家族や職場でパソコンを共有していると、「自分が見たサイトの履歴を他の人に見られたくない」と思うことはありませんか?
プレゼントを探している時、プライベートな情報を調べている時、あるいは単純に閲覧履歴を残したくない時など、理由は人それぞれですよね。
この記事では、Google Chromeで閲覧履歴を残さないための様々な方法を、レベル別に詳しく解説します。シークレットモードの基本から、自動削除設定、拡張機能の活用、完全なプライバシー保護まで、あなたの状況に合った最適な方法が見つかるはずですよ!
「履歴を残さない」とは何を意味するのか
まず、何が「履歴」として記録されるのかを理解しましょう。
Chromeが記録する情報
Chromeは通常、以下の情報を記録しています:
1. 閲覧履歴
訪問したウェブサイトのURL、ページタイトル、訪問日時
2. ダウンロード履歴
ダウンロードしたファイルの記録(ファイル本体は別)
3. Cookie(クッキー)
ウェブサイトがブラウザに保存する小さなデータファイル
4. キャッシュ
表示を高速化するために保存されるページデータ
5. フォームの入力履歴
検索ボックスやフォームに入力した内容
6. パスワード
保存したログイン情報
7. サイトデータ
位置情報や通知の許可設定など
完全に履歴を残さないのは難しい
重要なポイントですが、完全に痕跡を残さないのは技術的に困難です。
なぜなら:
- インターネットプロバイダ(ISP)は通信記録を保持
- 訪問先のウェブサイトはアクセスログを記録
- 企業や学校のネットワークは監視している場合がある
- ルーター(Wi-Fiの機器)にも記録が残る可能性
ただし、Chrome上の履歴を残さないことは十分可能です。
方法1:シークレットモード(最も簡単)
最も手軽で、多くの人におすすめの方法です。
シークレットモードとは
シークレットモード(Incognito Mode)は、Chromeが履歴を記録しないプライベートブラウジング機能です。
記録されないもの:
- 閲覧履歴
- Cookie
- サイトデータ
- フォームの入力内容
記録されるもの:
- ブックマーク(追加した場合)
- ダウンロードしたファイル(本体)
- ISPやウェブサイト側の記録
シークレットモードの開き方
方法1:ショートカットキー
- Windows/Linux:
Ctrl + Shift + N - Mac:
Command + Shift + N
方法2:メニューから
- Chrome右上の「⋮」(縦三点)をクリック
- 「シークレット ウィンドウを開く」を選択
方法3:右クリック(リンクから)
- リンクを右クリック
- 「リンクをシークレット ウィンドウで開く」を選択
シークレットモードの見分け方
シークレットモードのウィンドウは:
- 背景が暗い色(ダークグレー)
- 帽子とメガネのアイコンが表示される
- ウィンドウタイトルに「シークレット」と表示
シークレットモードの注意点
完全に匿名ではない:
- ISPやネットワーク管理者には見える
- 訪問先のウェブサイトにはアクセスが記録される
- 会社や学校のネットワークでは監視されている可能性
ログインすると紐付けられる:
GoogleアカウントやSNSにログインすると、そのサービス側には履歴が残ります。
拡張機能は使えない(初期設定):
セキュリティ上、拡張機能は無効になっています。必要な場合は個別に許可が必要です。
方法2:通常モードで履歴を自動削除
毎回シークレットモードを使うのが面倒な方向けです。
Cookie設定で自動削除
Chromeを閉じた時に、自動的に履歴を削除する設定ができます。
設定手順:
- Chrome設定を開く
- 右上の「⋮」→「設定」
- プライバシーとセキュリティを開く
- 左メニューから「プライバシーとセキュリティ」を選択
- Cookieと他のサイトデータ
- 「Cookieと他のサイトデータ」をクリック
- 自動削除を設定
- 「すべてのウィンドウを閉じるときに Cookie とサイトデータを削除する」をオンにする
この設定の効果:
- Chromeを完全に閉じた時に、Cookieとサイトデータがクリアされる
- ただし、閲覧履歴は残るので注意
- ログイン状態も解除される
閲覧履歴の自動削除(拡張機能)
閲覧履歴も自動削除したい場合は、拡張機能が必要です。
「Auto History Wipe」拡張機能:
- Chrome ウェブストアで「Auto History Wipe」を検索
- 拡張機能を追加
- 設定で削除間隔を指定(例:1時間ごと、1日ごと)
- 自動的に古い履歴が削除される
注意点:
拡張機能は定期的に更新を確認し、信頼できる開発者のものを選びましょう。
