「Thunderbirdを最新版にアップデートしたいけど、メールデータは消えないかな?」
「再インストールしたいけど、設定をやり直すのは面倒…」
Thunderbirdを使っていて、こんな不安を感じたことはありませんか?
実は、Thunderbirdは上書きインストールという方法で、メールデータや設定を残したまま、簡単にバージョンアップや再インストールができます。
この記事では、上書きインストールの基本から、安全な手順、注意点まで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
上書きインストールとは?普通のインストールと何が違う?

上書きインストールの基本概念
「上書きインストール」とは、既存のソフトの上に新しいバージョンをそのままインストールする方法のことです。
通常のインストールとの違いを簡単に説明すると、こんな感じです。
通常のインストール(クリーンインストール)
- 古いバージョンを完全にアンインストール
- 設定やデータもすべて削除
- 新しいバージョンを一から設定
上書きインストール
- 古いバージョンはそのまま
- 新しいバージョンを上から入れる
- 設定やデータは自動的に引き継がれる
つまり、上書きインストールなら、面倒な設定をやり直す必要がないというわけです。
Thunderbirdのデータが消えない理由
「でも本当にデータは残るの?」と心配になりますよね。
実は、Thunderbirdには重要な仕組みがあります。
プログラム本体とデータは別々の場所に保存されている
- プログラム本体:
C:\Program Files\Mozilla Thunderbird - プロファイル(データ):
C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Roaming\Thunderbird
プロファイルには以下のデータが含まれています。
- すべてのメールデータ
- アカウント設定
- アドレス帳
- フィルター設定
- パスワード情報
- アドオン設定
上書きインストールでは、プログラム本体だけが新しくなり、プロファイル(データ)はそのまま残ります。
だから、メールや設定が消えることはないのです。
上書きインストールが必要になる3つのケース
どんな時に上書きインストールをするべきなのでしょうか?
ケース1:バージョンアップしたい時
Thunderbirdに新しいバージョンがリリースされた時、上書きインストールで簡単に最新版にできます。
こんな時におすすめ
- セキュリティアップデートが出た
- 新機能を使いたい
- バグ修正版が出た
ケース2:動作が不安定になった時
Thunderbirdの調子が悪くなった時、上書きインストールで改善することがあります。
改善できる症状
- 起動が遅い、フリーズする
- メール送受信がうまくいかない
- 設定をいじりすぎて「なんか変になった」
ケース3:32bit版から64bit版に変更したい時
パソコンが64bitなのに32bit版のThunderbirdを使っている場合、64bit版に変更することでパフォーマンスが向上します。
ただし、この場合は少し特殊な手順が必要です。
【基本編】通常の上書きインストール手順
それでは、実際の上書きインストール手順を見ていきましょう。
手順1:現在のバージョンを確認する
まず、今使っているバージョンを確認しましょう。
- Thunderbirdを起動
- 画面右上の「三本線」メニューをクリック
- 「ヘルプ」を選択
- 「Thunderbirdについて」をクリック
ここで現在のバージョンが確認できます。
手順2:最新版をダウンロードする
公式サイトから最新版のインストーラーをダウンロードします。
公式ダウンロードページ
https://www.thunderbird.net/ja/
「無料ダウンロード」ボタンをクリックすると、お使いのOSに合ったバージョンが自動的にダウンロードされます。
手順3:Thunderbirdを終了する
重要:インストール前に必ずThunderbirdを終了してください。
起動したままインストールすると、エラーが発生する可能性があります。
- Thunderbirdのウィンドウを閉じる
- タスクバーのタスクトレイにアイコンがないか確認
- もし残っていたら、右クリックして「終了」
手順4:インストーラーを実行する
ダウンロードしたインストーラー(.exeファイル)をダブルクリックします。
- 「次へ」をクリック
- 「標準インストール」を選択(推奨)
- 「次へ」をクリック
- 「インストール」をクリック
- インストール完了まで待つ
- 「完了」をクリック
手順5:Thunderbirdを起動して確認する
インストールが完了したら、Thunderbirdを起動しましょう。
確認ポイント
- メールがすべて残っているか
- 受信トレイ、送信済みアイテムを確認
- アカウント設定が残っているか
- アドレス帳が残っているか
- メール送受信が正常にできるか
すべて問題なければ、上書きインストール成功です!
