「Thunderbirdのアドレス帳をバックアップしたい」
「別のメールソフトに連絡先を移行したいけど、どうすればいいの?」
パソコンを買い替えたり、メールソフトを変更する時、大切な連絡先を失わないようにする必要がありますよね。Thunderbirdには、アドレス帳を簡単にエクスポート(書き出し)する機能があります。
この記事では、Thunderbirdのアドレス帳をエクスポートする方法を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。バックアップから他のソフトへの移行まで、すべての手順が分かりますよ。
アドレス帳のエクスポートとは?

まず、基本的な用語から説明しますね。
エクスポートの意味
エクスポートとは、データを「書き出す」「外部に出力する」という意味です。
具体的には:
- アドレス帳のデータをファイルとして保存する
- 他のソフトで読み込める形式に変換する
- バックアップを作成する
反対に、ファイルからデータを取り込むことを「インポート」と言います。
エクスポートが必要な場面
こんな時にエクスポートが役立ちます。
主な使用場面:
- パソコンの買い替え前のバックアップ
- 他のメールソフトへの移行(Gmail、Outlook等)
- 別のThunderbirdにデータを移動
- 定期的なバックアップ
- データの整理や編集
- スマホのアドレス帳との同期
定期的にバックアップを取る習慣をつけると安心ですね。
エクスポート可能なファイル形式
Thunderbirdでは、複数のファイル形式でエクスポートできます。
主要なファイル形式
1. CSV形式(カンマ区切り)
- 拡張子:
.csv - 最も汎用性が高い
- ExcelやGoogleコンタクトで開ける
- 編集が簡単
2. LDIF形式
- 拡張子:
.ldif - Thunderbird標準の形式
- 他のThunderbirdへの移行に最適
- すべての情報を保持
3. vCard形式
- 拡張子:
.vcf - スマートフォンと互換性が高い
- 1件ずつエクスポート
- 名刺データとして扱える
それぞれ用途が異なるので、目的に応じて選びましょう。
基本的なエクスポート手順
最も一般的なエクスポート方法を説明します。
ステップ1:アドレス帳を開く
- Thunderbirdを起動
- アドレス帳を開く
- メニューバーから「ツール」→「アドレス帳」をクリック
- または、ツールバーのアドレス帳アイコンをクリック
- ショートカットキー:
Ctrl + Shift + B(Windows)/⌘ + Shift + B(Mac)
- アドレス帳ウィンドウが開く
- 左側に登録されているアドレス帳の一覧が表示されます
ステップ2:エクスポートするアドレス帳を選択
- 左側のリストから選択
- 「個人用アドレス帳」など、エクスポートしたいアドレス帳をクリック
- 複数のアドレス帳がある場合
- それぞれ個別にエクスポートする必要があります
- すべてエクスポートしたい場合は、1つずつ繰り返します
ステップ3:エクスポート操作を実行
Thunderbird 78以降の場合:
- メニューから選択
- 「ツール」→「書き出し」をクリック
- 保存場所を選択
- ファイルの保存先を選ぶダイアログが開きます
- ファイル形式を選択
- 「ファイルの種類」で形式を選択
- CSV(カンマ区切り)または LDIF
- ファイル名を入力
- 分かりやすい名前を付けます
- 例:「アドレス帳_2024-11-14.csv」
- 「保存」をクリック
これでエクスポート完了です。
ステップ4:エクスポートの確認
- 保存先フォルダを開く
- ファイルが作成されているか確認
- ファイルを開いて内容をチェック
- CSVファイル:Excelやメモ帳で開ける
- LDIFファイル:テキストエディタで開ける
CSV形式でのエクスポート
最も汎用性が高いCSV形式について、詳しく見ていきましょう。
CSV形式の特徴
メリット:
- Excelで編集できる
- Googleコンタクトにインポート可能
- Outlookでも読み込める
- テキストエディタで直接編集できる
デメリット:
- 文字化けする可能性がある
- 一部の情報が失われることがある
CSV形式でエクスポートする手順
- アドレス帳を開く
- 対象のアドレス帳を選択
- 「ツール」→「書き出し」
