「仕事でWindowsのアプリを使わないといけない…」
「Macは好きだけど、どうしてもWindowsでしか動かないソフトがある」
「MacとWindowsの両方を持ち歩くのは面倒すぎる」
そんな悩みを解決してくれるのが「仮想環境」です。
仮想環境を使えば、Mac上でWindowsを動かせるんです。再起動も不要で、MacとWindowsのアプリを同時に使えるのが便利なところですね。
この記事では、Macで Windows の仮想環境を構築する方法を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。Apple Silicon(M1/M2/M3チップ)とIntel Macの両方に対応した最新情報をお届けしますよ。
仮想環境とは?基本を理解しよう

まず、仮想環境について簡単に理解しておきましょう。
仮想環境(仮想化)の仕組み
仮想環境とは、コンピューター上に「もう一台のコンピューター」を作り出す技術です。
Mac上に仮想的なパソコンを作って、そこにWindowsをインストールするイメージですね。
具体的には:
- Macを起動したまま、Windowsも同時に動かせる
- ウィンドウの一つとしてWindowsが表示される
- MacとWindowsの間でファイルをコピー&ペーストできる
- 再起動せずに、MacとWindowsを切り替えられる
まるでWindowsアプリがMacアプリのように使えるんです。
Boot Campとの違い
Macには「Boot Camp」という、別の方法でWindowsを使う機能もあります。
| 項目 | 仮想環境 | Boot Camp |
|---|---|---|
| 同時使用 | ○ MacとWin同時に | × どちらか一方のみ |
| 切り替え | すぐ切り替え | 再起動が必要 |
| パフォーマンス | やや遅い | 高速(ネイティブ) |
| ファイル共有 | 簡単 | やや面倒 |
| Apple Silicon | 一部対応 | 非対応 |
仮想環境のメリット:
- 再起動不要で両方使える
- MacとWindowsを同じ画面で操作できる
- 設定が簡単
Boot Campのメリット:
- パフォーマンスが高い
- ゲームなど負荷の高い作業に向いている
ただし、Boot CampはApple Silicon Mac(M1/M2/M3チップ)では使えません。
必要なもの
仮想環境を構築するには、以下が必要です:
- Mac本体
- メモリ(RAM): 最低8GB、推奨16GB以上
- ストレージ: 空き容量50GB以上推奨
- 仮想化ソフトウェア
- Parallels Desktop
- VMware Fusion
- UTM
- VirtualBox など
- WindowsのOSライセンス
- Windows 11(または Windows 10)のライセンス
- Microsoftから購入
メモリとストレージは多いほど快適に使えますよ。
Apple SiliconとIntel Macの重要な違い
2020年以降、MacにはApple製のチップ(M1/M2/M3など)が搭載されるようになりました。
あなたのMacはどっち?確認方法
確認手順:
- 画面左上のリンゴマークをクリック
- 「このMacについて」を選択
- 「チップ」または「プロセッサ」の項目を確認
Apple Silicon Mac:
- チップ: Apple M1、M2、M3、M1 Pro、M1 Max、M2 Pro、M2 Max など
Intel Mac:
- プロセッサ: Intel Core i5、i7、i9 など
この違いで、使える仮想化ソフトや方法が変わってきます。
Apple Silicon Macの注意点
Apple Silicon Macは、Windowsの通常版(x86/x64版)を直接動かすことができません。
代わりに「Windows 11 ARM版」を使う必要があるんですね。
ARM版Windowsの制約:
- 一部のWindowsアプリが動かない可能性
- 古いソフトウェアは非対応のことも
- ゲームの互換性が低い
ただし、最近は互換性が向上していて、多くのアプリが問題なく動くようになっていますよ。
【人気No.1】Parallels Desktopで仮想環境を構築
最も人気があり、使いやすいのがParallels Desktopです。
Parallels Desktopとは
Parallels(パラレルス)は、Mac専用の仮想化ソフトウェアです。
Apple Silicon Mac と Intel Mac の両方に対応していて、初心者でも簡単に使えるのが特徴ですね。
料金プラン
Standard Edition(スタンダード版):
- 年額: 約11,700円
- 買い切り版: 約14,500円(バージョンアップは別料金)
- 個人利用向け
Pro Edition(プロ版):
- 年額: 約13,200円
- ビジネス利用や開発者向け
- より多くのメモリとCPUを使える
無料体験版(14日間)もあるので、まずは試してみるのがおすすめです。
Parallels Desktopのインストール手順
ステップ1:Parallels Desktopをダウンロード
- Parallels公式サイト(parallels.com)にアクセス
