会社で複数の人と情報を共有したい時、どうしていますか?
一人ひとりにメールを転送したり、共有ドライブにファイルを置いたり…もっと便利な方法があるんです。
それが「パブリックフォルダ」という機能です。
Outlookのパブリックフォルダを使えば、チーム全体でメールや予定表、ファイルを共有して、みんなで管理できるようになります。
この記事では、Outlookのパブリックフォルダについて、その特徴から具体的な使い方まで初心者の方にも分かりやすくご紹介します。
概要

Outlookの「パブリックフォルダ」とは、組織内の複数のユーザーが共同で使える共有フォルダのことです。
Microsoft Exchange ServerやMicrosoft 365を使っている会社で利用できる機能なんです。
パブリックフォルダって何ができるの?
パブリックフォルダでは、様々な情報を組織内で共有できます。
パブリックフォルダで共有できるもの
- メール(問い合わせ対応の履歴など)
- カレンダー(会議室の予約、イベント情報)
- 連絡先(取引先リスト、顧客情報)
- タスク(プロジェクトのタスク管理)
- ファイルや文書
つまり、Outlookで管理できるほとんどの情報を、チーム全体で共有できるということです。
個人フォルダとの違い
普通のメールフォルダとパブリックフォルダは、何が違うのでしょうか?
個人フォルダ(通常のフォルダ)
- 自分だけが見られる
- 個人のメールボックスに保存される
- 自分の容量を消費する
- 自分しか編集できない
パブリックフォルダ
- 権限があれば誰でも見られる
- サーバー上の共有領域に保存される
- 個人の容量は消費しない
- 複数の人が編集できる
簡単に言うと、個人フォルダは「自分の引き出し」、パブリックフォルダは「みんなの共有棚」という違いですね。
どんな時に使うの?
パブリックフォルダは、こんな場面で便利です。
活用シーンの例
- カスタマーサポート:問い合わせメールをチームで共有
- 会議室管理:会議室の予約状況をカレンダーで共有
- プロジェクト管理:チーム全体のタスクを一元管理
- 部署の連絡先:取引先情報を部署で共有
- ドキュメント保管:規定や手順書をチームで共有
- 営業情報:顧客対応履歴を営業チームで共有
特に、複数の人が同じ情報にアクセスして作業する必要がある場合に、とても便利なんです。
共有メールボックスとの違い
「共有メールボックス」という似た機能もあります。どう違うのでしょうか?
共有メールボックス
- メールの送受信に特化
- メールアドレスを持つ(例:support@company.com)
- 外部からメールを受信できる
- 比較的シンプルな構造
パブリックフォルダ
- メール以外にもカレンダーや連絡先も共有可能
- メールアドレスを持つこともできる
- より柔軟な階層構造を作れる
- 権限管理が細かくできる
用途に応じて使い分けるのが理想的です。
パブリックフォルダが使えない場合
パブリックフォルダは、すべての環境で使えるわけではありません。
使えない環境
- 個人用のOutlook.comアカウント
- Exchange Serverがない環境
- 管理者がパブリックフォルダを作成していない環境
会社でExchange ServerやMicrosoft 365を使っていても、管理者が設定していないと使えません。
アクセス方法
それでは、パブリックフォルダにアクセスする方法を見ていきましょう。
【基本】パブリックフォルダを表示する
Outlookでパブリックフォルダを表示する手順です。
表示手順(Outlook for Microsoft 365 / 2021 / 2019)
- Outlookを起動
- 「フォルダー」タブをクリック
- 「パブリックフォルダー」グループを探す
- 「お気に入りのパブリックフォルダーを表示」をクリック
または
- フォルダー一覧(左側)の下の方にスクロール
- 「パブリックフォルダー」という項目を探す
- クリックして展開
パブリックフォルダーが表示されない場合は、管理者が設定していないか、アクセス権がない可能性があります。
お気に入りに追加する
よく使うパブリックフォルダは、お気に入りに登録すると便利です。
お気に入り追加手順
- パブリックフォルダー一覧を表示
- お気に入りに追加したいフォルダーを右クリック
- 「お気に入りに追加」を選択
- フォルダー一覧の上部にショートカットが表示される
これで、毎回探さなくてもすぐにアクセスできます。