- ファイル形式で「CSV(カンマ区切り)」を選択
- ファイル名を入力
- 例:
addressbook_20241114.csv
- 「保存」をクリック
CSVファイルの構造
エクスポートされたCSVファイルは、こんな形式になっています。
例:
名,姓,表示名,ニックネーム,メインメール,携帯電話,自宅電話,勤務先電話,住所,郵便番号
太郎,山田,山田太郎,タロー,yamada@example.com,090-1234-5678,03-1234-5678,03-9876-5432,東京都千代田区...,100-0001
花子,佐藤,佐藤花子,ハナコ,sato@example.com,080-9876-5432,,,東京都渋谷区...,150-0001
Excelで開くと、表形式で見やすく表示されます。
文字化け対策
日本語が文字化けする場合の対処法です。
対処法1:Excelで開く時の注意
- Excelで「データ」タブを開く
- 「テキストファイル」を選択
- CSVファイルを選択
- 「元のファイル」で「Unicode (UTF-8)」を選択
- 区切り文字で「カンマ」にチェック
- 「完了」をクリック
対処法2:文字コードを変換
- テキストエディタ(メモ帳など)で開く
- 「UTF-8」で保存し直す
LDIF形式でのエクスポート
Thunderbird間でデータを移行する場合に最適な形式です。
LDIF形式の特徴
メリット:
- すべての情報を完全に保持
- Thunderbird間の移行に最適
- データの欠損がない
デメリット:
- 他のソフトでは読み込めないことが多い
- 人間が読むには分かりにくい
LDIF形式でエクスポートする手順
- アドレス帳を開く
- 対象のアドレス帳を選択
- 「ツール」→「書き出し」
- ファイル形式で「LDIF」を選択
- ファイル名を入力
- 例:
addressbook_20241114.ldif
- 「保存」をクリック
LDIFファイルの中身
LDIFファイルは、テキスト形式でこのような内容になっています。
例:
dn: cn=山田太郎,mail=yamada@example.com
objectclass: top
objectclass: person
objectclass: organizationalPerson
objectclass: inetOrgPerson
objectclass: mozillaAbPersonAlpha
givenName: 太郎
sn: 山田
cn: 山田太郎
mail: yamada@example.com
telephoneNumber: 090-1234-5678
homePhone: 03-1234-5678
dn: cn=佐藤花子,mail=sato@example.com
objectclass: top
objectclass: person
cn: 佐藤花子
mail: sato@example.com
telephoneNumber: 080-9876-5432
人間が編集するには向いていませんが、データは完全に保持されています。
vCard形式でのエクスポート
個別の連絡先をエクスポートする場合に便利です。
vCard形式の特徴
メリット:
- スマートフォンと互換性が高い
- 1件ずつ保存できる
- 電子名刺として使える
デメリット:
- 1件ずつしかエクスポートできない
- 一括エクスポートには不向き
vCard形式でエクスポートする手順
- アドレス帳を開く
- エクスポートしたい連絡先を選択
- 1件だけクリックする
- 右クリックメニューから「vCardとしてエクスポート」
- または、メニューバーの「ファイル」→「書き出し」→「vCardとして」
- 保存先とファイル名を指定
- 「保存」をクリック
複数の連絡先をvCardでエクスポート
複数選択してエクスポートすることもできます。
手順:
Ctrlキー(Mac:⌘キー)を押しながら複数選択- 右クリックで「vCardとしてエクスポート」
- 保存先を選択
- ファイル名を入力
これで、選択した連絡先がすべて1つのvCardファイルに保存されます。
用途別のおすすめエクスポート方法
状況に応じた最適な方法を紹介します。
ケース1:別のThunderbirdに移行
推奨形式:LDIF
手順:
- 元のThunderbirdでLDIF形式でエクスポート
- ファイルをUSBメモリやクラウドで移動
