Outlookを起動するたび、あるいは使っている最中に、何度もパスワードの入力を求められる。正しいパスワードを入れているのに、また同じ画面が表示される…。
このトラブル、本当にストレスですよね。メールを確認したいだけなのに、毎回ログイン画面と戦わなければならない。
実は、Outlookがパスワードを繰り返し求める原因は、認証情報の保存に問題があったり、アカウント設定が間違っていたり、あるいはサーバーとの通信に問題があったりと、いくつかのパターンがあるんです。
この記事では、Outlookがパスワードを繰り返し求める原因と、確実に解決できる方法を分かりやすく解説していきます。
パスワードが求められる症状パターン

トラブルの症状は人によって異なります。あなたの症状はどれでしょうか?
症状1:起動のたびにパスワードを求められる
Outlookを起動するたびに、毎回パスワード入力画面が表示される。
症状2:使用中に突然パスワード画面が出る
Outlookを使っている最中、メール送受信時などに突然パスワード入力を求められる。
症状3:正しいパスワードを入れても何度も聞かれる
正しいパスワードを入力して「OK」を押しても、すぐにまた同じ画面が表示される。何度繰り返しても解決しない。
症状4:特定のアカウントだけパスワードを求められる
複数のメールアカウントを使っているが、特定のアカウントだけ繰り返しパスワードを聞かれる。
症状5:パスワードエラーと表示される
「パスワードが正しくありません」というエラーメッセージが表示されるが、パスワードは確実に正しい。
パスワードが繰り返し求められる主な原因8つ
考えられる原因を一つずつ見ていきましょう。
原因1:資格情報の保存に失敗している
Windowsには「資格情報マネージャー」という、パスワードを保存する仕組みがあります。
この資格情報が破損していたり、正しく保存されていないと、Outlookは毎回パスワードを要求するようになるんです。
原因2:「パスワードを記憶する」がオフになっている
Outlookのアカウント設定で、「パスワードを記憶する」のチェックが外れていると、当然ながら毎回パスワードを求められます。
意図せず設定が変わってしまうこともあります。
原因3:アカウント設定やサーバー情報が間違っている
メールサーバーの設定(受信サーバー、送信サーバーのアドレスやポート番号)が間違っていると、認証に失敗し続けます。
特にメールプロバイダーがサーバー設定を変更した場合に起こりやすいです。
原因4:Modern認証が無効になっている
Microsoft 365やExchange Onlineでは、「Modern認証」という新しい認証方式を使います。
これが無効になっていると、パスワードの保存がうまくいかず、繰り返し入力を求められることがあります。
原因5:2段階認証の設定問題
Microsoftアカウントやメールサービスで2段階認証を有効にしている場合、通常のパスワードではなく「アプリパスワード」が必要になることがあります。
通常のパスワードを入れても、何度も弾かれてしまいます。
原因6:アカウントがロックまたは凍結されている
メールアカウント自体に問題がある場合もあります。
- パスワードを何度も間違えてロックされた
- セキュリティ上の理由でアカウントが一時停止された
- アカウントの有効期限が切れた
- パスワードの定期変更が必要な期限が来た
原因7:Outlookのプロファイル破損
Outlookのプロファイル(設定ファイル)が破損していると、認証情報が正しく読み込めなくなります。
原因8:ネットワークやファイアウォールの問題
企業ネットワークやファイアウォール、プロキシサーバーの設定によって、認証サーバーへの接続が妨げられることがあります。
解決方法1:保存された資格情報を削除して再登録する
最も効果的な方法がこれです。Windows資格情報マネージャーに保存された古い情報を削除します。
Windows資格情報マネージャーを開く
手順1:資格情報マネージャーにアクセス
- Windowsキー + R を押す
- 「control /name Microsoft.CredentialManager」と入力してEnter
- または、コントロールパネル→「資格情報マネージャー」を選択
手順2:Windows資格情報を選択
- 「Windows資格情報」タブをクリック
- 保存された資格情報の一覧が表示される
Outlook関連の資格情報を削除
手順3:該当する項目を探す
以下のような名前の項目を探します:
