「MacでフォーマットしたUSBメモリが、Windowsで使えない…」
「Windowsの外付けハードディスクをMacに接続したら、読み取り専用になってる」
こんな経験、ありませんか?
MacとWindowsでは、データを保存する仕組み(ファイルシステム)が異なります。この違いを理解していないと、データのやり取りで困ることがあります。この記事では、MacとWindowsのフォーマットの違いと、両方で快適に使う方法を分かりやすく解説します。
外付けドライブを両方のOSで使いたい方は、必見です。
ファイルシステムとフォーマットの基礎知識

まず、基本的な用語を理解しましょう。
ファイルシステムとは
ファイルシステムとは、コンピューターがデータをハードディスクやUSBメモリに保存・管理する仕組みのことです。
例えるなら、図書館の本の整理方法のようなものです。どこに何があるか、どうやって探すか、そのルールがファイルシステムです。
フォーマットとは
フォーマットとは、ドライブをある特定のファイルシステムで初期化することです。
フォーマットすると、ドライブ内のすべてのデータが消去され、新しいファイルシステムで使えるようになります。新品のドライブを使う前や、別のOSで使えるようにする時に行います。
Macの主なファイルシステム
Macで使われる主なファイルシステムを見ていきましょう。
APFS(エーピーエフエス)
正式名称:Apple File System
APFSは、2017年から導入された、Appleの最新ファイルシステムです。
特徴
- macOS 10.13(High Sierra)以降の標準フォーマット
- SSDに最適化されている
- 高速で効率的
- スナップショット機能がある
- 暗号化に対応
- macOSでしか使えない
使用場面
Macの内蔵ストレージは、基本的にAPFSでフォーマットされています。Mac専用として使う外付けドライブにも適しています。
Mac OS拡張(HFS+)
正式名称:Hierarchical File System Plus
APFSが登場する前に使われていたファイルシステムです。
特徴
- 2017年以前のMacの標準フォーマット
- ハードディスクに適している
- Time Machineのバックアップに対応
- macOSでしか使えない
使用場面
古いバージョンのmacOSとの互換性が必要な場合や、Time Machineのバックアップ用ドライブに使われます。
Windowsの主なファイルシステム

次に、Windowsで使われるファイルシステムを見ていきましょう。
NTFS(エヌティーエフエス)
正式名称:New Technology File System
NTFSは、Windows NT以降で使われている標準ファイルシステムです。
特徴
- Windows XP以降の標準フォーマット
- 大容量ファイル(4GB以上)に対応
- ファイルの圧縮や暗号化が可能
- アクセス権限の細かい設定ができる
- 安定性と信頼性が高い
Macでの扱い
Macは、NTFSドライブを読み取り専用で認識できます。つまり、ファイルは見られるけど、新しくファイルを保存したり、既存のファイルを編集したりはできません。
FAT32(ファットサーティーツー)
正式名称:File Allocation Table 32
古くから使われている、互換性の高いファイルシステムです。
特徴
- Windows、Mac、Linux など、ほぼすべてのOSで読み書きできる
- 1ファイル最大4GBまで
- ドライブ全体で最大2TBまで
- シンプルで軽量
- 古いデバイスにも対応
使用場面
小容量のUSBメモリなど、様々なデバイスで使いたい場合に適しています。ただし、大きなファイルは扱えないという制限があります。
exFAT(エクスファット)
正式名称:Extended File Allocation Table
FAT32の制限を解消した、新しいファイルシステムです。
特徴
- Windows、Mac の両方で読み書きできる
- ファイルサイズの制限がほぼない(理論上16EB)
- ドライブ容量の制限もほぼない
- USBメモリや外付けドライブに最適
- 比較的新しいOS(Windows XP SP2以降、macOS 10.6.5以降)が必要
使用場面
MacとWindowsの両方で使う外付けドライブに最適です。大きな動画ファイルなどを扱う場合に特に便利です。
フォーマットの互換性一覧表
各フォーマットの互換性を、分かりやすく表にまとめました。
Windowsでの使用
- APFS:認識できない
- Mac OS拡張(HFS+):認識できない(特別なソフトが必要)
- NTFS:読み書きできる
- FAT32:読み書きできる
- exFAT:読み書きできる
Macでの使用
- APFS:読み書きできる
- Mac OS拡張(HFS+):読み書きできる
- NTFS:読み取り専用(書き込みには特別なソフトが必要)
- FAT32:読み書きできる
- exFAT:読み書きできる
両方で使える
MacとWindowsの両方で問題なく読み書きできるのは:
- exFAT(最もおすすめ)
- FAT32(小容量の場合)
目的別おすすめフォーマット

