Thunderbirdで問題が発生したとき、「なぜこのエラーが出るんだろう?」と原因が分からず困った経験はありませんか?
そんなときに役立つのが「エラーコンソール」という機能です。これは、Thunderbirdの内部で何が起こっているかを確認できる開発者向けツール。
一見難しそうに思えますが、実は一般ユーザーでもトラブルシューティングに活用できるんです。
この記事では、Thunderbirdのエラーコンソールの基本的な使い方から、実用的な活用方法まで分かりやすく解説していきます。
エラーコンソールって何?

プログラムの「診断ツール」のようなもの
エラーコンソールとは、Thunderbirdの内部で発生するエラーや警告、デバッグ情報を表示するツールのこと。
いわば、Thunderbirdの「健康診断結果」を見るような機能です。
エラーコンソールで分かること
- プログラム内部で発生したエラーメッセージ
- 警告情報
- アドオンの動作ログ
- 通信エラーの詳細
- JavaScriptの実行状況
どんな人に役立つ?
エラーコンソールは、次のような場面で活躍します。
一般ユーザー向け
- メールの送受信でエラーが出たときの原因調査
- アドオンが正しく動作しない原因の特定
- サポートに問い合わせる際の詳細情報の確認
開発者・上級者向け
- アドオンの開発やデバッグ
- Thunderbirdのカスタマイズ時の動作確認
- 詳細なログ解析
エラーコンソールの開き方
エラーコンソールを開く方法はとても簡単です。
キーボードショートカットで開く(推奨)
一番簡単な方法は、キーボードショートカットを使うこと。
Windowsの場合
Ctrl + Shift + J
Macの場合
Command + Shift + J
この3つのキーを同時に押すと、エラーコンソールのウィンドウが開きます。
メニューから開く方法
キーボードショートカットが使えない場合は、メニューから開くこともできます。
- Thunderbirdを起動
- 上部メニューの「ツール」をクリック
- 「開発ツール」にカーソルを合わせる
- 「エラーコンソール」を選択
エラーコンソールのウィンドウが別ウィンドウで開きます。
エラーコンソールの画面構成
エラーコンソールを開くと、いくつかの要素が表示されます。
主な画面要素
ログ表示エリア
- エラー、警告、メッセージが時系列で表示される
- 赤色:エラー
- 黄色:警告
- 灰色:一般的な情報
フィルターボタン(画面上部)
- エラーのみ表示
- 警告のみ表示
- すべて表示
設定ボタン(歯車マーク)
- ログの表示設定を変更できる
コード入力欄(画面下部)
- JavaScriptコードを直接実行できる
- 「コードを評価」ボタンで実行
クリアボタン
- 表示されているログをすべて削除
基本的な使い方
ログの見方
エラーコンソールには、さまざまな情報が表示されます。
エラーメッセージの構成
各ログは以下のような情報を含んでいます。
- 種類:エラー/警告/情報
- メッセージ内容:何が起こったかの説明
- ファイル名:どのファイルでエラーが発生したか
- 行番号:コードの何行目でエラーが発生したか
表示設定を変更する
デフォルトでは一部のログしか表示されないことがあります。
「コンテンツメッセージを表示」を有効にする
- エラーコンソール画面右上の歯車マークをクリック
- 「コンテンツメッセージを表示」にチェックを入れる
この設定を有効にすると、アドオンなどのログも表示されるようになります。
Thunderbird 78.1.1以降ではデフォルトでチェックが入っていますが、それ以前のバージョンでは手動で有効化が必要です。
フィルター機能を使う
大量のログの中から必要な情報だけを見たい場合は、フィルター機能が便利です。
フィルターの種類
- エラーのみ表示:赤いアイコンのボタン
- 警告のみ表示:黄色いアイコンのボタン
- すべて表示:フィルターを解除
問題の原因を探すときは、まず「エラーのみ表示」で絞り込むと効率的です。
実用的な活用方法
トラブルシューティングでの活用
メールの送受信でエラーが出たときなど、エラーコンソールが役立ちます。
手順
- エラーコンソールを開く(Ctrl+Shift+J)
- 「クリア」ボタンでログを削除して画面をリセット
- 問題が発生する操作を実行する(例:メール送信)
- エラーコンソールに表示されたエラーを確認
確認するポイント
- 赤いエラーメッセージに注目
- 「connection」「timeout」「authentication」などのキーワードを探す
- エラーメッセージをコピーして検索すると解決策が見つかることも
サポートへの問い合わせ時に活用
サポートに問い合わせる際、エラーコンソールの情報があると問題解決が早くなります。
エラー情報のコピー方法
- 該当するエラーメッセージを右クリック
- 「メッセージをコピー」を選択
- テキストエディタやメールに貼り付け
サポートに送る際は、以下の情報も一緒に伝えると良いでしょう。
- 何をしたときにエラーが出たか
- エラーメッセージの全文
- Thunderbirdのバージョン
アドオンの動作確認
アドオンが正しく動いているかを確認したい場合も、エラーコンソールが便利です。
確認手順
- エラーコンソールで「コンテンツメッセージを表示」を有効化
- アドオンを実行する
- コンソールにアドオンのログが表示されるか確認
アドオンが動作しない場合、コンソールにエラーメッセージが出ていることが多いんです。
上級者向け機能
ログの最大表示件数を増やす
デフォルトでは、エラーコンソールに表示されるログは最大250件までに制限されています。
大量のログを確認したい場合は、この制限を拡大できます。
最大件数を99999件に拡大する方法
- エラーコンソールの「コード」欄に以下を入力:
Services.prefs.setIntPref("devtools.hud.loglimit", 99999);
- 「コードを評価」ボタンをクリック
これで、約10万件のログを保持できるようになります。
ただし、この設定はエラーコンソールを閉じると元に戻るので、必要なときに毎回実行してください。
すべてのログをコピーする
表示されているすべてのログを一度にコピーすることもできます。
一括コピーの方法
- エラーコンソールの「コード」欄に以下を入力:
copy(Array.from(document.querySelectorAll('.message')).map(e => e.textContent).join('\n'));
- 「コードを評価」ボタンをクリック
- クリップボードにすべてのログがコピーされる
- テキストエディタに貼り付けて保存
この方法は、長期的なログ解析や、サポートへの詳細な報告に便利です。
注意点と制限事項