- outlook.office365.com
- outlook.com
- MicrosoftOffice16_Data:SSPI:***@outlook.com
- あなたのメールアドレスを含む項目
手順4:削除
- 該当する項目をクリックして展開
- 「削除」をクリック
- 確認メッセージで「はい」をクリック
※関連するすべての項目を削除してください。
Outlookを再起動して再登録
手順5:Outlookで再設定
- すべての資格情報を削除したら、Outlookを起動
- パスワード入力画面が表示される
- 正しいパスワードを入力
- 「パスワードを記憶する」にチェック
- 「OK」をクリック
これで、新しい資格情報が正しく保存されるはずです。
解決方法2:「パスワードを記憶する」設定を確認
アカウント設定を確認しましょう。
アカウント設定の確認手順
ステップ1:アカウント設定を開く
- Outlookを起動
- 「ファイル」タブをクリック
- 「アカウント設定」→「アカウント設定」を選択
ステップ2:アカウントを確認
- 「電子メール」タブを選択
- 問題のあるアカウントを選択
- 「変更」ボタンをクリック
ステップ3:パスワード設定を確認
- アカウント設定画面が開く
- パスワード入力欄を確認
- 「パスワードを保存する」にチェックが入っているか確認
- チェックが外れていたら、チェックを入れる
- 正しいパスワードを再入力
- 「次へ」→「完了」をクリック
解決方法3:Modern認証を有効にする

Microsoft 365やExchange Onlineを使っている場合に有効です。
Modern認証の確認と有効化
手順1:レジストリエディタを開く
⚠️ 注意: レジストリの編集は慎重に行ってください。
- Windowsキー + R を押す
- 「regedit」と入力してEnter
- 「はい」をクリック
手順2:該当キーに移動
以下のパスに移動:
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office\16.0\Common\Identity
※「16.0」はOfficeのバージョンによって異なります(15.0、16.0など)
手順3:値を確認・作成
- 右側のペインを確認
- 「EnableADAL」という名前のDWORD値があるか確認
- ない場合は作成:
- 右クリック→「新規」→「DWORD(32ビット)値」
- 名前を「EnableADAL」にする
- ダブルクリックして値を「1」に設定
- 同様に「Version」という名前のDWORD値を確認
- ない場合は作成して値を「1」に設定
手順4:Outlookを再起動
レジストリエディタを閉じて、Outlookを再起動します。
より安全な方法:Office修復を使う
レジストリを触りたくない場合は、Office修復機能でModern認証を有効化できることもあります。
- コントロールパネル→「プログラムと機能」
- 「Microsoft Office」を右クリック→「変更」
- 「オンライン修復」を実行
解決方法4:アプリパスワードを使用する
2段階認証を使っている場合の対処法です。
アプリパスワードとは
2段階認証を有効にしているアカウントでは、通常のパスワードの代わりに「アプリパスワード」という特別なパスワードが必要になります。
アプリパスワードは、一度しか表示されない16桁程度のランダムな文字列です。
Microsoftアカウントでアプリパスワードを作成
手順1:Microsoftアカウントにアクセス
- ブラウザで account.microsoft.com にアクセス
- Microsoftアカウントでサインイン
手順2:セキュリティ設定を開く
- 「セキュリティ」タブをクリック
- 「セキュリティの詳細オプション」を選択
手順3:アプリパスワードを作成
- 「アプリパスワード」のセクションを探す
- 「新しいアプリパスワードの作成」をクリック
- 表示されたパスワードをコピー(一度しか表示されないので注意)
手順4:Outlookで使用
- Outlookのアカウント設定を開く
- パスワード欄に、通常のパスワードではなく、コピーしたアプリパスワードを入力
- 「パスワードを保存する」にチェック
- 設定を保存
Gmailの場合
Gmailアカウントを使っている場合:
- Googleアカウント設定→「セキュリティ」
- 「2段階認証プロセス」を開く
- 「アプリパスワード」を選択