【応用編】バージョンを戻す(ダウングレード)方法

「最新版にしたら使いにくくなった…」
「アドオンが動かなくなった…」
こんな時は、以前のバージョンに戻すことも可能です。ただし、通常の上書きよりも少し手順が複雑です。
ダウングレード時の重要な注意点
プロファイルの互換性問題
新しいバージョンで作られたプロファイルは、古いバージョンでは開けないことがあります。
特に、大きなバージョンアップ(例:102→115)をした後に戻す場合は要注意です。
ダウングレードの手順
準備:必ずバックアップを取る
- Thunderbirdを起動
- 「ヘルプ」→「トラブルシューティング情報」
- 「プロファイルフォルダー」の「フォルダーを開く」をクリック
- 開いたフォルダの中身を全部デスクトップなどにコピー
手順1:旧バージョンをダウンロード
公式のアーカイブから、戻したいバージョンをダウンロードします。
例:バージョン91.12.0に戻したい場合
- 「91.12.0」フォルダをクリック
- 「win32」または「win64」をクリック(お使いのWindowsに合わせて)
- 「ja」をクリック(日本語版)
- 「Thunderbird Setup ~.exe」をクリックしてダウンロード
手順2:現在のバージョンをアンインストール(任意)
最近のバージョンでは、アンインストールせずに上書きできることもあります。
まずは上書きを試して、うまくいかない場合のみアンインストールしてください。
- Windowsの「設定」を開く
- 「アプリ」→「インストールされているアプリ」
- 「Mozilla Thunderbird」を見つけて「アンインストール」
手順3:旧バージョンをインストール
ダウンロードしたインストーラーを実行します。
重要:インストール完了画面で「今すぐThunderbirdを起動」のチェックを外してください。
このまま起動すると、エラーが出ます。
手順4:特別なコマンドで起動
Windowsの「ファイル名を指定して実行」を開きます(Windowsキー + R)。
以下のコマンドを入力してEnterキーを押します。
"C:\Program Files\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -p --allow-downgrade
(64bit版の場合)
または
"C:\Program Files (x86)\Mozilla Thunderbird\thunderbird.exe" -p --allow-downgrade
(32bit版の場合)
プロファイルマネージャーが起動するので、既存のプロファイルを選択して「起動」します。
手順5:自動更新を無効化
ダウングレード後、すぐに最新版に自動更新されないよう設定を変更します。
- 「設定」を開く
- 「一般」タブを選択
- 「Thunderbirdの更新動作」で「更新を確認するが、インストールするかどうかを選択する」を選ぶ
上書きインストール前にやっておくべき3つのこと
安全に上書きインストールするために、事前準備をしておきましょう。
1. プロファイルのバックアップを取る
万が一に備えて、必ずバックアップを取っておきましょう。
バックアップ手順
- Thunderbirdを起動
- 「ヘルプ」→「トラブルシューティング情報」
- 「プロファイルフォルダー」の「フォルダーを開く」
- 一つ上のフォルダ(Profiles)に移動
- 「〇〇.default」フォルダを丸ごとコピー
- 外付けHDDやUSBメモリ、別のドライブに保存
2. アドオンの互換性を確認する
使っているアドオン(拡張機能)が新しいバージョンに対応しているか、事前に確認しましょう。
確認方法
- 使っているアドオンの名前をメモ
- Thunderbirdアドオン公式サイトで検索
- 対応バージョンを確認
もし非対応なら、代替アドオンを探すか、ダウングレードを検討しましょう。
3. メールアカウントのパスワードを確認
万が一の再設定に備えて、メールアカウントのパスワードを確認しておきましょう。
特に、Gmailなどで2段階認証を使っている場合は、「アプリパスワード」が必要になることがあります。
よくあるトラブルと解決方法
トラブル1:インストールが「既にインストールされています」で止まる
原因
Thunderbirdが完全に終了していない可能性があります。
