遥か彼方の星に、この世の終わりを防ぐための知識が眠っているとしたら、あなたは信じられますか?
クトゥルフ神話の世界には、地球から25光年も離れた星の図書館に保管されていた、驚くべき知識が存在します。それが「セラエノ断章」です。
この断章には、恐ろしい邪神たちから身を守る方法や、異次元の存在を呼び出す術が記されていました。ある老学者は、この知識によって何度も命を救われたといいます。
この記事では、星の彼方から地球にもたらされた神秘の文献「セラエノ断章」について、その由来や内容、秘められた力を分かりやすくご紹介します。
概要

セラエノ断章は、クトゥルフ神話に登場する魔術書です。
ただし、他の多くの魔術書とは決定的に違う点があります。それは書物ではなく、石板に刻まれた情報だということなんです。
この断章の名前は、おうし座のプレアデス星団にある星「セラエノ」に由来しています。その星の第四惑星には巨大な図書館があり、そこに保管されていた破損した石板。それこそが、セラエノ断章の正体なのです。
地球でこの知識を広めたのは、ミスカトニック大学のラバン・シュリュズベリィ博士でした。博士が石板の内容を英語に翻訳し、約50ページの手書き写本として残したものが、現在「セラエノ断章」と呼ばれています。
創造したのは、クトゥルフ神話の発展に大きく貢献した作家オーガスト・ダーレスです。
由来・起源
セラエノ断章の誕生には、壮大な宇宙規模の物語が隠されています。
セラエノの大図書館
プレアデス星団の恒星セラエノ。その星には、想像を絶する規模の図書館が存在していました。
この図書館には、旧支配者たちが「旧き神」から盗み出した石碑が数多く保管されていたんです。
旧支配者というのは、クトゥルフをはじめとする邪悪な神々のこと。旧き神は、その旧支配者たちの敵対者でした。つまり、敵から奪った重要な情報が、この図書館に集められていたわけですね。
博士の星間旅行
ラバン・シュリュズベリィ博士は、何らかの方法でこの遠い星まで旅をしました。
地球から25光年という途方もない距離です。博士がどうやってそこに到達したのかは謎ですが、彼は図書館に滞在中、破損した巨大な石板を発見します。
その石板には、生身の人間の目に触れたことがない秘密の知識が刻まれていました。博士はこれらを丹念に英語へと翻訳していったのです。
内容
セラエノ断章には、邪神との戦いで生き延びるための実践的な知識が詰まっています。
護身の術
断章に記された主な内容は、以下のようなものでした。
記載されている主な知識
- 旧き印:外なる神やその下僕たちを退けるシンボル
- 火神クトゥグアの召喚法:フォーマルハウトから炎の神を呼び出す方法
- 神秘の蜂蜜酒の製法:時空の束縛から解放され、時間や空間を超えた旅を可能にする魔法の飲み物
- ビヤーキーの召喚:有翼の魔物を呼び出す石笛の使用方法
実用的な防衛知識
これらは単なる理論ではありませんでした。
シュリュズベリィ博士は実際に、神秘の蜂蜜酒と石笛を組み合わせて使用し、幾度となく危機から逃れることができたといいます。
特にクトゥグアの召喚法は重要でした。クトゥグアは火の神ですが、適切に呼び出せば、邪神たちから身を守る盾となってくれるのです。
また、旧き印は外なる神(アザトースなど、最も強大で混沌とした神々)の力を退ける効果があり、まさに最後の防衛手段として機能しました。
歴史
セラエノ断章の写本は、波乱に満ちた運命をたどってきました。
最初の預託(1915年)
1915年、シュリュズベリィ博士は自筆の写本をミスカトニック大学附属図書館に預けました。
この時、博士は謎の失踪を遂げる直前だったのです。まるで、大切な知識を安全な場所に残しておこうとしたかのようでした。
複写版の作成
博士の失踪中、何人かの学者たちがこの貴重な写本を閲覧する機会を得ました。
主な閲覧者と写本作成者
- アサフ・ギルマン教授(ボストンの核物理学者):要約版を作成
- ヴィヴァロ・アンドロス教授(リマ大学):要約版を作成
- セネカ・ラファム教授:通読
- ウィンフィールド・フィリップス:1924年に閲覧
こうして、セラエノ断章の知識は少しずつ広まっていきました。
博士の帰還(1935年)
失踪から20年後の1935年、シュリュズベリィ博士は突然アーカムに戻ってきました。
彼はすぐにミスカトニック大学に向かい、預けていた写本を一旦回収します。その後も、博士と大学の間を写本は何度か行き来することになりました。
博士がこの写本を大切に扱っていたのも当然です。この知識こそが、邪神たちとの戦いで彼の命を守ってきたからなのです。
保管状況
現在、セラエノ断章の写本は厳重に管理されています。
ミスカトニック大学での管理
シュリュズベリィ博士の最終的な意志により、写本はミスカトニック大学附属図書館に収蔵されました。
ただし、誰でも読めるわけではありません。厳重な鍵がかけられており、無関係な人間が内容に目を通すことは非常に難しくなっています。
これは当然の措置でした。断章に記された知識は強力すぎて、悪用されれば大変な事態を招きかねないからです。
二つ折判の形態
現存する写本は二つ折判(本のページを2回折りたたんだサイズ)という形式です。
約50ページという比較的コンパクトなサイズながら、その中には計り知れない知識が凝縮されているのです。
まとめ
セラエノ断章は、星の彼方からもたらされた究極の護身の書です。
重要なポイント
- 25光年彼方のセラエノ星の図書館にあった石板が原本
- 旧支配者が旧き神から盗んだ秘密の知識を記録
- ラバン・シュリュズベリィ博士が英語に翻訳
- 邪神を退ける旧き印や召喚術など実践的な防衛知識を収録
- 約50ページの手書き写本として現存
- 1915年にミスカトニック大学に預けられる
- 現在は厳重に保管され、閲覧は制限されている
- 創造者はオーガスト・ダーレス
書物ではなく星の石板から始まったという点が、セラエノ断章の最大の特徴です。もしかすると、宇宙のどこかには今も、私たちの知らない知識を秘めた図書館が存在しているのかもしれませんね。


コメント