- アプリ(メール)とデバイス(Windowsパソコン)を選択
- 生成されたパスワードをOutlookで使用
解決方法5:アカウントを削除して再作成する
設定がぐちゃぐちゃになっている場合は、一度削除して作り直すのが確実です。
アカウント削除の手順
⚠️ 注意: 削除前に重要なメールはバックアップしておきましょう。
ステップ1:アカウント設定を開く
- Outlookで「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」
- 「電子メール」タブを選択
ステップ2:アカウントを削除
- 問題のあるアカウントを選択
- 「削除」ボタンをクリック
- 確認メッセージで「はい」をクリック
ステップ3:Outlookを再起動
一度Outlookを完全に終了してから再起動します。
アカウントの再作成
ステップ4:新しいアカウントを追加
- 「ファイル」→「アカウントの追加」をクリック
- メールアドレスを入力
- 「詳細オプション」を展開
- 「自分で自分のアカウントを手動で設定」にチェック(必要に応じて)
- 「接続」をクリック
ステップ5:認証情報を入力
- パスワードを入力
- 「パスワードを記憶する」にチェック
- サーバー設定が自動検出される
- 設定が完了するまで待つ
解決方法6:サーバー設定を確認・修正する

手動でサーバー設定を確認する必要がある場合の手順です。
サーバー設定の確認手順
ステップ1:アカウント設定を開く
- 「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」
- 問題のアカウントを選択
- 「変更」をクリック
ステップ2:詳細設定を開く
- 「詳細設定」ボタンをクリック
- 「送信サーバー」タブを選択
ステップ3:送信サーバーの設定を確認
- 「送信サーバー(SMTP)は認証が必要」にチェック
- 「受信メールサーバーと同じ設定を使用する」を選択
- または「次のアカウントとパスワードでログオンする」を選択して入力
ステップ4:詳細設定タブ
- 「詳細設定」タブを選択
- 受信サーバー(IMAP/POP3)のポート番号を確認
- 送信サーバー(SMTP)のポート番号を確認
- 「このサーバーはセキュリティで保護された接続(SSL/TLS)が必要」にチェック
一般的な設定値:
Microsoft 365/Outlook.com:
- 受信(IMAP):outlook.office365.com、ポート993、SSL
- 送信(SMTP):smtp.office365.com、ポート587、TLS
Gmail:
- 受信(IMAP):imap.gmail.com、ポート993、SSL
- 送信(SMTP):smtp.gmail.com、ポート587、TLS
解決方法7:新しいOutlookプロファイルを作成する
プロファイル自体が破損している場合の最終手段です。
新しいプロファイル作成の手順
ステップ1:コントロールパネルを開く
- Windowsキー + R を押す
- 「control」と入力してEnter
ステップ2:Mail設定を開く
- 「Mail(Microsoft Outlook)」を探してクリック
- 見つからない場合は、検索ボックスで「mail」と検索
ステップ3:プロファイルの表示
- 「プロファイルの表示」ボタンをクリック
- 現在のプロファイル一覧が表示される
ステップ4:新しいプロファイルを作成
- 「追加」ボタンをクリック
- プロファイル名を入力(例:「新しいプロファイル」)
- 「OK」をクリック
ステップ5:アカウントを設定
- アカウント設定ウィザードが開く
- メールアドレスとパスワードを入力
- 「次へ」をクリックして設定を完了
ステップ6:既定のプロファイルに設定
- プロファイル一覧に戻る
- 「常に使用するプロファイル」を選択
- 新しく作成したプロファイルを選択
- 「OK」をクリック
次回Outlookを起動すると、新しいプロファイルが使用されます。
解決方法8:Office/Outlookの修復
アプリケーション自体に問題がある場合の対処法です。
クイック修復の手順
ステップ1:コントロールパネルを開く
- Windowsキー + R を押す
- 「control」と入力してEnter
ステップ2:プログラムと機能
- 「プログラムと機能」をクリック
- 「Microsoft Office」または「Microsoft 365」を探す
ステップ3:修復を実行