方法3:手動で履歴を削除
既に残っている履歴を削除する方法です。
基本的な削除方法
ショートカットキー:
- Windows/Linux:
Ctrl + Shift + Delete - Mac:
Command + Shift + Delete
または、メニューから:
- 「⋮」→「履歴」→「履歴」
- 左側の「閲覧履歴データの削除」をクリック
削除オプションの選び方
「閲覧履歴データの削除」ウィンドウが開きます。
期間を選択:
- 直前の1時間
- 過去24時間
- 過去7日間
- 過去4週間
- 全期間(すべて削除)
削除する項目を選択:
基本タブ:
- ☑ 閲覧履歴
- ☑ Cookieと他のサイトデータ
- ☑ キャッシュされた画像とファイル
詳細設定タブ:
- ☑ ダウンロード履歴
- ☑ パスワードとその他のログインデータ
- ☑ 自動入力フォームのデータ
- ☑ サイトの設定
- ☑ ホストされているアプリデータ
おすすめの設定:
通常は「閲覧履歴」「Cookie」「キャッシュ」の3つをチェックすれば十分です。
「データを削除」ボタンをクリックして完了。
特定のサイトだけ削除
すべてではなく、特定のサイトだけ履歴から消したい場合:
- 「⋮」→「履歴」→「履歴」を開く
- 削除したいサイトの右側の「⋮」をクリック
- 「履歴から削除」を選択
または:
- 検索ボックスでサイト名を検索
- 該当する履歴すべてにチェック
- 「削除」をクリック
方法4:拡張機能でプライバシー強化
より高度なプライバシー保護が必要な場合の方法です。
Click&Clean(無料)
閲覧データをワンクリックで削除できる便利な拡張機能です。
主な機能:
- ツールバーからワンクリックで履歴削除
- Chromeを閉じた時に自動削除
- プライベートデータの検出と削除
- 削除項目のカスタマイズ
使い方:
- Chrome ウェブストアで「Click&Clean」を検索してインストール
- ツールバーのアイコンをクリック
- 削除したい項目を選択
- 「Clean Now」をクリック
History Eraser(無料)
シンプルで軽量な履歴削除ツールです。
特徴:
- ツールバーから素早く履歴削除
- 削除する期間を選択可能
- 軽量で動作が速い
Privacy Badger(無料、EFF提供)
トラッキング(追跡)を防ぐ拡張機能です。
機能:
- ウェブサイトによる追跡をブロック
- サードパーティCookieを制限
- プライバシーを自動保護
注意:
履歴削除ではなく、追跡防止に特化した拡張機能です。
方法5:ゲストモードを使う
共有パソコンで一時的に使用する場合に最適です。
ゲストモードとは
ゲストモードは、Chromeの一時的な利用モードです。
特徴:
- すべてのブラウジングデータが保存されない
- 閲覧履歴、Cookie、拡張機能などがリセット
- ウィンドウを閉じると、すべてのデータが削除される
ゲストモードの使い方
デスクトップ版Chrome:
- Chromeウィンドウ右上のプロフィールアイコンをクリック
- 「ゲスト」を選択
- 新しいゲストウィンドウが開く
終了方法:
ゲストウィンドウを閉じるだけで、すべてのデータが自動削除されます。
シークレットモードとの違い
| 特徴 | シークレットモード | ゲストモード |
|---|---|---|
| 履歴 | 残らない | 残らない |
| ブックマーク | アクセス可能 | アクセス不可 |
| 拡張機能 | 許可すれば使える | 使えない |
| プロフィール | 自分のまま | 完全に別 |
| 用途 | 個人的なブラウジング | 他人に貸す時 |
使い分け:
- 自分が使う→シークレットモード
- 他人に貸す→ゲストモード
方法6:別プロファイルを作成
プライベート用と仕事用などを完全に分ける方法です。
新しいプロフィールの作成
手順:
- Chrome右上のプロフィールアイコンをクリック
- 「追加」をクリック
- 「アカウントなしで続行」を選択(Googleアカウント不要の場合)
- プロフィール名を設定(例:「プライベート」)
- アイコンと色を選択
プロファイルごとの設定
各プロフィールは完全に独立しています:
別々に管理されるもの:
- 閲覧履歴
- ブックマーク
- パスワード
- 拡張機能
- Cookie
メリット:
- 仕事とプライベートを完全分離
- 家族で使い分けができる
- 履歴が混ざらない
プライベート用プロファイルの設定例:
- プロファイルを作成
- 前述の「自動削除設定」を有効化
- プライバシー重視の設定にする
- 終了時にすべてクリアされるようにする
方法7:DNSとVPNでプライバシー強化(上級者向け)
