「ファイルシステムって何?」「USBメモリをフォーマットする時に出てくる選択肢の意味が分からない」「WindowsとMacでUSBメモリが使えない」そんな経験はありませんか?
ファイルシステムは、パソコンやスマホ、USBメモリなどの記憶装置でファイルを管理するための仕組みです。私たちが普段何気なく保存しているデータは、すべてファイルシステムによって整理され、必要な時に取り出せるようになっているんです。
ファイルシステムには複数の種類があり、それぞれに特徴があります。適切なファイルシステムを選ぶことで、データの互換性や安全性が向上します。逆に、間違った選択をすると、デバイス間でファイルが使えなくなることもあるでしょう。
今回は、ファイルシステムの基本的な仕組みから、主要な種類と特徴、そして実際の選び方まで、初心者にも分かりやすく解説していきます。
ファイルシステムとは?基本を理解しよう

まずは、ファイルシステムの基本的な概念から見ていきましょう。
ファイルシステムの役割
ファイルシステムは、簡単に言えばデータを保存するための整理方法です。
図書館を想像してみてください。本がランダムに積まれているだけでは、目的の本を見つけるのが大変ですよね。でも、分類番号が付いていて、棚が整理されていれば、すぐに見つけられます。
ファイルシステムは、まさにこの図書館の整理システムのような役割を果たしているんです。
ファイルシステムが管理している情報
ファイルシステムは、以下のような情報を管理しています:
ファイルの名前と場所:
どこに何という名前のファイルがあるか記録します。
ファイルのサイズ:
どれだけの容量を使っているか把握しています。
作成日時と更新日時:
いつファイルが作られ、いつ変更されたか記録します。
アクセス権限:
誰がそのファイルを読んだり書き換えたりできるか管理します。
フォルダ構造:
ファイルがどのフォルダに入っているか整理します。
ファイルシステムなしでは何も保存できない
記憶装置(ハードディスク、SSD、USBメモリなど)を使うには、必ずファイルシステムが必要です。
新品のUSBメモリやハードディスクは、「フォーマット」という作業でファイルシステムを作成してから使い始めます。フォーマットとは、記憶装置にファイルシステムを設定する作業のことなんです。
主要なファイルシステムの種類
代表的なファイルシステムを、特徴とともに紹介します。
NTFS(Windows標準)
読み方:
エヌ・ティー・エフ・エス(NT File Systemの略)
特徴:
- Windowsの標準ファイルシステム
- 4GB以上の大きなファイルを扱える
- アクセス権限の細かい設定が可能
- 暗号化機能がある
- ファイルの圧縮ができる
対応OS:
- Windows:完全対応
- Mac:読み取りのみ(書き込みには追加ソフトが必要)
- Linux:対応(一部制限あり)
おすすめの用途:
Windowsパソコンの内蔵ドライブ、Windows専用の外付けハードディスク
FAT32(古い標準)
読み方:
ファット・サーティーツー(File Allocation Table 32の略)
特徴:
- 最も互換性が高い古いファイルシステム
- ほぼすべてのデバイスで使える
- 4GBより大きいファイルは保存できない
- セキュリティ機能が弱い
- シンプルで動作が軽い
対応OS:
- Windows:完全対応
- Mac:完全対応
- Linux:完全対応
- ゲーム機、デジカメなど:ほぼすべて対応
おすすめの用途:
小さいファイル専用のUSBメモリ、古いデバイスとの互換性が必要な場合
注意点:
4GB以上の動画ファイルなどは保存できません。
exFAT(外部ストレージ向け)
読み方:
エックス・ファット(Extended File Allocation Tableの略)
特徴:
- FAT32の改良版
- 4GB以上の大きなファイルを扱える
- 幅広いデバイスで使える
- NTFSよりシンプルで外部ストレージに適している
- 古い機器では非対応のことも
対応OS:
- Windows:Vista SP1以降で対応
- Mac:Mac OS X Snow Leopard以降で対応
- 一部のゲーム機、テレビなど:対応機種あり
おすすめの用途:
USBメモリ、外付けハードディスク、SDカード(WindowsとMac両方で使う場合)
APFS(Mac最新標準)
読み方:
エー・ピー・エフ・エス(Apple File Systemの略)
特徴:
- Apple製品の最新ファイルシステム
- SSDに最適化されている
- スナップショット機能(バックアップ)がある
- 暗号化が標準装備
- 高速で効率的
対応OS:
- Mac:macOS High Sierra以降
- iOS:iOS 10.3以降
- Windows:非対応
- Linux:非対応