用途に応じて、最適なフォーマットを選びましょう。
MacとWindowsで共有する外付けドライブ
おすすめ:exFAT
両方のOSで読み書きできて、大容量ファイルにも対応しています。
選択肢:FAT32
非常に古いデバイスとの互換性が必要な場合や、4GB以下の小さなファイルしか扱わない場合は、FAT32でも問題ありません。
Mac専用の外付けドライブ
おすすめ:APFS
最新のMacを使っているなら、APFSが最適です。高速で効率的に動作します。
選択肢:Mac OS拡張
Time Machineのバックアップ用や、古いmacOSとの互換性が必要な場合は、Mac OS拡張を選びます。
Windows専用の外付けドライブ
おすすめ:NTFS
Windowsでのみ使うなら、NTFSが最適です。安定性が高く、大容量ファイルにも対応しています。
ゲーム機やテレビで使う
おすすめ:確認してから選択
デバイスの取扱説明書で、対応しているファイルシステムを確認してください。
一般的には:
- PlayStation:FAT32またはexFAT
- Xbox:NTFS
- テレビ(録画用):機種によって異なる
Macでドライブをフォーマットする方法
実際にMacでドライブをフォーマットする手順を説明します。
ディスクユーティリティを使う
ステップ1:ディスクユーティリティを起動
- 「アプリケーション」フォルダを開く
- 「ユーティリティ」フォルダを開く
- 「ディスクユーティリティ」をダブルクリック
またはSpotlight検索(Command + スペース)で「ディスクユーティリティ」と入力しても開けます。
ステップ2:ドライブを選択
左側のサイドバーから、フォーマットしたい外付けドライブを選択します。
注意:間違えて内蔵ドライブを選ばないように気をつけてください。
ステップ3:消去をクリック
上部のツールバーにある「消去」ボタンをクリックします。
ステップ4:フォーマット設定
消去の設定画面が表示されます。
名前:ドライブに付ける名前を入力(例:「共有ドライブ」)
フォーマット:用途に応じて選択
- MacとWindows両方で使う → exFAT
- Mac専用 → APFS
- Time Machine用 → Mac OS拡張(ジャーナリング)
方式:通常は「GUIDパーティションマップ」を選択
ステップ5:消去を実行
設定を確認したら、「消去」ボタンをクリックします。
「このディスクを消去してもよろしいですか?」という確認メッセージが表示されるので、もう一度「消去」をクリックします。
ステップ6:完了
フォーマットが完了すると、「消去プロセスが完了しました」と表示されます。「完了」をクリックして終了です。
注意点
データは完全に消えます
フォーマットすると、ドライブ内のすべてのデータが削除されます。重要なファイルがある場合は、必ず事前にバックアップを取ってください。
時間がかかることがある
大容量のドライブの場合、フォーマットに数分から数十分かかることがあります。
Windowsでドライブをフォーマットする方法
次に、Windowsでフォーマットする手順を説明します。
ディスクの管理を使う
ステップ1:ディスクの管理を開く
- スタートボタンを右クリック
- 「ディスクの管理」をクリック
または「Windows + X」キーを押して、メニューから「ディスクの管理」を選択します。
ステップ2:ドライブを選択
ディスクの管理画面で、フォーマットしたいドライブを見つけます。
通常、外付けドライブは「ディスク1」「ディスク2」などと表示されます。容量を確認して、正しいドライブか確かめましょう。
ステップ3:右クリックでメニューを表示
フォーマットしたいドライブのパーティション部分を右クリックし、「フォーマット」を選択します。
ステップ4:フォーマット設定
フォーマットの設定画面が表示されます。
ボリュームラベル:ドライブの名前を入力
ファイルシステム:用途に応じて選択
- MacとWindows両方で使う → exFAT
- Windows専用 → NTFS
- 古いデバイスとの互換性 → FAT32(32GB以下の場合のみ選択肢に表示)
アロケーションユニットサイズ:「既定」のまま
クイックフォーマット:チェックを入れたまま
ステップ5:フォーマットを実行
「OK」をクリックすると、警告メッセージが表示されます。
「このボリュームをフォーマットすると、すべてのデータが失われます」という内容を確認して、「OK」をクリックします。
ステップ6:完了
フォーマットが完了すると、ドライブが使える状態になります。
エクスプローラーから簡単にフォーマット
もっと簡単な方法もあります。
- エクスプローラーを開く
- 「PC」または「このPC」を表示
- フォーマットしたいドライブを右クリック
- 「フォーマット」を選択
- ファイルシステムを選んで「開始」をクリック
この方法では、FAT32の32GB制限があるので、大容量ドライブをFAT32でフォーマットする場合は「ディスクの管理」を使う必要があります。
大容量ドライブをFAT32でフォーマットする方法
WindowsではGUIから32GB以上のドライブをFAT32でフォーマットできませんが、コマンドプロンプトを使えば可能です。
