重要なメールを一番上に固定しておきたい。そんなとき便利なのが「ピン留め」機能です。でも、いざ使おうと思ったら、ピン留めのボタンが見つからない、グレーアウトして押せない、あるいは押しても反応しない…。
実は、Outlookのピン留め機能は、バージョンや設定、使用環境によって利用できたりできなかったりするんです。
この記事では、Outlookでピン留めができない原因と、確実に使えるようにする方法を分かりやすく解説していきます。
Outlookの「ピン留め」機能とは?

まず、ピン留め機能について基本から説明しておきましょう。
ピン留め機能の種類
Outlookには、主に3種類のピン留め機能があります:
1. メールのピン留め
受信トレイの一番上に特定のメールを固定表示できる機能です。重要なメールや、後で対応が必要なメールを見失わないようにできます。
2. フォルダのピン留め
よく使うフォルダをフォルダー一覧の上部に固定できます。深い階層にあるフォルダへのアクセスが便利になります。
3. 連絡先のピン留め
よく連絡する人をピープルバーの上部に表示できます。
この記事では、特に需要の多い「メールのピン留め」を中心に解説していきます。
ピン留めができるとこんなに便利
メリット:
- 重要なメールが新着メールに埋もれない
- 対応待ちのメールをリマインダー代わりにできる
- 複数のメールを常に見える位置に配置できる
- 検索しなくても重要メールにすぐアクセス
特に、毎日たくさんのメールを受信する人にとっては必須の機能と言えますね。
ピン留めができない主な症状
トラブルの症状は人によって異なります。あなたの症状はどれでしょうか?
症状1:ピン留めボタンが表示されない
メールを右クリックしても、ピン留めのメニューが出てこない。リボンにもボタンが見当たらない。
症状2:ピン留めボタンがグレーアウトしている
ボタンは表示されているけれど、グレーアウト(薄い灰色)していてクリックできない。
症状3:ピン留めしても反映されない
ピン留めボタンをクリックしても、メールが上部に固定されない。または一瞬固定されてもすぐに元に戻ってしまう。
症状4:以前はできたのに突然できなくなった
今までは正常にピン留めできていたのに、ある日突然機能しなくなった。
症状5:特定のフォルダだけピン留めできない
受信トレイでは使えるのに、他のフォルダではピン留めできない。
ピン留めができない主な原因7つ
考えられる原因を一つずつ見ていきましょう。
原因1:Outlookのバージョンが対応していない
メールのピン留め機能は比較的新しい機能です。
対応バージョン:
- Microsoft 365(旧Office 365)のOutlook
- Outlook 2019以降の一部バージョン
- Web版Outlook(Outlook on the web)
- 新しいOutlook for Windows
非対応:
- Outlook 2016以前
- 従来版のOutlook for Windows(古いビルド)
- 一部の組織アカウント
古いバージョンを使っている場合は、そもそもピン留め機能自体が存在しないんです。
原因2:Exchange Onlineまたはサーバー環境の問題
ピン留め機能は、Exchange OnlineやMicrosoft 365環境で動作します。
使えない環境:
- POPアカウント
- IMAPアカウント
- 古いExchangeサーバー(オンプレミス)
- 一部のメールサービスプロバイダー
つまり、個人のGmailアカウントやYahooメールなどをOutlookで使っている場合、ピン留め機能は使えません。
原因3:フォルダの種類や設定
すべてのフォルダでピン留めができるわけではありません。
ピン留めできるフォルダ:
- 受信トレイ
- 個人のカスタムフォルダ
ピン留めできないフォルダ:
- 検索フォルダー
- 共有メールボックス
- パブリックフォルダー
- アーカイブフォルダー(場合による)
原因4:ビューやフィルターの設定
特定のビュー設定やフィルター適用時には、ピン留めが機能しないことがあります。
影響する設定:
- 会話ビューの設定
- カスタムフィルター
- 並べ替え設定
- グループ化設定
原因5:Outlookの更新が必要
最新の機能を使うには、Outlookが最新バージョンに更新されている必要があります。
古いビルドでは、ピン留めボタンが表示されなかったり、正常に機能しなかったりします。
原因6:管理者による機能制限
企業や組織で使っている場合、IT管理者がピン留め機能を無効化していることがあります。
セキュリティポリシーや組織の方針で制限されている場合、個人では設定を変更できません。
