「MacにUSBメモリを挿したのに、使えない」
「Windowsで使っていたUSBが、Macで認識されない」
「USBメモリにデータが書き込めなくなった」
こんな経験、ありませんか?
そんなときに必要なのが「フォーマット」という作業です。フォーマットとは、USBメモリを初期化して使えるようにする操作のことなんですね。
でも、「フォーマットって難しそう…」「大切なデータが消えたらどうしよう」と不安に思う方も多いはず。
この記事では、MacでのUSBメモリのフォーマット方法を、初心者の方にも分かりやすく、ステップバイステップで解説していきます。安全に、確実にフォーマットできるようになりますよ。
フォーマットとは?基本を理解しよう

まず、フォーマットについて簡単に理解しておきましょう。
フォーマットの意味
フォーマットとは、記憶媒体(USBメモリやハードディスク)を初期化して、データを保存できる状態にする作業です。
建物に例えるなら、「更地にして、新しく区画整理する」ようなイメージですね。
フォーマットを行うと:
- USBメモリ内のすべてのデータが削除される
- ファイルシステム(データの保存方式)が設定される
- 新しくデータを保存できるようになる
フォーマットが必要な場面
新品のUSBメモリを使うとき:
販売店でフォーマット済みのことが多いですが、Macで使いやすい形式に再フォーマットすることもあります。
WindowsとMacで共有するとき:
WindowsとMac、両方で読み書きできる形式にフォーマットする必要があります。
USBメモリの調子が悪いとき:
- ファイルが開けない
- 書き込みができない
- 認識されない
- 容量がおかしい
こういった場合、フォーマットで解決することが多いですよ。
完全にデータを消去したいとき:
USBメモリを人に譲る前や、処分する前に、データを完全に消去したい場合にもフォーマットを使います。
重要な注意点
フォーマットするとデータはすべて消えます!
必要なデータは必ず事前にバックアップを取っておきましょう。
間違えて大切なファイルを消してしまわないよう、慎重に作業してくださいね。
フォーマット形式の種類と選び方
Macでは、いくつかのフォーマット形式を選べます。それぞれの特徴を理解しておきましょう。
APFS(Apple File System)
Appleが開発した最新のファイルシステムです。
特徴:
- 高速で効率的
- SSDに最適化されている
- Mac専用(macOS High Sierra以降)
- 暗号化やスナップショット機能が充実
使える環境:
- ✅ Mac(High Sierra以降)
- ❌ Windows(読めない)
- ❌ テレビ・カーナビなど
おすすめの用途:
- Mac専用のバックアップ用USB
- Mac間でのデータ移動
Macでしか使わないなら、APFSが最高のパフォーマンスを発揮しますね。
Mac OS拡張(ジャーナリング)
APFSの前に使われていた、Mac専用の形式です。
特徴:
- 古いMacとの互換性が高い
- Time Machine(バックアップ機能)に対応
- 大容量ファイルも扱える
使える環境:
- ✅ Mac(すべてのバージョン)
- ❌ Windows(読めない)
- ❌ テレビ・カーナビなど
おすすめの用途:
- Time Machineのバックアップ先
- 古いMacとの互換性が必要なとき
exFAT
WindowsとMac、両方で使える便利な形式です。
特徴:
- MacとWindowsで読み書き可能
- 4GB以上の大きなファイルも扱える
- USBメモリやSDカードに適している
使える環境:
- ✅ Mac
- ✅ Windows(Windows XP以降)
- ✅ 一部のテレビ・カーナビ
おすすめの用途:
- MacとWindowsでファイル共有(最もおすすめ)
- 4GB以上の動画ファイルを保存
迷ったら、exFATを選んでおけば間違いありませんよ。
MS-DOS (FAT32)
最も互換性が高い、古い形式です。
特徴:
- ほぼすべてのデバイスで使える
- 1ファイル4GB以下の制限がある
- 古い機器でも認識される
使える環境:
- ✅ Mac
- ✅ Windows
- ✅ テレビ・カーナビ・ゲーム機など
おすすめの用途:
- テレビやカーナビで使うUSBメモリ
- ゲーム機でのデータ保存
- 小さいファイルのみを扱う場合
注意点:
4GB以上のファイル(長時間の動画など)は保存できません。
【基本】ディスクユーティリティでフォーマットする方法
Macには「ディスクユーティリティ」という標準アプリが入っています。
ステップ1:USBメモリを接続する
MacのUSBポートにUSBメモリを挿入します。
USB-Cポートしかない場合は、変換アダプタを使いましょう。
ステップ2:ディスクユーティリティを起動する
方法1:Finderから開く
- Finderを開く
- 左側の「アプリケーション」をクリック
- 「ユーティリティ」フォルダを開く
- 「ディスクユーティリティ」をダブルクリック
方法2:Spotlightから開く
- Command + スペースキーを押す
- 「ディスクユーティリティ」と入力
- Enterキーを押す
方法3:Launchpadから開く
- Launchpadを開く
- 「その他」フォルダをクリック
- 「ディスクユーティリティ」をクリック
ステップ3:USBメモリを選択する
ディスクユーティリティの左側に、接続されているドライブの一覧が表示されます。
重要:正しいドライブを選ぶこと!