- 「無料で試す」または「購入する」をクリック
- ダウンロードしたファイルをダブルクリック
- 画面の指示に従ってインストール
ステップ2:Windowsをインストール
- Parallels Desktopを起動
- 「新規」ボタンをクリック
- 「Windows 11を無料で入手」を選択(自動ダウンロード)
- またはWindowsのISOファイルを指定
- ライセンスキーを入力(後で入力も可能)
- インストールが自動的に開始される
ステップ3:設定を調整
- 仮想マシンの名前を決める
- メモリとCPUの割り当てを設定
- 用途を選択(仕事、ゲーム、デザインなど)
これで完了です!10〜30分ほどでWindowsが使えるようになりますよ。
Parallels Desktopの便利機能
Coherenceモード:
WindowsアプリがMacアプリのように動作します。
Windowsのデスクトップを非表示にして、Windowsアプリだけを表示できるんですね。
ドラッグ&ドロップ:
MacとWindows間で、ファイルをドラッグ&ドロップで移動できます。
共有フォルダ:
Macのフォルダを、Windows側から直接アクセスできます。
Touch Bar対応:
Touch Bar搭載Macなら、Windows上でもTouch Barが使えます。
Parallels Desktopのメリット
- 使いやすい: 初心者でも簡単にセットアップできる
- 高速: 動作が軽快
- Apple Silicon完全対応: M1/M2/M3チップで最適化されている
- 日本語サポート: 日本語のサポートが充実
- 統合機能が豊富: MacとWindowsの連携がスムーズ
Parallels Desktopのデメリット
- 有料: 年額または買い切りで費用がかかる
- リソース消費: メモリとストレージを多く使う
- ゲームには限界: 高負荷な3Dゲームは厳しい
【定番】VMware Fusionで仮想環境を構築
IT業界で広く使われている、もう一つの定番ソフトです。
VMware Fusionとは
VMware(ヴイエムウェア)は、企業向け仮想化技術で有名な会社です。
そのMac版が「VMware Fusion」ですね。
料金プラン
VMware Fusion Player(個人利用):
- 無料(2024年から個人利用は無料化)
- 以前は有料だったが、現在は無料で使える
VMware Fusion Pro(商用利用):
- 年額: 約18,000円
- ビジネス利用向け
個人で使うなら、無料版で十分です。
VMware Fusionのインストール手順
ステップ1:VMware Fusionをダウンロード
- VMware公式サイトにアクセス
- 「VMware Fusion」を検索
- 個人利用向けの無料版をダウンロード
- Broadcomアカウントを作成(無料)
- ダウンロードしたファイルをインストール
ステップ2:Windowsをインストール
- VMware Fusionを起動
- 「新規仮想マシンを作成」を選択
- WindowsのISOファイルを選択
- 簡易インストール情報を入力
- 仮想マシンの設定を調整
- 「完了」をクリックしてインストール開始
VMware Fusionのメリット
- 無料(個人利用)
- 高機能: プロレベルの機能が使える
- 安定性: 企業向け技術なので信頼性が高い
- スナップショット: 状態を保存して、いつでも戻せる
VMware Fusionのデメリット
- 設定がやや複雑: Parallelsより初心者には難しい
- Apple Silicon対応が遅れた: M1/M2/M3対応は進んでいるが、Parallelsより遅い
- 日本語情報が少ない: 日本語の解説が少なめ
【無料・Apple Silicon推奨】UTMで仮想環境を構築
完全無料でApple Siliconに最適化されたソフトです。
UTMとは
UTM(Universal Turing Machine)は、オープンソースの仮想化アプリです。
Apple Siliconに最適化されていて、無料で使えるのが最大の魅力ですね。
UTMのインストール手順
ステップ1:UTMをダウンロード
- UTM公式サイト(getutm.app)にアクセス
- 「Download」ボタンをクリック
- Mac App Storeからもダウンロード可能(有料版、寄付として)
- 公式サイトからなら完全無料
ステップ2:Windowsをインストール
- Windows 11 ARM版のISOファイルを入手
- UTMを起動
- 「Create a New Virtual Machine」をクリック
- 「Virtualize」を選択(Apple Siliconの場合)
- Windowsを選択
- ISOファイルを指定
- メモリとストレージを設定
- インストールを開始
UTMのメリット
- 完全無料: オープンソースで無料
- Apple Silicon最適化: M1/M2/M3チップで高速動作
- 軽量: システムへの負荷が小さい
- プライバシー重視: データ収集なし
UTMのデメリット
- 初心者には難しい: 設定が複雑
- 日本語情報が少ない: 英語の情報がメイン
- 統合機能が少ない: MacとWindowsの連携は基本的
