新潟県の山あいを歩いていると、どこからか子どもの悲しそうな声が聞こえてくる…そんな不思議な体験をしたことはありませんか?
観音様のお堂の近くから聞こえるその声は、実は石に宿った少女たちの魂かもしれません。
かつて大水害で命を落とした子どもたちの顔が浮かび上がる不思議な石「童女石」は、悲劇の記憶と鎮魂の願いが込められた、切ない伝承として語り継がれています。
この記事では、新潟県に伝わる霊石「童女石」について、その由来と不思議な現象、そして石に込められた悲しい物語を詳しくご紹介します。
概要

童女石(どうじょいし)は、新潟県の黒川村(現在の胎内市)に伝わる霊石なんです。
この石の表面には、なんと数人の女の子の悲しそうな顔がくっきりと浮かび上がっているという、とても不思議な石です。
もともとは胎内川の河原にあった普通の石だったんですが、ある出来事をきっかけに、子どもたちの魂が宿る特別な存在になったと言われています。
童女石の特徴
- 表面に複数の女の子の顔が浮き出ている
- 胎内川の河原から運ばれてきた石
- 観音様のお堂に大切に祀られている
- 子どもたちの霊を鎮める役割を持つ
この石にまつわる話は、単なる怪談ではありません。実際に起きた水害の犠牲者を弔い、その魂を慰めるという、地域の人々の祈りが込められた大切な伝承なんです。
伝承

不気味な声の正体
物語は、観音様のお堂から聞こえる不思議な声から始まります。
時折、誰もいないはずのお堂の側から「おじさん、見て…」という子どもの悲しそうな呼び声が聞こえてきたそうです。この現象は長い間続き、お参りに来た人々を不安にさせていました。
石の発見
ある日、観音様にお参りに来た男性が、お堂の庭を歩いていると、例の子どもの声に呼び止められました。
声の方を見ると、そこには小さな女の子の頭が見えたんです。男性は腰を抜かすほど驚きましたが、よく見るとそれは石でした。
ただし、普通の石じゃありません。石の表面にはっきりと女の子の顔が浮かび上がっていて、しかも一人だけじゃなく、数人の子どもたちの顔が映っていたんです。
どの子も悲しそうな表情で、何かを訴えているようでした。
悲劇の背景
実は、この石には悲しい歴史が隠されていました。
黒川村の水害
- 豪雨によって胎内川が氾濫
- 30人もの犠牲者が出た大災害
- そのうち10人は幼い子どもたち
この大水害の後、犠牲になった子どもたちを弔うために観音様が建立され、供養が続けられていたんです。
石の正体と供養
発見された石は、まさにその胎内川の河原から運ばれてきたものでした。
水害で亡くなった子どもたちの魂が、なぜかこの石に宿ってしまったのかもしれません。石に浮かび上がった顔は、まるで「私たちのことを忘れないで」と訴えているようでした。
村人たちは、この石を「童女石」と名付けて、観音様のお堂に丁寧に祀ることにしました。
すると不思議なことに、それまで聞こえていた子どもたちの悲しそうな声は、ぴたりと聞こえなくなったそうです。きちんと供養されたことで、子どもたちの魂も安らかになったのでしょう。
まとめ

童女石は、自然災害の犠牲になった子どもたちの魂が宿るとされる、悲しくも神秘的な霊石です。
重要なポイント
- 新潟県黒川村(現・胎内市)に伝わる霊石の伝承
- 石の表面に複数の女の子の顔が浮き出ている
- 水害で亡くなった子どもたちの魂が宿ったとされる
- 観音様のお堂に祀られて供養されている
- きちんと供養したことで怪異現象が収まった
この伝承は、単に不思議な石の話というだけじゃなく、災害の記憶を風化させないこと、そして犠牲者への鎮魂の思いを忘れないことの大切さを教えてくれています。
もし新潟県の胎内市を訪れることがあったら、この童女石のことを思い出してみてください。石に刻まれた子どもたちの顔は、今でも静かに、でも確かに、私たちに何かを語りかけているのかもしれません。


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