Chromeで動画や音楽を再生しながら別の作業をしていたら、突然再生が止まってしまった経験はありませんか?
これは、Chromeが非アクティブ(バックグラウンド)になったタブの動作を制限する機能が原因です。メモリ節約には役立ちますが、作業の邪魔になることもありますよね。
この記事では、Chrome非アクティブ時にタブが止まる問題の原因と解決方法を分かりやすく解説します。動画や音楽を快適に楽しみたい人、バックグラウンドでの作業を止めたくない人は、ぜひ参考にしてください。
非アクティブで止まる現象とは

まず、どんな現象が起きているのか確認しましょう。
主な症状
動画・音楽が止まる:
YouTubeやSpotifyで再生中、別のタブに切り替えると再生が止まります。
タイマーが進まない:
ストップウォッチやカウントダウンタイマーが停止します。
ページの更新が止まる:
株価チャートやスポーツのライブスコアが更新されなくなります。
ダウンロードが遅くなる:
ファイルのダウンロードが極端に遅くなります。
Webアプリが動かない:
オンラインゲームやチャットアプリが反応しなくなります。
どんな時に起きるか
別のタブをアクティブにした時:
タブを切り替えると、元のタブが非アクティブになります。
別のウィンドウを前面に出した時:
Chrome以外のアプリを使い始めると起きます。
最小化した時:
Chromeウィンドウを最小化すると、すべてのタブが非アクティブになります。
なぜ止まるのか?原因を理解する
Chromeが意図的にタブを止めている場合と、意図せず止まっている場合があります。
原因1:タブディスカード機能
Chromeには、使っていないタブのメモリを解放する「タブディスカード」という機能があります。
仕組み:
- 非アクティブなタブのプロセスを停止
- メモリを解放して他のタブに割り当てる
- タブをクリックすると再読み込みされる
この機能は、メモリ不足を防ぐために自動的に働きます。
原因2:バックグラウンドタブのスロットリング
Chromeは、非アクティブなタブのJavaScriptの実行を制限します。
目的:
- CPU使用率を下げる
- バッテリーを節約する
- アクティブなタブのパフォーマンスを優先
原因3:メモリ不足
パソコンのメモリが足りないと、Chromeが強制的にタブを停止します。
確認方法:
タスクマネージャー(Ctrl+Shift+Esc)でメモリ使用率を確認しましょう。80%以上なら危険信号です。
原因4:拡張機能の影響
一部の拡張機能が、バックグラウンドタブの動作を止めている可能性があります。
例:
- タブ管理系の拡張機能
- バッテリー節約系の拡張機能
- メモリ最適化系の拡張機能
原因5:電源設定(ノートPC)
ノートPCのバッテリー節約モードが影響している場合があります。
基本的な対処法
まずは簡単にできる方法から試しましょう。
対処法1:タブをピン留めする
重要なタブをピン留めすると、停止されにくくなります。
手順:
- 止めたくないタブを右クリックします
- 「タブを固定」を選択します
- タブが左端に小さく表示されます
ピン留めしたタブは優先度が高くなり、ディスカードされにくくなります。
対処法2:別ウィンドウで開く
タブを独立したウィンドウで開くと、止まりにくくなります。
手順:
- タブをドラッグして画面外に出します
- 新しいウィンドウとして開きます
- または、タブを右クリック→「新しいウィンドウで開く」
対処法3:ポップアウトウィンドウを使う
YouTubeなどはポップアウト機能を使えます。
YouTube の場合:
- 動画を右クリックします
- 「ピクチャー イン ピクチャー」を選択します
- 小さなウィンドウで再生され続けます
対処法4:Chromeを最小化しない
最小化すると、すべてのタブが非アクティブになります。
代わりに:
- 他のウィンドウの後ろに隠す
- デスクトップを増やして別の画面で作業する(Windows 10以降)
対処法5:メモリを増やす
不要なタブやアプリを閉じて、メモリに余裕を作ります。
手順:
- 使っていないタブを閉じます
- 他のアプリを終了します
- タスクマネージャーでメモリ使用率を確認します
タブディスカードを防ぐ方法
タブが自動的に停止されないようにする設定です。
拡張機能を使う
タブの自動停止を防ぐ拡張機能があります。
The Great Suspender(後継版):
オリジナルは削除されましたが、後継版が存在します。
Auto Tab Discard:
タブの自動停止を細かく制御できる拡張機能です。
機能:
- 特定のサイトを自動停止から除外
- ピン留めタブは自動停止しない設定
- 音声再生中のタブは除外
使い方:
