Thunderbirdを使っていたら突然落ちてしまった、その後起動しなくなってしまった…そんなトラブルに遭遇したことはありませんか?
「メールを確認したいのに開けない」「起動しようとすると数秒でクラッシュする」「応答なしと表示されて固まってしまう」こういった状況、仕事で使っている方にとっては本当に困りますよね。
この記事では、Thunderbirdがクラッシュする原因と、段階的な復旧方法をわかりやすく解説します。軽度のトラブルから重度の問題まで、順番に対処していけば、ほとんどの場合は復旧できますよ!
クラッシュとは?

まず、「クラッシュ」という言葉の意味を確認しましょう。
クラッシュの定義
クラッシュとは、Thunderbirdが予期せず突然終了してしまうことです。正常な終了ではなく、プログラムが異常を検知して強制的に閉じられる状態を指します。
よくある症状
- 起動しようとすると数秒で消えてしまう
- 使っている最中に突然終了する
- 「応答なし」と表示されてフリーズする
- クラッシュレポーターというウィンドウが表示される
- エラーメッセージが出て起動できない
クラッシュする主な原因
なぜThunderbirdがクラッシュするのか、主な原因を見ていきましょう。
原因1: アドオンの不具合
Thunderbirdに追加した拡張機能(アドオン)が、最新バージョンに対応していなかったり、バグを含んでいたりすると、クラッシュの原因になります。
アドオンを最近追加したり更新したりした後にクラッシュが始まった場合は、これが原因の可能性が高いです。
原因2: プロファイルの破損
プロファイルとは、メールデータや設定を保存しているフォルダのことです。このプロファイルのファイルが何らかの理由で壊れてしまうと、Thunderbirdが正常に起動できなくなります。
破損する主な理由
- パソコンが突然シャットダウンした
- Windowsのアップデート中にトラブルが発生した
- ハードディスクにエラーがある
- ウイルス対策ソフトが干渉した
原因3: 一時ファイルの残存
Thunderbirdが異常終了すると、本来は削除されるべき一時ファイルが残ってしまうことがあります。
代表的な一時ファイル
- parent.lock: プロファイルがロックされていることを示すファイル
- nstmpフォルダ: フォルダ最適化中に作られる一時フォルダ
これらが残っていると、「Thunderbirdはすでに実行されています」というエラーが出たり、起動できなくなったりします。
原因4: メールボックスの肥大化
受信トレイのサイズが2GBを超えると、動作が不安定になることがあります。古いメールを大量に保存している方は、この問題に遭遇しやすいです。
原因5: バージョンアップの不具合
Thunderbirdのバージョンアップ後に、新しいバージョン特有のバグが原因でクラッシュすることもあります。
【段階1】基本的な対処法
まずは簡単にできる対処法から試していきましょう。
対処1-1: パソコンを再起動する
意外かもしれませんが、パソコンの再起動で解決することも多いんです。
Windowsのシステムエラーや、バックグラウンドで動いている別のプログラムが干渉している場合、再起動することで問題が解消されます。
手順
- 保存していない作業があれば保存する
- Windowsの「スタート」メニューから「再起動」を選ぶ
- 再起動後、Thunderbirdを起動してみる
これで起動すれば、一時的なトラブルだったということです。
対処1-2: Thunderbirdのプロセスを強制終了
Thunderbirdが見えない状態でバックグラウンドで動き続けていることがあります。
Windows版の手順
- 「Ctrl + Shift + Esc」キーを押してタスクマネージャーを開く
- 「プロセス」タブで「Thunderbird」を探す
- 見つけたら右クリックして「タスクの終了」を選択
- Thunderbirdを再度起動してみる
Mac版の手順
- 「Command + Option + Esc」キーを押す
- 「Thunderbird」を選択
- 「強制終了」をクリック
- Thunderbirdを再度起動してみる
【段階2】トラブルシューティングモードで起動
基本的な対処法で解決しない場合、トラブルシューティングモード(セーフモード)を試します。
トラブルシューティングモードとは?
