「モニターは144Hzがいいらしい」
「Wi-Fiには2.4GHzと5GHzがある」
「この音は440Hzのラの音だよ」
普段の生活で「Hz(ヘルツ)」という単位を見たり聞いたりすることって、意外と多いですよね。でも、実際に何を表しているのか、ちゃんと説明できますか?
この記事では、Hzという単位の基本から、音楽・光・電波・ディスプレイなど様々な分野での使われ方まで、初心者の方にも分かるように丁寧に解説していきます。Hzを理解すると、日常の技術がもっと面白く見えてきますよ!
Hz(ヘルツ)の基本を理解しよう
Hzって何の単位?
Hz(ヘルツ)は、周波数を表す単位です。
周波数というのは、「1秒間に何回振動や波が繰り返されるか」を数値化したものなんです。
例えば:
- 1Hz = 1秒間に1回振動する
- 10Hz = 1秒間に10回振動する
- 1000Hz = 1秒間に1000回振動する
このように、数字が大きいほど「速く細かく振動している」ことを意味します。
名前の由来
Hzという単位名は、ドイツの物理学者ハインリヒ・ヘルツ(Heinrich Hertz)の名前から来ています。
彼は電磁波の存在を実験で証明した人物で、無線通信の基礎を作った功績から、この単位に名前が付けられました。科学の世界では、偉大な発見をした人の名前が単位になることがよくあるんですよ。
周波数ってどういうこと?
もう少し具体的にイメージしてみましょう。
縄跳びの縄を想像してください。ゆっくり回すと大きな波ができますよね。これが「低周波数」の状態です。
逆に、すごく速く回すと小さな波がたくさんできます。これが「高周波数」の状態です。
低周波数
- ゆっくりした振動
- 波が大きい
- 数値が小さい(例:10Hz)
高周波数
- 速い振動
- 波が細かい
- 数値が大きい(例:10000Hz)
この「振動の速さ」を数値で表したものが周波数、つまりHzというわけです。
Hzの大きさの単位いろいろ
Hzは数字が大きくなると、別の単位で表現されます。
基本の単位一覧
Hz(ヘルツ)
1秒間に1回の振動
基本単位です。
kHz(キロヘルツ)
1秒間に1,000回の振動
1kHz = 1,000Hz
音楽や音声でよく使われます。
MHz(メガヘルツ)
1秒間に1,000,000回の振動
1MHz = 1,000,000Hz = 1,000kHz
ラジオ放送やコンピューターのクロック周波数などで使います。
GHz(ギガヘルツ)
1秒間に1,000,000,000回の振動
1GHz = 1,000,000,000Hz = 1,000MHz
Wi-FiやCPUの処理速度などで見かけますね。
THz(テラヘルツ)
1秒間に1,000,000,000,000回の振動
1THz = 1,000,000,000,000Hz
赤外線や光の周波数を表す時に使われます。
大きさの比較
こんな風に覚えると分かりやすいです:
1 Hz(基本)
↓ 1,000倍
1 kHz(キロ)= 1,000 Hz
↓ 1,000倍
1 MHz(メガ)= 1,000,000 Hz
↓ 1,000倍
1 GHz(ギガ)= 1,000,000,000 Hz
↓ 1,000倍
1 THz(テラ)= 1,000,000,000,000 Hz
それぞれ1,000倍ずつ大きくなっていくんですね。
音の世界でのHz
