鹿児島県の静かな湖で、突然水面に浮かび上がる巨大な黒いこぶ…。
1978年、20人以上の人々が同時に目撃したこの不思議な生物は、一夜にして日本中の注目を集めました。
それは、ネッシーにちなんで「イッシー」と名付けられた、池田湖に棲むとされる謎の巨大生物だったのです。
この記事では、日本を代表するUMA「イッシー」について、その目撃談や正体の謎を詳しくご紹介します。
概要

イッシーは、鹿児島県指宿市の池田湖に生息するといわれる未確認生物(UMA)です。
1961年頃から目撃情報があったものの、1978年に多数の目撃者が現れたことで一躍有名になりました。名前の由来は、スコットランドのネス湖に棲むとされる「ネッシー」。池田湖の「イ」と、ネッシーの語尾を組み合わせて「イッシー」と呼ばれるようになったんです。
池田湖は約5500年前の火山活動によってできたカルデラ湖で、周囲15キロメートル、最大水深233メートルという九州最大の湖なんですね。ワカサギ、コイ、ナマズなどの魚が豊富に棲んでいて、古くから「神の御池」と呼ばれ、龍神が棲むという伝説がありました。
姿・見た目
イッシーの姿は、目撃者の証言によるとこんな感じです。
外見的特徴
- 体長:10〜30メートル(目撃情報により幅がある)
- 色:黒っぽい、または緑がかった色
- 特徴的な部分:水面から突き出た黒いこぶが2つ
- こぶの間隔:約5メートル
- 水面からの高さ:約50センチメートル
目撃された姿で最も印象的なのが、2つの黒いこぶなんです。
このこぶは背中の一部なのか、それとも背びれなのか、はっきりとは分かっていません。湖面に浮かんだこぶは、ゆっくりと移動していったという証言が多いんですね。
また、一部の目撃者は「大きな体を左右にくねらせて泳ぐ姿」を見たとも語っています。池田湖の調査に向かったダイバーの中には、「もう二度と潜りたくない」と語るほど恐ろしいものを目撃した人もいたそうです。
特徴

イッシーには、いくつかの行動パターンや特徴があります。
出現時期と場所
- 出現しやすい季節:初夏から初秋にかけて
- 目撃場所:池田湖の湖面全域(特定の場所に限定されない)
- 活動時間:主に昼間(正午過ぎの目撃が多い)
行動特性
イッシーの行動で特徴的なのは、水面をゆっくりと移動することです。
1978年の目撃事件では、こぶのような物体が約500メートルほど移動し、そのまま湖中に消えていったとされています。急激な動きではなく、ゆったりとした移動だったそうです。
また、池田湖には豊富な魚類が生息しているため、イッシーが大型の水棲生物だとすれば、それらを餌としている可能性も指摘されています。
地元での扱い
地元では、イッシーは湖を守る神として親しまれている一面もあります。一方で、古い伝承では「ヌシ」と呼ばれる怪物がいて、水に落ちた人間を食べてしまうという恐ろしい言い伝えも残っているんです。
伝承