パブリックフォルダを探す
大きな組織では、たくさんのパブリックフォルダがある場合があります。
検索方法
- 「フォルダー」タブをクリック
- 「すべてのパブリックフォルダーを表示」をクリック
- フォルダー階層が表示される
- 目的のフォルダーを探す
フォルダーは階層構造になっていることが多いので、上から順に展開していきましょう。
Outlook Web App(OWA)でアクセスする
ブラウザ版のOutlookでもパブリックフォルダにアクセスできます。
OWAでのアクセス手順
- ブラウザでOutlook Web Appにアクセス
- 左下のフォルダーアイコンをクリック
- 「その他」→「パブリックフォルダー」を選択
- パブリックフォルダー一覧が表示される
外出先からでもアクセスできるので便利です。
モバイルアプリでの制限
スマートフォンのOutlookアプリでは、パブリックフォルダへのアクセスが制限されている場合があります。
モバイルでの注意点
- iOS版Outlookでは一部機能が制限される
- Android版Outlookでも同様
- 閲覧は可能だが編集が制限されることがある
完全な機能を使いたい場合は、パソコン版のOutlookを使いましょう。
使い方
パブリックフォルダの具体的な使い方をご紹介します。
メールをパブリックフォルダに保存する
受信したメールをチーム全体で共有したい時の方法です。
メール保存の手順
- 共有したいメールを選択
- ドラッグしてパブリックフォルダにドロップ
- または、右クリック→「移動」→パブリックフォルダを選択
これで、他のメンバーもそのメールを見られるようになります。
パブリックフォルダから返信する
パブリックフォルダ内のメールに返信できます。
返信の手順
- パブリックフォルダを開く
- 返信したいメールを選択
- 「返信」または「全員に返信」をクリック
- メールを作成して送信
返信したメールも、パブリックフォルダに保存されるので、対応履歴が残ります。
パブリックフォルダで新規メールを作成する
パブリックフォルダから新しいメールを送信できます。
新規メール作成手順
- パブリックフォルダを選択
- 「ホーム」タブの「新しいメール」をクリック
- または「Ctrl + N」を押す
- メールを作成して送信
送信したメールは、パブリックフォルダの「送信済みアイテム」に保存されます。
カレンダーを共有する
会議室の予約など、カレンダーも共有できます。
カレンダー共有の使い方
- パブリックフォルダのカレンダーを開く
- 「ホーム」タブの「新しい予定」をクリック
- 予定の詳細を入力
- 「保存して閉じる」をクリック
他のメンバーがこのカレンダーを見ると、追加した予定が表示されます。
連絡先を共有する
取引先情報など、連絡先もチームで共有できます。
連絡先共有の手順
- パブリックフォルダの連絡先フォルダーを開く
- 「新しい連絡先」をクリック
- 情報を入力
- 「保存して閉じる」
これで、チーム全体で同じ連絡先リストを使えます。
ファイルを共有する
文書やファイルも、パブリックフォルダで共有できます。
ファイル共有の方法
- パブリックフォルダで「新しいアイテム」を作成
- 「投稿」形式でファイルを添付
- または、ファイルをドラッグ&ドロップ
ただし、大量のファイル共有には、SharePointやOneDriveの方が適している場合もあります。
検索機能を使う
パブリックフォルダ内のメールや情報を検索できます。
検索の手順
- パブリックフォルダを選択
- 画面上部の検索ボックスに検索語を入力
- Enterキーを押す
- 検索結果が表示される
検索範囲を「現在のフォルダー」または「すべてのパブリックフォルダー」から選べます。
権限と管理
パブリックフォルダには、細かい権限設定があります。
アクセス権の種類
パブリックフォルダには、様々な権限レベルがあります。
主な権限の種類
- 所有者:すべての操作が可能(作成、編集、削除、権限変更)
- 発行編集者:すべてのアイテムを作成・編集・削除できる
- 編集者:すべてのアイテムを編集・削除できるが、作成はできない
- 投稿者:アイテムを作成できるが、編集・削除は自分が作成したもののみ
- 投稿者(閲覧権あり):閲覧と投稿が可能
- レビュー担当者:閲覧のみ可能
- カスタム:個別に権限を設定
管理者が各ユーザーに適切な権限を割り当てます。
自分の権限を確認する
自分がどんな権限を持っているか確認できます。