音もHzで表現される「波」の一種です。
人間が聞こえる音の範囲
人間の耳が聞き取れる音の範囲は、だいたい20Hz~20,000Hz(20kHz)と言われています。
低音域(20Hz~250Hz)
- ドラムのバスドラム
- ベースギター
- 男性の低い声
お腹に響くような重低音ですね。
中音域(250Hz~4,000Hz)
- 人間の話し声
- ピアノの中央付近
- ギターのメロディ
最も聞き取りやすい音域です。
高音域(4,000Hz~20,000Hz)
- シンバルの音
- 女性の高い声
- 鳥のさえずり
キラキラとした明るい音です。
音楽の基準音「440Hz」
音楽の世界では、440Hzが特別な意味を持っています。
これはピアノの真ん中あたりにある「ラ」の音(A4)の標準的な周波数なんです。オーケストラが演奏前に「チューニング(音合わせ)」をする時、この440Hzの音を基準にしています。
ちなみに、この440Hzという基準は国際的に決められたもので、世界中の楽器が同じ高さで演奏できるようになっているんですよ。
動物の聴覚範囲
人間以外の動物は、異なる範囲の音を聞き取れます:
犬 40Hz~60,000Hz
人間より高い音まで聞こえます。犬笛が効果的な理由ですね。
猫 45Hz~64,000Hz
犬よりさらに高音域が得意です。
イルカ 75Hz~150,000Hz
超音波を使ってコミュニケーションしています。
コウモリ 2,000Hz~110,000Hz
超音波で周囲を探知(エコーロケーション)します。
光と電磁波の世界でのHz
光や電波も、実は周波数で表現できる波の仲間です。
電磁波スペクトラム
電磁波は周波数によって性質が変わります:
ラジオ波(数十kHz~数百MHz)
- AMラジオ:500kHz~1,600kHz
- FMラジオ:76MHz~90MHz
- テレビ放送:470MHz~770MHz
マイクロ波(数百MHz~数十GHz)
- 携帯電話:800MHz~2.5GHz
- Wi-Fi:2.4GHz、5GHz
- 電子レンジ:2.45GHz
赤外線(300GHz~430THz)
- リモコン
- 体温計
- 暖房器具
可視光線(430THz~770THz)
- 赤:430THz~480THz
- 緑:520THz~610THz
- 青:610THz~670THz
人間の目に見える光の範囲です。
紫外線(770THz~30,000THz)
- 日焼けの原因
- 殺菌灯
X線・ガンマ線(それ以上)
- レントゲン撮影
- 放射線治療
同じ「電磁波」でも、周波数が違うだけでこんなに性質が変わるんです。面白いですよね。
Wi-Fiの2.4GHzと5GHz
家庭のWi-Fiでよく見る「2.4GHz」と「5GHz」も周波数の違いです。
2.4GHz帯
- メリット:障害物に強い、遠くまで届く
- デメリット:速度が遅め、混雑しやすい
- 用途:離れた部屋、安定性重視
5GHz帯
- メリット:高速、混雑しにくい
- デメリット:障害物に弱い、近距離向き
- 用途:同じ部屋、速度重視
周波数が高い方(5GHz)が速いけど障害物に弱く、低い方(2.4GHz)が遅いけど安定している、という特徴があります。
ディスプレイのリフレッシュレートとHz
パソコンやスマホの画面でもHzが重要な役割を果たしています。
リフレッシュレートって何?
