「ディスクユーティリティって何?」「外付けハードディスクをフォーマットしたい」「Macの動作が遅くなったからディスクをチェックしたい」そんな時、どうすればいいか分かりますか?
ディスクユーティリティは、Macに標準で搭載されているディスク管理ツールです。ハードディスクやSSD、USBメモリ、SDカードなどの記憶装置を、フォーマットしたり、エラーをチェック・修復したり、パーティションを分割したりできます。
「ディスクが壊れたかもしれない」「新しい外付けドライブを使いたい」「Time Machineでバックアップを取りたい」こうした場面で、ディスクユーティリティが活躍するんです。一見難しそうに見えますが、基本的な使い方を覚えれば、誰でも簡単に扱えます。
今回は、ディスクユーティリティの起動方法から、主な機能の使い方、よくあるトラブルの解決方法まで、詳しく解説していきます。
ディスクユーティリティとは?

まずは、ディスクユーティリティがどんなツールなのか理解しましょう。
Macの標準ディスク管理ツール
ディスクユーティリティ(Disk Utility)は、macOSに最初から入っている無料のアプリケーションです。
Windowsでいう「ディスクの管理」や「chkdsk」に相当するツールで、ディスクに関するあらゆる作業を一つのアプリで行えます。追加のソフトをインストールする必要はありません。
ディスクユーティリティでできること
このツールでは、以下のような作業ができます:
ディスクのフォーマット(消去):
新しいUSBメモリや外付けハードディスクを使えるようにします。
エラーチェックと修復:
ディスクの問題を検出して、可能であれば自動的に修復します。
パーティションの作成と管理:
1つのディスクを複数の区画に分割できます。
ディスク情報の確認:
容量、使用状況、ファイルシステムなどの詳細を確認できます。
ディスクイメージの作成とマウント:
バックアップや配布用のイメージファイルを作成・使用できます。
RAIDの設定:
複数のディスクをまとめて管理する高度な設定も可能です。
いつ使うのか
ディスクユーティリティを使う典型的な場面を紹介します:
- 新しい外付けハードディスクやUSBメモリを購入した時
- Macの動作が遅くなったり、不安定になったりした時
- ディスクエラーのメッセージが表示された時
- ドライブを売却・譲渡する前にデータを完全消去したい時
- WindowsフォーマットのUSBメモリをMac用に変更したい時
- Time Machineバックアップ用のドライブを準備する時
ディスクユーティリティの起動方法
ディスクユーティリティを開く方法はいくつかあります。
Finderから起動する
最も一般的な方法です。
- Finderを開く:Dockのニコニコマークのアイコンをクリックします
- 「アプリケーション」フォルダを開く:左側のサイドバーまたは、メニューバーの「移動」から選びましょう
- 「ユーティリティ」フォルダを開く:アプリケーションフォルダの中にあります
- 「ディスクユーティリティ」をダブルクリック:アプリが起動します
Spotlightから起動する
素早く起動したい時に便利です。
- Spotlightを開く:Command + スペースキーを押します
- 「ディスクユーティリティ」と入力:数文字入力すれば候補が表示されます
- Returnキーを押す:アプリが起動します
日本語入力がオンになっている場合は、「でぃすく」と入力するだけでも候補に出てきます。
Launchpadから起動する
タッチパッド操作が好きな方におすすめです。
- Launchpadを開く:Dockのロケットアイコンをクリックするか、4本指でピンチインします
- 「その他」フォルダを開く:ユーティリティ系のアプリが入っています
- 「ディスクユーティリティ」をクリック:アプリが起動します
復旧モードから起動する
Macが起動しない場合や、起動ディスク自体を修復したい場合に使います。
- Macを再起動する:電源ボタンまたはAppleメニューから再起動します
