Chromeでインターネットを使っている時、接続が遅い、特定のサイトに繋がらない、といった問題に悩んだことはありませんか?
実は、Chromeのネットワーク設定を調整することで、これらの問題を解決できる場合があります。プロキシやDNS、セキュリティ設定など、いくつかのポイントを押さえるだけで、より快適なブラウジング環境を作れるんです。
この記事では、Chromeのネットワーク設定について、初心者にも分かりやすく解説します。基本的な設定から、トラブル解決に役立つ高度な設定まで詳しく説明するので、ぜひ参考にしてください。
Chromeのネットワーク設定とは

Chromeのネットワーク設定は、インターネット接続に関する様々な項目を管理する機能です。
ネットワーク設定でできること
主に以下のような設定ができます。
接続設定:
- プロキシサーバーの設定
- VPN接続の管理
- 接続速度の最適化
セキュリティ設定:
- HTTPS接続の強制
- 証明書の管理
- 安全でない接続の警告
プライバシー設定:
- DNS over HTTPS(暗号化されたDNS)
- トラッキング防止
- Cookie管理
設定画面へのアクセス方法
Chromeのネットワーク関連設定は、いくつかの場所に分散しています。
基本的なアクセス方法:
- Chromeの右上「︙」(三点メニュー)をクリックします
- 「設定」を選択します
- 左側メニューから「プライバシーとセキュリティ」を選びます
プロキシ設定
プロキシサーバーを経由してインターネットに接続する設定です。
プロキシとは
プロキシサーバーは、あなたのパソコンとウェブサイトの間に入る中継サーバーのことです。
プロキシを使う理由:
- 会社や学校のネットワークで必要
- セキュリティ強化
- アクセス制限の回避
- 通信内容のフィルタリング
プロキシ設定の確認方法
Windows:
- Chrome設定を開きます
- 左側メニューの「システム」をクリックします
- 「パソコンのプロキシ設定を開く」をクリックします
- Windowsの設定画面が開きます
Mac:
- Chrome設定の「システム」を開きます
- 「パソコンのプロキシ設定を開く」をクリックします
- 「システム環境設定」のネットワーク画面が開きます
プロキシを設定する方法
Windows:
- プロキシ設定画面を開きます
- 「プロキシサーバーを使う」をオンにします
- アドレスとポート番号を入力します
- 例:proxy.example.com
- ポート:8080
- 「保存」をクリックします
Mac:
- 「システム環境設定」→「ネットワーク」を開きます
- 接続中のネットワークを選択します
- 「詳細」をクリックします
- 「プロキシ」タブを選択します
- 使用するプロキシの種類にチェックを入れます
- サーバーとポート番号を入力します
- 「OK」をクリックします
プロキシの種類
HTTPプロキシ:
通常のウェブサイト(HTTP)用のプロキシです。
HTTPSプロキシ:
暗号化された接続(HTTPS)用のプロキシです。
SOCKSプロキシ:
より汎用的なプロキシで、様々な通信に対応します。
プロキシ設定が必要なケース
会社や学校のネットワーク:
組織のセキュリティポリシーでプロキシ経由の接続が必須の場合があります。IT部門から提供される設定情報を使います。
VPNサービス:
一部のVPNサービスは、プロキシ設定が必要です。
プロキシ設定のトラブル
接続できない場合:
- プロキシの設定情報が正しいか確認します
- プロキシサーバーが動作しているか確認します
- 不要な場合はプロキシをオフにします
DNS設定
DNS(Domain Name System)は、ウェブサイトの名前をIPアドレスに変換するサービスです。
DNSの役割
「google.com」のような人間が読める名前を、コンピューターが理解できる数字のアドレス(IPアドレス)に変換します。
例:
- google.com → 172.217.175.46
Chrome独自のDNS設定
Chromeには「セキュアDNS」という機能があります。
セキュアDNS(DNS over HTTPS)とは:
DNSの通信を暗号化して、プライバシーとセキュリティを強化する技術です。
セキュアDNSの設定方法
手順:
- Chrome設定を開きます
- 「プライバシーとセキュリティ」をクリックします
- 「セキュリティ」を選択します
- 「セキュアDNSを使用する」の設定を確認します
3つの選択肢:
カスタム:
特定のDNSプロバイダーを選べます。
現在のサービスプロバイダを使用:
インターネット回線業者のDNSを使います。
オフ:
セキュアDNSを使いません。
推奨DNSプロバイダー
Chromeで選択できる主なDNSプロバイダーです。
Google Public DNS:
- 高速で安定している
- プライバシーポリシーが明確
- 多くの人が使用している
Cloudflare:
- プライバシー重視
- 高速
- ログを保存しない
OpenDNS:
- フィルタリング機能あり
- 家族向けの安全性
- カスタマイズ可能
カスタムDNSを設定する
特定のDNSサーバーを使いたい場合の設定です。
手順:
- セキュアDNSの設定で「カスタム」を選択します
- プルダウンメニューからプロバイダーを選びます