- 新しいThunderbirdでインポート
これで、すべてのデータが完全に移行できます。
ケース2:Gmailに移行
推奨形式:CSV
手順:
- ThunderbirdでCSV形式でエクスポート
- Googleコンタクト(contacts.google.com)を開く
- 「インポート」をクリック
- CSVファイルを選択してアップロード
Googleが自動的にフィールドをマッピングしてくれます。
ケース3:Outlookに移行
推奨形式:CSV
手順:
- ThunderbirdでCSV形式でエクスポート
- Outlookを開く
- 「ファイル」→「開く/エクスポート」→「インポート/エクスポート」
- 「他のプログラムまたはファイルからのインポート」を選択
- CSVファイルを指定
フィールドの対応付けが必要な場合があります。
ケース4:iPhoneに移行
推奨形式:vCard
手順:
- ThunderbirdでvCard形式でエクスポート
- vCardファイルをメールで自分に送信
- iPhoneでメールを開く
- 添付されたvCardをタップ
- 「すべての連絡先を追加」をタップ
複数の連絡先がある場合は、何度か繰り返します。
ケース5:定期的なバックアップ
推奨形式:LDIFとCSVの両方
手順:
- LDIF形式でエクスポート(完全なバックアップ)
- CSV形式でもエクスポート(編集や閲覧用)
- 日付を含むファイル名で保存
- クラウドストレージに保存
月1回程度バックアップすると安心です。
エクスポート後のデータ管理

エクスポートしたファイルの管理方法です。
ファイル名の付け方
分かりやすく管理しやすい名前を付けましょう。
推奨パターン:
アドレス帳_YYYYMMDD.csv
addressbook_20241114.ldif
連絡先バックアップ_2024年11月.csv
含めると良い情報:
- 日付
- 形式
- 用途
保存場所の選択
安全な場所に保存しましょう。
推奨保存場所:
- ローカルPC
- ドキュメントフォルダ
- 専用のバックアップフォルダ
- 外部ストレージ
- USBメモリ
- 外付けHDD
- クラウドストレージ
- Google Drive
- OneDrive
- Dropbox
複数の場所に保存すると、より安全です。
バックアップの頻度
定期的にバックアップを取りましょう。
推奨頻度:
- 個人利用:月1回
- ビジネス利用:週1回
- 大量更新後:すぐにバックアップ
カレンダーにリマインダーを設定すると忘れません。
トラブルシューティング
よくある問題と解決方法です。
問題1:エクスポートメニューが見つからない
原因:
- Thunderbirdのバージョンが古い
- メニューの位置が違う
解決方法:
Thunderbird 78以降:
- 「ツール」→「書き出し」
古いバージョン:
- アドレス帳ウィンドウで「ツール」→「エクスポート」
メニューバーが表示されていない場合:
Altキーを押す(Windows)- メニューバーが一時的に表示される
問題2:文字化けが発生する
原因:
- 文字エンコーディングの問題
- Excelの読み込み設定
解決方法:
方法1:Excelの設定を変更
- データタブから「テキストファイル」を選択
- 「UTF-8」を指定してインポート
方法2:LibreOffice Calcを使う
- LibreOffice Calcは文字化けしにくい
- 無料でダウンロード可能
方法3:LDIF形式を使う
- 文字化けしない形式
問題3:エクスポートしたファイルが空
原因:
- アドレス帳に連絡先が登録されていない
- 間違ったアドレス帳を選択した
解決方法:
- アドレス帳に連絡先があるか確認
- 正しいアドレス帳を選択しているか確認
- もう一度エクスポートを試す
問題4:すべてのデータがエクスポートされない
原因:
- CSV形式では一部の情報が省略される
- フィールドの対応が不完全
解決方法:
- LDIF形式を使用する
- 複数の形式でエクスポートして比較
問題5:保存先が分からなくなった
原因:
- 保存先を確認せずに保存した
解決方法:
Windowsの場合:
- エクスプローラーで検索
- ファイル名で検索(拡張子:
.csv、.ldif) - 更新日時でソート
Macの場合:
- Finderで検索
- ファイル名または拡張子で検索
データの編集と整理
