【死後21日目の裁判官】宋帝王(そうていおう)とは?地獄の三番目の王について分かりやすく解説!

神話・歴史・伝承

死んでから21日目、あなたはどこで何をしているか想像したことはありますか?

仏教の教えによると、この日はちょうど「宋帝王」という裁判官の前で、生前の行いについて厳しい審理を受けている最中かもしれません。

しかも、その審理の内容は…ちょっと恥ずかしい「性に関する罪」なんです。

この記事では、地獄の十王の中でも特に独特な審理を行う「宋帝王」について、その役割や特徴をやさしくご紹介します。

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概要

宋帝王(そうていおう)は、仏教における「十王」の一人で、死者が死後に受ける裁判の三番目の裁判官です。

十王というのは、人が亡くなってから生まれ変わるまでの間に、生前の罪を裁く10人の地獄の王たちのこと。死後7日ごとに順番に審理を受けていくんですが、宋帝王は死後21日目(三七日)の審理を担当しています。

宋帝王の特徴は、主に性的な罪や邪淫(じゃいん)に関する審理を行うこと。生前に不倫をしたり、弱い立場の女性を騙したり、不適切な性的行為をした人たちが、ここで裁かれることになります。

本地仏(本来の姿)は文殊菩薩(もんじゅぼさつ)とされ、智慧の仏様が裁判官として現れた姿だと考えられているんですね。

審理の内容と特徴

性に関する罪の裁き

宋帝王の法廷では、特に次のような罪が審理されます。

主な審理内容

  • 邪淫(不倫や不適切な性的関係)
  • 弱い立場の女性を騙した罪
  • 性的な欲望に溺れた罪
  • 道徳に反する性的行為

独特な尋問方法

宋帝王の審理には、ちょっと恐ろしい特徴があります。

尋問の際の仕掛け

  • 男性にはをあてがう
  • 女性にはをあてがう
  • 嘘をついたり正直に答えないと、これらの動物から苦痛を受ける

つまり、正直に罪を認めて反省の態度を示さないと、動物による責め苦を受けることになるんです。

法廷までの道のり

死者が宋帝王の法廷に到着する前にも、試練が待ち受けています。

庁舎の前には悪猫や大蛇がうろついていて、すでに恐怖を感じ始めます。これは、これから受ける審理の厳しさを予感させる演出なのかもしれませんね。

十王の中での位置づけ

審理の流れ

宋帝王は十王の中で3番目の裁判官として位置づけられています。

死後の審理スケジュール(最初の49日間)

  1. 初七日(7日目):秦広王(殺生の罪)
  2. 二七日(14日目):初江王(盗みの罪)
  3. 三七日(21日目):宋帝王(邪淫の罪)← ここ!
  4. 四七日(28日目):五官王(嘘の罪)
  5. 五七日(35日目):閻魔王(総合審理)
  6. 六七日(42日目):変成王(閻魔王の判決執行)
  7. 七七日(49日目):泰山王(転生先の決定)

前の裁判官からの引き継ぎ

興味深いのは、宋帝王が前の裁判官である初江王から情報を引き継いでいること。

初江王の法廷には、三途の川で死者の衣服を奪う奪衣婆(だつえば)と、その衣服を木に掛ける懸衣翁(けんねおう)がいます。実は奪衣婆は窃盗の罪を、懸衣翁は不倫の罪を見抜く役割があって、その報告も宋帝王に伝えられるんです。

救済の可能性

厳しい審理のイメージがある宋帝王ですが、実は希望もあります。

次の審理へ進めるケース

救済される可能性がある人

  • 少しでも改心の見込みがある
  • 裁きに不完全な部分がある
  • 遺族が十分な供養(回向)を行っている

これらの条件を満たせば、地獄行きが決定せず、次の裁判官のもとへ送られます。つまり、まだチャンスが残されているということなんですね。

遺族ができること

この21日目は「三七日」の法要を行う日でもあります。

遺族が故人のために読経したり、供養を行うことで、宋帝王の裁きが軽くなる可能性があるとされています。だから昔から、七日ごとの法要は大切にされてきたんですね。

文殊菩薩との関係

宋帝王の本地仏である文殊菩薩は、智慧を象徴する菩薩です。

なぜ文殊菩薩なのか

文殊菩薩は「三人寄れば文殊の知恵」ということわざでも知られる、知恵の仏様。性に関する罪を裁くには、単純な善悪だけでなく、複雑な人間関係や感情を理解する深い智慧が必要だからかもしれません。

人間の欲望や弱さを理解しつつ、正しい道に導くための知恵を持った存在として、文殊菩薩が宋帝王の本来の姿とされているのは、とても意味深いですね。

伝承での描かれ方

恐怖の演出

多くの十王図や地獄絵では、宋帝王の法廷は特に恐ろしく描かれています。

  • 中国風の法服を着た威厳ある姿
  • 周りには猫や蛇がうろつく不気味な光景
  • 苦しむ亡者たちの姿

これらの絵は、生きている人々への警告でもありました。「性的な過ちを犯すと、死後にこんな恐ろしい目に遭うぞ」という戒めの意味があったんです。

獄卒の脅し文句

面白いのは、宋帝王の審理を受けた後、獄卒(地獄の鬼)がこんなことを言うそうです。

「こんな責め苦はまだ軽いほうだ。次の王はこんなものじゃないぞ!」

これを聞いた亡者は震え上がってしまうとか。確かに、次は五官王、その次は有名な閻魔王が待っているので、恐怖は増すばかりですね。

まとめ

宋帝王は、死後21日目に性に関する罪を裁く、十王の三番目の裁判官です。

重要なポイント

  • 死後21日目(三七日)の審理を担当
  • 主に邪淫や性的な罪について裁く
  • 男性には、女性にはを使った独特な尋問方法
  • 本地仏は智慧の象徴である文殊菩薩
  • 改心や遺族の供養により、救済の可能性もある
  • 十王信仰の中で、道徳的な戒めの役割を果たしてきた

性というデリケートな問題を扱う宋帝王の存在は、昔の人々にとって、生きているうちに正しい行いをするための大切な教えだったのかもしれませんね。

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