- サポートなし: コミュニティベースのサポートのみ
技術に自信がある方や、無料にこだわる方におすすめです。
【Intel Mac向け】VirtualBoxで仮想環境を構築

完全無料ですが、制約もあります。
VirtualBoxとは
Oracle(オラクル)が提供する無料の仮想化ソフトです。
Windows、Mac、Linuxで使える汎用的なソフトですね。
VirtualBoxの注意点
重要: VirtualBoxは、Apple Silicon Mac(M1/M2/M3)では正式にサポートされていません。
Intel Macでのみ使用できます。
VirtualBoxのインストール手順(Intel Macのみ)
ステップ1:VirtualBoxをダウンロード
- VirtualBox公式サイト(virtualbox.org)にアクセス
- Mac版をダウンロード
- インストーラーを実行
- セキュリティ設定を許可
ステップ2:Windowsをインストール
- VirtualBoxを起動
- 「新規」ボタンをクリック
- 名前とOSタイプを設定
- メモリサイズを指定(最低4GB推奨)
- 仮想ハードディスクを作成
- ISOファイルを指定してインストール
VirtualBoxのメリット
- 完全無料: 制限なく無料で使える
- クロスプラットフォーム: Windows、Mac、Linuxで使える
- オープンソース: 透明性が高い
VirtualBoxのデメリット
- Apple Silicon非対応: M1/M2/M3チップでは使えない
- パフォーマンスが低い: 他のソフトより遅い
- 統合機能が弱い: MacとWindowsの連携が基本的
- UI(画面)が古い: 使いにくいと感じることも
パフォーマンスを最適化する設定
仮想環境を快適に使うための設定を紹介します。
メモリ(RAM)の割り当て
Windowsに割り当てるメモリは、Mac全体のメモリの半分以下にしましょう。
例:
- Mac全体が16GB → Windowsに6〜8GB割り当て
- Mac全体が8GB → Windowsに3〜4GB割り当て
多く割り当てすぎると、Mac側が重くなってしまいますね。
CPU(プロセッサ)の割り当て
CPUコア数も、全体の半分程度がバランスが良いです。
例:
- 8コアCPU → Windowsに4コア割り当て
- 4コアCPU → Windowsに2コア割り当て
ストレージの容量
Windowsの仮想ディスクは、最低30GB、推奨50GB以上確保しましょう。
- Windows本体: 約20GB
- アプリケーション: 10〜30GB
- 余裕を持って: 50GB以上
動的割り当て(必要な分だけ使う設定)にすれば、実際に使う容量だけが消費されますよ。
グラフィックスの設定
3D処理を使うアプリ(ゲームやCADなど)は、グラフィックスメモリを増やしましょう。
ただし、仮想環境では限界があるので、重いゲームは期待しすぎないほうがいいですね。
WindowsのOSライセンスを入手する方法

仮想環境にインストールするWindowsのライセンスが必要です。
Microsoft公式から購入
Windows 11 Home:
- 価格: 約19,360円
Windows 11 Pro:
- 価格: 約28,380円
Microsoft公式ストアまたは、Amazonなどの正規販売店で購入できます。
Microsoft 365経由
Microsoft 365のサブスクリプションに含まれる場合もあります。
会社や学校のアカウントで確認してみましょう。
評価版(試用版)
Microsoftは、一定期間使える評価版も提供しています。
試しに使ってみたい場合は、評価版から始めるのもアリですね。
ただし、期間が終わったら正規ライセンスが必要になります。
ライセンスの注意点
1台のWindowsライセンスは1台のみ:
物理PCと仮想環境の両方で同じライセンスを使うのは、厳密にはライセンス違反です。
仮想環境専用のライセンスを用意しましょう。
ライセンス認証が必要:
インストール後、インターネット経由でライセンス認証を行います。
プロダクトキーを手元に用意しておきましょう。
よくあるトラブルと解決方法
仮想環境でよくある問題と対処法です。
動作が重い・遅い
原因1:メモリ不足
Mac全体のメモリが足りていない可能性があります。
対処法:
- Windowsに割り当てるメモリを減らす
- Mac側で不要なアプリを終了する
- Macのメモリを増設(可能な機種のみ)
原因2:ストレージが遅い
HDDを使っている場合、SSDに比べて非常に遅いです。
対処法:
- SSDにアップグレード
- 外付けSSDを使用
ネットワークに接続できない
確認ポイント:
- 仮想マシンの設定でネットワークが有効か確認
- ネットワークモードを「NAT」または「ブリッジ」に変更
- Windowsのファイアウォール設定を確認
Windowsアプリが起動しない(Apple Silicon)
Apple Silicon Macで、一部のWindowsアプリが動かないことがあります。
原因:
Windows 11 ARM版では、古いx86アプリやドライバが動かない場合があります。
対処法:
- アプリの最新版があるか確認