原因7:Outlookプロファイルやキャッシュの問題
Outlookのプロファイルが破損していたり、キャッシュに問題があると、一部の機能が正常に動作しなくなります。
解決方法1:Outlookのバージョンを確認する
まずは、自分のOutlookがピン留め機能に対応しているか確認しましょう。
バージョンの確認手順
手順1:バージョン情報を開く
- Outlookを起動
- 「ファイル」タブをクリック
- 「Officeアカウント」または「アカウント」を選択
- 「Outlookのバージョン情報」をクリック
手順2:バージョンを確認
表示される情報で以下を確認:
- 製品名(例:Microsoft 365、Outlook 2019)
- バージョン番号(例:16.0.xxxxx.xxxxx)
- ビルド番号
対応しているか判断:
- Microsoft 365:対応(最新に更新すれば使えるはず)
- Outlook 2019/2021:対応(最新ビルドに更新が必要な場合あり)
- Outlook 2016以前:非対応(アップグレードが必要)
バージョンが古い場合の対処法
Outlook 2016以前を使っている場合:
残念ながら、ピン留め機能は使えません。
代替案:
- Microsoft 365にアップグレード
- フラグ(旗マーク)機能で重要メールを管理
- カテゴリ機能で色分けして管理
- 重要メール専用のフォルダを作成
Microsoft 365を使っている場合:
最新バージョンに更新しましょう(次のセクションで説明)。
解決方法2:Outlookを最新バージョンに更新する
バージョンが古い場合は、アップデートが必要です。
更新プログラムの確認と実行
手順1:更新オプションを開く
- Outlookを起動
- 「ファイル」→「Officeアカウント」を選択
- 「更新オプション」ボタンをクリック
- 「今すぐ更新」を選択
手順2:更新の実行
更新プログラムがある場合、自動的にダウンロードとインストールが始まります。
手順3:再起動
更新完了後、Outlookを再起動します。場合によってはパソコン全体の再起動が必要になることも。
更新チャネルの確認(企業向け)
企業で使っている場合、更新チャネルの設定も確認しましょう。
確認方法:
- 「ファイル」→「Officeアカウント」を開く
- 「製品情報」セクションを見る
- 「更新チャネル」の表示を確認
半期エンタープライズチャネルの場合:
新機能の展開が遅れることがあります。IT管理者に相談して、月次エンタープライズチャネルや最新チャネルへの変更を依頼しましょう。
解決方法3:アカウントの種類を確認する

使っているメールアカウントがピン留め機能に対応しているか確認します。
アカウント情報の確認手順
手順1:アカウント設定を開く
- Outlookを起動
- 「ファイル」→「アカウント設定」を選択
- 「アカウント設定」をクリック
手順2:アカウントの種類を確認
- 「電子メール」タブを選択
- 使用しているアカウントを選択
- 「種類」の欄を確認
対応しているアカウント:
- Microsoft Exchange
- Microsoft 365
- Outlook.com / Hotmail.com
対応していないアカウント:
- POP3
- IMAP
- その他のサードパーティメール(Gmail、Yahoo等)
対応していないアカウントの場合
POPやIMAPアカウントでは、ピン留め機能は使えません。
対処法:
方法1:Web版Outlookを使う
- ブラウザで outlook.com にアクセス
- Microsoft 365アカウントでサインイン
- Web版ではピン留め機能が使える場合がある
方法2:Microsoft 365メールに移行
- 会社がMicrosoft 365を契約している場合
- 仕事用メールをMicrosoft 365アカウントに設定
方法3:代替機能を使う
- フラグ機能(旗マーク)で重要度を設定
- カテゴリで色分け
- 「重要」フォルダに手動で移動
解決方法4:新しいOutlook for Windowsに切り替える
従来版のOutlookを使っている場合、新しいOutlookに切り替えてみましょう。
新しいOutlookへの切り替え手順
手順1:トグルスイッチを確認
- Outlookの画面右上を確認
- 「新しいOutlookを試す」というトグルスイッチがあるか探す
手順2:切り替え
- トグルスイッチをオンにする
- 切り替えが完了するまで待つ(数分かかる場合あり)
手順3:ピン留め機能を確認
- 受信トレイでメールを右クリック