ISPやネットワーク管理者からも履歴を隠したい場合です。
DNSの変更
DNS(Domain Name System)を変更することで、ISPにサイト名が見えにくくなります。
推奨DNS:
- Cloudflare: 1.1.1.1
- Google Public DNS: 8.8.8.8
- Quad9: 9.9.9.9
設定方法(Chrome内):
- Chrome設定→「プライバシーとセキュリティ」
- 「セキュリティ」をクリック
- 「DNS over HTTPS を使用する」をオンにする
- プロバイダを選択
VPNの使用
VPN(Virtual Private Network)を使うと、通信内容が暗号化されます。
効果:
- ISPからは何を見ているか分からなくなる
- IPアドレスが隠される
- 地域制限を回避できる
推奨VPNサービス:
- NordVPN
- ProtonVPN
- MillenVPN(日本製)
注意点:
- 信頼できるVPNサービスを選ぶ
- 無料VPNは避ける(プライバシーリスク)
- VPN自体が通信ログを保持する可能性
完全なプライバシーを求める場合
最高レベルのプライバシーが必要な方向けです。
Tor Browserの使用
Tor Browserは、匿名性に特化したブラウザです。
特徴:
- 通信が多段階で暗号化される
- IPアドレスが隠される
- 追跡が極めて困難
注意点:
- 通信速度が遅い
- 一部のサイトが正常に動作しない
- 違法行為には使用しない
プライバシー重視のブラウザ
Brave Browser:
- 広告ブロック内蔵
- トラッカー自動ブロック
- Chromiumベース
Firefox(プライバシー設定強化):
- トラッキング防止機能
- Facebookコンテナ拡張
- オープンソース
よくある勘違いと注意点
誤解しやすいポイントを解説します。
勘違い1:シークレットモードは完全匿名
間違い:
シークレットモードでも、ISPやウェブサイトには記録が残ります。
正しい理解:
Chrome上の履歴が残らないだけで、ネットワークレベルでは見えています。
勘違い2:履歴を削除すれば証拠は残らない
間違い:
Chromeの履歴を削除しても、完全には消えません。
実際には:
- ルーターのログに残る可能性
- ISPの記録には残る
- Googleアカウントにログインしていると、Googleサーバーに記録
- 企業・学校のネットワークには記録
勘違い3:拡張機能なら完全に安全
間違い:
拡張機能自体がプライバシーリスクになることも。
注意点:
- 不審な拡張機能は避ける
- 権限を確認する
- 信頼できる開発者のものを選ぶ
状況別のおすすめ方法
あなたの状況に合わせた最適な方法を選びましょう。
状況1:家族とPCを共有
おすすめ:
- プロフィールを分ける
- または、シークレットモード
- ゲストモードを活用
理由:
家族に見られたくない程度なら、これで十分です。
状況2:会社のPC
おすすめ:
- シークレットモード
- ただし、会社のネットワークでは監視されている前提で
注意:
会社のポリシーを確認し、業務に関係ないサイトは見ない方が無難です。
状況3:公共のPC(図書館など)
おすすめ:
- ゲストモード
- 終了後に必ず履歴を削除
- パスワードは保存しない
理由:
次に使う人に情報が残らないようにするため。
状況4:本格的なプライバシー保護
おすすめ:
- Tor Browser
- VPN + シークレットモード
- プライバシー重視ブラウザ(Brave)
理由:
ISPやネットワーク管理者からも隠したい場合。
トラブルシューティング
よくある問題と解決方法です。
問題1:シークレットモードでログインできない
原因:
Cookieが保存されないため、一部のサイトで問題が起きる。
解決策:
通常モードでログインし、必要な作業が終わったら履歴を削除。
問題2:履歴削除後もサジェストに表示される
原因:
Googleアカウントに紐付いた検索履歴が残っている。
解決策:
- myactivity.google.comにアクセス
- 「削除」→「期間指定して削除」
- Googleアカウントの履歴を削除
問題3:自動削除設定が効かない
原因:
設定が正しく保存されていない、または別のプロフィールで使用している。
解決策:
- 設定を再確認
- Chromeを再起動
- プロフィールを確認
問題4:シークレットモードが開けない
原因:
管理者がシークレットモードを無効化している(企業PCなど)。
解決策:
- 管理者に確認
- 許可されていない場合は諦める
よくある質問(FAQ)
Q1: 完全に履歴を残さない方法はありますか?
