【クトゥルフ神話の禁断の書】エイボンの書とは?内容・著者・ネクロノミコンとの関係を解説!

神話・歴史・伝承

古代の魔道師が記した、恐ろしい呪文と秘儀の数々。

もしあなたが図書館の奥深くで、黒い装丁の古びた本を見つけたとしたら…その本は決して開いてはいけない「エイボンの書」かもしれません。

クトゥルフ神話に登場するこの魔導書は、人類が知ってはならない秘密を記した、もう一つの「ネクロノミコン」と呼ばれる危険な書物なんです。

この記事では、クトゥルフ神話を代表する魔導書「エイボンの書」について、その内容や著者、ネクロノミコンとの深い関係を分かりやすくご紹介します。

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概要

エイボンの書(Book of Eibon)は、クトゥルフ神話作品に登場する架空の魔導書です。

この本は、クラーク・アシュトン・スミスというアメリカの作家が1933年に創造しました。スミスは、クトゥルフ神話の生みの親であるH.P.ラヴクラフトの友人で、お互いの作品に登場する設定を共有していたんですね。

エイボンの書は、古代ハイパーボリア大陸の大魔道師エイボンが著したとされ、「暗黒たる不気味な神話、邪悪かつ深遠な呪文、儀式、典礼の集大成」と表現される恐ろしい書物です。

ラヴクラフトの「ネクロノミコン」と並ぶ、クトゥルフ神話における二大魔導書の一つとして知られています。

内容・特徴

エイボンの書には、どんなことが書かれているのでしょうか?

記載されている主な内容

この魔導書には、以下のような秘密の知識が記されています。

  • ツァトゥグァ:著者エイボンが崇拝していた邪神についての詳しい説明
  • ヨグ=ソトース:時空を超越する恐ろしい存在についての記述
  • ハイパーボリア大陸:著者の故郷である古代大陸の歴史と地理
  • 旧支配者と外なる神:人類以前に地球を支配していた超自然的存在たち
  • 禁断の呪文と儀式:ネクロノミコンにさえ載っていない秘術

特別な価値

この書物が特に重要なのは、ネクロノミコンと互いに補完し合う関係にあるからです。

ネクロノミコンの著者アブドゥル・アルハザードが知らなかったこと、あるいは意図的に書かなかった情報が、エイボンの書には記されているんですね。そのため、神秘学者たちの間では、両方の本を照らし合わせて研究することで、より深い理解が得られるとされています。

現存する形態

原本は現在も発見されていませんが、複数の言語に翻訳された写本が存在します。

ただし、翻訳と複写を繰り返す過程で内容に違いが生じており、どの版も完全ではないとされています。羊の皮で装丁された写本もあると言われ、その不気味な外見も人々を恐れさせました。

著者エイボンについて

この恐ろしい書物を書いたエイボンとは、どんな人物だったのでしょうか?

エイボンの生涯

エイボンは、氷河期以前の北ヨーロッパに存在したと言われるハイパーボリア大陸の魔道師でした。

彼の住まいと特徴

  • 居住地:ハイパーボリア北方のムー・トゥーラ島
  • 住居:黒い片麻岩で造られた館
  • 信仰:邪神ツァトゥグァを崇拝
  • 評判:住民たちから畏れられながらも崇拝された

エイボンは多くの魔術に精通しており、その知識を書物にまとめていきました。彼の館には弟子たちも集まり、禁断の知識を学んでいたそうです。

エイボンの最期

エイボンの人生は、劇的な結末を迎えます。

当時のハイパーボリアでは、女神イホウンテーを信仰する宗教勢力が力を持っていました。彼らはツァトゥグァ崇拝を邪教と見なし、エイボンを弾圧し始めたんです。

追い詰められたエイボンは、魔法の力を使って土星へ逃げ去ったとされています。この時、彼が残していった原稿が、後に「エイボンの書」として知られるようになりました。

エイボンに関連する魔術アイテム

エイボンは書物以外にも、いくつかの魔術的なアイテムを残しています。

  • エイボンの印:3本の脚で鉤十字のような形を描いた図象で、ナイアーラトテップの配下から身を守る護符
  • エイボンの指輪:フランスの魔術師の家系に代々伝わった魔法の指輪
  • 霧の車輪の呪文:エイボンの印と組み合わせて使う防御呪文

