneDriveなど)
- メリット:どこからでもアクセス可能、紛失リスクなし
- デメリット:アップロードに時間がかかる
推奨:複数箇所に保存
- USBメモリ + クラウドストレージ
- 外付けHDD + クラウドストレージ
重要なデータは、2箇所以上に保存することをおすすめします。
定期的なバックアップのすすめ
バックアップの頻度
おすすめのスケジュール:
- 毎週1回:仕事でメールを頻繁に使う方
- 毎月1回:プライベートで時々使う方
- パソコン買い替え前:必須
重要なメールのやり取りが多い時期は、もっと頻繁にバックアップしましょう。
自動バックアップツールの活用
手動でのバックアップを忘れがちな方は、バックアップソフトを使うのもおすすめです。
例:
- Windows標準の「ファイル履歴」機能
- 専用バックアップソフト(BunBackup、MiniTool ShadowMakerなど)
これらのツールで、プロファイルフォルダを定期的に自動バックアップできます。
よくある質問(Q&A)
Q1:パスワードも一緒にエクスポートされますか?
A:はい、エクスポートされます。
ただし、セキュリティのために暗号化された状態で保存されます。バックアップファイルは大切に保管してください。
Q2:アドオン(拡張機能)もエクスポートされますか?
A:設定とデータのエクスポート機能では、アドオンの設定はエクスポートされますが、アドオン本体はエクスポートされません。
新しい環境では、アドオンを再インストールする必要があります。ただし、設定は引き継がれます。
Q3:古いバージョンのThunderbirdから新しいバージョンに移行できますか?
A:はい、できます。
ただし、大幅にバージョンが異なる場合(例:60系から115系)は、一部の設定が引き継がれないことがあります。
Q4:エクスポートしたファイルのサイズが大きすぎます
A:メールに大きな添付ファイルが多い場合、エクスポートファイルが数GBになることもあります。
対策:
- 不要な古いメールを削除してからエクスポート
- フォルダを最適化してからエクスポート
- 【方法2】のプロファイルフォルダ手動コピーを使用
Q5:エクスポートに失敗します
A:以下を確認してください:
- 保存先のディスクに十分な空き容量があるか
- Thunderbirdが最新版か
- メールデータが大きすぎないか(数GB以上の場合は方法2を使用)
- ウイルス対策ソフトが邪魔していないか
Q6:MacからWindowsへ移行できますか?
A:はい、できます。
プロファイルフォルダは、MacとWindowsの間でも互換性があります。ただし、ファイルパスの形式が異なるため、【方法1】のエクスポート機能を使うことをおすすめします。
メール個別のエクスポート(補足)
特定のメールだけを個別にエクスポートしたい場合の方法も紹介します。
個別メールの保存方法
手順:
- エクスポートしたいメールを選択(複数選択も可能)
- 右上の「≡」メニューをクリック
- 「名前を付けて保存」→「ファイル」を選択
- 保存先とファイル名を指定
- 「保存」をクリック
これで、メールが.eml形式で保存されます。
.emlファイルは、Outlook、Windows Live Mail、Gmailなど、多くのメールソフトで開けます。
まとめ
Thunderbirdの設定とデータのエクスポート(バックアップ)方法について、重要なポイントをまとめます:
エクスポートでバックアップされるもの:
- メールアカウント設定
- すべてのメール(受信・送信・下書き等)
- アドレス帳
- 設定情報(フィルタ、表示設定等)
推奨の方法:
- Thunderbird 115以降:「設定とデータのエクスポート」機能(最も簡単)
- 古いバージョンや大容量データ:プロファイルフォルダの手動コピー
バックアップのタイミング:
- パソコン買い替え前(必須)
- 定期的(週1回または月1回)
- 重要なメールのやり取りが多い時期
保存先:
- USBメモリ、外付けHDD、クラウドストレージ
- できれば2箇所以上に保存
インポート(復元):
- 新しいパソコンにThunderbirdをインストール
- 「設定とデータのインポート」からZIPファイルを読み込み
- または、プロファイルフォルダを手動で配置
バックアップは、「必要になってから作る」のでは遅いです。今すぐエクスポートして、大切なメールを守りましょう!
この記事の手順に従えば、パソコンの買い替えも、万が一のトラブルも、安心して対応できますよ。

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