コマンドプロンプトを使う
ステップ1:コマンドプロンプトを管理者として起動
- スタートメニューで「cmd」と検索
- 「コマンドプロンプト」を右クリック
- 「管理者として実行」を選択
ステップ2:ドライブレターを確認
エクスプローラーで、フォーマットしたいドライブのドライブレター(E:、F: など)を確認します。
ステップ3:フォーマットコマンドを実行
以下のコマンドを入力します(Eの部分は実際のドライブレターに置き換えてください):
format E: /FS:FAT32 /Q
Enterキーを押すと、確認メッセージが表示されます。「Y」を入力してEnterキーを押すと、フォーマットが開始されます。
注意
- 間違ったドライブレターを指定すると、大切なデータが消えてしまいます
- 大容量ドライブの場合、時間がかかることがあります
- FAT32は4GBを超えるファイルを保存できません
MacでNTFSドライブに書き込む方法
MacはNTFSドライブを読み取り専用でしか認識しませんが、書き込みを可能にする方法があります。
サードパーティ製ソフトを使う
有料または無料のソフトウェアを使うことで、MacからNTFSドライブに書き込めるようになります。
有料ソフト
- Paragon NTFS for Mac:安定していて高機能
- Tuxera NTFS for Mac:高速で信頼性が高い
無料ソフト
- NTFS-3G:オープンソースのドライバー(設定がやや複雑)
ターミナルコマンドで有効化(実験的)
macOSには実験的なNTFS書き込み機能が隠されていますが、Appleは正式にはサポートしていません。
この方法は不安定な場合があるので、重要なデータがあるドライブでは使わない方が安全です。
よくあるトラブルと解決方法
フォーマットに関する、よくある問題の対処法を紹介します。
「フォーマットする必要があります」と表示される
原因
ドライブが壊れているか、現在のOSで認識できないフォーマットになっています。
解決方法
- 別のパソコンで試してみる
- ディスクユーティリティ(Mac)またはディスクの管理(Windows)でエラーをチェック
- 必要なデータがあればデータ復旧ソフトを試す
- フォーマットし直す
フォーマットが完了しない
原因
ドライブに物理的な問題がある可能性があります。
解決方法
- 違うUSBポートに接続してみる
- 別のケーブルを使ってみる
- ディスクのエラーチェックを実行
- それでもダメなら、ドライブの寿命かもしれません
MacでexFATドライブがマウントされない
原因
macOSのバージョンが古い、またはドライブに問題があります。
解決方法
- macOSを最新版にアップデート(exFATは10.6.5以降で対応)
- ディスクユーティリティの「First Aid」を実行
- 別のMacで試してみる
Windowsで「このドライブは書き込み保護されています」
原因
ドライブに物理的な書き込み保護スイッチがあるか、システム設定で保護されています。
解決方法
- USBメモリの物理的なロックスイッチを確認
- ドライブのプロパティで「読み取り専用」のチェックを外す
- レジストリエディタで書き込み保護を解除(上級者向け)
データを安全にやり取りする方法
MacとWindowsでデータをやり取りする、その他の方法も紹介します。
クラウドストレージを使う
外付けドライブを使わなくても、クラウドサービスでファイルを共有できます。
主なサービス
- iCloud Drive(Mac標準)
- OneDrive(Windows標準)
- Google Drive
- Dropbox
これらは、どのOSからでもアクセスできます。
ネットワーク共有
同じネットワーク内にあるMacとWindowsは、ファイル共有機能でデータをやり取りできます。
大量のファイルを頻繁に移動する場合、外付けドライブよりも便利なことがあります。
ファイル転送サービス
一時的なファイルのやり取りなら、オンラインのファイル転送サービスも便利です。
- WeTransfer
- Firefox Send(サービス終了、代替サービスあり)
- ギガファイル便
大容量ファイルでも、無料で送受信できます。
まとめ:フォーマット選びの基本
MacとWindowsのフォーマットの違いを理解すれば、互換性の問題を避けられます。
この記事のポイント
- MacとWindowsでは標準のファイルシステムが異なる
- 両方で使うならexFATが最適
- Mac専用ならAPFS、Windows専用ならNTFS
- FAT32は互換性が高いが、4GB以上のファイルは扱えない
- フォーマットするとデータが消えるので注意
- 用途に応じて適切なフォーマットを選ぶことが大切
外付けドライブを購入したら、まず自分の使い方に合ったフォーマットを選んで、適切にフォーマットしておきましょう。そうすれば、MacでもWindowsでも、ストレスなくデータのやり取りができます。
両方のOSを使っている方は、ぜひexFATでフォーマットすることをおすすめします。

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