- USBメモリの名前やサイズを確認
- 間違えてMacの内蔵ドライブをフォーマットしないよう注意
- 「外部」というカテゴリにあるドライブがUSBメモリです
ステップ4:「消去」をクリック
画面上部にある「消去」ボタンをクリックします。
確認画面が表示されますよ。
ステップ5:フォーマット設定を行う
消去の設定画面で、以下の項目を設定します。
名前:
USBメモリの名前を入力します。
例:「マイUSB」「仕事用」「写真バックアップ」など
好きな名前でOKですが、日本語を避けて英数字にしておくと互換性が高いですね。
フォーマット:
用途に応じて選択します。
- MacとWindows両用 → exFAT
- Mac専用(新しいMac) → APFS
- Mac専用(古いMacとも共有) → Mac OS拡張(ジャーナリング)
- テレビ・カーナビ用 → MS-DOS (FAT32)
方式:
通常は「GUIDパーティションマップ」を選択します。
古いWindowsでも使いたい場合は「マスターブートレコード」を選びましょう。
ステップ6:「消去」を実行
設定が完了したら、「消去」ボタンをクリックします。
確認メッセージが表示されるので、問題なければ「消去」をクリック。
フォーマットが開始されますよ。
ステップ7:完了を確認
「操作が完了しました」というメッセージが表示されたら、フォーマット完了です。
「完了」ボタンをクリックして、画面を閉じましょう。
デスクトップにUSBメモリのアイコンが表示されていれば、すぐに使えますよ。
用途別:おすすめのフォーマット設定
具体的な用途ごとに、最適な設定を紹介します。
MacとWindowsでファイルをやり取りする
おすすめ設定:
- フォーマット:exFAT
- 方式:GUIDパーティションマップ
- 名前:英数字のみ(例:DataUSB)
この設定なら、どちらのOSでも問題なく読み書きできますね。
Mac専用のバックアップUSB
おすすめ設定:
- フォーマット:APFS または Mac OS拡張(ジャーナリング)
- 方式:GUIDパーティションマップ
- 名前:「MacBackup」など
Time Machineを使う場合は、Mac OS拡張(ジャーナリング)を選びましょう。
テレビで動画を見る
おすすめ設定:
- フォーマット:MS-DOS (FAT32)
- 方式:マスターブートレコード
- 名前:英数字のみ(例:TV_USB)
ただし、4GB以上の動画ファイルは保存できない点に注意です。
4GB以上のファイルがある場合は、exFATに対応しているテレビならexFATを選びましょう。
カーナビで音楽を聴く
おすすめ設定:
- フォーマット:MS-DOS (FAT32)
- 方式:マスターブートレコード
- 名前:英数字のみ(例:CarMusic)
古いカーナビは、FAT32しか認識しないことが多いです。
取扱説明書で対応フォーマットを確認してみましょう。
大容量の動画ファイルを保存
おすすめ設定:
- フォーマット:exFAT
- 方式:GUIDパーティションマップ
- 名前:「VideoUSB」など
4GB以上のファイルを扱う場合は、exFATが必須ですね。
セキュリティを高めるフォーマット方法

普通にフォーマットしただけでは、データを完全には消去できません。
セキュリティオプションを使う
ディスクユーティリティには、データを復元できないように消去する機能があります。
手順:
- ディスクユーティリティで「消去」をクリック
- 「セキュリティオプション」ボタンをクリック
- スライダーを右に動かす
- セキュリティレベルを選択
セキュリティレベル:
最も速い(デフォルト):
- 通常の消去
- データは復元可能
1回上書き:
- ランダムデータで1回上書き