A: Chrome上では可能ですが、ISPやネットワーク管理者、訪問先のウェブサイトには記録が残ります。完全に匿名でブラウジングするのは困難ですが、Tor Browser + VPNを使えば、かなり近づけます。
Q2: シークレットモードでもGoogleに履歴は残りますか?
A: Googleアカウントにログインしている場合、検索履歴やYouTubeの視聴履歴はGoogleサーバーに保存されます。シークレットモードはChrome上の履歴を残さないだけです。
Q3: 履歴を削除するとパスワードも消えますか?
A: 「パスワードとその他のログインデータ」にチェックを入れて削除した場合のみ消えます。通常の履歴削除では、パスワードは残ります。
Q4: 会社のPCでシークレットモードを使うとバレますか?
A: シークレットモード自体の使用は通常バレませんが、ネットワーク管理者はアクセス先のサイトを把握できます。会社のポリシーに従いましょう。
Q5: スマホのChromeでも同じ方法が使えますか?
A: はい。シークレットモード、履歴削除、ゲストモードなど、基本的な機能はスマホ版でも利用できます。
Q6: 履歴を残さないとブラウジングが遅くなりますか?
A: いいえ。むしろキャッシュがない分、初回読み込みは遅くなる可能性がありますが、通常の使用では体感できるほどの差はありません。
まとめ:Chromeで履歴を残さない方法
Chromeで閲覧履歴を残さない方法を整理します。
レベル別のおすすめ方法:
レベル1:手軽に(初心者向け)
- シークレットモード(
Ctrl + Shift + N) - Chrome上の履歴が残らない
- 最も簡単で効果的
レベル2:自動化(中級者向け)
- Cookie自動削除設定
- 拡張機能(Click&Clean、Auto History Wipe)
- 手間なく履歴管理
レベル3:完全分離(中級者向け)
- プロフィール分け
- ゲストモード
- 用途に応じて使い分け
レベル4:本格的(上級者向け)
- VPN + シークレットモード
- Tor Browser
- ISPからも隠したい場合
状況別の選択:
| 状況 | おすすめ方法 |
|---|---|
| 家族共有PC | プロフィール分け、シークレットモード |
| 会社のPC | シークレットモード(注意して使用) |
| 公共のPC | ゲストモード |
| 本格的プライバシー | VPN、Tor Browser |
重要な注意点:
- シークレットモードは完全匿名ではない
- ISPやネットワーク管理者には見える
- 違法行為の隠蔽には使わない
- 会社や学校のポリシーを守る
手軽さと効果のバランス:
ほとんどの人にはシークレットモードで十分です。特別な理由がない限り、複雑な設定は不要でしょう。
最後に:
プライバシー保護は重要ですが、過度に心配する必要もありません。自分の状況に合った適切な方法を選び、快適にインターネットを楽しみましょう!
まずはシークレットモードから試してみて、必要に応じて他の方法を組み合わせるのがおすすめですよ。
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