天使って聞くと、どんなイメージを持ちますか?
羽を持った美しい存在?それとも神様のお使い?
実は、世界中の宗教で天使はとても重要な役割を担っているんです。
- キリスト教では、天使は9つの階級に分かれています
- イスラム教では、天使を信じることが信仰の大切な柱の一つなんですよ
- ユダヤ教では、天使は神様の使者として大切にされています
この記事では、それぞれの宗教の天使について、わかりやすく解説していきます。
古代の宗教であるゾロアスター教の天使的な存在についても触れながら、天使という概念がどのように発展してきたのか、一緒に見ていきましょう!
🕊️ キリスト教の天使:9つの階級のヒミツ

キリスト教の天使には、実は階級があるって知っていましたか?
この階級システムは、5~6世紀の神学者が書いた『天上位階論』という本がもとになっています。後に聖トマス・アクィナスという偉い学者さんが、さらに詳しくまとめました。
でも、ちょっと待って!
この9階級は公式な教えじゃないんです。神様の世界の秩序を理解するための、いわば「考え方のヒント」みたいなものなんですよ。
第一階層:神様に一番近い天使たち
第一階層の天使は、神様のすぐそばで、神様を直接礼拝している存在です。
🔥 熾天使(セラフィム)
一番偉い天使がこの熾天使です!
名前の意味は「燃える者」。文字通り、神様への愛の炎でずーっと燃え続けているんです。
特徴をまとめると:
- 6枚の翼を持っている
- 2枚で顔を、2枚で足を隠し、残り2枚で飛ぶ
- いつも「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな」と歌っている
アッシジの聖フランシスコという有名な聖人が聖痕(キリストと同じ傷)を受けたのも、この熾天使からだと言われているんです。
👁️ 智天使(ケルビム)
智天使は、神様の知恵と全知を表す天使です。
面白いことに、この天使は4つの顔を持っているんですよ!
- 人間の顔
- ライオンの顔
- 牛の顔
- ワシの顔
さらに、体中にたくさんの目があるそうです。ちょっと想像すると不思議な姿ですよね。
エデンの園の入り口を守っているのも、この智天使なんです。
⚙️ 座天使(スローンズ)
座天使は、神様の玉座を支える役割があります。
聖書では「目で覆われた車輪」として描かれていて、これまた不思議な姿をしています。神様の正義と慈悲を表現する存在なんですよ。
第二階層:宇宙を管理する天使たち
第二階層の天使は、宇宙全体の秩序を保つお仕事をしています。
👔 主天使(ドミニオンズ)
会社でいえば「中間管理職」みたいな存在です。
下の階級の天使たちに仕事を振り分けたり、調整したりするんです。宇宙全体の管理って、すごく大変そうですよね!
✨ 力天使(ヴァーチューズ)
奇跡を起こす天使です!
星や惑星の動き、自然現象をコントロールしています。科学者や芸術家にひらめきを与えるのも、この天使のお仕事なんですって。
「光の閃光」のように現れるそうですよ。
⚔️ 能天使(パワーズ)
悪魔と戦う戦士の天使です。
宇宙の秩序を守り、混沌を防ぐ重要な役割があります。でも、一部の能天使は堕落して悪魔になってしまったとも言われています。
第三階層:人間に一番近い天使たち
第三階層は、私たち人間に最も関わりの深い天使たちです。
🏛️ 権天使(プリンシパリティーズ)
国や民族、教会を守護する天使です。
例えば、ミカエルは「イスラエルの守護者」として有名ですね。地上の指導者たちを正しい方向に導く役割もあります。
📯 大天使(アークエンジェルズ)
重要なメッセージを伝える天使です。
実は、聖書で明確に「大天使」と呼ばれているのはミカエルだけなんです。でも、伝統的には7人の大天使が神様の前にいるとされています。
👼 天使(エンジェルズ)
一番人間に近い存在で、守護天使として私たちを見守ってくれています。
「子供たちの天使が天の父の御顔を常に仰いでいる」という聖書の言葉もあります。最も数が多く、私たちの日常生活に関わる天使です。
キリスト教の有名な大天使たち
⚔️ ミカエル
名前の意味:「神に似た者は誰か」
天の軍隊のリーダーです!悪魔(サタン)と戦って、これを天から追い出したすごい天使。
特徴:
- 鎧を着て、剣や槍を持っている
- 悪魔や龍を踏みつけている姿で描かれる
- 9月29日が記念日
最後の審判では、人の魂の重さを量る役割もあるそうです。
📢 ガブリエル
名前の意味:「神は我が力」