- 復元が困難になる
- 少し時間がかかる
3回上書き:
- ランダムデータで3回上書き
- 復元がほぼ不可能
- かなり時間がかかる
7回上書き:
- ランダムデータで7回上書き
- 米国国防総省の基準
- 非常に時間がかかる
USBメモリを譲渡・売却する場合は、最低でも3回上書きを選びましょう。
暗号化フォーマット
機密情報を保存する場合は、暗号化も検討しましょう。
手順:
- フォーマット選択時に「APFS(暗号化)」または「Mac OS拡張(ジャーナリング、暗号化)」を選択
- パスワードを設定
- パスワードのヒントを入力(オプション)
暗号化すると、パスワードなしでは読めなくなるので、パスワードは忘れないように管理しましょう。
よくあるトラブルと解決方法
フォーマット中によくある問題と対処法です。
USBメモリがディスクユーティリティに表示されない
原因1:USBメモリが正しく接続されていない
対処法:
- USBメモリを一度抜いて、再度挿す
- 別のUSBポートに挿してみる
- USB-Cハブを使っている場合は、直接挿してみる
原因2:USBメモリの故障
対処法:
- 別のパソコンで認識されるか確認
- 認識されなければ、USBメモリが故障している可能性
「消去」ボタンがグレーアウトして押せない
原因:内蔵ドライブなど、消去できないドライブを選択している
対処法:
- 左側のリストで、正しいUSBメモリを選択しているか確認
- 「外部」カテゴリの中にあるドライブを選ぶ
- ドライブの名前とサイズで判断する
「マウントできませんでした」というエラーが出る
原因:USBメモリに問題がある
対処法1:First Aidを実行
- ディスクユーティリティでUSBメモリを選択
- 「First Aid」ボタンをクリック
- 「実行」をクリックして修復を試みる
対処法2:強制的にアンマウント
- ディスクユーティリティで「表示」メニュー
- 「すべてのデバイスを表示」を選択
- 物理ドライブ(一番上の階層)を選択してフォーマット
フォーマットが途中で止まる
原因:USBメモリの物理的な損傷
対処法:
- 一度キャンセルして、再度実行
- セキュリティオプションを「最も速い」に変更
- それでも駄目なら、USBメモリの寿命かもしれません
フォーマット後の容量がおかしい
症状:32GBのUSBなのに、29GBしか表示されない
原因:これは正常です
- 1GB = 1,024MBという計算のため
- ファイルシステムの管理領域も必要
- 実際に使える容量は表示より少し少なくなります
例:
- 32GB表示 → 実際は約29GB
- 64GB表示 → 実際は約59GB
- 128GB表示 → 実際は約119GB
これは仕様なので、問題ありませんよ。
ターミナルを使った高度なフォーマット方法
上級者向けに、コマンドラインでのフォーマット方法も紹介します。
diskutilコマンドの基本
ターミナルから「diskutil」というコマンドでフォーマットできます。
注意:コマンドは慎重に!
間違えると、Macの内蔵ドライブを消してしまう危険があります。
初心者の方は、ディスクユーティリティを使うことをおすすめします。
ドライブの確認
まず、接続されているドライブを確認しましょう。
diskutil list
USBメモリは通常「/dev/disk2」や「/dev/disk3」などと表示されます。
フォーマットの実行例
exFATでフォーマット:
sudo diskutil eraseDisk ExFAT MyUSB GPT /dev/disk2
- ExFAT: フォーマット形式
- MyUSB: ボリューム名
- GPT: パーティション方式
- /dev/disk2: 対象ドライブ(要確認!)