- 「ピン留め」オプションが表示されるか確認
新しいOutlookで使えない場合
新しいOutlookでもピン留めができない場合:
- アカウントの種類を再確認
- 最新バージョンに更新されているか確認
- 一度従来版に戻してから再度切り替え
解決方法5:フォルダとビューの設定を確認する
フォルダやビューの設定が原因の場合の対処法です。
会話ビューの確認
会話ビューが有効になっていると、ピン留めが正常に機能しないことがあります。
確認と変更手順:
- 「表示」タブをクリック
- 「会話」グループを探す
- 「会話別に表示」がオンになっているか確認
- オフにしてみる
- ピン留めができるようになるか確認
フィルターとグループ化の解除
手順1:フィルターを確認
- 受信トレイの上部にフィルターバーが表示されているか確認
- 「すべて」以外のフィルターが適用されている場合は「すべて」に変更
手順2:グループ化を解除
- 「表示」タブをクリック
- 「配置」グループの「グループ化」をクリック
- 「なし」を選択
並べ替え設定のリセット
手順:
- 受信トレイの列見出し(「差出人」「件名」など)を右クリック
- 「配置のリセット」または「ビューのリセット」を選択
- 確認メッセージで「はい」をクリック
解決方法6:キャッシュとプロファイルの修復
Outlookのキャッシュやプロファイルに問題がある場合の対処法です。
Outlookを再起動する
最も簡単な方法から試してみましょう。
手順:
- Outlookを完全に終了(×ボタンで閉じる)
- タスクマネージャーでOutlookのプロセスが残っていないか確認
- 残っている場合は「タスクの終了」
- Outlookを再起動
キャッシュのクリア
手順1:Outlookを終了
すべてのOutlookウィンドウを閉じます。
手順2:キャッシュフォルダを開く
- Windowsキー + R を押す
- 以下を入力してEnter:
%localappdata%\Microsoft\Outlook
手順3:キャッシュをクリア
- 「RoamCache」フォルダを開く
- 中のファイルをすべて削除
- Outlookを再起動
セーフモードで起動
アドインが原因かどうかを確認するため、セーフモードで起動してみましょう。
手順:
- すべてのOutlookを閉じる
- Windowsキー + R を押す
- 以下を入力してEnter:
outlook.exe /safe
- プロファイルを選択
- セーフモードで起動したOutlookでピン留めが使えるか確認
セーフモードで使える場合は、アドインが原因です。アドインを無効化して確認しましょう。
解決方法7:レジストリ設定の確認(上級者向け)
上級者向けの方法です。慎重に行ってください。
ピン留め機能を有効化するレジストリ設定
⚠️ 警告: レジストリの編集は慎重に行ってください。間違えるとシステムに影響が出る可能性があります。
手順1:レジストリエディタを開く
- Windowsキー + R を押す
- 「regedit」と入力してEnter
- 「はい」をクリック(管理者権限が必要)
手順2:該当キーに移動
以下のパスに移動:
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Office\16.0\Outlook\Options\Mail
※「16.0」はバージョンによって異なります
手順3:値を確認
- 右側のペインを確認
- ピン留めに関連する設定値があるか確認
- 不明な場合は、IT管理者に相談
より安全な方法
レジストリを直接編集するのが不安な場合:
- システムの復元ポイントを作成
- IT管理者に相談
- Microsoftサポートに問い合わせ
Web版Outlookでピン留めを使う
デスクトップ版で使えない場合、Web版Outlookなら使える可能性があります。
Web版Outlookへのアクセス
手順1:ブラウザでアクセス
- ブラウザを開く
- 以下のURLにアクセス:
- 個人用:outlook.com または outlook.live.com
- 仕事用:outlook.office.com
手順2:サインイン
Microsoft 365アカウントでサインインします。
手順3:ピン留めを試す
- 受信トレイでメールにカーソルを合わせる
- 右側に表示されるピンのアイコンをクリック
- メールが上部に固定される
Web版での注意点
制限事項:
- デスクトップ版とWeb版で設定が同期されない場合がある
- 一部の機能がデスクトップ版と異なる
- ブラウザの互換性問題が発生することも
