Thunderbirdを起動したら、突然「設定ファイルを正常に読み込めませんでした」というメッセージが表示されて、アカウント情報がすべて消えている…そんなパニック状態に陥っていませんか?
送受信したメールが全部消えたように見えるので、一瞬真っ青になりますよね。でも、ほとんどの場合、メールデータ自体は消えていません。安心してください。
このエラーは「prefs.js」という設定ファイルが破損したことで起きるトラブルで、適切な手順を踏めば復旧できます。この記事では、初心者の方でも分かるように、複数の解決方法を段階的に解説していきます。
「設定ファイルを正常に読み込めませんでした」エラーとは?

このエラーは、Thunderbirdの設定情報を保存している「prefs.js」というファイルが壊れたときに表示されます。
どんな症状が出るか
- 起動時にアカウントの新規作成画面が表示される
- 登録していたメールアカウントがすべて消えている
- メール一覧が空っぽに見える
- 「システム管理者に問い合わせてください」と表示される場合もある
でも、実は大丈夫です!
表面上はアカウントが消えたように見えますが、実際のメールデータ(受信メール、送信メール、アドレス帳など)は別のファイルに保存されているので、ほとんどの場合、無事に残っています。
問題は「prefs.js」という設定ファイルだけなので、これを修復すれば元通りになります。
エラーが起きる原因
原因1:prefs.jsファイルの破損
最も多い原因がこれです。「prefs.js」というファイルは、Thunderbirdのアカウント設定やメールの表示設定など、すべての設定情報を保存している重要なファイルなんです。
このファイルが何らかの理由で壊れてしまうと、Thunderbirdは設定を読み込めなくなります。
破損する主な原因
- Thunderbird起動中にパソコンが突然シャットダウン
- Thunderbirdのバージョンアップ時のトラブル
- ウイルス感染
- ハードディスクの不具合
- CCleanerなどのクリーニングソフトの誤動作(後述)
原因2:prefs.js内の日本語文字化け
prefs.jsファイルの中には、メールフィルターの名前やフォルダ名など、日本語の情報も保存されています。この日本語部分が文字化けすると、ファイル全体が正しく読み込めなくなります。
原因3:CCleanerによる破損(重要!)
パソコンのクリーニングソフト「CCleaner」のバージョン5.32.6129以降を使っている方は要注意です。
CCleanerの「保存場所」という項目にデフォルトでチェックが入っていて、これが原因でprefs.js内の日本語を文字化けさせてしまうバグがあります。CCleanerを最近使った方は、これが原因の可能性が非常に高いです。
Thunderbirdが自動的に行う処理
prefs.jsファイルが壊れていることを検知すると、Thunderbirdは自動的に以下の処理を行います。
- 破損した「prefs.js」を「Invalidprefs.js」という名前に変更
- 新しい空っぽの「prefs.js」を自動生成
- 結果として、アカウント情報が何もない状態で起動
つまり、元の設定情報は「Invalidprefs.js」という名前で残っている可能性があります。これを利用して復旧できる場合があります。
解決方法1:バックアップから復元する(最も確実)
バックアップを取っていた方は、これが最も簡単で確実な方法です。
ステップ1:Thunderbirdを完全に終了
タスクバーにThunderbirdのアイコンが残っていないことを確認してください。
ステップ2:プロファイルフォルダを開く
Windowsの場合:
- Windowsキー + Rを押す
- 以下をコピー&ペーストしてEnter
%AppData%\Thunderbird\Profiles
- 「xxxxxxxx.default」というフォルダが表示される(xは英数字)
別の開き方(Thunderbirdが起動できる場合):
- Thunderbirdを起動
- メニュー(三本線)→「ヘルプ」→「トラブルシューティング情報」
- 「プロファイルフォルダー」の「フォルダーを開く」をクリック
Macの場合:
- Finderを開く
- メニューバーの「移動」をクリック
- Optionキーを押すと「ライブラリ」が表示される
- ライブラリ → Thunderbird → Profiles
ステップ3:バックアップのprefs.jsで置き換え
- プロファイルフォルダ内の現在の「prefs.js」を削除
- バックアップしていた「prefs.js」をコピー
- Thunderbirdを起動
これで、バックアップ時点の状態に復元されます。
💡 ワンポイント
念のため、置き換える前に現在のprefs.jsを別の場所にコピーしておくと安心です。
解決方法2:Invalidprefs.jsをリネームする
バックアップがない場合でも、「Invalidprefs.js」が残っていれば復旧できる可能性があります。
ステップ1:プロファイルフォルダを開く
前述の方法でプロファイルフォルダを開きます。
ステップ2:Invalidprefs.jsを探す