FAT32でフォーマット:
sudo diskutil eraseDisk FAT32 MyUSB MBR /dev/disk2
APFSでフォーマット:
sudo diskutil eraseDisk APFS MyUSB GPT /dev/disk2
パスワードを求められたら、Macのログインパスワードを入力してください。
データのバックアップと復元

フォーマット前に、大切なデータをバックアップしておきましょう。
バックアップの方法
方法1:ドラッグ&ドロップ
- USBメモリをMacに接続
- Finderでデスクトップやフォルダにデータをコピー
- または別のUSBメモリにコピー
方法2:ディスクイメージを作成
ディスクユーティリティで、USBメモリ全体のイメージファイルを作成できます。
- ディスクユーティリティでUSBメモリを選択
- 「ファイル」→「イメージを作成」→「[ディスク名]から」
- 保存先とファイル名を指定
- フォーマットは「読み出し/書き込み」を選択
- 「保存」をクリック
これで、USBメモリの完全なコピーができますよ。
復元の方法
イメージファイルから復元する場合:
- ディスクユーティリティを開く
- フォーマット済みのUSBメモリを選択
- 「復元」ボタンをクリック
- イメージファイルを選択
- 「復元」を実行
よくある質問と回答
Q1. フォーマットすると、USBメモリの寿命は縮みますか?
A. 多少は影響しますが、通常の使用範囲なら心配ありません。
USBメモリには書き込み回数の上限がありますが、最近のUSBメモリは数万〜数十万回の書き込みに耐えられます。
フォーマットを何度か行った程度では、寿命に大きな影響はありませんよ。
Q2. WindowsでフォーマットしたUSBを、Macで使えるようにできますか?
A. はい、できます。
Macでそのまま再フォーマットすれば、Mac用に使えるようになります。
MacとWindows両方で使いたい場合は、exFAT形式でフォーマットしましょう。
Q3. フォーマット後、データは本当に復元できないのですか?
A. 通常のフォーマットでは、専用ソフトで復元できる可能性があります。
完全に復元不可能にするには:
- セキュリティオプションで複数回上書き
- 物理的な破壊(処分する場合)
重要な機密データがあった場合は、3回以上の上書き消去をおすすめします。
Q4. 大容量のUSBメモリは、フォーマットに時間がかかりますか?
A. 容量とセキュリティ設定によります。
目安:
- 32GB、通常フォーマット:数秒〜1分
- 128GB、通常フォーマット:1〜3分
- 32GB、7回上書き:30分〜1時間
- 128GB、7回上書き:数時間
急ぎの場合は、セキュリティオプションを使わずにフォーマットしましょう。
Q5. exFATとFAT32、どちらを選ぶべきですか?
A. 4GB以上のファイルを扱うかどうかで判断しましょう。
exFATを選ぶべきケース:
- 4GB以上の動画ファイルを保存する
- MacとWindowsで最新のOSを使っている
- 大容量USBメモリ(64GB以上)
FAT32を選ぶべきケース:
- テレビやカーナビなど、古い機器で使う
- 4GB未満のファイルのみ扱う
- 最大限の互換性が必要
迷ったら、まずexFATを試してみましょう。対応していなければFAT32に変更すればOKです。
Q6. 「このディスクは読み取れません」と表示されたら?
A. フォーマットされていないか、認識できない形式です。
対処法:
- 「初期化」ボタンをクリック
- ディスクユーティリティが開く
- この記事の手順でフォーマット
または、「無視」をクリックして、手動でディスクユーティリティを開いてフォーマットしましょう。
まとめ:正しいフォーマットで快適なUSB生活を
MacでのUSBフォーマットは、一度覚えてしまえば簡単です。
この記事のポイント:
- フォーマットするとすべてのデータが消えるので、必ずバックアップを取る
- MacとWindows共用 → exFAT
- Mac専用 → APFSまたはMac OS拡張
- テレビ・カーナビ用 → FAT32
- ディスクユーティリティで簡単にフォーマットできる
- セキュリティオプションで、データを復元不可能にできる
- 4GB以上のファイルを扱うなら、exFATを選ぶ
フォーマットの基本手順:
- USBメモリを接続
- ディスクユーティリティを起動
- 正しいドライブを選択
- 「消去」をクリック
- フォーマット形式を選択
- 「消去」を実行
用途に合わせて適切なフォーマット形式を選べば、MacでもWindowsでも快適にUSBメモリを使えます。
困ったときは、この記事を参考にして、安全にフォーマットしてくださいね!


コメント