パソコンの電源を入れたら、画面に表示されたのは真っ黒な背景に白い文字だけ。
「Operating System not found」
この一文を見た瞬間、心臓がドキッとした経験はありませんか?
「大切なデータが消えた?」「パソコンが壊れた?」そんな不安が頭をよぎりますよね。
でも、落ち着いてください。このエラーが出たからといって、必ずしもパソコンが故障しているわけではありません。
この記事では、「Operating System not found」エラーが表示される原因と、それぞれの具体的な解決方法を、初心者の方にも分かるように丁寧に解説します。
焦らず一つずつ対処していけば、きっと元通りに使えるようになりますよ。
「Operating System not found」とは何か?
まずは、このエラーメッセージの意味を理解しましょう。
エラーメッセージの意味
「Operating System not found」を日本語に訳すと、「オペレーティングシステムが見つかりません」となります。
もっと簡単に言うと、「パソコンを動かすためのOS(Windows、Linuxなど)が見つからないので、起動できません」という意味です。
なぜこのエラーが出るの?
パソコンの起動プロセスは、以下の流れで進みます:
- 電源ON:パソコンに電源が入る
- BIOS/UEFI起動:マザーボードのファームウェアが動き出す
- 起動デバイス検索:どこからOSを起動すべきか探す
- ブートローダー読み込み:OSを起動するプログラムを読む
- OS起動:WindowsやLinuxが起動する
このプロセスの「ステップ3」または「ステップ4」で問題が起きると、「Operating System not found」エラーが表示されます。
つまり、BIOSが「OSをどこから起動すればいいか分からない」か、「起動情報が読み取れない」状態なんです。
似たようなエラーメッセージ
同じような意味で、以下のエラーも表示されることがあります:
- 「Missing operating system」:OSが見つからない
- 「Error loading operating system」:OS読み込みエラー
- 「No bootable device」:起動可能なデバイスがない
- 「Boot failure」:起動失敗
- 「Non-System disk or disk error」:システムディスクではない
これらはすべて、OSが起動できないという同じ問題を指しています。
エラーの原因:7つの可能性
このエラーが出る原因は一つではありません。考えられる原因を一つずつ見ていきましょう。
原因1:外部メディアが挿入されたまま
最も多く、そして最も簡単に解決できる原因です。
USBメモリ、外付けHDD、DVDなどが挿入されたままになっていると、BIOSがそこから起動しようとしてエラーになります。
原因2:BIOSのブート順序が間違っている
BIOSの設定で、起動デバイスの優先順位が変更されてしまった場合です。
例えば、DVDドライブが最優先になっていて、内蔵ハードディスクが後回しになっているケースがあります。
原因3:ハードディスク/SSDの物理的な故障
ストレージデバイス自体が故障して、データが読み取れなくなっている可能性があります。
物理的な故障の場合、カチカチという異音がしたり、まったく認識されなかったりします。
原因4:ケーブルや接続の問題
ハードディスクやSSDをマザーボードに接続しているケーブル(SATAケーブル)が緩んでいたり、故障していたりする場合です。
デスクトップPCを移動させた後などに起きやすいトラブルです。
原因5:MBR(マスターブートレコード)の破損
ハードディスクの先頭部分にある起動情報が破損している状態です。
ウイルス感染、不適切なパーティション操作、突然の電源断などが原因になります。
原因6:ブートローダーの破損
Windowsのブートローダー(起動プログラム)が壊れている場合です。
Windowsアップデートの失敗や、システムファイルの破損が原因になります。
原因7:システムパーティションの削除や変更
誤ってシステムパーティション(OSがインストールされている領域)を削除したり、変更したりしてしまった場合です。
パーティション編集ソフトを使った際に起きることがあります。
対処法1:外部メディアを取り外す【最も簡単】
まずは最も簡単な解決策から試しましょう。
手順
- パソコンの電源を切る
- 接続されているすべての外部デバイスを取り外す:
- USBメモリ
- 外付けハードディスク
- DVDやCD
- SDカード
- その他のUSBデバイス
- パソコンを再起動
これだけで解決することが非常に多いです。
なぜこれで解決するの?
