「Word や Excel が欲しいけど、Microsoft Office は高すぎる…」
「文書作成や表計算ができる無料のソフトはないかな?」
こんな悩みを持っている方に朗報です。
Apache OpenOffice(アパッチ オープンオフィス)は、完全無料で使えるオフィスソフトです。文書作成、表計算、プレゼンテーション作成など、Microsoft Office とほぼ同じことができます。
この記事では、Apache OpenOffice の特徴から使い方まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
Apache OpenOffice とは何か
Apache OpenOffice は、無料で使えるオープンソースのオフィススイートです。
オープンソースとは
オープンソースとは、プログラムの設計図(ソースコード)が公開されていて、誰でも自由に使ったり改良したりできるソフトウェアのことです。世界中の開発者が協力して作っているため、無料で提供できるわけです。
主な特徴
完全無料
ダウンロードも使用も完全に無料です。ライセンス料は一切かかりません。個人利用だけでなく、商用利用も自由にできます。
多機能なオフィスツール
文書作成、表計算、プレゼンテーション、図形描画、データベース管理など、オフィスワークに必要な機能が一通り揃っています。
Microsoft Office との互換性
Word、Excel、PowerPoint などのファイルを開いて編集できます。完璧な互換性ではありませんが、基本的な文書であれば問題なく扱えます。
多言語対応
日本語を含む100以上の言語に対応しています。メニューやヘルプもすべて日本語で表示されるため、安心して使えます。
Apache OpenOffice に含まれるアプリケーション
Apache OpenOffice は、6つのアプリケーションで構成されています。
Writer(ライター):文書作成
Microsoft Word に相当するアプリケーションです。
できること
- 文章の作成と編集
- 書式設定(フォント、色、サイズなど)
- 画像や図の挿入
- 表の作成
- ページ番号や目次の自動生成
- スペルチェック
主な用途
レポート、手紙、議事録、マニュアルなど、あらゆる文書作成に使えます。家庭での年賀状作成から、ビジネスの企画書作成まで幅広く対応できます。
Calc(カルク):表計算
Microsoft Excel に相当するアプリケーションです。
できること
- 表の作成と計算
- 数式や関数の使用
- グラフの作成
- データの並べ替えやフィルター
- ピボットテーブル
- マクロ機能
主な用途
家計簿、売上管理、データ分析、統計処理など、数字を扱う作業全般に活用できます。
Impress(インプレス):プレゼンテーション
Microsoft PowerPoint に相当するアプリケーションです。
できること
- スライドの作成
- アニメーション効果
- 画面切り替え効果
- 図形や画像の挿入
- スライドショーの実行
- PDFへの書き出し
主な用途
会議の資料、学校の発表、商品説明など、視覚的なプレゼンテーション資料の作成に使います。
Draw(ドロー):図形描画
図形やイラストを描くためのアプリケーションです。
できること
- 図形の描画と編集
- フローチャートの作成
- 組織図の作成
- 簡単なイラスト作成
- 3D効果の追加
主な用途
業務フロー図、間取り図、ポスター、チラシなど、視覚的な資料の作成に便利です。
Base(ベース):データベース
Microsoft Access に相当するアプリケーションです。
できること
- データベースの作成と管理
- テーブルの設計
- クエリの作成
- フォームの作成
- レポートの生成
主な用途
顧客管理、在庫管理、会員管理など、大量のデータを整理して管理する作業に使います。初心者には少し難しいかもしれません。
Math(マス):数式エディタ
複雑な数式を作成するためのアプリケーションです。
できること
- 数学的な数式の作成
- 科学技術文書への数式挿入
- 各種記号の入力
主な用途
研究論文、技術文書、数学の教材など、専門的な数式を含む文書の作成に使います。
Microsoft Office との違い
Apache OpenOffice と Microsoft Office の違いを理解しておきましょう。
価格の違い
Apache OpenOffice:無料
ダウンロードも使用も完全無料です。何台のパソコンにインストールしても追加料金はかかりません。
Microsoft Office:有料
- Microsoft 365(サブスクリプション):年間約12,000円~
- Office 2021(買い切り):約30,000円~
継続的にコストがかかるのが大きな違いです。
機能の違い
基本的な機能はほぼ同じですが、Microsoft Office の方が高度な機能が充実しています。
Microsoft Office が優れている点
- より洗練されたユーザーインターフェース
- クラウド連携機能(OneDrive など)
- 高度なデータ分析ツール
- リアルタイム共同編集
- 自動保存機能
- テンプレートの豊富さ
Apache OpenOffice が優れている点
- 完全無料で使える
- 軽量で古いパソコンでも動作しやすい
- オープンソースで透明性が高い
- カスタマイズの自由度が高い
ファイル互換性
Apache OpenOffice は Microsoft Office のファイル形式に対応していますが、完全な互換性はありません。
対応しているファイル形式
- .doc、.docx(Word形式)
- .xls、.xlsx(Excel形式)
- .ppt、.pptx(PowerPoint形式)