- 右クリックして「変更」を選択
- 「クイック修復」を選択
- 「修復」ボタンをクリック
- 完了後、パソコンを再起動
オンライン修復
クイック修復で解決しない場合:
- 同じ手順で「変更」を選択
- 「オンライン修復」を選択(インターネット接続が必要)
- 「修復」ボタンをクリック
- 完了まで待つ(時間がかかります)
特定の状況での対処法
よくある特定の状況への対処法です。
会社のネットワークで起こる場合
企業ネットワークやVPN使用時に起こりやすい問題です。
対処法:
- IT管理者に相談
- プロキシ設定の確認
- ファイアウォール例外設定の追加
- VPNの再接続
パスワードを変更した直後
メールサービスでパスワードを変更した場合:
対処法:
- Windows資格情報マネージャーで古いパスワードを削除
- Outlookのアカウント設定で新しいパスワードを入力
- 「パスワードを記憶する」にチェック
複数のデバイスで同じアカウントを使用
パソコンとスマートフォンなど、複数デバイスで使っている場合:
対処法:
- すべてのデバイスで正しいパスワードを使用
- アプリパスワードが必要な場合は各デバイスで設定
- デバイスごとに異なるアプリパスワードを生成
よくあるエラーメッセージと対処法
具体的なエラーメッセージ別の対処法です。
エラー1:「ユーザー名とパスワードを入力してください」
原因:
資格情報が保存されていない、または破損している。
対処法:
- Windows資格情報マネージャーで該当項目を削除
- Outlookで再度パスワードを入力
- 「パスワードを記憶する」にチェック
エラー2:「サーバーに接続できません」
原因:
サーバー設定が間違っている、またはネットワークの問題。
対処法:
- サーバー名とポート番号を確認
- インターネット接続を確認
- ファイアウォール設定を確認
エラー3:「認証に失敗しました」
原因:
パスワードが間違っている、または認証方式の問題。
対処法:
- ブラウザでメールサービスにログインできるか確認
- 2段階認証が有効ならアプリパスワードを使用
- Modern認証を有効化
エラー4:「Exchangeサーバーとの接続が確立されませんでした」
原因:
Exchange Onlineとの接続に問題がある。
対処法:
- インターネット接続を確認
- Outlookを再起動
- プロキシ設定を確認
- IT管理者に相談
トラブル予防のためのベストプラクティス
今後パスワードトラブルを防ぐための対策です。
定期的なメンテナンス
月に1回程度:
- Outlookの更新プログラムを確認
- Windows Updateを実行
- パスワード変更後は必ず全デバイスで更新
パスワード管理のコツ
おすすめの方法:
- パスワードマネージャーを使用
- 1Password、LastPass、Bitwardenなど
- パスワードを安全に管理
- メモを残す
- いつパスワードを変更したか記録
- どのサービスで使っているか把握
- 2段階認証の設定を確認
- 有効にしている場合はアプリパスワードが必要
- バックアップコードを保存
やってはいけないこと
避けるべき行動:
- 何度もパスワードを間違えて入力(アカウントロックの原因)
- 複数の古いプロファイルを放置
- Windows資格情報を手当たり次第削除
- 正しく終了せずに強制終了
まとめ:資格情報の削除と再登録が最も効果的
Outlookがパスワードを繰り返し求める問題は、ほとんどの場合、保存された資格情報に問題があります。
この記事のポイント:
- Windows資格情報マネージャーで古い情報を削除
- 「パスワードを記憶する」にチェックを入れる
- Modern認証を有効にする(Microsoft 365の場合)
- 2段階認証ではアプリパスワードを使用
- サーバー設定が正しいか確認
- 解決しない場合はアカウントやプロファイルの再作成
- 最終手段はOffice/Outlookの修復
特に重要なのは、Windows資格情報マネージャーでの削除と再登録です。
この方法で、多くの場合は問題が解決します。それでも解決しない場合は、アカウント設定やサーバー設定を確認し、必要に応じてプロファイルの再作成やOffice修復を試してみましょう。
どうしても解決しない場合は、メールサービスのサポートやIT管理者に相談することをおすすめします。
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