イッシーにまつわる目撃談や出来事を、時系列で見ていきましょう。
初期の目撃(1961年頃)
イッシーが初めて目撃されたのは1961年頃とされています。ただし、この時期の目撃情報は詳しく記録されておらず、地元で噂になる程度でした。
実は、江戸時代から池田湖には龍神伝説があり、150年以上前からイッシーのような存在が語り継がれていたという説もあるんです。伝説では、男が眠っている龍神を切りつけてしまい、たたりを受けたという話が残っています。
1978年の大目撃事件
イッシーが一躍有名になったのは、1978年9月3日の日曜日の出来事でした。
事件の詳細
- 時刻:正午過ぎ
- 最初の目撃者:湖岸で遊んでいた小学生と高校生
- 場所:御池から約350メートル離れた湖面
- 最終的な目撃者数:家族や親戚を呼んで18〜20人以上
この日、湖岸で遊んでいた子どもたちが、湖面に浮かぶ2つの黒いこぶのような物体を発見しました。驚いた子どもたちが家族や親戚に連絡し、最終的に20人以上が集まって、みんなで同じものを目撃したんです。
複数の目撃者が同時に見たという事実が、この事件の信憑性を高めました。
初めての写真撮影(1978年12月)
1978年12月16日、鹿児島市在住の自営業の男性が、イッシーらしき生物の写真撮影に成功しました。
昼過ぎ、突然湖面に出現した渦を目撃した男性がカメラを構えると、白っぽい巨大な物体が湖面に浮かび上がったんです。やや不鮮明ではあったものの、何かが沈もうとする瞬間をとらえた写真は、指宿市観光協会に設けられた「イッシー対策特別委員会」によって「本物」と判断されました。
男性は賞金を獲得し、この写真は大きな話題となりました。
ビデオ撮影の成功(1991年)
1991年1月4日には、福岡市在住の一家が指宿スカイラインをドライブ中に、家庭用ビデオカメラで湖中でうごめく黒い物体の撮影に成功しました。
この映像によって、再び地元はイッシーブームに沸いたんです。
本格的な調査
イッシーブームを受けて、さまざまな調査が行われました。
観光協会の取り組み
指宿市観光協会は「イッシー対策特別委員会」を設立し、次のような対策を実施しました。
- 監視カメラの設置:湖が一望できる展望台に設置
- 賞金制度:イッシーの写真に1000万円の賞金(当初は10万円という記録も)
- イッシー像の建設:池田湖畔に2体のイッシー像を設置
テレビ調査隊の派遣(1979年)
1979年にはテレビ東京が本格的な調査隊を派遣しました。
調査内容は以下の通りです。
- 魚群探知機による水中調査:水深40〜50メートルで体長3メートル以上の不審な物体の反応をキャッチ
- ダイバーによる潜水調査:目撃が多い場所で水中撮影を実施
ただし、池田湖は水が濁っているため、鮮明な画像を撮影することはできませんでした。
起源

イッシーの正体については、いくつかの説が提唱されています。
オオウナギ巨大化説(最有力)
地元で最も有力視されているのが、オオウナギの巨大化個体説です。
池田湖には、通常でも体長2メートルに成長するオオウナギが多数生息しています。これが何らかの理由で突然変異を起こし、10メートル以上に巨大化したものがイッシーの正体ではないか、というわけです。
オオウナギは実在する魚で、温暖な地域の川や湖に棲んでいます。池田湖のような温暖で餌の豊富な環境なら、通常より大きく成長する可能性も考えられるんですね。
ハクレンの魚群誤認説
もう一つの有力な説が、ハクレンという大型魚の魚群を誤認したというものです。
ハクレンは体長1メートルを超える大型の淡水魚で、池田湖に放流されていました。複数のハクレンが群れで泳ぐ姿を、1匹の巨大生物と見間違えたのではないか、という説なんです。
ただし、目撃された「2つのこぶ」が何だったのかは、この説でも説明しきれていません。
龍神伝説との関連
池田湖には古くから龍神伝説が伝わっています。
「神の御池」と呼ばれていたこの湖に、龍神が棲んでいるという言い伝えがあったんです。この伝説が背景にあったからこそ、イッシーの目撃談が信じられやすかったのかもしれません。
一部には、恐竜の生き残り、特に首長竜の仲間ではないかという説もあります。池田湖畔に建てられたイッシー像も、首長竜型にデザインされているんですよ。
現在の生物学的見解
現在の生物学では、体長20メートルを超える淡水生物は確認されていません。
もしイッシーが本当に20〜30メートルの巨大生物なら、それは未知の生物に匹敵する大発見となるでしょう。ただし、複数回の調査でも決定的な証拠は見つかっておらず、その存在は依然として謎に包まれています。
まとめ
イッシーは、鹿児島県の池田湖に棲むとされる日本を代表する未確認生物です。
重要なポイント
- 1961年頃から目撃され、1978年の大目撃事件で全国的に有名になった
- 体長10〜30メートル、黒いこぶが2つという特徴的な姿
- 複数の目撃者による同時目撃、写真・ビデオ撮影の記録がある
- 池田湖は古くから龍神伝説がある神秘的な湖
- 正体はオオウナギの巨大化個体説が最有力
- 地元では湖を守る神として親しまれている
イッシーの存在は科学的には未確認のままですが、池田湖の神秘性と地元の人々の想像力が生み出した、日本のUMA文化を代表する存在といえるでしょう。
もし池田湖を訪れる機会があれば、湖面をじっくり観察してみてください。もしかしたら、あなたもイッシーに出会えるかもしれませんよ。


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