アドオンやカスタマイズを無効化した状態でThunderbirdを起動するモードです。これにより、アドオンが原因かどうかを判別できます。
起動方法(起動中に操作できる場合)
Thunderbirdが一応起動するけど不安定な場合:
- メニューバーの「ヘルプ」をクリック
- 「トラブルシューティングモード」を選択
- 確認メッセージが表示されるので「再起動」をクリック
起動方法(起動できない場合)
Windows版
- キーボードの「Shift」キーを押したまま
- Thunderbirdのショートカットをダブルクリック
- Shiftキーを押し続ける
Mac版
- キーボードの「Option」キーを押したまま
- ThunderbirdアイコンをクリックGoキーを押し続ける
セーフモード選択ダイアログが表示されたら:
- 「すべてのアドオンを無効化する」にチェック
- 「変更を実行して再起動」をクリック
これで起動できた場合、アドオンが原因です。アドオンを1つずつ有効化して、問題のあるアドオンを特定しましょう。
【段階3】起動時キャッシュを消去
トラブルシューティングモードでも解決しない場合、キャッシュのクリアを試します。
手順(起動できる場合)
- 「ヘルプ」→「トラブルシューティング情報」を開く
- 右側の枠にある「起動時キャッシュを消去」ボタンをクリック
- Thunderbirdが再起動される
キャッシュとは、動作を高速化するために一時的に保存されているデータのことです。このデータが古くなったり破損したりすると、問題の原因になることがあります。
【段階4】一時ファイルを手動で削除

ここからは少し高度な対処法ですが、効果的です。
parent.lockファイルを削除
Windows版の手順
- Thunderbirdを完全に終了する
- 「Windowsキー+R」を押す
- 「%APPDATA%\Thunderbird\Profiles\」と入力してEnter
- プロファイルフォルダ(○○○○.defaultのような名前)を開く
- 「parent.lock」というファイルを探して削除
- Thunderbirdを起動してみる
Mac版の手順
- Thunderbirdを完全に終了する
- Finderで「移動」→「フォルダへ移動」
- 「~/Library/Thunderbird/Profiles/」と入力してEnter
- プロファイルフォルダを開く
- 「.parentlock」というファイル(隠しファイル)を削除
- Thunderbirdを起動してみる
このファイルは「プロファイルが使用中」という情報を記録しています。異常終了すると削除されずに残ってしまい、再起動を妨げることがあるんです。
nstmpフォルダを削除
プロファイルフォルダ内のメールフォルダに「nstmp」で始まるフォルダがある場合、これも削除します。
これはフォルダ最適化中にクラッシュした際に残る一時フォルダです。削除しても問題ありません。
【段階5】新しいプロファイルを作成
ここまでの方法で解決しない場合、プロファイルが深刻に破損している可能性があります。
プロファイルマネージャーを開く
Windows版
- 「Windowsキー+R」を押す
- 「thunderbird -p」と入力してEnter
Mac版
- アプリケーション→ユーティリティ→ターミナルを開く
- 「/Applications/Thunderbird.app/Contents/MacOS/thunderbird -p」と入力してEnter
新しいプロファイルを作成
- プロファイルマネージャーが開く
- 「新しいプロファイルを作成」をクリック
- プロファイル作成ウィザードで「次へ」をクリック
- プロファイル名を入力(例: 「新規」「復旧用」など)
- 「完了」をクリック
- 作成したプロファイルを選択して「Thunderbirdを起動」
新しいプロファイルで起動できれば、元のプロファイルに問題があったことがわかります。
データを移行する場合
新しいプロファイルにメールアカウントを再設定し、必要に応じて以下のファイルを古いプロファイルからコピーします:
- abook.sqlite(アドレス帳)
- メールフォルダ(Inbox、Sent など)
ただし、破損したファイルをコピーすると再度問題が起きるので、慎重に作業してください。
【段階6】Thunderbirdを再インストール
最終手段として、Thunderbirdの再インストールを行います。
事前にプロファイルをバックアップ
必須作業です! メールデータを失わないため、必ずプロファイルをバックアップしてください。
バックアップ手順
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダ(%APPDATA%\Thunderbird\Profiles)を開く
- プロファイルフォルダ全体を、デスクトップや外付けハードディスクにコピー