ただし、複雑なレイアウトやマクロを含むファイルは、正しく表示されない可能性があります。
標準のファイル形式
Apache OpenOffice の標準形式は ODF(Open Document Format)です。
- .odt(文書ファイル)
- .ods(表計算ファイル)
- .odp(プレゼンテーションファイル)
この形式は国際標準として認められており、長期保存に適しています。
Apache OpenOffice のダウンロード方法
それでは、実際にダウンロードしてインストールする手順を見ていきましょう。
ダウンロード前の確認事項
システム要件
- Windows 7以降、macOS 10.7以降、Linux
- メモリ:256MB以上(512MB以上推奨)
- ハードディスク:650MB以上の空き容量
- 画面解像度:1024×768以上
ほとんどのパソコンで動作しますが、念のため確認しておきましょう。
ダウンロード手順
ステップ1:公式サイトにアクセス
ブラウザで「openoffice.org」にアクセスします。必ず公式サイトからダウンロードしてください。
ステップ2:ダウンロードボタンをクリック
トップページに表示されている「Apache OpenOffice をダウンロード」というボタンをクリックします。
ステップ3:OSを選択
自動的にあなたのOSが判別されますが、間違っている場合は手動で選択できます。
- Windows
- macOS
- Linux
使っているOSに合わせて選びましょう。
ステップ4:言語を選択
「日本語」が選ばれていることを確認します。他の言語を使いたい場合は、ここで変更できます。
ステップ5:ダウンロード開始
「ダウンロード」ボタンをクリックすると、インストールファイルのダウンロードが始まります。ファイルサイズは約150MBです。
インストール手順
Windowsの場合
- ダウンロードしたファイル(.exeファイル)をダブルクリック
- セキュリティ警告が表示されたら「実行」をクリック
- インストールウィザードの指示に従って進める
- インストール先フォルダを確認(通常は変更不要)
- 「インストール」ボタンをクリック
- インストール完了を待つ(5~10分程度)
- 「完了」ボタンをクリック
macOSの場合
- ダウンロードしたファイル(.dmgファイル)を開く
- 表示されたパッケージをダブルクリック
- インストールウィザードの指示に従う
- 管理者パスワードを入力(求められた場合)
- インストール完了を待つ
- アプリケーションフォルダに追加される
初めて使う時の設定
インストールが完了したら、初回起動時にいくつか設定を行います。
ユーザー情報の登録
最初に起動すると、ユーザー情報の入力を求められます。
- 名前
- イニシャル(省略可)
- 会社名(省略可)
この情報は、文書のプロパティなどに自動的に記録されます。後から変更することもできるので、とりあえず名前だけ入力しておけば大丈夫です。
クイックスタートの設定
「クイックスタートを有効にする」というオプションが表示されます。
これを有効にすると、パソコン起動時に Apache OpenOffice の一部がメモリに読み込まれ、アプリケーションの起動が速くなります。ただし、メモリ消費量が増えるので、古いパソコンの場合は無効にしておいた方がいいかもしれません。
更新の確認
自動更新の確認を有効にするかどうか選べます。有効にしておくと、新しいバージョンがリリースされた時に通知してくれます。
基本的な使い方
各アプリケーションの基本的な使い方を簡単に説明します。
Writer で文書を作成する
新規文書の作成
- Apache OpenOffice を起動
- 「文書ドキュメント」を選択、またはメニューから「ファイル」→「新規作成」→「文書ドキュメント」
文字の入力と書式設定
普通のワープロソフトと同じように、キーボードで文字を入力できます。
書式設定のツールバーで以下の操作ができます:
- フォントの変更
- 文字サイズの変更
- 太字、斜体、下線
- 文字色の変更
- 段落の配置(左揃え、中央揃え、右揃え)
保存方法
- メニューから「ファイル」→「保存」
- ファイル名を入力
- ファイル形式を選択(.odt または .doc/.docx)
- 保存場所を指定
- 「保存」ボタンをクリック
Calc で表計算をする
新規表計算の作成
- Apache OpenOffice を起動
- 「表計算ドキュメント」を選択
セルへの入力
マス目(セル)をクリックして、数字や文字を入力します。Enterキーを押すと、下のセルに移動します。
簡単な計算
セルに「=」を入力してから数式を書くと、計算結果が表示されます。
例:
- =A1+A2(A1とA2の合計)
- =SUM(A1:A10)(A1からA10の合計)
- =AVERAGE(A1:A10)(A1からA10の平均)
グラフの作成
- グラフにしたいデータの範囲を選択
- メニューから「挿入」→「グラフ」
- グラフの種類を選択(棒グラフ、円グラフなど)
- 必要に応じて設定を調整
- 「完了」をクリック
Impress でプレゼンテーションを作る
新規プレゼンテーションの作成
- Apache OpenOffice を起動
- 「プレゼンテーション」を選択
- テンプレートを選ぶ(空白から始めることもできる)
スライドの追加
右側のスライド一覧で右クリックし、「新しいスライド」を選択します。
スライドへの入力
テキストボックスをクリックして、タイトルや本文を入力します。画像を挿入したい場合は、メニューから「挿入」→「画像」を選びます。
スライドショーの実行
F5キーを押すか、メニューから「スライドショー」→「スライドショーの開始」を選ぶと、プレゼンテーションが始まります。
よくある質問と答え
商用利用はできる?