- または、DNSサーバーのURLを直接入力します
- 例:https://dns.google/dns-query
システム全体のDNS設定
Chrome以外のアプリにも適用されるDNS設定です。
Windows:
- 「設定」→「ネットワークとインターネット」を開きます
- 使用中の接続をクリックします
- 「IPアドレスの編集」をクリックします
- 「手動」を選択してIPv4をオンにします
- DNSサーバーを入力します:
- 優先DNS:8.8.8.8(Google)
- 代替DNS:8.8.4.4(Google)
- 保存します
Mac:
- 「システム環境設定」→「ネットワーク」を開きます
- 接続中のネットワークを選択します
- 「詳細」→「DNS」タブを開きます
- 「+」ボタンでDNSサーバーを追加します
- 「OK」をクリックします
接続とセキュリティの設定
安全で快適な接続のための設定です。
HTTPS優先の設定
可能な限り暗号化された接続を使用する設定です。
手順:
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」を開きます
- 「セキュリティ」をクリックします
- 「常にセキュアな接続を使用する」をオンにします
この設定をオンにすると、HTTPSに対応しているサイトでは自動的に暗号化接続が使われます。
保護強化機能
より強力なセキュリティ機能です。
手順:
- 「セキュリティ」設定を開きます
- 「セーフブラウジング」セクションを確認します
- 以下から選択できます:
保護強化機能:
最も強力な保護。危険なサイトやダウンロードを積極的にブロックします。
標準保護:
バランスの取れた保護。ほとんどの人にはこれで十分です。
保護機能なし:
推奨されません。危険なサイトの警告が表示されなくなります。
証明書の管理
ウェブサイトの身元を確認する証明書の設定です。
証明書とは:
ウェブサイトが本物であることを証明するデジタル文書です。
証明書の確認方法:
- アドレスバーの鍵マークをクリックします
- 「証明書」または「接続は保護されています」を選択します
- 証明書の詳細が表示されます
セキュリティ警告への対応
「この接続ではプライバシーが保護されません」という警告が表示された時の対処法です。
原因:
- サイトの証明書が期限切れ
- 証明書が信頼できない
- 接続が暗号化されていない
対処法:
- 信頼できるサイトかどうか確認します
- URLが正しいか確認します
- 不明なサイトの場合は、アクセスを中止します
- 必要なサイトの場合は、管理者に連絡します
サイト別の設定
特定のサイトだけに適用される設定です。
サイトの設定を確認
手順:
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」を開きます
- 「サイトの設定」をクリックします
- 様々な権限設定が表示されます
サイトごとの権限管理
サイトに許可する機能を個別に設定できます。
設定できる項目:
- Cookie
- 位置情報
- カメラ・マイク
- 通知
- ポップアップ
- バックグラウンドの同期
特定のサイトの設定を変更
手順:
- 設定したいサイトを開きます
- アドレスバー左の鍵マーク(または「ⓘ」)をクリックします
- 「サイトの設定」を選択します
- 各種権限を変更できます
ネットワーク診断ツール
Chromeには、接続の問題を診断する隠し機能があります。
chrome://net-internals/
ネットワークの詳細情報を確認できるページです。
アクセス方法:
- アドレスバーに「chrome://net-internals/」と入力します
- Enterキーを押します
主な診断機能
DNS:
DNSキャッシュの確認とクリアができます。
Sockets:
現在の接続状況を確認できます。
Events:
ネットワークイベントのログを表示します。
Proxy:
プロキシ設定の状況を確認できます。
DNSキャッシュのクリア
手順:
- chrome://net-internals/#dns を開きます
- 「Clear host cache」ボタンをクリックします
- DNSキャッシュがクリアされます
ソケットのフラッシュ
接続をリセットする機能です。
手順:
- chrome://net-internals/#sockets を開きます
- 「Flush socket pools」ボタンをクリックします
- すべての接続がリセットされます
高度な設定
より詳しい設定やフラグ(実験的機能)の調整です。
chrome://flags/
実験的な機能を有効化できるページです。
注意:
これらの機能は不安定な場合があります。変更は自己責任で行ってください。
アクセス方法:
- アドレスバーに「chrome://flags/」と入力します
- Enterキーを押します
ネットワーク関連のフラグ
QUIC protocol:
次世代の通信プロトコルです。接続が高速化される可能性があります。
Parallel downloading:
ファイルを分割して並列ダウンロードし、速度を向上させます。
Enable network service:
ネットワーク機能を独立したプロセスで実行します。
フラグの変更方法
手順:
