Thunderbirdを使っていて「Thunderbird Releaseにアップグレード」という黄色いメッセージが表示されて、戸惑ったことはありませんか?
2025年3月から、Thunderbirdの公式サイトで提供される標準バージョンが、ESR版からRelease版に変更されました。これに伴い、ESR版を使っているユーザーには、Release版への切り替えを促すメッセージが表示されるようになったんです。
この記事では、更新チャンネルとは何か、ESRとReleaseの違い、そしてチャンネルの変更方法をわかりやすく解説します。自分に合ったバージョンを選んで、快適にThunderbirdを使いましょう!
更新チャンネルとは?

まず、Thunderbirdの更新チャンネルについて理解していきましょう。
2つの主要チャンネル
Thunderbirdには、大きく分けて2つの更新チャンネルがあります。
ESR(Extended Support Release)
延長サポートリリースと呼ばれる、安定性を重視したバージョンです。企業や組織での利用を想定して設計されています。
Release(通常版)
最新機能を積極的に取り入れる、月次更新のバージョンです。個人ユーザー向けに推奨されています。
なぜチャンネルが2つあるの?
ユーザーのニーズが異なるためです。「最新機能をいち早く使いたい」という方もいれば、「とにかく安定して動いてほしい」という方もいますよね。
この両方のニーズに応えるため、2つの更新方針を提供しているんです。
ESRとReleaseの違いを詳しく解説
どちらを選ぶべきか判断するために、違いをしっかり理解しましょう。
更新頻度の違い
ESR版
- 大きな機能追加は年1回程度
- その間はセキュリティ修正と重要なバグ修正のみ
- 安定性を最優先
Release版
- 毎月新しいバージョンがリリース
- 新機能が次々と追加される
- 改善やバグ修正も迅速
2025年3月以降、ESR版も月次更新に移行していますが、基本的な「安定性重視」の姿勢は変わっていません。
機能の違い
ESR版
- 実績のある安定した機能
- 大幅な変更は少ない
- 予期しない動作が起きにくい
Release版
- 最新の便利機能をいち早く利用可能
- UIの改善が頻繁に行われる
- 新しい技術への対応が早い
例えば、ダークモードの改善、フォルダの複数選択機能、通知システムの強化など、Release版では新機能がどんどん追加されています。
どちらがおすすめ?
ESR版がおすすめの人
- 企業や組織で業務用に使っている
- アドオン(拡張機能)を多数使っている
- 環境の変化を最小限にしたい
- 安定性を最重視する
Release版がおすすめの人
- 個人で使っている
- 最新機能を試したい
- 月1回のアップデートが苦にならない
- Mozilla公式の推奨に従いたい
Mozilla公式は、基本的にRelease版を推奨しています。ただし、ESR版でも十分に使えますから、無理に変更する必要はありませんよ。
現在のチャンネルを確認する方法
まずは自分がどちらのチャンネルを使っているか確認しましょう。
確認手順
- Thunderbirdを起動する
- 画面右上の「≡」(ハンバーガーメニュー)をクリック
- 「ヘルプ」を選択
- 「Thunderbirdについて」をクリック
バージョン情報ダイアログが開きます。ここで「現在の更新チャンネル」という項目を確認してください。
- 「esr」と表示 → ESR版を使用中
- 「release」と表示 → Release版を使用中
この表示で、現在どちらのチャンネルを使っているかがわかります。
ESRからReleaseへ変更する方法
Release版に切り替えたい場合の手順を説明します。
事前準備: プロファイルのバックアップ
念のため、メールデータや設定をバックアップしておきましょう。
Windowsの場合
- 「Windowsキー+R」を押す
- 「%APPDATA%\Thunderbird\Profiles\」と入力してEnter
- 表示されたフォルダ全体を、デスクトップや外付けハードディスクにコピー
Macの場合
- Finderで「移動」→「フォルダへ移動」
- 「~/Library/Thunderbird/Profiles/」と入力してEnter
- フォルダ全体をバックアップ
このバックアップがあれば、万が一のときも安心です。
手順1: Release版をダウンロード
- Thunderbird公式サイト(https://www.thunderbird.net/ja/)にアクセス
- 「無料ダウンロード」ボタンをクリック
- インストーラーがダウンロードされる
ダウンロードページで「Thunderbird Release」になっていることを確認してください。
手順2: インストーラーを実行
- ダウンロードしたファイルをダブルクリック
- インストーラーが起動する
- 「既存のThunderbirdに上書きしますか?」という趣旨のメッセージが表示される場合がある
- そのまま「インストール」を進める
既存のThunderbirdと同じフォルダに上書きインストールされます。
手順3: インストール完了後の確認
インストールが終わったら、Thunderbirdを起動してください。
初回起動時の注意点
- カラフルな四角いアイコンが一瞬表示されることがある(正常です)
- フォルダ名が文字化けする場合は、Thunderbirdを再起動してください
バージョン情報を開いて、チャンネルが「release」になっていれば成功です!
メールデータはどうなる?
Thunderbirdは、プログラム本体とユーザーデータ(メールや設定)が分離されています。そのため、上書きインストールしても:
- 既存のメールは全部残る
- アカウント設定もそのまま
- アドレス帳も維持される
- フォルダ分けも変わらない
つまり、今まで通りすぐに使えるんです。安心してくださいね。
ReleaseからESRへ戻したい場合