はい、商用利用も完全に自由です。
会社で使っても、作成した文書を販売しても問題ありません。ライセンス料を支払う必要もありません。
Microsoft Office のファイルを開ける?
基本的には開けますが、完全な互換性はありません。
シンプルな文書であれば問題なく開けますが、複雑なレイアウトやマクロを含むファイルは、レイアウトが崩れる可能性があります。重要なファイルを扱う場合は、事前に確認しておきましょう。
日本語の入力はできる?
はい、日本語入力に完全対応しています。
Windows や Mac の標準的な日本語入力システム(IME)を使って、普通に日本語を入力できます。
アップデートはどうすれば?
新しいバージョンがリリースされたら、公式サイトから最新版をダウンロードしてインストールします。
自動更新機能は限定的なので、定期的に公式サイトをチェックするのがおすすめです。
サポートは受けられる?
公式のサポートは基本的にありません。
無料のソフトウェアなので、電話やメールでの個別サポートは提供されていません。ただし、公式フォーラムやコミュニティで質問することはできます。インターネット上にも多くの解説サイトがあります。
LibreOffice との違いは?
LibreOffice も Apache OpenOffice と似た無料のオフィスソフトです。
もともとは同じプロジェクトから分かれたため、機能や見た目がよく似ています。現在は LibreOffice の方が開発が活発で、新機能の追加も早いです。どちらを選んでも基本的な作業には問題ありません。
こんな人におすすめ
Apache OpenOffice は、以下のような方に特におすすめです。
学生さん
レポート作成や卒業論文の執筆に必要な機能が揃っています。無料なので、経済的な負担もありません。
個人事業主やフリーランス
Office ソフトにコストをかけたくない方に最適です。請求書や見積書の作成、顧客管理など、ビジネスに必要な作業ができます。
家庭での利用
年賀状の作成、家計簿の管理、PTA資料の作成など、家庭での文書作成に十分な機能があります。
古いパソコンを使っている方
Microsoft Office の最新版は動作が重いですが、Apache OpenOffice は比較的軽量なので、古いパソコンでも快適に動作します。
注意点とデメリット
良い点ばかりではなく、いくつか注意すべき点もあります。
開発ペースが遅い
Apache OpenOffice の開発は、以前ほど活発ではありません。新機能の追加や不具合の修正に時間がかかることがあります。
クラウド機能がない
Microsoft 365 のようなクラウド連携機能はありません。複数のデバイス間でファイルを同期したい場合は、別途クラウドストレージサービス(Dropbox や Google Drive など)を使う必要があります。
共同編集ができない
リアルタイムで複数人が同じファイルを編集する機能はありません。チームで作業する場合は、ファイルを交互に編集する必要があります。
テンプレートが少ない
Microsoft Office と比べると、用意されているテンプレートの数が少ないです。自分でデザインする必要がある場面が多くなります。
マクロの互換性
Excel のマクロ(VBA)は、Calc では完全には動作しません。マクロを多用している場合は注意が必要です。
まとめ:無料で始めるオフィスソフト
Apache OpenOffice は、無料で使える本格的なオフィスソフトです。
この記事のポイント
- 完全無料で商用利用も可能
- 文書作成、表計算、プレゼンテーションなど基本機能が充実
- Microsoft Office のファイルも扱える(完全互換ではない)
- 軽量で古いパソコンでも動作しやすい
- 開発ペースは遅く、クラウド機能はない
日常的な文書作成や簡単な表計算であれば、Apache OpenOffice で十分に対応できます。特に、Office ソフトにお金をかけたくない方や、基本的な機能だけ使えればいい方には最適な選択肢です。
まずは無料でダウンロードして、実際に使ってみることをおすすめします。自分の用途に合っているかどうか、試してから判断すればいいでしょう。

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