ピアスの穴を開けたら、そこから白い糸のようなものが出てきた…そんな話を聞いたことはありませんか?
「引っ張ってみたら急に目が見えなくなった」「その糸は視神経だった」という恐ろしい噂が、1990年代から2000年代にかけて、学校や若者の間で広まりました。
ピアスをしたいけど怖い…そう思わせる、この都市伝説の正体は一体何だったのでしょうか。
この記事では、多くの若者を震え上がらせた都市伝説「耳から白い糸」について、その内容と真相を詳しくご紹介します。
概要

「耳から白い糸」は、ピアスの穴にまつわる都市伝説です。
1990年代から2000年代初頭にかけて、主に中学生や高校生の間で語り継がれました。
基本的なストーリー
耳に開けたピアスの穴から白い糸のようなものが出てきたので引っ張ったところ、糸が急にちぎれて、その人は目が見えなくなってしまった。その糸は視神経だったのだ。
この話は全国的に広まり、特にピアスをしたいと思っている若者たちの間で恐怖の対象となりました。
都市伝説の特徴
- ピアスという身近な行為が題材
- 医学的な用語(視神経)を使って信憑性を高めている
- 実際には医学的に不可能な内容
- 若者の行動を制限する「教育的方便」として使われた
実は、この都市伝説はピアス=不良という偏見を持つ親や教師が、子供たちにピアスをさせないための方便として広めたものだと考えられています。
伝承

基本的な話
ある少女が、友達がピアスをしているのを見ておしゃれをしたくなりました。
でも病院に行くお金を節約して、自分で耳たぶにピアスの穴を開けてしまったんです。
数日後、耳たぶが痒くなったので鏡を見てみると、その穴から細い白い糸が、にょろっとはみ出ていました。
「何かな?」と不思議に思った少女は、その糸を引っ張ってみたんです。
するとその瞬間、糸がぷつんと切れて、急に目の前が真っ暗になってしまいました。
その白い糸を切ったことによって、少女は失明してしまったのです。
派生したバージョン
この都市伝説には、いくつかのバリエーションがあります。
様々な結末パターン
- 白い糸を引っ張ったら目玉が引っくり返った
- 糸を切ったら口がきけなくなった
- 脳幹神経の一部を引っ張り出してしまった
- 失明したことを恨んで、ピアスをしている人の耳を齧る「かじり女(カオルさん)」になった
特に「かじり女」への変化は、都市伝説が怪談として進化した例です。
被害者が新たな加害者となって、ピアスをしている人を襲うという恐怖の連鎖が描かれているんですね。
真相は?
医学的には、この話は完全に不可能です。
科学的な事実
- 視神経は耳たぶに通っていない:視神経は脳神経の一つで、脳と目を直接つないでいます
- 視神経の太さ:視神経はタコ糸程度の太さがあり、小さなピアス穴から出ることはありません
- 画家ゴッホの例:ゴッホは耳たぶを失いましたが、失明はしていません
- ツボの説:東洋医学のツボが原因とする説もありますが、科学的根拠はありません
では、白い物体の正体は?
実際にピアスの穴から白い物体が出ることはあります。それは:
- 角栓:にきびと同じような、余分な脂分の集合体
- 粉瘤腫の中身:皮膚の下にできる袋状の腫瘍の内容物
これらは引っ張っても失明することはなく、単なる皮膚の老廃物なんです。
この噂が広まった理由
この都市伝説が広まった背景には、当時の社会状況があります。
1990年代の価値観
- ピアス=不良、非行というイメージが強かった
- 学校では基本的にピアスが禁止されていた
- 親や教師がピアスを強く反対していた
一部の親や教師が、子供たちにピアスをさせないための教育的方便として、この恐怖話を利用したんです。
「ピアスをすると失明する」という嘘の情報で脅すことで、子供たちの行動を制限しようとしたわけですね。
この方法が効果的だったため、話が広く流布して都市伝説化したと考えられています。
まとめ
「耳から白い糸」は、社会の価値観と若者文化の対立から生まれた都市伝説です。
重要なポイント
- ピアスの穴から白い糸(視神経)が出て失明するという都市伝説
- 医学的には完全に不可能な内容
- 視神経は耳たぶに通っておらず、サイズも合わない
- 実際の白い物体は角栓や粉瘤腫の中身
- ピアス=不良という偏見から生まれた教育的方便
- 1990年代から2000年代に若者の間で広まった
- 「かじり女」など様々な派生バージョンが存在
現代では、ピアスは一般的なファッションとして受け入れられています。
適切な方法で穴を開け、清潔に保てば、ピアスは安全に楽しめるアクセサリーなんです。
この都市伝説は、時代の価値観が生み出した「恐怖による教育」の一例として、興味深い文化現象だと言えるでしょう。


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