- Chrome ウェブストアから「Auto Tab Discard」をインストールします
- 拡張機能のアイコンをクリックします
- 設定を開きます
- 「Whitelist」に停止したくないサイトを追加します
chrome://flags/ で設定変更
実験的機能を使って制御できます。
注意:
この方法は不安定な場合があります。自己責任で行ってください。
手順:
- アドレスバーに「chrome://flags/」と入力します
- 検索ボックスで以下を検索します:
- 「Calculate native window occlusion on Windows」
- 「Automatic tab discarding」
- 「Disabled」に変更します
- Chromeを再起動します
バックグラウンドでの動作を継続させる方法

JavaScript の実行を継続させる方法です。
サイトの権限を変更する
特定のサイトのバックグラウンド動作を許可できます。
手順:
- 許可したいサイトを開きます
- アドレスバー左の鍵マーク(または「ⓘ」)をクリックします
- 「サイトの設定」を選択します
- 「バックグラウンド同期」を「許可」に変更します
注意:
この設定だけでは完全には解決しない場合があります。
Service Worker の活用
開発者向けの方法ですが、Service Worker を使うとバックグラウンドでも動作します。
ただし、これはウェブサイトの開発者が実装する必要があります。
動画・音楽を止めない方法
メディア再生を継続させる具体的な方法です。
YouTube の場合
ポップアウト再生:
- 動画を右クリックします
- 「ピクチャー イン ピクチャー」を選択します
- 小さなウィンドウで再生が続きます
ブラウザ拡張機能:
「Enhancer for YouTube」などの拡張機能を使うと、バックグラウンド再生が改善されます。
Spotify などの音楽サービス
デスクトップアプリを使う:
ブラウザ版ではなく、専用アプリをインストールすると安定します。
ブラウザで継続する場合:
- タブをピン留めします
- ウィンドウを最小化せず、後ろに隠します
音声が止まる場合
自動一時停止を無効化:
一部のサイトには、非アクティブ時に自動で一時停止する機能があります。サイトの設定を確認しましょう。
ダウンロードを継続させる方法
ファイルのダウンロードが止まらないようにする方法です。
Chrome ウィンドウを開いたままにする
最小化すると、ダウンロード速度が極端に遅くなることがあります。
対処法:
- ウィンドウを最小化せず、他のウィンドウの後ろに置く
- または、別のモニターに表示する
ダウンロードマネージャーを使う
専用のダウンロードマネージャーを使うと、より安定します。
おすすめツール:
- Internet Download Manager(有料)
- Free Download Manager(無料)
ブラウザを閉じてもダウンロードが続行されます。
メモリ使用量を最適化する
メモリ不足が原因の場合の対処法です。
不要なタブを整理する
手順:
- Shift+Escで Chrome のタスクマネージャーを開きます
- メモリ使用量が多いタブを確認します
- 不要なタブを閉じます
タブをグループ化する
関連するタブをまとめて管理しやすくします。
手順:
- タブを右クリックします
- 「タブを新しいグループに追加」を選択します
- グループに名前と色を付けます
- 使わないグループは折りたたみます
拡張機能を減らす
拡張機能もメモリを消費します。
確認方法:
- chrome://extensions/ を開きます
- 使っていない拡張機能を削除します
- 必要最小限に絞ります
OneTab を使う
一時的に使わないタブをリストに保存できます。
使い方:
- 「OneTab」拡張機能をインストールします
- アイコンをクリックすると、すべてのタブがリストに保存されます
- メモリが大幅に解放されます
- 必要な時にタブを復元できます
電源設定の調整(ノートPC)
バッテリー節約モードが影響している場合の対処法です。
Windows の電源設定
手順:
- 「設定」→「システム」→「電源とバッテリー」を開きます
- 「電源モード」を確認します
- 「最適なパフォーマンス」または「バランス」に変更します
バッテリー節約モードだと、バックグラウンドの動作が制限されます。
バックグラウンドアプリの設定
手順:
- 「設定」→「プライバシー」→「バックグラウンドアプリ」を開きます
- Chrome がバックグラウンドで実行できるようにします
Mac の省エネルギー設定
手順:
- 「システム環境設定」→「バッテリー」を開きます