再インストール手順
Windows版
- 「設定」→「アプリ」→「インストールされているアプリ」
- 「Mozilla Thunderbird」を見つけて「アンインストール」
- ただし「個人データを削除しますか?」と聞かれたら「削除しない」を選ぶ
- 公式サイトから最新版をダウンロード
- インストーラーを実行
Mac版
- アプリケーションフォルダからThunderbirdをゴミ箱へ
- ただしプロファイルフォルダ(~/Library/Thunderbird/)は残しておく
- 公式サイトから最新版をダウンロード
- インストール
再インストール後、既存のプロファイルを自動認識して使えるようになります。
プロファイルが破損している場合の復元方法
プロファイル自体が破損してバックアップもない場合でも、Windowsのシャドウコピー機能で復元できることがあります。
Windowsのシャドウコピーで復元
- プロファイルフォルダの場所を開く
- 「Profiles」フォルダを右クリック
- 「以前のバージョン」タブを選択
- バックアップ(スナップショット)の一覧が表示される
- 問題が起きる前の日時のものを選んで「復元」
この機能はWindowsが自動的に作成しているバックアップを利用するため、必ずしも存在するとは限りません。ただし、試してみる価値はあります。
メールボックスが大きすぎる場合
受信トレイが2GB以上になってクラッシュする場合の対処法です。
フォルダの最適化
- トラブルシューティングモードで起動
- 受信トレイを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「フォルダを最適化」をクリック
最適化により、削除したメールが実際に消去され、ファイルサイズが小さくなります。
古いメールを別フォルダに移動
受信トレイを小さく保つため、古いメールはアーカイブフォルダやローカルフォルダに移動しましょう。
トラブルを予防するために

クラッシュを防ぐための日常的な対策もお伝えします。
定期的なバックアップ
月に1回程度、プロファイルフォルダをバックアップする習慣をつけましょう。USBメモリや外付けハードディスク、クラウドストレージなどに保存しておくと安心です。
フォルダの定期最適化
メールボックスが大きくなりすぎないよう、定期的にフォルダを最適化しましょう。特に受信トレイとゴミ箱は要注意です。
自動更新に注意
バージョンアップ直後は不具合が報告されることもあります。重要な時期は自動更新を一時停止し、しばらく様子を見てから更新するのも一つの方法です。
自動更新の設定
- 「設定」→「一般」
- 下にスクロールして「更新」を見つける
- 「更新を確認するが、インストールするかどうかを選択する」を選ぶ
正しい終了方法
Thunderbirdを終了するときは、必ず「×」ボタンやメニューから終了してください。Windowsのシャットダウン中に強制終了すると、ファイルが破損しやすくなります。
よくある質問
クラッシュ復旧に関する疑問にお答えします。
Q: クラッシュレポートは送信すべきですか?
はい、できるだけ送信してください。開発者が問題を把握して修正するのに役立ちます。個人情報は含まれないので安心です。
Q: プロファイルを新しく作るとメールは消えますか?
新しいプロファイルを作っても、古いプロファイルのデータは残っています。ただし、新しいプロファイルは空の状態から始まるので、メールアカウントの再設定が必要です。
Q: 32bit版から64bit版に変えるとクラッシュは直りますか?
状況によっては改善することがあります。特に古いバージョンの32bit版を使っている場合、64bit版への切り替えで安定することがあります。
Q: アドオンが原因だった場合、二度と使えませんか?
アドオンが更新されれば使えるようになることがあります。また、代替のアドオンを探すのも一つの方法です。
まとめ
Thunderbirdのクラッシュと復旧方法について解説しました。
段階的な復旧手順
- パソコンを再起動、プロセスを強制終了
- トラブルシューティングモードで起動
- 起動時キャッシュを消去
- parent.lockやnstmpフォルダを削除
- 新しいプロファイルを作成
- Thunderbirdを再インストール
重要なポイント
- 作業前に必ずプロファイルをバックアップ
- 軽度の対処法から順番に試す
- アドオンが原因のことも多い
- メールボックスの肥大化に注意
- 定期的なバックアップで備える
クラッシュは突然起きて焦ってしまいますが、この記事の手順に従って落ち着いて対処すれば、ほとんどの場合は復旧できます。どうしても解決しない場合は、公式フォーラムで相談するのも良い方法ですよ。
大切なメールを守るため、日頃からバックアップを心がけてくださいね!

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