おすすめの用途:
Macの内蔵SSD、Macユーザー専用の外部ストレージ
HFS+(Mac旧標準)
読み方:
エイチ・エフ・エス・プラス(Hierarchical File System Plusの略、Mac OS拡張とも呼ばれます)
特徴:
- APFSの前にMacで使われていたファイルシステム
- 古いMacとの互換性がある
- ハードディスクドライブに適している
- APFSより機能は少ない
対応OS:
- Mac:完全対応
- Windows:読み取りには追加ソフトが必要
- Linux:対応(一部制限あり)
おすすめの用途:
古いMacとの互換性が必要な場合、Time Machine用のバックアップドライブ
ext4(Linux標準)
読み方:
イー・エックス・ティー・フォー(Fourth Extended File Systemの略)
特徴:
- Linuxの標準ファイルシステム
- 非常に安定している
- 大容量ドライブに対応
- ジャーナリング機能でデータ保護
対応OS:
- Linux:完全対応
- Windows:追加ソフトで対応可能
- Mac:追加ソフトで対応可能
おすすめの用途:
Linuxシステムの内蔵ドライブ、Linuxサーバー
ファイルシステムの仕組みを理解しよう

ファイルシステムがどのように動作しているのか、基本的な仕組みを見ていきます。
データの保存方法
ファイルシステムは、記憶装置を小さな区画(ブロックやクラスタと呼ばれます)に分割して管理します。
例えば:
- あなたが100MBのファイルを保存する
- ファイルシステムが空いている区画を探す
- 複数の区画にデータを分散して保存する
- どの区画に保存したか記録する(インデックス)
- ファイル名と保存場所を結びつける
この仕組みにより、ファイルを素早く見つけて取り出せるんです。
フォルダ(ディレクトリ)の役割
フォルダは、実際にはファイルの一種です。
フォルダの中には、「このフォルダには何というファイルが入っているか」という情報が記録されています。フォルダの中にフォルダを作れるのは、この仕組みのおかげなんですね。
削除したファイルはどうなる?
ファイルを削除しても、実はデータ自体はすぐには消えません。
削除の仕組み:
- ファイルシステムが「このファイルは削除された」と記録する
- そのファイルが使っていた場所を「空き」として扱う
- 実際のデータはまだ残っている
- 新しいデータが上書きされると、初めて消える
これが、削除したファイルを復元できる理由です。完全に消すには、専用の削除ソフトを使う必要があります。
用途別ファイルシステムの選び方
実際にどのファイルシステムを選べば良いか、場面ごとに解説します。
Windowsの内蔵ドライブ
推奨:NTFS
理由:
- Windowsに最適化されている
- 大きなファイルを扱える
- セキュリティ機能が充実
- システムの標準なので問題が起きにくい
Macの内蔵ドライブ
推奨:APFS(SSDの場合)、HFS+(ハードディスクの場合)
理由:
- Macに最適化されている
- APFSはSSDで高速動作
- Time Machineバックアップが使える
WindowsとMac両方で使うUSBメモリ
推奨:exFAT
理由:
- 両方のOSで読み書きできる
- 4GB以上の大きなファイルも扱える
- USBメモリに適したシンプル設計
代替案:FAT32(4GB未満のファイルのみの場合)
デジカメのSDカード
推奨:FAT32またはexFAT
理由:
- ほとんどのカメラがFAT32に対応
- 新しいカメラはexFATにも対応
- カメラの説明書で推奨形式を確認する
外付けハードディスク(バックアップ用)
Windows専用:NTFS
Mac専用:APFS(SSD)またはHFS+(HDD)
両方で使う:exFAT
理由:
- 専用にすれば各OSで最高のパフォーマンス
- 両対応にする場合は互換性重視
ファイルシステムの確認方法

自分のデバイスがどのファイルシステムを使っているか確認する方法です。
Windowsでの確認方法
- エクスプローラーを開く:Windowsキー + Eを押します
- 対象ドライブを右クリック:確認したいドライブ(CドライブやUSBメモリなど)を右クリックしましょう
- 「プロパティ」を選択:メニューから選びます
- 「全般」タブを確認:「ファイルシステム」の項目に種類が表示されます
Macでの確認方法
- ディスクユーティリティを起動:アプリケーション→ユーティリティから開きます
- 対象ドライブを選択:左側のリストから確認したいドライブを選びましょう
- 情報を確認:右側に「フォーマット」として表示されます
ファイルシステムの変更(フォーマット)方法
ファイルシステムを変更する手順を説明します。
重要な注意事項
フォーマットするとすべてのデータが消えます!