ログの制限について
デフォルトの制限
- 最大表示件数:250件
- 古いログは自動的に削除される
- エラーコンソールを開く前のログは見られない
問題を再現する前にエラーコンソールを開いておくことが重要です。
パフォーマンスへの影響
エラーコンソールを開いたままにしておくと、Thunderbirdの動作が若干遅くなることがあります。
普段は閉じておき、必要なときだけ開くようにしましょう。
専門的な内容が多い
エラーコンソールに表示される情報は、プログラミングの知識がないと理解しにくいものが多いです。
分からないエラーメッセージが出ても、そのままサポートに伝えれば大丈夫。専門家が適切に対応してくれます。
こんなときはエラーコンソールを確認しよう
メール送受信でエラーが出る
「サーバーに接続できません」などのエラーが出たとき、エラーコンソールを見ると詳細な原因が分かることがあります。
よくあるエラーキーワード
SSL_ERROR:SSL/TLS接続の問題NS_ERROR_UNKNOWN_HOST:サーバー名が見つからないauthentication failed:認証エラー
アドオンが動かない
インストールしたアドオンが機能しない場合、エラーコンソールにヒントがあるかもしれません。
確認ポイント
- アドオン名が含まれるエラーがないか
- JavaScriptエラーが出ていないか
- バージョン互換性の警告がないか
Thunderbirdが不安定になった
動作が遅い、フリーズするなどの症状が出たとき、エラーコンソールで異常なログが大量に出ていないかチェックしてみましょう。
よくある質問
Q1. エラーコンソールを閉じるには?
エラーコンソールのウィンドウの「×」ボタンをクリックするだけです。
Thunderbird本体とは別のウィンドウなので、エラーコンソールを閉じてもThunderbirdは動作し続けます。
Q2. エラーが表示されない場合は?
以下を確認してください。
- 「コンテンツメッセージを表示」が有効になっているか
- フィルターで除外されていないか
- エラーコンソールを開く前に問題が発生していた場合、もう一度再現させる
Q3. 赤いエラーが出ているけど大丈夫?
すべてのエラーが深刻な問題というわけではありません。
Thunderbirdが正常に動作していれば、一部のエラーは無視しても構いません。
ただし、動作に問題がある場合は、そのエラーが原因の可能性があります。
Q4. ログをファイルに保存したい
前述の「すべてのログをコピーする」方法でクリップボードにコピーし、テキストエディタに貼り付けて保存してください。
または、エラーコンソールのスクリーンショットを撮る方法もあります。
まとめ
Thunderbirdのエラーコンソールは、トラブルシューティングの強力な味方です。
この記事のポイントまとめ
- 開き方:
Ctrl+Shift+Jで簡単に開ける - 基本設定:「コンテンツメッセージを表示」を有効にする
- 活用方法:問題発生時に開いてエラーを確認
- フィルター:エラーのみ表示で効率的に調査
- 情報共有:エラーメッセージをコピーしてサポートに伝える
専門的に見えるツールですが、基本的な使い方を知っておくだけでも、トラブル解決の大きな助けになります。
Thunderbirdで問題が起きたときは、まずエラーコンソールを開いてみましょう。思わぬヒントが見つかるかもしれません!

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