プロファイルフォルダ内に「Invalidprefs.js」というファイルがあるか確認してください。
ない場合: 残念ながらこの方法は使えません。次の方法へ進んでください。
ステップ3:現在のprefs.jsをバックアップ
念のため、現在の「prefs.js」を「prefs.js.bak」などの名前に変更しておきます。
ステップ4:Invalidprefs.jsをprefs.jsにリネーム
- 「Invalidprefs.js」を右クリック
- 「名前の変更」を選択
- 「prefs.js」に変更
- Thunderbirdを起動
うまくいった場合: アカウント情報が復活します。
うまくいかない場合: Invalidprefs.jsに文字化けが残っている可能性があります。次の「文字化け修正」に進んでください。
解決方法3:Invalidprefs.jsの文字化けを修正する

Invalidprefs.jsをリネームしてもエラーが出る場合は、ファイル内の文字化けを修正する必要があります。
ステップ1:テキストエディタで開く
推奨エディタ:
- サクラエディタ
- TeraPad
- Notepad++
Windowsの標準「メモ帳」でも開けますが、文字化けが直らない場合があります。
- Invalidprefs.jsを右クリック
- 「プログラムから開く」→テキストエディタを選択
- エンコードを「UTF-8」または「UTF-8N(BOMなし)」で開く
ステップ2:文字化け箇所を探す
ファイルを開くと、以下のような内容が表示されます。
user_pref("mail.identity.id1.reply_on_top", 1);
user_pref("mail.spam.manualMark", true);
user_pref("mailnews.tags.$label1.tag", "添付�同�添え状�別添�送付");
上記の例では、最後の行が文字化けしています。本来は「添付,同封,添え状,別添,送付」のはずです。
ステップ3:文字化けを修正
修正パターン1:日本語が分かる場合
元の日本語に直します。
修正前:
user_pref("mailnews.tags.$label1.tag", "添付�同�添え状�別添�送付");
修正後:
user_pref("mailnews.tags.$label1.tag", "添付,同封,添え状,別添,送付");
修正パターン2:日本語が分からない場合
その行全体を削除するか、日本語部分を空にします。
user_pref("mailnews.tags.$label1.tag", "");
ステップ4:引用符の確認
文字化けによって、引用符(”)が抜けている場合があります。
間違い例:
user_pref("mailnews.tags.$label1.tag", "添付,同封,添え状,別添,送付);
↑最後の「”」が抜けています
正しい例:
user_pref("mailnews.tags.$label1.tag", "添付,同封,添え状,別添,送付");
すべての行で引用符が正しく対になっているか確認してください。
ステップ5:UTF-8で保存
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」
- ファイル名:prefs.js
- 文字コード:UTF-8(BOMなし)
- 保存場所:プロファイルフォルダ
ステップ6:Thunderbirdを起動
修正したprefs.jsで起動してみます。エラーが出なければ成功です。
⚠️ 注意点
この方法は少し技術的なので、パソコンに不慣れな方は次の方法の方が安全です。
解決方法4:prefs-1.jsやprefs-2.jsを使う
Thunderbirdは自動的に設定ファイルのバックアップを作成していることがあります。
ステップ1:プロファイルフォルダを確認
プロファイルフォルダ内に以下のファイルがないか探してください。
- prefs-1.js
- prefs-2.js
- prefs-3.js
これらは比較的新しい設定のバックアップです。
ステップ2:リネームして使用
- 現在の「prefs.js」を「prefs.js.broken」に変更(念のためバックアップ)
- 「prefs-1.js」を「prefs.js」にコピー(元ファイルは残しておく)
- Thunderbirdを起動
うまくいかない場合: prefs-2.js、prefs-3.jsがあれば、同様に試してください。
解決方法5:新しいプロファイルを作成して移行する
上記すべての方法でダメだった場合は、新しいプロファイルを作成して、メールデータだけを移行する方法があります。
ステップ1:プロファイルマネージャーを起動
Windowsの場合:
- Thunderbirdを完全に終了
- Windowsキー + Rを押す
- 以下を入力してEnter
thunderbird.exe -ProfileManager
Macの場合:
- アプリケーション → ユーティリティ → ターミナルを開く
- 以下を入力してEnter
/Applications/Thunderbird.app/Contents/MacOS/thunderbird -ProfileManager
