「リビングのテレビでPCゲームを遊びたい」「スペックの低いノートPCでも、高性能が必要なゲームをプレイしたい」「寝室でゴロゴロしながらゲームを楽しみたい」…。
こんな願いを叶えてくれるのが、Steamストリーミング機能です。
Steamストリーミングを使えば、ゲーミングPCで動いているゲームを、他のデバイスに映像として配信できます。リビングのテレビ、タブレット、スマートフォン、性能の低いノートPCなど、様々なデバイスでPCゲームを楽しめるんです。
この記事では、Steamストリーミングとは何か、どうやって使うのか、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
Steamストリーミングとは?基本を理解しよう

まずは、Steamストリーミングがどういう仕組みなのか見ていきましょう。
ストリーミングの仕組み
ストリーミングとは、映像や音声をリアルタイムで配信する技術のことです。
Steamストリーミングでは、以下のような流れでゲームが配信されます。
- ホストPC(性能の高いゲーミングPC)でゲームを実行
- ゲームの映像と音声をエンコード(圧縮)
- ネットワーク経由でクライアントデバイス(テレビ、タブレットなど)に送信
- クライアント側で映像を表示
- コントローラーやキーボードの入力をホストPCに送り返す
つまり、実際にゲームが動いているのはホストPCで、クライアント側は「画面を見ているだけ」の状態なんです。
Steamストリーミングの種類
Steamには、いくつかのストリーミング機能があります。
| 機能名 | 説明 | 対象デバイス |
|---|---|---|
| Steam リモートプレイ | 同じネットワーク内でのストリーミング | PC、Mac、Linux |
| Steam リモートプレイ Together | 複数人でローカルマルチプレイ | PC、Mac、Linux |
| Steam Link | テレビやモバイルへのストリーミング | スマホ、タブレット、専用デバイス |
| Steam リモートプレイ Anywhere | インターネット経由での遠隔プレイ | PC、Mac、Linux |
Steam リモートプレイは、以前「Steam In-Home Streaming」と呼ばれていた機能の後継です。
メリットとデメリット
メリット
- 性能の低いデバイスでも高画質なゲームを楽しめる
- リビングのテレビでPCゲームをプレイできる
- ベッドやソファでリラックスしてゲームできる
- 既存のデバイスを活用できる(新しいゲーム機を買う必要がない)
デメリット
- ネットワーク環境が重要(遅延が発生することがある)
- 有線LAN接続が推奨される
- 一部のゲームは対応していない
- 画質が元のPCより低下することがある
Steam リモートプレイの使い方
最も基本的な機能である「Steam リモートプレイ」の使い方を見ていきましょう。
必要な環境
ホストPC(ゲームを実行する側)
- Steam がインストールされている
- プレイしたいゲームがインストールされている
- 高速なネットワーク接続(有線LAN推奨)
- 十分な性能(ゲームを快適に動かせる性能)
クライアントデバイス(映像を表示する側)
- Steam がインストールされている
- 同じSteamアカウントでログイン
- 同じローカルネットワークに接続
- コントローラーまたはキーボード・マウス
設定方法(ホストPC側)
ステップ1:Steam設定を開く
- Steamクライアントを起動
- 左上の「Steam」メニューをクリック
- 「設定」を選択
ステップ2:リモートプレイを有効化
- 左側のメニューから「リモートプレイ」を選択
- 「このコンピュータでリモートプレイを有効にする」にチェック
- 必要に応じて詳細設定を調整
詳細設定の項目
- 映像品質:「美しい」「バランス」「高速」から選択
- クライアントのオプション:解像度や帯域幅の制限
- ホストのオプション:優先するネットワークアダプタなど
クライアント側での接続方法
ステップ1:クライアントデバイスでSteamを起動
- クライアントPC(例:ノートPC)でSteamを起動
- 同じSteamアカウントでログイン
ステップ2:ホストPCを選択
- Steamライブラリを開く
- 画面上部に「リモートプレイ」のメニューが表示される
- ホストPCの名前が表示されるので選択
ステップ3:ゲームを起動
- プレイしたいゲームを選択
- 「プレイ」ボタンをクリック
- ストリーミングが開始される
ゲームはホストPC上で実行され、映像がクライアントに配信されます。
ストリーミング中の操作
パフォーマンスオーバーレイ
Shift + Tab キーでSteamオーバーレイを開き、パフォーマンス情報を確認できます。
- フレームレート
- 遅延(レイテンシ)
- 帯域幅
- パケットロス
設定の調整
ストリーミング中でも、オーバーレイから設定を変更できます。
- 映像品質の変更
- 解像度の変更
- ビットレートの調整
ストリーミングの終了
通常通りゲームを終了すれば、ストリーミングも終了します。
Steam Link アプリの使い方
スマートフォンやタブレットでストリーミングする方法です。
Steam Link アプリとは
Steam Linkは、モバイルデバイス向けのストリーミングアプリです。
