【北海道の湖に潜む謎の巨大生物】クッシーとは?目撃情報・伝承をやさしく解説

神話・歴史・伝承

北海道の美しい湖で、突然、巨大な黒い影が水面を横切っていったら……。

あなたはどう思うでしょうか?

1973年、屈斜路湖で遠足中の中学生たち約40人が、まさにそんな光景を目撃しました。これをきっかけに、日本中が「クッシー」という謎の生物に注目することになったんです。

この記事では、北海道屈斜路湖に棲むとされる未確認生物「クッシー」について、その目撃情報や地元に伝わる伝承を詳しくご紹介します。

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概要

クッシーは、北海道の屈斜路湖(くっしゃろこ)で目撃証言のある未確認生物(UMA)です。

イギリスの有名なネス湖の怪物「ネッシー」に倣って名付けられました。1973年から目撃報告が相次ぎ、当時は鹿児島県の池田湖に棲むとされる「イッシー」と並んで、日本を代表する水棲UMAとして全国的な知名度を誇っていたんです。

屈斜路湖は、北海道東部の弟子屈町にあるカルデラ湖(火山の噴火でできた湖)で、阿寒摩周国立公園内に位置しています。興味深いことに、この湖はネス湖と環境や気候が似ているとも言われているんですね。

湖面に現れる謎の波紋や物体は写真にも何度か収められていますが、その正体は今もって不明のままです。

姿・見た目

クッシーの姿については、実ははっきりとした記録がないんです。

というのも、目撃者の多くは遠くから一瞬だけその姿を見たため、詳細な特徴を捉えることができなかったからなんですね。

目撃証言から推測される特徴

様々な目撃報告を総合すると、クッシーにはこんな特徴があると考えられています。

  • 全長:10~20メートル程度(目撃情報により幅がある)
  • :黒っぽい、または焦げ茶色
  • 質感:ぬめぬめと光っている、湿った感じ
  • 形状:コブのような盛り上がりが2つ見えることがある
  • 頭部:馬の頭より大きく、銀色に光る目を持つという証言も

1990年の目撃者は「ぬめっとした馬の首のような物体」と表現し、1988年の目撃者は「イルカのような黒ずんだ背中」だったと証言しています。

ただし、これらは断片的な情報であり、全体像を正確に把握できる資料はほとんどありません。

特徴

クッシーには、いくつかの行動上の特徴があるんです。

移動速度と動き

目撃談によると、クッシーは非常に速く湖面を移動します。

  • モーターボート程度のスピードで泳ぐ
  • 水面を「水すましのように」走るような動きをする
  • 移動時に大きな波を立てる

1974年の目撃では、2つの黒い物体が移動した後、「丸太を10本ほど湖に投げ込んだような」ものすごい水音と大波を立てて沈んでいったそうです。

音による存在の示唆

土産物店の店員は、夜中に湖の方から「ダッポン、ダッポン」という大きな足音のような音を聞いたと証言しています。

また、湖にイカ、イモ、野菜を仕掛けたところ、イカだけが歯で食いちぎられた状態で見つかったという不思議な出来事もありました。湖にはトゲウオくらいしか魚がいないはずなのに、誰が(何が)食べたのでしょうか?

生息環境の謎

実は、屈斜路湖は大型生物が生息するには不向きな環境だと言われています。

理由はこうです。

  1. 1938年の屈斜路地震で湖底から硫黄が噴出
  2. 湖の水質が極端な酸性(pH4~5前後)になった
  3. ほとんどの魚類が死滅してしまった

現在ではニジマスが放流されて魚影を見ることもできるようになりましたが、大型生物が生きていくには餌が不足していると考えられているんです。それでも目撃談が後を絶たないところが、クッシーの謎を深めています。

伝承

クッシーの物語は、1973年から始まったわけではありません。実は、この土地にはもっと古い伝承があるんです。

アイヌの伝説

北海道の先住民族であるアイヌの人々の間には、古くから屈斜路湖に住む巨大な生き物の伝説が語り継がれてきました。

巨大なヘビの伝説

「湖に住む大蛇が鹿を丸呑みにした」という話が伝えられています。

また、巨大なアメマスやイトウ(オビラメ)の伝承もあり、これらがクッシーと関連があるのではないかと指摘されているんですね。

開拓民に伝えられた禁忌

明治時代、本州からこの地へやってきた開拓民たちは、現地のアイヌの人々から不思議な警告を受けました。

「湖の主を見ても誰にも話してはならない。話すと災いが起こる」

そのため、開拓民たちは屈斜路湖で「主」を目撃しても、見て見ぬふりをしてきたとされています。地震が起こるたびに「湖の主の祟りだ」と恐れたという話も残っているんです。