リフレッシュレートは、ディスプレイが1秒間に画面を何回書き換えるかを示す値で、Hzで表されます。
例えば:
- 60Hz = 1秒間に60回画面を更新
- 144Hz = 1秒間に144回画面を更新
- 240Hz = 1秒間に240回画面を更新
数字が大きいほど、滑らかな映像になるんです。
各リフレッシュレートの特徴
60Hz(標準)
一般的なディスプレイやテレビの標準値です。普通の作業には十分ですが、動きの速いゲームでは物足りなく感じることもあります。
75Hz~90Hz(準高速)
60Hzよりも少し滑らかです。文字入力やWebブラウジングでも違いを感じられる人もいますね。
120Hz~144Hz(高速)
ゲーマーに人気の範囲です。FPS(シューティングゲーム)や格闘ゲームで有利になります。スクロールもとても滑らかです。
165Hz~240Hz(超高速)
プロゲーマー向けの領域です。競技レベルのゲームプレイに最適ですが、一般用途では違いが分かりにくいかもしれません。
360Hz以上(最高速)
最新の高性能ゲーミングモニター。極限までなめらかな映像を実現します。
スマートフォンのHz
最近のスマートフォンも高リフレッシュレートに対応しています:
- iPhone:60Hz(一部モデルは120Hz)
- Android高級機:90Hz~120Hz
- ゲーミングスマホ:144Hz~165Hz
高いリフレッシュレートのスマホは、スクロールがヌルヌル動いて快適ですよ。ただし、バッテリー消費は増えるので注意が必要です。
コンピューターのクロック周波数
CPUの性能を表す時にもHzが使われます。
クロック周波数とは
クロック周波数は、CPUが1秒間に何回処理を実行できるかを示す値です。
例えば:
- 3.0GHz = 1秒間に30億回の処理
- 4.5GHz = 1秒間に45億回の処理
昔は「数字が大きい=速い」でシンプルでしたが、最近は複雑になっています。
現代のCPU性能
最近のCPUは、単純なクロック周波数だけでは性能が決まりません:
コア数
複数の処理を同時にこなせるコアの数も重要です。
効率性
少ない電力で高い性能を出せるかも大切です。
ターボブースト
必要な時だけ一時的に周波数を上げる機能があります。
そのため、「3.0GHzより4.0GHzが必ず速い」とは限らないんです。総合的な設計が重要になっています。
電源周波数の50Hzと60Hz
日本では地域によって電源の周波数が違います。
東日本と西日本の違い
東日本(東京など)
50Hz
西日本(大阪など)
60Hz
これは明治時代に、東日本がドイツ製の発電機(50Hz)を、西日本がアメリカ製の発電機(60Hz)を導入したことに由来します。
影響はあるの?
現代の家電製品のほとんどは「50Hz/60Hz両対応」なので、引っ越ししても問題なく使えます。
ただし、古い製品の中には:
- タイマー機能の時刻がずれる
- モーターの回転速度が変わる
- 正常に動作しない
こんな影響が出る場合もあります。引っ越し前に確認しておくと安心ですね。
身近なHzの活用例
最後に、日常生活でHzが使われている例をまとめてみましょう。
家電製品
電子レンジ 2.45GHz
この周波数の電磁波が水分子を振動させて加熱します。
蛍光灯 50Hz/60Hz
電源周波数に連動して点滅していますが、速すぎて目には見えません。
エアコン インバーター制御で周波数を変化
モーターの回転速度を細かく調整して省エネを実現しています。
通信機器
Bluetooth 2.4GHz帯
Wi-Fiと同じ周波数帯を使っていますが、干渉しないように工夫されています。
5G携帯電話 3.7GHz~28GHz
従来より高い周波数を使うことで、より高速な通信を実現しています。
音響機器
CDの音質 44.1kHz
CDは1秒間に44,100回音をサンプリング(記録)しています。
ハイレゾ音源 96kHz~192kHz
CDより高い周波数でサンプリングすることで、より高音質を実現しています。
まとめ:Hzを理解すれば世界が広がる
Hz(ヘルツ)という単位を理解すると、身の回りの技術がより深く見えてきますね。
この記事のポイントをおさらい:
- Hzは1秒間の振動回数を表す周波数の単位
- 音・光・電波・ディスプレイなど幅広い分野で使われる
- 人間の聴覚範囲は約20Hz~20,000Hz
- Wi-Fiの2.4GHzと5GHzは周波数の違い
- ディスプレイの高Hzは映像が滑らかになる
- CPUのクロック周波数も性能の目安の一つ
- 日本の電源は地域で50Hzと60Hzに分かれる
「Hz」という小さな単位が、音楽から通信まで、私たちの生活のあらゆる場面を支えているんです。
次にモニターを選ぶ時、Wi-Fiの設定をする時、音楽を聴く時に、「あ、これがHzか!」と思い出してもらえたら嬉しいです。技術の仕組みを知ると、日常がもっと面白くなりますよ!

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