ステップ2:新しいプロファイルを作成
- 「プロファイルを作成」をクリック
- 「次へ」をクリック
- プロファイル名(例:復旧用)を入力
- 「完了」をクリック
- 新しいプロファイルを選択して「Thunderbirdを起動」
ステップ3:メールアカウントを再設定
新しいプロファイルでは、メールアカウントを一から設定し直す必要があります。
- メールアドレスとパスワードを入力
- サーバー設定を確認
- アカウント設定完了
ステップ4:古いメールデータをコピー(上級者向け)
古いプロファイルフォルダから、以下のファイルを新しいプロファイルフォルダにコピーすると、過去のメールを復元できます。
コピーするもの:
- ImapMailフォルダ(IMAPの場合)
- Mailフォルダ(POPの場合)
- abook.sqlite(アドレス帳)
⚠️ 注意
この操作は慎重に行ってください。不安な場合は、パソコンに詳しい方にサポートしてもらうことをおすすめします。
CCleanerを使っている方への重要な対策

CCleanerユーザーの方は、今後同じトラブルを防ぐために、必ず以下の設定を行ってください。
今すぐ確認すべき設定
ステップ1:CCleanerを起動
ステップ2:設定を確認
- 左メニューの「アプリ」をクリック
- 一覧から「Thunderbird」を探す
- 「保存場所」という項目を見つける
ステップ3:チェックを外す
「保存場所」にチェックが入っていたら、必ず外してください。
これをしないと、またprefs.jsが破損します。
なぜCCleanerで問題が起きるのか
CCleanerのバージョン5.32.6129以降では、「保存場所」という項目がデフォルトでチェック付きで追加されました。この項目をクリーニングすると、prefs.js内の日本語部分が文字化けしてしまいます。
英語圏では問題が起きないため、開発元は仕様を変更していません。そのため、日本語ユーザーは自分で設定を変更する必要があります。
CCleanerの代替案
どうしてもCCleanerを使いたい場合は:
- Thunderbirdの項目を完全にチェック解除
- クリーニング前に必ずバックアップを取る
- 別のクリーニングソフトの利用も検討
今後の予防策:定期的なバックアップが最重要
このトラブルを二度と経験しないために、定期的なバックアップを強くおすすめします。
バックアップすべきもの
最低限:prefs.jsだけでもバックアップ
- プロファイルフォルダ内の「prefs.js」を週1回程度コピー
- ファイル名を「prefs_2025-11-20.js」のように日付を付けて保存
推奨:プロファイルフォルダ全体をバックアップ
- プロファイルフォルダ(xxxxxxxx.defaultフォルダ)全体をコピー
- 外付けHDDやクラウドストレージに保存
- 月1回程度の頻度で実施
簡単なバックアップ方法
方法1:手動コピー
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダを開く
- フォルダ全体を別の場所にコピー
方法2:自動バックアップソフトを使う
- BunBackup(無料)
- ImportExportTools NG(Thunderbirdアドオン)
などのツールで自動バックアップを設定できます。
それでも解決しない場合
上記すべての方法を試してもダメな場合は、以下を検討してください。
1. Thunderbirdを再インストール
- Thunderbirdをアンインストール
- プロファイルフォルダは削除しない
- 最新版をダウンロードして再インストール
- 起動時にプロファイルを選択
2. データ復旧ソフトを使う
プロファイルフォルダが破損している場合は、データ復旧ソフトで復元できる可能性があります。
無料ソフト:
- Recuva
- TestDisk
3. 専門家に相談
大切なメールデータの場合は、パソコン修理店やデータ復旧サービスに相談することも検討してください。
まとめ:設定ファイルエラーは復旧できます
Thunderbirdで「設定ファイルを正常に読み込めませんでした」というエラーが出ても、慌てる必要はありません。メールデータ自体は残っている可能性が高いです。
復旧方法の優先順位:
- バックアップから復元(最も確実)
- Invalidprefs.jsをリネーム
- 文字化けを手動修正
- prefs-1.jsなどを使用
- 新しいプロファイルを作成
CCleanerユーザーは必ず:
- 「保存場所」のチェックを外す
- 今後はクリーニング前にバックアップを取る
今後の予防策:
- 定期的にprefs.jsをバックアップ
- できればプロファイルフォルダ全体をバックアップ
- クリーニングソフトの設定を確認
このエラーは、適切な対処をすれば必ず解決できます。焦らず、手順通りに進めてみてください。どうしても解決しない場合は、パソコンに詳しい方やサポートセンターに相談することをおすすめします。
大切なメールデータを守るために、今日からバックアップを始めましょう!

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