BIOSは、設定された順序で起動デバイスを探します。
外部メディアが挿入されていると、そこから起動しようとしますが、起動情報がないためエラーになってしまうんです。
外部メディアを取り外せば、内蔵ハードディスクから正常に起動できます。
それでも解決しない場合
この方法で解決しない場合は、次の対処法に進みましょう。
対処法2:BIOSのブート順序を確認・変更する
BIOS設定で、起動デバイスの優先順位を確認します。
BIOS設定画面の開き方
パソコンの電源を入れた直後に、特定のキーを押します。
よく使われるキー(メーカーによって異なります):
- F2(Dell、Lenovoなど)
- F10(HP)
- F12(Lenovo、Acer)
- Delete(ASUS、MSI、自作PCなど)
- Esc(HP、一部のメーカー)
画面に「Press F2 to enter Setup」のような表示が出ることもあるので、それに従ってください。
ブート順序の確認・変更手順
ステップ1:Boot(起動)メニューを探す
BIOS画面に入ったら、以下のような名前のメニューを探します:
- Boot
- Boot Order
- 起動順序
- Boot Priority
- 起動デバイス
ステップ2:優先順位を確認
起動デバイスが、以下のような順序で表示されているはずです:
1. USB HDD
2. CD/DVD Drive
3. Hard Disk Drive (内蔵HDD/SSD)
4. Network Boot
内蔵ハードディスク(Hard Disk、HDD、SSDなど)が最優先になっていない場合、変更が必要です。
ステップ3:順序を変更
キーボードの矢印キーや、F5/F6キー、+/-キーなどを使って、内蔵ハードディスクを一番上に移動させます。
変更方法は画面下部に表示されているはずです。
ステップ4:保存して再起動
設定を変更したら:
- Save and Exit(保存して終了)を選択
- 通常はF10キーを押す
- 確認画面で「Yes」を選択
- パソコンが再起動される
これで、内蔵ハードディスクから優先的に起動するようになります。
対処法3:ハードディスク/SSDの接続を確認する
デスクトップPCの場合、物理的な接続を確認しましょう。
注意事項
ノートパソコンの場合:
分解が難しく、保証が切れる可能性があるため、この方法はおすすめしません。
専門業者に依頼するか、次の対処法に進んでください。
デスクトップPCの場合:
以下の手順で確認できます。
手順
ステップ1:電源を切り、ケーブルを抜く
- パソコンの電源を完全に切る
- 電源ケーブルをコンセントから抜く
- 数分待って、内部の電気を放電させる
ステップ2:ケースを開ける
- デスクトップPCの側面パネルを外す
- ネジを外すか、ロックを解除して開ける
ステップ3:ハードディスクの接続を確認
- ハードディスクまたはSSDを見つける
- 2本のケーブルが接続されているはず:
- 電源ケーブル(太いケーブル)
- SATAケーブル(細いケーブル)
- 両方のケーブルがしっかり挿入されているか確認
- 緩んでいたら、しっかり押し込む
ステップ4:再組み立てと動作確認
- ケースを閉じる
- 電源ケーブルを接続
- パソコンを起動
接続不良が原因だった場合、これで解決します。
ケーブル自体の故障の可能性
しっかり接続しても改善しない場合、ケーブル自体が故障している可能性があります。
予備のSATAケーブルがあれば、交換してみてください。
対処法4:Windowsの回復環境で修復する
WindowsのインストールメディアやUSB回復ドライブを使って、起動情報を修復します。
準備するもの
以下のいずれか:
- Windowsインストールメディア(USBまたはDVD)
- USB回復ドライブ
持っていない場合は、別のPCでMicrosoft公式サイトから作成できます。
修復手順
ステップ1:メディアから起動
- WindowsインストールUSB(またはDVD)を挿入
- パソコンを再起動
- ブートメニューを開く(F12、F8、Escなど)
- USBまたはDVDから起動を選択
ステップ2:回復環境に入る
- 言語を選択して「次へ」
- 画面左下の「コンピューターを修復する」をクリック
- 「トラブルシューティング」を選択
- 「詳細オプション」を選択
ステップ3:スタートアップ修復を実行
- 「スタートアップ修復」を選択
- 修復したいOSを選択(通常は一つだけ表示される)
- 自動的に診断と修復が開始される
- 完了したら再起動
スタートアップ修復により、ブートローダーやMBRの問題が自動的に修復されることがあります。
それでも解決しない場合:コマンドプロンプトで修復
スタートアップ修復で解決しない場合は、手動で修復します。
手順
- 「詳細オプション」から「コマンドプロンプト」を選択
- 黒い画面が開くので、以下のコマンドを順番に入力:
MBRの修復:
bootrec /fixmbr