一番有名なのは、聖母マリアにイエス様の誕生を告げた「受胎告知」ですね。
特徴:
- 白百合や巻物を持った若々しい姿
- 通信関係の仕事をする人の守護聖人
- ラッパを持つこともある
🏥 ラファエル
名前の意味:「神は癒す」
病気を治す天使として知られています。
特徴:
- 杖や魚、薬の容器を持つ
- 旅行者や医師の守護聖人
- 結婚を求める若者も守ってくれる
💡 ウリエル
名前の意味:「神は我が光」
ただし、カトリック教会では公式に認められていません。東方正教会などでは大切にされています。
教派による違い
キリスト教といっても、宗派によって天使への考え方が違うんです。
カトリック教会
- 3人の大天使(ミカエル、ガブリエル、ラファエル)だけを公式に認める
- 天使に祈ってもOK
東方正教会
- 7~8人の大天使を大切にする
- 毎週月曜日は天使の日
プロテスタント
- 聖書に書いてある天使だけを認める傾向
- 天使には祈らず、神様だけに祈る
☪️ イスラム教の天使:信仰の大切な柱

イスラム教では、天使を信じることが信仰の6つの柱の2番目なんです。つまり、とっても重要!
イスラム教の天使の特徴
イスラム教の天使には、独特な特徴があります:
- 光から作られた(人間は土、ジンは炎から)
- 自由意志がない(神様の命令に絶対服従)
- 食事も睡眠も必要ない
- 永遠に生きる
- 性別がない
- 翼は2枚から600枚まで様々
主要な天使たち
📖 ジブリール(ガブリエルのこと)
最も重要な天使で、預言者ムハンマドにコーランを伝えました。
すべての預言者に神様のメッセージを届ける役割があります。なんと600枚の翼を持っているそうです!
🌧️ ミーカーイール(ミカエルのこと)
恵みと慈悲の天使です。
雨や天気をコントロールし、食料の分配を管理しています。農業の豊作も、この天使のおかげなんですね。
🎺 イスラーフィール
世界の終わりを告げるラッパを吹く天使です。
今もラッパを唇に当てて、神様の命令を待ち続けているそうです。ちょっとドキドキしますね。
💀 アズラーイール
死の天使です。決められた時に人の魂を取る役割があります。
ただし、一部の学者は「死の天使」とだけ呼ぶべきだと言っています。
✍️ キラーマン・カーティビーン
記録天使で、私たちの善い行いと悪い行いをすべて記録しています!
面白いことに:
- 右肩の天使が善行を記録
- 左肩の天使が悪行を記録
- 悪行は6時間待ってくれる(その間に反省すれば記録しない!)
- 善行は10倍に記録される
なんて優しいシステムなんでしょう!
❓ ムンカルとナキール
墓の天使で、亡くなった人に3つの質問をします:
- あなたの主は誰?
- あなたの宗教は?
- あなたの預言者は誰?
正しく答えられれば、墓が広くなって光で満たされるそうです。
🌺 リドワーン
天国の門番です。8つの門を守っていて、正しい信者を「平安あれ!」と歓迎してくれます。
🔥 マーリク
地獄の番人で、決して笑わない天使です。
19人の懲罰天使を指揮しています。預言者ムハンマドが天に昇った時、他の天使は笑顔だったのに、マーリクだけは笑わなかったそうです。
✡️ ユダヤ教の天使:神様の使者
ユダヤ教の「マルアク」(天使)は、「使者」という意味です。
ユダヤ教の天使観の発展
最初は名前のない単純な使者でしたが、バビロン捕囚(紀元前6世紀)以降、天使に名前がつけられるようになりました。
重要なポイント:
- 天使を崇拝することは絶対にダメ
- 「ミカエルにもガブリエルにも祈るな、神様だけに祈れ」
4大天使
ミカエル
イスラエルの守護者で、最高位の天使です。神様の右手に立ち、慈悲と愛を象徴します。
ガブリエル
神様の意志を地上で実行する使者です。火の要素を象徴します。
ラファエル
癒しの天使で、人間の霊を司ります。
ウリエル
光と叡智を司りますが、正典には登場しません。
ユダヤ教独自の天使
📚 メタトロン
ユダヤ教独自の最高位の天使で、イスラエルの行いを記録する天の書記です。
驚くことに、この天使は人間のエノクが変身した姿だと言われています!座ることを許された唯一の天使でもあります。
🙏 サンダルフォン
祈りの天使で、地上の祈りを集めて神様への冠を作るという美しい役割があります。
預言者エリヤが変身した姿とも言われています。
実際の祈り
寝る前の祈りでは:
「私の右にミカエル、左にガブリエル、前にウリエル、後ろにラファエル…」
と唱えるんです。天使に囲まれて眠るなんて、安心できそうですね!