権限確認の方法
- パブリックフォルダを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「アクセス許可」タブを開く
- 自分の名前を探して権限を確認
権限によって、できる操作が制限されます。
誰がアクセスできるか確認する
パブリックフォルダに誰がアクセスできるか確認できます(所有者権限がある場合)。
アクセス権の確認手順
- パブリックフォルダを右クリック
- 「プロパティ」→「アクセス許可」タブ
- ユーザーの一覧と権限レベルが表示される
これで、誰がどの権限でアクセスできるかが分かります。
サイズと容量の確認
パブリックフォルダの使用容量を確認できます。
容量確認の方法
- パブリックフォルダを右クリック
- 「プロパティ」→「全般」タブ
- フォルダーサイズが表示される
容量制限がある場合もあるので、定期的に古いデータを整理しましょう。
よくある問題と解決方法
パブリックフォルダを使う時によくある問題と、その解決方法をご紹介します。
パブリックフォルダが表示されない
パブリックフォルダ自体が見えない場合の対処法です。
考えられる原因と解決方法
- 管理者が作成していない:IT部門に問い合わせる
- アクセス権がない:管理者に権限付与を依頼
- Outlookの設定がオフ:「フォルダー」タブから表示設定を確認
- 接続の問題:Outlookを再起動してみる
会社でExchange Serverを使っていても、パブリックフォルダが設定されていない場合もあります。
メールが送信できない
パブリックフォルダからメールを送ろうとしてエラーが出る場合です。
解決方法
- パブリックフォルダにメールアドレスが設定されているか確認
- 送信権限があるか確認
- 管理者に問い合わせる
パブリックフォルダでメール送信機能を使うには、特別な設定が必要です。
アイテムが削除できない
メールや予定を削除しようとしてもできない場合です。
原因と対処法
- 削除権限がない→管理者に権限変更を依頼
- 他の人が作成したアイテムは削除できない→編集者以上の権限が必要
- フォルダー自体を削除しようとしている→所有者権限が必要
自分が作成したアイテムなら、「投稿者」権限でも削除できます。
同期が遅い、更新されない
パブリックフォルダの内容が更新されない場合です。
解決方法
- 「送受信」ボタンをクリックして手動同期
- Outlookを再起動
- フォルダーを一度閉じて開き直す
- キャッシュモードの設定を確認
大きなパブリックフォルダは、同期に時間がかかることがあります。
検索結果に出てこない
パブリックフォルダ内を検索しても目的のアイテムが見つからない場合です。
解決方法
- 検索範囲が「現在のフォルダー」になっていないか確認
- 「すべてのパブリックフォルダー」で検索してみる
- インデックスが作成されていない可能性→時間をおいて再度検索
- より具体的なキーワードで検索
パブリックフォルダのインデックス作成には時間がかかることがあります。
容量がいっぱいになった
パブリックフォルダの容量制限に達した場合です。
対処方法
- 古いメールやアイテムを削除
- 不要な添付ファイルを削除
- アイテムをアーカイブ
- 管理者に容量拡張を依頼
定期的に整理することが大切です。
まとめ
Outlookのパブリックフォルダは、組織内での情報共有を効率化する強力な機能です。
重要なポイント
- パブリックフォルダは組織内で共有できる特別なフォルダ
- メール、カレンダー、連絡先など様々な情報を共有可能
- Exchange ServerやMicrosoft 365環境で利用できる
- 「フォルダー」タブから表示・アクセスできる
- 権限レベルによってできる操作が異なる
- 複数の人が同時に同じ情報にアクセスできる
- チームでの作業効率が大幅に向上する
活用のポイント
- よく使うフォルダはお気に入りに追加
- 適切な権限設定で情報を保護
- 定期的に不要なアイテムを整理
- チーム内でルールを決めて運用
- 重要な情報は別途バックアップ
パブリックフォルダを上手に使えば、チーム全体での情報共有がスムーズになり、メールの転送や「誰が最新の情報を持っているか分からない」という問題が解消されます。
会社でパブリックフォルダが使える環境なら、ぜひ活用してみてください。
設定や使い方で分からないことがあれば、会社のIT部門やシステム管理者に相談してみましょう!

コメント