Enterキーを押して実行。「操作は正常に完了しました」と表示されればOK。
ブートセクタの修復:
bootrec /fixboot
Enterキーを押して実行。
BCD(ブート構成データ)の再構築:
bootrec /rebuildbcd
Enterキーを押して実行。Windowsインストールが見つかったら、「Y」を入力して追加。
すべて完了したら:
exit
と入力してコマンドプロンプトを終了。
- パソコンを再起動
これで、ブートローダーとMBRが修復されます。
対処法5:ハードディスクの健康状態をチェックする
ハードディスク自体に問題がある可能性を確認します。
別のPCに接続して確認
問題のハードディスクを別のPCに接続して、認識されるか確認します。
方法
- 外付けHDDケースやUSB変換アダプタを用意
- 問題のハードディスクを接続
- 別の正常なPCに接続
- ディスクが認識されるか確認
認識される場合:
ハードディスク自体は生きています。データをバックアップして、OSの再インストールを検討してください。
認識されない場合:
物理的に故障している可能性が高いです。対処法7に進んでください。
CrystalDiskInfoで健康状態をチェック
別のPCに接続できた場合、診断ツールで状態を確認します。
手順
- 別のPCで「CrystalDiskInfo」をダウンロード(無料)
- インストールして起動
- 問題のハードディスクを選択
- 「健康状態」を確認:
- 正常:ハードディスクは問題なし
- 注意:一部のセクタに問題あり、バックアップ推奨
- 異常:すぐにバックアップして交換必要
「異常」や「注意」の場合は、できるだけ早くデータをバックアップして、ハードディスクを交換してください。
対処法6:BIOSでハードディスクが認識されているか確認
ハードディスクがBIOSレベルで認識されているかチェックします。
確認手順
- BIOS設定画面に入る(F2、Delete、F10など)
- 以下のような名前のメニューを探す:
- Storage Configuration
- SATA Configuration
- Advanced → SATA
- Main
- 接続されているストレージデバイスの一覧を確認
正常に認識されている場合:
- ハードディスクのモデル名が表示される
- 容量が正しく表示される
認識されていない場合:
- 「Not Detected」や「None」と表示される
- この場合、物理的な接続問題またはハードディスクの故障
SATA設定の確認
BIOSの設定で、SATAモードが正しく設定されているか確認します。
以下の設定を探してください:
- SATA Mode
- SATA Configuration
通常は以下のいずれかになっています:
- AHCI(推奨):最新の方式
- IDE/Compatibility:古い互換モード
- RAID:複数ディスクを使用する場合
AHCIモードになっていることを確認してください。
もしIDEモードになっていて認識されない場合は、AHCIに変更してみてください。
ただし、インストール済みのWindowsがIDEモードでインストールされている場合、変更すると起動しなくなることがあるので注意が必要です。
対処法7:OSの再インストール【最終手段】
他の方法で解決しない場合、OSを再インストールするのが確実です。
再インストール前の準備
重要:再インストールすると、すべてのデータが消去されます。
可能であれば、事前にデータをバックアップしてください。
バックアップ方法
ハードディスクが別のPCで認識される場合:
- 外付けHDDケースで別のPCに接続
- 必要なファイルをすべてコピー
- 文書、写真、動画、デスクトップのファイルなど
バックアップができない場合:
データ復旧業者に依頼するか、諦めて再インストールに進みます。
Windows再インストール手順
ステップ1:インストールメディアから起動
- WindowsインストールUSBまたはDVDを挿入
- BIOSのブート順序でUSB/DVDを最優先に設定
- パソコンを再起動
ステップ2:インストール開始
- 言語、時刻、キーボードを選択して「次へ」
- 「今すぐインストール」をクリック
- プロダクトキーを入力(または「プロダクトキーがありません」を選択)
- ライセンス条項に同意
ステップ3:インストールの種類を選択
- 「カスタム: Windowsのみをインストールする(詳細)」を選択
- インストール先のドライブを選択
- 既存のパーティションを削除して、新しく作成(すべてのデータが消えます)
- 「次へ」をクリック
ステップ4:インストール完了を待つ
- Windowsのインストールが自動的に進行(20〜60分程度)
- 途中で数回再起動する
- 初期設定画面が表示されたら、指示に従って設定
これで、新しいWindowsが起動するようになります。
ドライバのインストール
OSをインストールしたら、必要なドライバをインストールします:
- グラフィックドライバ
- ネットワークドライバ
- チップセットドライバ
- その他のデバイスドライバ
メーカーの公式サイトからダウンロードしてインストールしてください。
予防策:同じエラーを繰り返さないために
問題が解決したら、再発防止のための対策を実施しましょう。
対策1:定期的なバックアップ
データを定期的にバックアップすることで、トラブル時の被害を最小限に抑えられます。
バックアップ方法:
- 外付けHDDへのコピー:週1回程度
- クラウドストレージ:OneDrive、Googleドライブなど
- Windows標準のバックアップ機能:自動バックアップ設定
- システムイメージの作成:月1回程度
対策2:ハードディスクの健康状態を監視
定期的にCrystalDiskInfoなどのツールで、ハードディスクの状態をチェックしましょう。
異常の兆候が見られたら、すぐにバックアップとハードディスク交換を検討してください。
対策3:正しいシャットダウン
電源ボタンの長押しや、いきなりコンセントを抜くなどの強制終了は避けましょう。
システムファイルやブート情報が破損する原因になります。
必ず正常な手順でシャットダウンしてください。
対策4:USB回復ドライブの作成
万が一に備えて、USB回復ドライブを作成しておきましょう。
作成手順
- 16GB以上のUSBメモリを用意
- Windowsの検索で「回復ドライブ」を検索
- 「回復ドライブの作成」を起動
- 画面の指示に従って作成
このUSBがあれば、トラブル時に修復作業がスムーズになります。
対策5:Windows Updateを定期的に実行
Windowsを最新の状態に保つことで、システムの安定性が向上します。
自動更新を有効にしておくことをおすすめします。
対策6:UPS(無停電電源装置)の導入
停電や電圧変動から、パソコンとハードディスクを守ります。
特にデスクトップPCの場合、UPSの導入を検討してください。
よくある質問(Q&A)
このエラーについて、よくある質問にお答えします。
Q1:このエラーが出たら、データは消えているの?
A:必ずしも消えているわけではありません。
起動情報(MBRやブートローダー)が壊れているだけで、データ本体は残っている可能性が高いです。
別のPCにハードディスクを接続すれば、データを取り出せることが多いです。
Q2:修理に出すといくらかかる?
A:状況によって大きく異なります。
- 簡単な修復:5,000円〜15,000円程度
- ハードディスク交換:15,000円〜30,000円程度
- データ復旧:50,000円〜数十万円(データ量と難易度による)
自分で対処できれば無料ですが、難しい場合は専門業者に依頼しましょう。
Q3:SSDでもこのエラーは起きる?
A:はい、起きます。
HDDよりは故障率が低いですが、SSDでも同様のエラーが発生する可能性があります。
原因は、MBRの破損、接続不良、SSDの故障などです。
Q4:このエラーが出た後、一度起動したけどまた出た
A:不安定な状態です。
一時的に起動できても、根本的な問題が解決していない可能性があります。
できるだけ早くデータをバックアップして、原因を特定・修復してください。
Q5:古いパソコンだから寿命?
A:年数だけでは判断できません。
5年以上使っているパソコンであれば、ハードディスクの寿命の可能性もあります。
しかし、設定やソフトウェアの問題の場合もあるので、まずは対処法を試してみてください。
Q6:Macでも同じエラーが出る?
A:Macでは異なるエラーメッセージが表示されます。
よくあるのは:
- フォルダアイコンに「?」マーク
- 「No bootable device」
- 禁止マーク(丸に斜線)
基本的な原因と対処法は似ていますが、修復手順はMac専用の方法になります。
まとめ:焦らず一つずつ対処すれば解決できる
「Operating System not found」エラーについて、理解できましたか?
この記事の重要ポイント:
- エラーの意味は「OSが見つからない」
- 原因は複数あり、簡単なものから深刻なものまで様々
- まずは外部メディアの取り外しとBIOS設定を確認
- 物理的な接続やケーブルの問題も多い
- MBRやブートローダーの修復は回復環境から可能
- 最終手段はOSの再インストール
- 定期的なバックアップで被害を最小限に
このエラーは確かに焦りますが、多くの場合は修復可能です。
データが完全に消えているケースは少なく、適切な対処をすれば元通りに使えるようになることがほとんどです。
この記事の対処法を、順番に試してみてください。
それでも解決しない場合や、自分で対処するのが難しい場合は、無理せず専門業者に相談しましょう。
大切なのは、焦らず冷静に対処することです。
あなたのパソコンが無事に復旧することを願っています!

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