必ず以下を実行してから作業しましょう:
- 重要なデータをバックアップする
- 間違ったドライブを選ばないよう慎重に確認する
- 作業中は他のアプリを閉じる
Windowsでのフォーマット方法
- エクスプローラーを開く:フォーマットしたいドライブを探します
- ドライブを右クリック:USBメモリや外付けHDDを選びましょう
- 「フォーマット」を選択:メニューから選びます
- ファイルシステムを選択:NTFS、FAT32、exFATから選びます
- ボリュームラベルを入力:ドライブの名前を付けられます
- 「開始」をクリック:確認メッセージを読んで実行します
- 完了を待つ:終わるまで待ちましょう
Macでのフォーマット方法
- ディスクユーティリティを起動:アプリケーション→ユーティリティから開きます
- 対象ドライブを選択:左側のリストから選びましょう
- 「消去」をクリック:上部のツールバーにあります
- フォーマット形式を選択:APFS、Mac OS拡張、exFAT、MS-DOS(FAT32)から選びます
- 名前を入力:ドライブの名前を付けます
- 「消去」をクリック:実行します
- 完了を待つ:終わるまで待ちましょう
ファイルシステムに関するよくあるトラブル
実際によく起こる問題と、その解決方法を紹介します。
Q1:USBメモリがMacで読めない(またはその逆)
原因:
NTFSやAPFSなど、片方のOSでしか使えないファイルシステムになっています。
解決方法:
- データをバックアップ
- exFATでフォーマットし直す
- データを戻す
exFATなら両方のOSで読み書きできます。
Q2:4GB以上のファイルが保存できない
原因:
FAT32ファイルシステムは、1ファイルあたり4GBまでしか対応していません。
解決方法:
- 重要なデータをバックアップ
- exFATまたはNTFSでフォーマットし直す
- 再度ファイルを保存
動画ファイルなど大きなファイルを扱う場合は、exFATやNTFSを使いましょう。
Q3:「ディスクの構造が壊れているため、読み取ることができません」と表示される
原因:
ファイルシステムの管理情報が破損しています。
解決方法:
Windowsの場合:
- コマンドプロンプトを管理者権限で開く
chkdsk ドライブ名: /fと入力(例:chkdsk E: /f)- エラーチェックと修復を実行
Macの場合:
- ディスクユーティリティを開く
- 対象ドライブを選択
- 「First Aid」をクリック
- 修復を実行
それでも直らない場合は、データ復旧ソフトを使うか、専門業者に相談しましょう。
Q4:フォーマット時にNTFSやexFATが選択肢に出ない
原因:
デバイスの種類やサイズによって、選択できるファイルシステムが制限されることがあります。
解決方法:
Windowsの場合:
- コマンドプロンプトで
formatコマンドを使う - ディスクの管理ツールを使う
Macの場合:
- ディスクユーティリティで「すべてのデバイスを表示」を選択
- 物理ドライブ自体を選択してからフォーマット
Q5:削除したファイルが復元できてしまう
原因:
通常の削除では、データ本体は残っています。
解決方法:
完全に削除するには:
- 専用の削除ソフトを使用(例:Eraser、File Shredderなど)
- ドライブ全体を完全消去する
- 暗号化機能を使用して保護する
機密情報を扱う場合は、これらの方法を検討しましょう。
ファイルシステムの歴史と進化
理解を深めるため、ファイルシステムがどう進化してきたか簡単に見てみます。
FAT → FAT32 → exFAT
FAT(1980年代):
最初期のシンプルなシステムです。現在はほぼ使われていません。
FAT32(1990年代後半):
2GBの壁を超えるために開発されました。長く標準として使われてきましたが、4GBの制限があります。
exFAT(2006年):
USBメモリやSDカードなど、外部ストレージ向けに開発されました。FAT32の制限を解消しています。
NTFS(1993年)
Windows NT系の登場とともに開発されました。セキュリティと信頼性を重視した設計です。現在もWindowsの標準として使われています。
APFS(2017年)
SSDの普及に合わせてAppleが開発しました。フラッシュメモリに最適化され、暗号化やスナップショットなど最新機能を搭載しています。
まとめ
ファイルシステムは、データを安全に保存し、管理するための重要な仕組みです。
重要なポイントをおさらいしましょう:
- ファイルシステムはデータを整理・管理する仕組み
- 主なファイルシステムはNTFS、FAT32、exFAT、APFS、HFS+、ext4
- Windows内蔵ドライブにはNTFS、Mac内蔵にはAPFS
- Windows/Mac両方で使うにはexFATが最適
- FAT32は4GB以上のファイルを扱えない
- フォーマットすると全データが消えるので要注意
- 用途に応じて適切なファイルシステムを選ぶことが大切
ファイルシステムを正しく理解して選ぶことで、データの互換性や安全性が向上します。
USBメモリや外付けハードディスクを買った時、フォーマットが必要な時には、この記事を参考にして適切なファイルシステムを選んでください。自分の使い方に合ったファイルシステムを選べば、快適にデータを管理できますよ!

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