解決方法
- タスクマネージャーを開く(Ctrl + Shift + Esc)
- 「プロセス」タブで「thunderbird.exe」を探す
- 見つかったら右クリック→「タスクの終了」
- 再度インストーラーを実行
トラブル2:上書きインストール後、メールが表示されない
原因
プロファイルの読み込みに失敗している可能性があります。
解決方法
- Thunderbirdを終了
- プロファイルマネージャーを起動
- Windowsキー + R
thunderbird.exe -pと入力してEnter
- 正しいプロファイルを選択して起動
トラブル3:アドオンが動かなくなった
原因
新しいバージョンに対応していないアドオンです。
解決方法
- アドオンの最新版がないか確認
- 代替アドオンを探す
- どうしても必要なら、旧バージョンにダウングレード
トラブル4:「古いバージョンを実行しています」エラー
原因
ダウングレード時にプロファイルの互換性問題が発生しています。
解決方法
特別なコマンドで起動してください(前述の「ダウングレード方法」参照)。
thunderbird.exe -p --allow-downgrade
自動更新と手動更新の違い
自動更新のメリット・デメリット
メリット
- 常に最新版を使える
- セキュリティアップデートが自動適用される
- 手間がかからない
デメリット
- アドオンが突然使えなくなることがある
- デザインや操作方法が変わって戸惑う
- 更新のタイミングを選べない
手動更新に切り替える方法
自分のタイミングで更新したい場合は、手動更新に設定できます。
- Thunderbirdを起動
- 「設定」を開く
- 「一般」タブを選択
- 「Thunderbirdの更新動作」を探す
- 「更新を確認するが、インストールするかどうかを選択する」を選ぶ
これで、更新通知は来るけど、自分で「更新する」ボタンを押さない限りバージョンアップされなくなります。
32bit版と64bit版の違いと切り替え方法
どちらを使うべき?
64bit版を使うべき人
- パソコンのOSが64bit
- メモリ(RAM)が4GB以上
- 大量のメールを保存している
- 複数のアカウントを管理している
32bit版でもOKな人
- パソコンのOSが32bit
- メモリが少ない古いパソコン
自分のパソコンが64bitか確認する方法
Windows 11/10の場合
- 「設定」を開く
- 「システム」→「バージョン情報」
- 「システムの種類」を確認
- 「64ビット オペレーティング システム」なら64bit対応
32bit版から64bit版に切り替える手順
基本的には通常の上書きインストールと同じです。
- 公式サイトから64bit版をダウンロード
- 現在のThunderbirdを終了
- ダウンロードしたインストーラーを実行
- 「標準インストール」で進める
- 完了後、起動して確認
データはそのまま引き継がれます。
まとめ
Thunderbirdの上書きインストールについて、詳しく解説してきました。
この記事のポイント
- 上書きインストールは、データを残したまま新バージョンにできる便利な方法
- プログラムとデータは別の場所に保存されているから安全
- 基本的には公式サイトからダウンロードして実行するだけ
- ダウングレードする場合は特別な手順が必要
- 必ずバックアップを取ってから作業する
- アドオンの互換性を事前確認することが重要
- 自動更新と手動更新は設定で切り替えられる
上書きインストールをおすすめする人
- 最新版にアップデートしたい
- 動作が不安定で再インストールしたい
- 32bit版から64bit版に変更したい
- 設定やメールデータは絶対に残したい
念のためクリーンインストールした方がいい人
- 完全に初期状態に戻したい
- プロファイルが破損している可能性がある
- 複数のプロファイルを整理したい
上書きインストールは、正しい手順で行えば非常に簡単で安全です。
ただし、大切なメールデータを扱うソフトなので、必ずバックアップを取ることだけは忘れないでくださいね。
万が一トラブルが起きても、バックアップさえあれば完全に復元できますから!


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