スマートフォンやタブレットで、PCのSteamゲームをプレイできます。
対応デバイス
- Android(Android 5.0以降)
- iOS(iOS 11以降)
- Apple TV
- Raspberry Pi
アプリのインストール
Androidの場合
- Google Play Storeを開く
- 「Steam Link」を検索
- インストールボタンをタップ
iPhoneの場合
- App Storeを開く
- 「Steam Link」を検索
- 入手ボタンをタップ
どちらも無料でダウンロードできます。
初期設定
ステップ1:PCでSteamを起動
- ホストPCでSteamを起動しておく
- リモートプレイが有効になっているか確認
ステップ2:Steam Linkアプリを起動
- モバイルデバイスでSteam Linkアプリを起動
- 「開始」ボタンをタップ
ステップ3:PCを検出
- アプリが自動的にネットワーク上のPCを検索
- 自分のPCが表示されたらタップ
- PCに表示される4桁のコードを入力
ステップ4:コントローラーの設定
- Bluetoothコントローラーを接続(推奨)
- またはタッチスクリーンコントロールを使用
- コントローラーのテストを行う
ゲームのプレイ
設定が完了すれば、モバイルデバイスからゲームを起動できます。
- アプリでゲームライブラリを表示
- プレイしたいゲームを選択
- 「プレイ」をタップ
画面は横向きにして、コントローラーを使うのがおすすめです。
テレビでプレイする方法
スマートフォンの画面をテレビに出力することもできます。
Chromecastを使う方法
- Chromecastをテレビに接続
- Steam LinkアプリからChromecastにキャスト
- テレビに映像が表示される
HDMIケーブルを使う方法
対応するスマートフォンなら、HDMIケーブルでテレビに直接接続できます。
Steam リモートプレイ Together
友達と一緒にローカルマルチプレイゲームを楽しめる機能です。
リモートプレイ Together とは
リモートプレイ Togetherは、ローカルマルチプレイ対応ゲームを、オンラインで一緒にプレイできる機能です。
例
ソファで一緒にプレイする協力ゲームを、離れた友達とオンラインで楽しめます。
- 格闘ゲーム
- レースゲーム
- パーティーゲーム
- 協力アクションゲーム
使い方
ホスト側(ゲームを実行する人)
- リモートプレイ Together対応ゲームを起動
- Shift + Tab でSteamオーバーレイを開く
- 「リモートプレイ Together」ボタンをクリック
- 招待したい友達を選択
- 招待を送信
ゲスト側(参加する人)
- 友達から招待通知が届く
- 「参加」ボタンをクリック
- ストリーミングが開始され、ゲームに参加
必要な条件
- ホストだけがゲームを所有していればOK
- ゲストはゲームを持っていなくても参加できる
- ゲストもコントローラーが必要
対応ゲームの探し方
- Steamストアを開く
- 検索フィルターで「リモートプレイ Together」を選択
- 対応ゲームが一覧表示される
人気のある対応ゲームには、以下のようなものがあります。
- Overcooked! 2
- Castle Crashers
- Gang Beasts
- Moving Out
- Unrailed!
快適にプレイするためのコツ

ストリーミングを快適に楽しむためのポイントです。
ネットワーク環境の最適化
有線LAN接続が最強
可能な限り、ホストPCとクライアントデバイスの両方を有線LANで接続しましょう。
Wi-Fiよりも安定して、遅延が少なくなります。
Wi-Fi接続のコツ
有線が使えない場合は、以下の点に注意してください。
- 5GHz帯のWi-Fiを使用(2.4GHzより高速)
- ルーターとの距離を近くする
- 障害物を減らす
- Wi-Fi 5(802.11ac)以上を使用
ルーターの設定
QoS(Quality of Service)機能があるルーターなら、Steamの通信を優先するよう設定できます。
画質と遅延のバランス
ストリーミング設定で、画質と遅延のバランスを調整できます。
アクションゲームの場合
遅延を最小限にするため、画質を下げます。
- 映像品質:「高速」
- 解像度:720p
- フレームレート:60fps
RPGやアドベンチャーゲームの場合
遅延は気にならないので、画質を優先します。
- 映像品質:「美しい」
- 解像度:1080p以上
- フレームレート:30fpsでもOK
コントローラーの選び方
ストリーミングでは、コントローラーの使用を強く推奨します。
推奨コントローラー
- Xbox One/Series コントローラー
- PlayStation 4/5 コントローラー
- Nintendo Switch Pro コントローラー
Bluetooth接続のワイヤレスコントローラーが便利です。
ホストPCの設定
スリープを無効にする
ストリーミング中にPCがスリープしないよう設定しましょう。
- Windowsの「設定」を開く
- 「システム」→「電源とスリープ」を選択
- 「スリープ」を「なし」に設定
ファイアウォールの設定
Steamの通信を許可する必要があります。