エクスポート後にデータを編集する方法です。
CSVファイルの編集
Excelで開いて編集できます。
編集できる項目:
- 名前
- メールアドレス
- 電話番号
- 住所
- その他の情報
編集手順:
- ExcelでCSVファイルを開く
- データを修正・追加・削除
- 「名前を付けて保存」でCSV形式で保存
- Thunderbirdにインポートし直す
重複の削除
重複した連絡先を削除する方法です。
Excel使用:
- CSVファイルを開く
- メールアドレス列でソート
- 重複を手動で削除
- 保存してインポート
専用ツール使用:
- Duplicate Contact Manager(アドオン)
- オンラインツール
データの統合
複数のアドレス帳を1つにまとめる方法です。
手順:
- 各アドレス帳をCSVでエクスポート
- Excelで1つのファイルに統合
- 重複を削除
- Thunderbirdにインポート
セキュリティとプライバシー
連絡先データの取り扱いには注意が必要です。
個人情報の保護
注意点:
- 他人のメールアドレスや電話番号が含まれている
- 個人情報保護法の対象になる可能性
- 流出すると重大な問題になる
対策:
- ファイルにパスワードを設定
- 暗号化された場所に保存
- 不要になったら確実に削除
- クラウドに保存する際は慎重に
ファイルの暗号化
重要なデータは暗号化しましょう。
方法1:Zipファイルでパスワード保護
- エクスポートしたファイルを選択
- 右クリック→「送る」→「圧縮(zip形式)フォルダー」
- Zipファイルにパスワードを設定
方法2:暗号化ソフトを使用
- VeraCrypt
- 7-Zip(パスワード付き圧縮)
廃棄時の注意
不要になったファイルは完全に削除しましょう。
安全な削除方法:
- ごみ箱を空にする
- 専用の削除ソフトを使う
- SSDの場合は上書き削除
よくある質問と回答
Q1. 複数のアドレス帳を一度にエクスポートできる?
A. Thunderbirdの標準機能では、アドレス帳は1つずつしかエクスポートできません。複数ある場合は、それぞれ個別にエクスポートしてから、必要に応じてExcelなどで統合する必要があります。
Q2. エクスポートしたファイルはどこに保存される?
A. エクスポート時に自分で指定した場所に保存されます。指定しなかった場合は、ドキュメントフォルダやダウンロードフォルダに保存されていることが多いです。
Q3. メーリングリストもエクスポートできる?
A. はい、メーリングリストもアドレス帳と一緒にエクスポートされます。LDIF形式を使うと、メーリングリストの情報も完全に保持されます。
Q4. エクスポート後、元のThunderbirdのアドレス帳は消える?
A. いいえ、消えません。エクスポートは「コピー」なので、元のアドレス帳はそのまま残ります。
Q5. 他のメールソフトからThunderbirdにインポートする方法は?
A. 他のソフトでCSVやvCard形式にエクスポートして、Thunderbirdの「ツール」→「インポート」からインポートできます。
Q6. 写真もエクスポートできる?
A. 連絡先に登録した写真は、LDIF形式でエクスポートすれば保持されます。CSV形式では写真は含まれません。
まとめ
Thunderbirdのアドレス帳エクスポートについてまとめます。
主要なエクスポート形式:
- CSV:汎用性が高い、他のソフトとの互換性○
- LDIF:Thunderbird専用、データ完全保持
- vCard:スマホと互換性、個別エクスポート
基本的な手順:
- アドレス帳を開く
- エクスポートするアドレス帳を選択
- 「ツール」→「書き出し」
- 形式と保存先を指定
- 保存
用途別のおすすめ:
- Thunderbird間の移行 → LDIF
- Gmailへの移行 → CSV
- スマホへの移行 → vCard
- バックアップ → LDIFとCSV両方
重要なポイント:
- 定期的にバックアップを取る
- 複数の場所に保存する
- 個人情報の取り扱いに注意
- ファイル名に日付を含める
アドレス帳は大切な資産です。定期的にエクスポートして、安全に保管しましょう。
この記事が、あなたのデータ管理の役に立てば嬉しいです。安心してメールライフを楽しんでください!

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