歴史と翻訳

エイボンの書は、長い年月をかけて様々な言語に翻訳されてきました。

翻訳の歴史

原本はハイパーボリア語で書かれていましたが、以下のような翻訳が作られています。

主要な翻訳版

  1. 9世紀のラテン語版:カイアス・フィリパス・フェイバーによる翻訳
  2. 13世紀の中世フランス語版:アヴェロワーニュの魔道士ガスパール・ドゥ・ノルドによる翻訳
  3. 15世紀の英語版:写本が多く、信頼性は低いとされる

翻訳を重ねるたびに内容が変化し、巻数や記述に違いが生じていったんですね。また、「象牙の書(Ivonisの書)」という別名でも知られるようになりました。

現代における所蔵

クトゥルフ神話の物語の中では、ミスカトニック大学附属図書館が不完全な断片をいくつか収蔵しているとされています。

その他にも、世界中の秘密結社や個人のコレクターが、様々な版を所持しているという設定です。中には、所有者が謎の死を遂げた後に図書館へ寄贈されたものもあるそうです。

危険な書物として

この書物は、単なる歴史資料ではありません。

物語の中では、エイボンの書を読んだ人物が、その知識を使って恐ろしい存在を召喚してしまったり、精神に異常をきたしたりする事例が描かれています。そのため、厳重に管理され、一般の人々が簡単に閲覧できないようになっているんです。

ネクロノミコンとの関係

エイボンの書とネクロノミコンは、どのような関係にあるのでしょうか?

相互補完する二つの書

この2冊は、クトゥルフ神話における双璧として知られています。

ネクロノミコンは8世紀にアラビアの狂える詩人アブドゥル・アルハザードが著した書物で、主に中東や地中海地域の邪神について記述しています。一方、エイボンの書は古代ヨーロッパ北方の知識に基づいており、地域も時代も異なるんですね。

共通する内容と相違点

両方の書物を照らし合わせた研究者たちは、興味深い発見をしました。

多くの箇所で記述が対応している一方で、エイボンの書にしか載っていない情報も数多く存在するんです。特に、ネクロノミコンの翻訳過程で削除された禁断の知識や、アルハザードが知らなかった呪文などが記されていると言われています。

研究者たちの評価

神秘学者たちの間では、この2冊を合わせて研究することで、初めて全体像が見えてくるとされています。

ある学者は「エイボンの書はアブドゥル・アルハザードの知識の源泉だったのかもしれない」と推測しており、別の研究者は「両方とも、さらに古い原典から派生した可能性がある」と指摘しています。

いずれにせよ、どちらか一方だけでは不完全であり、両方を参照して初めて、クトゥルフ神話の全貌に近づけるというわけです。

まとめ

エイボンの書は、クトゥルフ神話を代表する恐ろしくも魅力的な魔導書です。

重要なポイント

  • クラーク・アシュトン・スミスが1933年に創造した架空の魔導書
  • 古代ハイパーボリアの魔道師エイボンが著者
  • ツァトゥグァやヨグ=ソトースなど、邪神についての詳しい記述
  • ネクロノミコンにない呪文や秘儀が記されている
  • ネクロノミコンと並ぶクトゥルフ神話の二大魔導書
  • 複数の言語に翻訳され、内容に違いが生じている
  • 読んだ者に危険をもたらす禁断の書物

もしもあなたが古書店や図書館で、羊皮に装丁された古びた本を見つけても、決して開いてはいけません。それは人類が知ってはならない秘密を記した、エイボンの書かもしれませんから。

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