🔥 ゾロアスター教とその他の伝承
ゾロアスター教:天使の概念の源
紀元前1500~1000年頃の古代ペルシャの宗教で、天使の概念の源流と考えられています。
アメシャ・スペンタ(聖なる不死者)
最高神が創造した6~7人の大天使のような存在:
- ヴォフ・マナフ(善き思考)- 家畜を守る
- アシャ・ヴァヒシュタ(真理)- 火を守る
- クシャスラ・ヴァイリヤ(支配)- 金属を守る
- スペンタ・アールマティ(献身)- 大地を守る
- ハウルヴァタート(完全性)- 水を守る
- アメレタート(不死)- 植物を守る
それぞれが自然の要素を守っているんですね!
ヤザタ(崇拝に値する者)
下位の天使のような存在で、最も有名なのがミスラ(契約の神)です。
フラワシ(守護天使)
一人一人に割り当てられた個人的な守護天使です。翼のある鳥のような姿だそうです。
その他の天使的存在
グノーシス主義のアイオーン
神の属性を表す抽象的な存在です。天使というより、哲学的な概念に近いですね。
エノク書の見張りの天使
200人の天使が地上に降りて、人間の女性と結婚してしまった話があります。禁じられた知識を人間に教えたため、神様に罰せられました。
仏教・ヒンドゥー教のデーヴァ
天界の存在ですが、天使とは根本的に違います:
- 輪廻の中にいる(不死ではない)
- 唯一神の使者ではない
- 数千年から数十億年生きるけど、また生まれ変わる
🌍 宗教による天使観の比較
共通点
- ミカエルとガブリエルは3大宗教すべてに登場!
- でも、それぞれの役割は微妙に違う
大きな違い
天使への祈りについて
| 宗教 | 天使への祈り |
|---|---|
| カトリック・正教会 | OK(執り成しを求める) |
| プロテスタント | NG(神様だけに祈る) |
| ユダヤ教 | NG(厳格に禁止) |
| イスラム教 | NG(崇拝の対象ではない) |
天使の自由意志
- キリスト教:自由意志あり(だから堕天使もいる)
- イスラム教:自由意志なし(絶対服従)
人間から天使への変身
- ユダヤ教:あり(エノク→メタトロン、エリヤ→サンダルフォン)
- 他の宗教:なし
歴史的つながり
実は、ゾロアスター教の影響がとても大きいんです!
紀元前6世紀のバビロン捕囚で、ユダヤ人がペルシャ文化と出会い、そこから天使の階級や守護天使の概念が生まれたと考えられています。
まとめ:天使を通して見える宗教の世界
天使って、ただの羽の生えた存在じゃないんですね。
それぞれの宗教で:
- 神様と人間をつなぐ大切な役割
- 信者の日常生活を支える存在
- 世界の秩序を保つ重要な働き
があることがわかりました。
面白いのは、宗教を超えた共通性です。
ミカエルとガブリエルは、名前は少し違っても、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教すべてに登場します。これって、人類が共通して「神様と私たちをつなぐ存在」を必要としている証拠かもしれませんね。
でも同時に、それぞれの宗教の個性も見えてきます:
- キリスト教の細かい階級システム
- イスラム教の日常生活への深い関わり
- ユダヤ教の古い伝統と独自の天使
天使を学ぶことで、各宗教がどのように世界を見ているか、神様との関係をどう考えているかがよくわかります。
天使は今も、世界中の信者さんたちの心の支えとして、生き続けているんですよ。
📚 もっと知りたい人へ
天使についてもっと詳しく知りたい場合は、各宗教の聖典や解説書を読んでみてくださいね。
ただし、宗教的な内容なので、それぞれの信仰を尊重することが大切です。
天使という存在を通じて、世界の宗教の豊かさと多様性を感じていただければ幸いです!


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