- 起動音が鳴ったらすぐにキーを押す:
- Intel Mac:Command + Rキーを押し続ける
- Apple Silicon Mac:電源ボタンを押し続けて「起動オプションを読み込んでいます」が表示されるまで待つ
- macOS復旧が起動する:「macOSユーティリティ」画面が表示されます
- 「ディスクユーティリティ」を選択:一覧から選んで「続ける」をクリックします
ディスクユーティリティの画面構成
アプリを開いた時の画面の見方を理解しましょう。
サイドバー(左側)
接続されているすべてのディスクとボリュームが一覧表示されます。
表示される項目:
- 内蔵ディスク:Macintosh HDなど、Macの内蔵ストレージ
- 外部ディスク:外付けハードディスク、USBメモリ、SDカードなど
- ディスクイメージ:マウントしているDMGファイルなど
階層構造になっていて、物理ディスクの下にボリューム(パーティション)が表示されます。
ツールバー(上部)
よく使う機能のボタンが並んでいます。
主なボタン:
- 表示:サイドバーの表示方法を切り替え
- First Aid:エラーチェックと修復
- パーティション:ディスクの分割
- 消去:フォーマット(初期化)
- 復元:ディスクのクローンを作成
- マウント解除:ディスクを取り外し準備
メイン画面(右側)
選択したディスクの詳細情報が表示されます。
表示される情報:
- 容量と使用状況
- ファイルシステム(APFS、Mac OS拡張など)
- マウント状態
- パーティション方式
- S.M.A.R.T.ステータス(ディスクの健康状態)
主な機能の使い方
ディスクユーティリティの代表的な機能を、実際の手順とともに解説します。
First Aid(エラーチェックと修復)
ディスクの問題を検出して修復する機能です。
いつ使う?
- Macの動作が遅い時
- アプリがクラッシュする時
- ファイルが正しく保存できない時
- 「ディスクの修復が必要です」と表示された時
使い方:
- ディスクユーティリティを起動:上記の方法で開きます
- 対象のディスクを選択:サイドバーから選びましょう
- 「First Aid」をクリック:ツールバーのボタンです
- 「実行」をクリック:確認画面で実行を選びます
- 完了を待つ:チェックと修復が自動的に行われます
- 結果を確認:問題が見つかったか、修復できたか表示されます
注意点:
- 起動ディスク(Macintosh HD)自体を修復する場合は、復旧モードから起動する必要があります
- 修復中はディスクにアクセスできません
- 時間がかかる場合があります(数分~数時間)
消去(フォーマット)
ディスクを初期化して、使える状態にする機能です。
いつ使う?
- 新しい外付けドライブやUSBメモリを購入した時
- Windowsフォーマットのドライブをマc用に変更したい時
- ディスクのデータを完全に削除したい時
- Time Machineバックアップ用に準備する時
使い方:
- ディスクユーティリティを起動:アプリを開きます
- 対象のディスクを選択:サイドバーから選びましょう(物理ディスク本体を選ぶのが推奨)
- 「消去」をクリック:ツールバーのボタンです
- 名前を入力:ディスクに付ける名前を入力します
- フォーマットを選択:用途に応じて選びましょう
- APFS:Mac専用、SSDに最適
- Mac OS拡張(ジャーナリング):Time Machine用、ハードディスク向け
- MS-DOS (FAT):WindowsとMac両方で使う場合
- exFAT:大きなファイルをWindowsとMacで共有する場合
- 方式を選択:「GUIDパーティションマップ」が一般的です
- 「消去」をクリック:実行します
- 完了を待つ:終わるまで待ちましょう
重要な注意:
消去すると、そのディスクのすべてのデータが削除されます!必ず正しいディスクを選び、必要なデータはバックアップしてから実行してください。
パーティション作成
1つのディスクを複数の区画に分割する機能です。
いつ使う?