通常は自動で設定されますが、問題がある場合は手動で許可してください。
トラブルシューティング
よくある問題と解決方法です。
クライアントからホストPCが見えない
原因と対処法
原因1:同じネットワークに接続していない
両方のデバイスが同じWi-Fiまたは同じルーターに接続されているか確認してください。
原因2:ファイアウォールでブロックされている
Windowsファイアウォールの設定を確認し、Steamを許可リストに追加します。
原因3:Steamのバージョンが古い
両方のデバイスで、Steamを最新版にアップデートしてください。
映像がカクカクする
原因と対処法
原因1:ネットワークが遅い
- 有線LAN接続に変更
- 他のデバイスでの大容量ダウンロードを停止
- ルーターを再起動
原因2:ホストPCの性能不足
- ゲームの画質設定を下げる
- バックグラウンドアプリを終了
- ストリーミングの解像度を下げる
原因3:映像品質の設定が高すぎる
Steamのリモートプレイ設定で、映像品質を「バランス」または「高速」に変更してください。
遅延が大きい
原因と対処法
ネットワーク遅延
- 有線LAN接続を使用
- ストリーミング設定で「高速」を選択
- 解像度を720pに下げる
- フレームレートを60fpsに設定
エンコード遅延
ホストPCのグラフィックカードが、ハードウェアエンコーディングに対応しているか確認してください。
NVIDIA、AMD、Intelの最近のGPUなら対応しています。
音声が途切れる
原因と対処法
バッファ設定の調整
Steamオーバーレイから、オーディオ設定を変更できます。
バッファサイズを大きくすると、途切れが減ります。
音声コーデックの変更
設定で音声コーデックを変更してみてください。
コントローラーが動作しない
原因と対処法
- クライアントデバイスでコントローラーが認識されているか確認
- Steamのコントローラー設定を確認
- Big Pictureモードで試す
- コントローラーを接続し直す
セキュリティとプライバシー
ストリーミングを安全に使うための注意点です。
自宅ネットワーク内での使用
Steam リモートプレイは、基本的に同じネットワーク内での使用を想定しています。
公共のWi-Fiなどでは使用しないでください。
インターネット経由でのストリーミング
Steam リモートプレイ Anywhereを使えば、外出先からでもストリーミングできます。
ただし、以下の点に注意が必要です。
セキュリティ設定
- Steamの設定で「リモートプレイ」を開く
- 「リモートプレイ Anywhere」の設定を確認
- PINコードを設定する
通信の暗号化
Steam リモートプレイの通信は暗号化されています。
ただし、公共のWi-Fiを使う場合は、VPNの使用を検討してください。
共有の範囲
リモートプレイ Togetherで友達を招待する際は、信頼できる人だけを招待しましょう。
ゲストはホスト画面を見ることができるため、個人情報が映り込まないよう注意が必要です。
おすすめの活用シーン

Steamストリーミングの便利な使い方をご紹介します。
リビングでのゲームプレイ
大画面テレビでPCゲームを楽しむのに最適です。
セットアップ例
- ホストPC:書斎のゲーミングPC
- クライアント:リビングのノートPC
- 出力:テレビ(HDMIケーブルで接続)
- 入力:Bluetoothコントローラー
ベッドでのリラックスプレイ
寝室でゴロゴロしながらゲームを楽しめます。
セットアップ例
- ホストPC:デスクのゲーミングPC
- クライアント:タブレットまたはノートPC
- 入力:ワイヤレスコントローラー
RPGやアドベンチャーゲームなど、アクション性の低いゲームがおすすめです。
友達との協力プレイ
リモートプレイ Togetherで、離れた友達と一緒にプレイできます。
- パーティーゲームを自宅で一緒に楽しむ感覚
- 友達がゲームを持っていなくてもOK
- オンライン音声チャットと組み合わせて盛り上がる
旅行先でのゲームプレイ
ノートPCを持って旅行する際、軽量なPCでも自宅の高性能PCのゲームをプレイできます。
必要なもの
- 安定したインターネット接続(ホテルのWi-Fiなど)
- VPN(セキュリティのため)
- 低遅延が必要ないゲーム(RPGなど)
まとめ
Steamストリーミング機能について解説してきました。
重要なポイント
- Steamストリーミングは性能の低いデバイスでもPCゲームを楽しめる機能
- Steam リモートプレイで同じネットワーク内のデバイスにストリーミング
- Steam Linkアプリでスマホやタブレットでもプレイ可能
- リモートプレイ Togetherで友達とローカルマルチプレイを楽しめる
- 快適にプレイするには有線LAN接続が重要
- 画質と遅延のバランスを調整できる
- コントローラーの使用を推奨
- セキュリティとプライバシーに注意が必要
Steamストリーミングを活用すれば、自宅のどこでもPCゲームを楽しめます。
リビングのテレビやベッド、友達との協力プレイなど、さまざまなシーンで活躍する便利な機能です。
まずは同じネットワーク内でのリモートプレイから試してみて、快適なゲーム環境を構築してみてください!

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