Release版を試してみたけど、やっぱりESR版に戻したい…という場合もあるかもしれません。
ダウングレードは推奨されない
実は、新しいバージョンから古いバージョンへ戻すこと(ダウングレード)は、公式では推奨されていません。
理由
- 新バージョンで追加されたデータ形式に対応していない
- プロファイルが破損する可能性がある
- 一部の機能が正しく動作しなくなる恐れがある
それでも戻す必要がある場合
どうしてもESR版に戻したい場合は:
- 必ずプロファイル全体をバックアップする
- ESR版のインストーラーをダウンロード(公式サイトで「Extended Support Release」を選択)
- 上書きインストールする
- 問題が起きた場合は、バックアップから復元する
ただし、トラブルのリスクが高いので、本当に必要な場合のみにしましょう。
アドオンの互換性について
チャンネルを変更する際に気になるのがアドオンの互換性です。
Release版への移行
ほとんどのアドオンは問題なく動作します。ただし、一部の古いアドオンは新しいバージョンに対応していない場合があります。
確認方法
- アドオンの公式ページで対応バージョンを確認
- 重要なアドオンがある場合、事前に互換性をチェック
トラブルが起きたら
- アドオンを一旦無効化する
- Thunderbirdが正常に動作するか確認
- アドオンを1つずつ有効化して、問題の原因を特定する
- 代替のアドオンを探す
よくある質問
チャンネル変更に関する疑問にお答えします。
Q: ESR版のまま使い続けてもいいですか?
はい、全く問題ありません。ESR版もセキュリティアップデートは継続されますし、メール送受信に支障はありません。急いで変更する必要はないんです。
Q: Release版にすると勝手にアップデートされますか?
はい、自動アップデート機能が有効な場合、毎月新しいバージョンが自動的にインストールされます。これが嫌な場合は、設定で自動アップデートを無効にできますよ。
Q: チャンネル変更でメールが消えることはありますか?
通常は消えません。Thunderbirdはプログラムとデータが分離されているため、バージョンを変えてもメールは残ります。ただし念のため、事前にバックアップを取ることを強く推奨します。
Q: 会社のパソコンでも変更していいですか?
会社で使っている場合は、IT部門に確認してから変更してください。企業では、全社で統一したバージョンを使っていることが多いので、勝手に変更すると管理上の問題が起きる可能性があります。
Q: Beta版もあるって聞いたけど?
はい、Beta版(ベータ版)もあります。これは開発中の機能を試すためのバージョンで、不安定な場合があります。一般のユーザーにはおすすめしません。
まとめ
Thunderbirdの更新チャンネル変更について解説しました。
ポイントのおさらい
- 更新チャンネルはESRとReleaseの2種類
- ESRは安定性重視、Releaseは最新機能重視
- 2025年3月からRelease版が公式推奨に
- チャンネル変更は上書きインストールで可能
- メールデータは引き継がれる
- 事前のバックアップは必須
どちらを選ぶべきか
- 個人利用で最新機能が欲しい → Release版
- 企業利用や安定性重視 → ESR版
- 迷ったら → まずESR版で様子を見て、必要に応じてRelease版へ
Mozillaは基本的にRelease版を推奨していますが、ESR版でも全く問題なく使えます。自分の使い方に合わせて、無理なく選んでくださいね。
チャンネルを変更する場合は、必ずバックアップを取ってから作業しましょう。これさえ守れば、安心して新しいバージョンを試すことができますよ!

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