- 「電源アダプタ」タブを選択します
- 「ディスプレイがオフの時にコンピュータを自動的にスリープさせない」にチェックを入れます
開発者向けの対処法
ウェブサイトを作っている人向けの情報です。
Page Visibility API の活用
JavaScriptで、タブが非アクティブになったことを検知できます。
document.addEventListener('visibilitychange', function() {
if (document.hidden) {
// 非アクティブになった時の処理
console.log('タブが非アクティブになりました');
} else {
// アクティブになった時の処理
console.log('タブがアクティブになりました');
}
});
Web Workers の使用
重い処理をバックグラウンドで実行できます。
メインスレッドとは別に動作するため、タブのスロットリングの影響を受けにくいです。
Service Worker の実装
オフラインでも動作する機能を実装できます。
バックグラウンドでの同期やプッシュ通知にも使えます。
パフォーマンスとのバランス

タブを止めないことのデメリットも理解しましょう。
メモリ消費が増える
すべてのタブを動作させ続けると、メモリが圧迫されます。
目安:
- 8GB以下のメモリ:10タブ程度が限界
- 16GB:20〜30タブまで快適
- 32GB以上:制限なく使える
バッテリーの減りが早くなる
ノートPCの場合、バッテリー持続時間が短くなります。
対策:
- 本当に必要なタブだけ動作させ続ける
- 電源に接続できる時に集中作業する
CPUファンが回りやすくなる
すべてのタブが動くと、CPUの負荷が上がります。
症状:
- ファンの音がうるさくなる
- パソコンが熱くなる
- 動作が重くなる
適度なバランスが重要
推奨:
- 本当に必要なタブだけ止めないようにする
- 定期的に不要なタブを閉じる
- メモリとバッテリーの状態を確認する
トラブルシューティング
うまくいかない時の確認事項です。
設定しても止まる場合
原因と対処:
原因1:メモリが本当に足りない
タスクマネージャーでメモリ使用率を確認しましょう。90%以上なら、物理的にメモリが不足しています。
対処法:
- タブ数を減らす
- メモリを増設する(可能なら)
原因2:拡張機能の競合
複数のタブ管理拡張機能が干渉している可能性があります。
対処法:
- 拡張機能を一つずつ無効化して確認
- 競合する拡張機能を削除
特定のサイトだけ止まる
原因と対処:
そのサイト自身が、非アクティブ時に動作を停止する仕様かもしれません。
確認方法:
- F12でデベロッパーツールを開きます
- Consoleタブを確認します
- エラーメッセージが出ていないか確認します
音が途切れる
原因:
- ネットワークの問題
- オーディオドライバーの問題
対処法:
- Wi-Fi接続を確認します
- オーディオドライバーを更新します
- 別のブラウザで試します
よくある質問
非アクティブタブに関する疑問にお答えします。
Chromeの仕様を完全に無効化できる?
完全には無効化できませんが、拡張機能やフラグ設定である程度制御できます。
ピン留めしても止まることがある?
はい、メモリが極端に不足している場合は、ピン留めタブも停止されることがあります。
スマホでも同じ問題が起きる?
はい、モバイル版はさらに積極的にタブを停止します。Android版は特に顕著です。
他のブラウザでも起きる?
はい、EdgeやFirefoxなど、多くのブラウザに同様の機能があります。
メモリはどれくらいあれば十分?
快適に使うなら、最低でも8GB、推奨は16GB以上です。
まとめ
Chrome非アクティブ時にタブが止まる問題は、適切に対処すれば改善できます。
この記事のポイント:
- タブディスカードとスロットリングが主な原因
- タブをピン留めすると止まりにくくなる
- 拡張機能で自動停止を防げる
- ポップアウトウィンドウを活用する
- メモリ不足が根本原因のことも多い
- 電源設定やバックグラウンドアプリの確認も重要
- パフォーマンスとのバランスを考える
まずはタブのピン留めとメモリの確認から始めてみましょう。
それでも解決しない場合は、拡張機能を使ったり、フラグ設定を変更したりすると効果的です。ただし、すべてのタブを動作させ続けるとメモリやバッテリーに負担がかかるので、本当に必要なタブだけに絞るのがおすすめですよ。
快適なマルチタスク環境を作って、効率よく作業を進めましょう!

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