- chrome://flags/ を開きます
- 検索ボックスでフラグを探します
- プルダウンメニューで「Enabled」を選択します
- ページ下部の「Relaunch」ボタンで再起動します
注意:
問題が起きた場合は「Default」に戻してください。
帯域幅の管理
通信量を抑える設定です。
データセーバー機能
以前はChromeに標準搭載されていましたが、現在は削除されています。
代わりに、以下の方法でデータ使用量を減らせます。
画像の読み込みをオフにする
画像を表示しない設定です。
手順:
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」を開きます
- 「サイトの設定」をクリックします
- 「画像」を選択します
- 「サイトに画像の表示を許可しない」を選択します
JavaScriptをオフにする
サイトの動作を制限して、データ使用量を減らします。
注意:
多くのサイトが正常に動作しなくなります。
手順:
- 「サイトの設定」から「JavaScript」を選択します
- 「サイトがJavaScriptを使用することを許可しない」を選択します
モバイルでのネットワーク設定
スマホ版Chromeの設定です。
Android版の設定
データセーバー(Lite モード):
現在は廃止されていますが、以下の設定で通信量を減らせます。
手順:
- Chromeアプリの「⋮」→「設定」を開きます
- 「プライバシーとセキュリティ」をタップします
- 「セキュアDNS」で設定できます
iPhoneの設定
手順:
- Chromeアプリの「…」→「設定」を開きます
- 「帯域幅」をタップします
- 「常にプリロードする」をオフにすると、データ使用量が減ります
モバイルデータ使用時の設定
手順:
- スマホの「設定」アプリを開きます
- 「アプリ」からChromeを選択します
- 「データ使用量」で制限を設定できます
トラブルシューティング
ネットワーク設定関連のトラブル解決方法です。
設定が保存されない
原因と対処:
- Chromeを最新版に更新します
- プロファイルが破損している可能性があります
- 新しいプロファイルを作成して試します
設定画面が開けない
対処法:
- アドレスバーに直接URLを入力します
- chrome://settings/
- chrome://settings/privacy
- Chromeを再起動します
- 必要に応じて再インストールします
プロキシ設定が変更できない
原因:
組織によって管理されている可能性があります。
確認方法:
設定画面に「組織によって管理されています」と表示されている場合、IT部門に問い合わせが必要です。
DNSが正常に動作しない
対処法:
- DNSキャッシュをクリアします
- 別のDNSプロバイダーを試します
- セキュアDNSをオフにして確認します
パフォーマンス最適化のコツ
ネットワーク設定でパフォーマンスを向上させる方法です。
最速の設定
推奨設定:
- Google Public DNSまたはCloudflare DNSを使用
- セキュアDNSを有効化
- プロキシは使用しない(不要な場合)
- 不要な拡張機能を削除
安定性重視の設定
推奨設定:
- 標準のDNSを使用
- 保護強化機能をオフ(互換性重視の場合)
- 実験的機能(フラグ)は使用しない
プライバシー重視の設定
推奨設定:
- Cloudflare DNSを使用
- セキュアDNSを有効化
- サードパーティCookieをブロック
- トラッキング防止を有効化
よくある質問
ネットワーク設定に関する疑問にお答えします。
プロキシは必要?
会社や学校で指定されている場合のみ必要です。個人での利用では通常不要です。
DNSを変更すると速くなる?
環境によっては高速化する可能性があります。Google Public DNSやCloudflareを試してみてください。
セキュアDNSはオンにすべき?
はい、プライバシーとセキュリティが向上するので、オンにすることをおすすめします。
設定を初期化する方法は?
「設定」→「リセットとクリーンアップ」→「設定を元の既定値に戻す」で初期化できます。
スマホとパソコンで設定は共有される?
Googleアカウントで同期していても、ネットワーク設定の多くは共有されません。デバイスごとに設定が必要です。
まとめ
Chromeのネットワーク設定を最適化すれば、より快適で安全なブラウジング環境を作れます。
この記事のポイント:
- プロキシは会社・学校で必要な場合のみ設定
- DNSをGoogleやCloudflareに変更すると速度改善の可能性
- セキュアDNSでプライバシーを保護できる
- サイトごとに細かく権限を管理可能
- chrome://net-internals/で診断できる
- 実験的機能は慎重に使用する
- 設定は環境に応じて最適化する
まずはDNS設定とセキュアDNSの有効化から始めてみましょう。
ほとんどの人にとって、これだけで十分な効果が得られます。プロキシや高度な設定は、必要な場合や問題が起きた時だけ調整すれば大丈夫です。
自分の使い方に合わせて設定を調整して、快適なインターネット環境を作ってください!

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