- ARM64対応版があればそちらを使う
- どうしても動かない場合は、Intel Macやクラウドサービスを検討
MacとWindows間でコピー&ペーストができない
対処法:
- 仮想化ソフトの統合ツール(Guest Tools)がインストールされているか確認
- Parallels なら「Parallels Tools」を再インストール
- VMware なら「VMware Tools」を再インストール
ファイル共有ができない
対処法:
- 仮想マシンの設定で「共有フォルダ」が有効か確認
- Windows側でネットワーク探索を有効にする
- Macのセキュリティ設定を確認
用途別おすすめソフト
どのソフトを選ぶべきか、用途別にまとめました。
初心者・簡単に使いたい
おすすめ: Parallels Desktop
- 設定が簡単
- 日本語サポートあり
- MacとWindowsの統合機能が充実
有料ですが、使いやすさは圧倒的です。
無料で使いたい(Apple Silicon)
おすすめ: UTM
- 完全無料
- Apple Silicon最適化
- 設定は少し難しいが、情報は増えている
無料で使いたい(Intel Mac)
おすすめ: VirtualBox または VMware Fusion Player
- どちらも無料
- VMware Fusionのほうが使いやすい
- VirtualBoxは完全オープンソース
仕事で本格的に使う
おすすめ: Parallels Desktop Pro または VMware Fusion Pro
- 高度な機能が使える
- ビジネスサポートあり
- 複数の仮想マシンを管理しやすい
開発者・技術者
おすすめ: VMware Fusion または UTM
- スナップショット機能が便利
- 細かい設定ができる
- 複数のOS環境をテストできる
よくある質問と回答
Q1. メモリ8GBのMacでも仮想環境は使えますか?
A. 使えますが、快適さは限定的です。
8GBメモリの場合:
- Windowsに3〜4GB割り当て
- 同時に開くアプリは最小限に
- 軽い作業(Office、ブラウザ)なら問題なし
メモリ16GB以上なら、より快適に使えますよ。
Q2. Apple Silicon Macでも、すべてのWindowsソフトが動きますか?
A. いいえ、一部のソフトは動きません。
動くソフト:
- Microsoft Office
- Adobe Creative Cloud(一部)
- ブラウザ(Chrome、Firefox など)
- 多くの一般的なアプリ
動かない可能性があるソフト:
- 古いドライバを使うソフト
- 特殊なハードウェアを必要とするソフト
- 一部のゲーム
購入前に、使いたいソフトの互換性を確認しましょう。
Q3. 仮想環境でゲームはできますか?
A. 軽いゲームなら可能ですが、本格的な3Dゲームは厳しいです。
動くゲーム:
- レトロゲーム
- 2Dゲーム
- 軽い3Dゲーム
厳しいゲーム:
- 最新の3DゲームFPS、レーシングゲームなど)
- VRゲーム
ゲーム目的なら、Boot Camp(Intel Macのみ)やWindows専用PCを検討しましょう。
Q4. 仮想環境のWindowsは、アップデートできますか?
A. はい、通常のWindowsと同じようにアップデートできます。
Windows Updateも問題なく動作します。
定期的にアップデートして、セキュリティを保ちましょう。
Q5. 複数の仮想マシンを作れますか?
A. はい、作れます。
例えば:
- Windows 11用
- Windows 10用
- テスト用
ただし、それぞれストレージを消費するので、容量に注意が必要ですね。
Q6. 仮想環境を削除したら、MacのOSに影響はありますか?
A. いいえ、影響ありません。
仮想マシンは独立したファイルなので、削除してもMacOSには影響しません。
安心して試せますよ。
まとめ:あなたに最適な仮想環境を選ぼう
MacでWindows仮想環境を使えば、両方のOSの良いところを活かせます。
この記事のポイント:
- 仮想環境なら、再起動なしでMacとWindowsを同時に使える
- Apple Silicon MacとIntel Macで対応ソフトが異なる
- Parallels Desktop: 有料だが使いやすさNo.1
- VMware Fusion: 個人利用は無料、高機能
- UTM: 完全無料、Apple Silicon最適化
- VirtualBox: Intel Mac専用、完全無料
- メモリ16GB以上、ストレージ50GB以上が推奨
選び方のフローチャート:
- 簡単さ優先 → Parallels Desktop(有料)
- 無料 + Apple Silicon → UTM
- 無料 + Intel Mac → VMware Fusion Player
- ビジネス利用 → Parallels Desktop Pro
- 技術者向け → VMware Fusion
まずは無料版や体験版を試してみて、自分に合ったソフトを見つけましょう。
MacとWindowsの両方が使えれば、できることの幅がグッと広がりますよ!


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