- 1つのディスクを複数の用途で使い分けたい時
- Boot Campでwindowsをインストールする時
- データとシステムを別々に管理したい時
使い方:
- ディスクユーティリティを起動:アプリを開きます
- 対象のディスクを選択:サイドバーから物理ディスクを選びましょう
- 「パーティション」をクリック:ツールバーのボタンです
- 「+」ボタンをクリック:新しいパーティションを追加します
- サイズを調整:円グラフをドラッグして容量を決めます
- 名前とフォーマットを設定:各パーティションごとに設定できます
- 「適用」をクリック:変更を実行します
- 確認して実行:警告を読んで進めます
注意点:
- パーティション作成中はデータが失われる可能性があります
- APFSボリュームでは、パーティションではなく「ボリューム追加」を使います
- 既存データがある場合、バックアップを取ってから作業しましょう
フォーマット形式の選び方

ディスクを消去する際、どのフォーマット(ファイルシステム)を選ぶべきか解説します。
APFS(Apple File System)
特徴:
- 最新のMac専用ファイルシステム
- SSDに最適化されている
- 高速で効率的
- スナップショット機能がある
推奨用途:
- Macの内蔵SSD
- Mac専用の外付けSSD
- macOS High Sierra以降を使っている場合
選ぶべきでない場合:
- Windowsでも使いたい
- Time Machineバックアップ用(Mac OS拡張を推奨)
- 古いMacとの互換性が必要
Mac OS拡張(ジャーナリング)
特徴:
- 以前のMac標準ファイルシステム
- ハードディスクに適している
- Time Machineと完全互換
- 古いMacでも使える
推奨用途:
- Time Machineバックアップ用ドライブ
- ハードディスクドライブ
- 古いMacとの互換性が必要な場合
選ぶべきでない場合:
- 最新のMacのSSDを最大限活用したい
- Windowsでも使いたい
MS-DOS (FAT)
特徴:
- WindowsとMac両方で使える
- ほぼすべてのデバイスが対応
- 1ファイル4GBまでという制限
推奨用途:
- WindowsとMac両方で使うUSBメモリ
- 古いデバイスとの互換性が必要
- 小さいファイルのみ扱う場合
選ぶべきでない場合:
- 4GB以上のファイルを扱う
- Mac専用で使う
- セキュリティが必要
exFAT
特徴:
- WindowsとMac両方で使える
- 4GB以上のファイルも扱える
- USBメモリや外付けドライブ向け
推奨用途:
- WindowsとMac両方で使う外付けドライブ
- 大きな動画ファイルを扱う場合
- 32GB以上のUSBメモリ
選ぶべきでない場合:
- Mac専用で使う(APFSの方が高機能)
- 古いデバイスでも使いたい(FAT32の方が互換性高い)
パーティション方式の選び方
フォーマット時に選ぶ「方式」について説明します。
GUIDパーティションマップ
特徴:
- 最新の標準方式
- Intel MacとApple Silicon Mac両方で使える
- 2TB以上のディスクに対応
推奨用途:
- ほぼすべてのMac用ディスク
- 特に理由がなければこれを選ぶ
対応:
- macOS
- 最近のWindows(UEFI起動)
マスター・ブート・レコード
特徴:
- 古い方式
- Windowsとの互換性重視
- 2TBまでのディスクに対応
推奨用途:
- WindowsとMac両方で使うドライブ
- FAT32やexFATでフォーマットする場合
対応:
- macOS
- すべてのWindows
Appleパーティションマップ
特徴:
- 非常に古いMac用の方式
- 現在はほとんど使われない
推奨用途:
- PowerPC Macとの互換性が必要な場合のみ
注意:
通常は選ぶ必要がありません。
よくある使用シーン
実際にディスクユーティリティを使う場面を具体的に紹介します。
新しいUSBメモリをMac用にフォーマット
手順:
- USBメモリを挿す
- ディスクユーティリティを起動
- USBメモリを選択
- 「消去」をクリック
- フォーマット:APFS(Mac専用の場合)またはexFAT(Windows共用の場合)
- 方式:GUIDパーティションマップ
- 「消去」を実行
Time Machine用ドライブの準備
手順:
- 外付けハードディスクを接続
- ディスクユーティリティを起動
- ドライブを選択
- 「消去」をクリック
- 名前:「Time Machine」など分かりやすい名前
- フォーマット:Mac OS拡張(ジャーナリング)
- 方式:GUIDパーティションマップ
- 「消去」を実行
- Time Machine設定でこのドライブを選択
ディスクエラーが出た時の対処
手順:
- ディスクユーティリティを起動
- 問題のあるディスクを選択