この禁忌のせいで、湖の怪物の存在は長い間、外部にあまり広まらなかったと考えられています。

御神渡り(おみわたり)現象

冬になると、屈斜路湖では不思議な現象が起こります。

凍った湖面が割れて、まるでヘビが這ったような筋ができるんです。これを地元では「御神渡り」と呼んでいます。

御神渡りのメカニズム

湖面にできた氷が気温の変化で収縮と膨張を繰り返すと、湖面に氷の山ができあがります。それが一見するとヘビのような形になって湖面を縦断するんですね。

屈斜路湖では、砂湯から10キロメートルに及ぶ長い御神渡りが観測されたこともあります。

地元では「これはクッシーが氷の下を移動した跡だ」と言われることもあるんです。同じような現象は長野県の諏訪湖でも観察されており、そこでは「神が通った跡」と説明されています。

アイヌの湖のヘビの伝説も、この御神渡り現象から連想されたのではないかという見方もあるんですね。

起源

クッシーという名前と概念は、どこから来たのでしょうか?

ネッシーとの関連

「クッシー」という名前は、明らかにネス湖の怪物「ネッシー」を意識して付けられました。

屈斜路湖の「クッシャロ」と、ネス湖の「ネス」の語尾を合わせて「~シー」としたんですね。日本人らしい愛称の付け方だと言えます。

興味深いことに、屈斜路湖はネス湖と環境や気候が似ているとされています。どちらも冷涼な気候の地域にある大きな湖で、ネッシーが棲むとされるネス湖の話が日本に伝わったとき、「もしかしたら屈斜路湖にも同じような生物がいるのでは?」と考える人が出てきたのは自然な流れだったのかもしれません。

全国的に知られるきっかけ

クッシーが全国的に知られるようになったのは、1973年8月のことでした。

藻琴山への遠足中だった約40人の中学生が、湖に現れた巨大な怪物の姿を目撃したんです。これだけ多くの人が同時に目撃したことで、単なる見間違いとは片付けられず、大きなニュースとなって全国に報道されました。

実は、それ以前にも目撃情報はありました。

  • 1972年11月:湖畔の国道を車で走行中、ボートを逆さにしたような物体を目撃

しかし、中学生40人という大人数の目撃によって、クッシーの存在が一気に注目を集めたんですね。

その後の主な目撃情報

クッシーの目撃は1973年以降も続きました。

  • 1974年7月:一家が2つの黒い物体を目撃、大音響とともに沈む
  • 1974年9月:三角形のコブ2つを約15人が目撃(全長10~15メートル)
  • 1975年7月:銀色の目を光らせた焦げ茶色の巨大な顔を目撃
  • 1979年8月:水面を走る物体を撮影
  • 1988年:レストラン経営者がモーターボートで15メートルまで接近
  • 1990年:美幌峠から馬の首のような物体を撮影
  • 1997年6月:消防署員が全長20メートルの怪獣を目撃

これ以降、目撃証言はぴたりと止まっています。

正体についての諸説

クッシーの正体については、いくつかの説があります。

  1. 首長竜生き残り説:太古の恐竜が現代まで生き延びている
  2. イトウ説:日本最大の淡水魚イトウの巨大個体
  3. アメマス説:大型のアメマス(サケ科の魚)

しかし、前述の通り、屈斜路湖の酸性化した水質では大型生物が生息するのは難しいとされ、否定的な意見も多いんです。

屈斜路湖の名前の由来

ちなみに、屈斜路湖の「クッシャロ」という名前は、アイヌ語の「クチャロ」(湖が川になって流れ出る場所)に由来しています。湖と川のつながりを表現した、地形をよく表す名前なんですね。

まとめ

クッシーは、北海道屈斜路湖に棲むとされる日本を代表する未確認生物です。

重要なポイント

  • 1973年に中学生40人が同時目撃し、全国的に知られるようになった
  • ネス湖のネッシーに倣って名付けられた愛称
  • 全長10~20メートル、黒っぽい色、ぬめぬめとした質感という特徴
  • 1997年を最後に目撃情報が途絶えている
  • アイヌの伝説には巨大なヘビやアメマスの話が残る
  • 開拓民には「見ても話すな」という禁忌が伝えられていた
  • 冬の御神渡り現象がクッシーの仕業だという言い伝えも
  • 湖の酸性化により大型生物の生息は困難とされる

クッシーの正体は今も謎のままです。科学的には生息が困難とされる環境でありながら、多くの目撃談が残されている不思議な存在。もしかしたら、アイヌの人々が語り継いできた「湖の主」は、今も静かに湖底で眠っているのかもしれませんね。

美しい屈斜路湖を訪れる機会があれば、湖面をじっと見つめてみてください。もしかしたら、あなたも幸運な目撃者の一人になれるかもしれません。

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