推奨ブラウザ:
- Microsoft Edge(最新版)
- Google Chrome(最新版)
- Mozilla Firefox(最新版)
- Safari(macOS)
ピン留めの代替機能
ピン留めが使えない場合の代替手段です。
方法1:フラグ機能を使う
フラグは、ピン留めに似た機能を提供します。
使い方:
- メールを右クリック
- 「フォローアップ」→「今日」や「今週」を選択
- 「To Do バー」にフラグ付きメールが表示される
メリット:
- すべてのバージョンで使える
- 期限設定ができる
- リマインダー機能がある
方法2:カテゴリで色分け
重要なメールにカテゴリを付けて管理します。
設定方法:
- メールを右クリック
- 「カテゴリ」→任意の色を選択(例:「重要」で赤色)
- カテゴリでフィルタリングして表示
方法3:専用フォルダを作成
手順:
- 受信トレイを右クリック
- 「新しいフォルダー」を選択
- 名前を「要対応」や「重要」にする
- 重要なメールを手動でこのフォルダに移動
方法4:仕分けルールを使う
自動的に重要メールを特定フォルダに振り分けます。
設定方法:
- 「ホーム」タブ→「ルール」をクリック
- 「仕分けルールと通知の管理」を選択
- 新しいルールを作成
- 条件(差出人、件名など)と動作(フォルダへ移動)を設定
よくあるトラブルと解決策
その他のよくあるトラブルをまとめました。
トラブル1:ピン留めしたメールが勝手に外れる
原因:
- 同期の問題
- キャッシュの問題
- サーバー側の制限
対処法:
- Outlookを再起動
- キャッシュをクリア
- アカウントの再同期
- それでもダメなら再度ピン留め
トラブル2:ピン留めの数に制限がある
原因:
ピン留めできるメール数には上限があります(通常は25件程度)。
対処法:
- 不要なピン留めを外す
- 本当に重要なメールだけに絞る
- 古いピン留めメールは対応後に外す
トラブル3:共有メールボックスでピン留めできない
原因:
共有メールボックスではピン留め機能が制限されています。
対処法:
残念ながら、共有メールボックスではピン留めは使えません。代替機能(フラグやカテゴリ)を使いましょう。
トラブル4:モバイル版とデスクトップ版で同期されない
原因:
ピン留め情報がデバイス間で完全に同期されないことがあります。
対処法:
- 両方のデバイスで最新バージョンを使用
- 数分待って再度確認
- 完全な同期は保証されていないことを理解
ピン留め機能を効果的に使うコツ
機能が使えるようになったら、効果的な使い方も知っておきましょう。
ピン留めすべきメールの基準
おすすめの使い方:
- 対応待ちのメール:返信が必要だが時間がかかるもの
- 重要な情報メール:何度も見返す必要がある内容
- 期限付きタスク:締め切りが近いメール
- 参照頻度の高いメール:業務上よく見るメール
- 一時的な保留メール:後で判断するメール
ピン留めの整理ルール
定期的に見直す:
- 週に1回、ピン留めメールを確認
- 対応済みのメールは外す
- 本当に必要なものだけ残す
- 最大でも10件程度に抑える
他の機能との組み合わせ
効率的な管理方法:
- ピン留め + フラグ:期限管理も同時に
- ピン留め + カテゴリ:色で優先度を視覚化
- ピン留め + フォルダ:プロジェクト別に整理
まとめ:バージョンとアカウントの確認が重要
Outlookのピン留めができない問題は、ほとんどの場合バージョンやアカウントの種類が原因です。
この記事のポイント:
- ピン留め機能はMicrosoft 365やOutlook 2019以降で利用可能
- Exchange OnlineやMicrosoft 365アカウントが必要
- POPやIMAPアカウントでは使えない
- 最新バージョンへの更新が重要
- 新しいOutlook for Windowsへの切り替えも有効
- 会話ビューやフィルター設定が影響することも
- Web版Outlookなら使える場合がある
- 使えない場合はフラグやカテゴリで代替
特に重要なのは、Outlookのバージョンとアカウントの種類の確認です。
この2つが対応していれば、基本的にピン留め機能は使えるはずです。それでも使えない場合は、更新やキャッシュのクリア、設定の見直しを試してみましょう。
どうしても使えない環境の場合は、代替機能を活用することで、同様の管理を実現できますよ。
重要なメールをしっかり管理して、効率的なメール処理を実現してくださいね!

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