- 「First Aid」をクリック
- 「実行」をクリック
- 結果を確認
- 修復できない場合は、データをバックアップして再フォーマットを検討
起動ディスクの修復
手順:
- Macを復旧モードで起動(Command + R)
- 「ディスクユーティリティ」を選択
- 起動ディスク(Macintosh HD)を選択
- 「First Aid」を実行
- 完了したら再起動
よくあるトラブルと解決方法
ディスクユーティリティ使用時によく遭遇する問題と対処法です。
Q1:「このディスクは消去できません」と表示される
原因:
- 現在使用中のディスク(起動ディスクなど)
- マウントされていない
- 権限の問題
解決方法:
起動ディスクの場合:
復旧モードから起動して操作する必要があります。
外部ディスクの場合:
- ディスクをマウント解除してから再マウント
- ディスクを一度取り外して再接続
- Macを再起動してから再試行
Q2:First Aidで「このディスクを修復できませんでした」
原因:
ディスクに深刻な問題があります。
解決方法:
重要なデータがある場合:
- 別のMacやディスクに接続してデータを救出
- データ復旧ソフトを試す
- 専門業者に相談
データ救出後:
- ディスクを完全にフォーマット
- それでも問題が続く場合、ハードウェア故障の可能性
- ディスクの交換を検討
Q3:フォーマット後もWindowsで認識されない
原因:
パーティション方式が適切でない可能性があります。
解決方法:
- ディスクユーティリティで再度「消去」
- フォーマット:exFATまたはMS-DOS (FAT)
- 方式:必ず「マスター・ブート・レコード」を選択
- 再度Windowsで確認
Q4:「マウントに失敗しました」と表示される
原因:
ファイルシステムが破損している可能性があります。
解決方法:
- First Aidを実行
- ディスクを取り外して再接続
- 別のUSBポートを試す
- 別のMacで試してみる
- それでもダメなら、フォーマットを検討
Q5:パーティションボタンがグレーアウトして押せない
原因:
- APFSボリュームでは「パーティション」ではなく「ボリューム追加」を使う
- ディスクがマウントされていない
- FileVaultで暗号化されている
解決方法:
APFSの場合:
「+」ボタンで「APFS ボリュームを追加」を選択します。
暗号化されている場合:
FileVaultを一時的に無効化してから操作します。
ディスクユーティリティの高度な機能
基本操作に慣れたら、こんな機能も使えます。
ディスクイメージの作成
ディスクの完全なコピーをファイルとして保存できます。
用途:
- ディスク全体のバックアップ
- ソフトウェアの配布
- 複数のMacに同じ環境を展開
方法:
- 「ファイル」→「新規イメージ」→「(ディスク名)からイメージ作成」
- 保存場所と名前を指定
- フォーマットを選択(圧縮、暗号化など)
- 「保存」をクリック
RAID設定
複数のディスクをまとめて1つのボリュームにしたり、冗長化したりできます。
種類:
- RAIDミラーセット:2つのディスクに同じデータを保存(安全性重視)
- RAIDストライプセット:複数ディスクに分散保存(速度重視)
方法:
- 「ファイル」→「RAIDセット」→「ミラー」または「ストライプ」
- 使用するディスクを選択
- 名前とフォーマットを設定
- 「作成」をクリック
セキュア消去
通常の消去より安全にデータを削除します。
方法:
- ディスクを選択して「消去」をクリック
- 「セキュリティオプション」をクリック
- スライダーで消去の強度を選択
- 最速:通常の消去
- 最も安全:データの復元がほぼ不可能
- 「OK」→「消去」を実行
注意:
セキュリティレベルを上げるほど、時間がかかります。
まとめ
ディスクユーティリティは、Macでディスクを管理するための必須ツールです。
重要なポイントをおさらいしましょう:
- ディスクユーティリティはMac標準のディスク管理ツール
- アプリケーション→ユーティリティフォルダから起動できる
- First Aidでディスクエラーをチェック・修復できる
- 消去(フォーマット)で新しいディスクを使える状態にする
- Mac専用ならAPFS、両OS対応ならexFATを選ぶ
- Time Machine用はMac OS拡張(ジャーナリング)が推奨
- 消去すると全データが削除されるので要注意
- 起動ディスクの修復は復旧モードから行う
ディスクユーティリティを使いこなせば、外付けドライブの管理やトラブル対処がスムーズになります。
特にFirst Aid機能は、Macの調子が悪い時の最初の対処法として覚えておくと便利です。新しいUSBメモリや外付けハードディスクを買った時も、この記事を参考に適切なフォーマットを選んでくださいね!

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