Macを起動するたびに、いつも同じアプリを手動で開いていませんか?
メールアプリ、カレンダー、メモ帳、チャットツール——毎日使うアプリを1つずつクリックして開くのは、意外と時間がかかるものです。
実は、Macには起動時に自動的にアプリを開く機能が標準で備わっています。
この機能を使えば、Macの電源を入れてログインするだけで、必要なアプリが全て自動的に立ち上がるんです。
今回は、Macの起動時に開くアプリの設定方法から、おすすめの活用法、注意点まで分かりやすく解説していきますね。
起動時に開くアプリとは?ログイン項目を理解しよう

ログイン項目の基本
Macで起動時に自動的に開くアプリは、ログイン項目(Login Items)と呼ばれています。
ログイン項目に登録しておくと:
- Macにログインした直後に自動的にアプリが起動する
- 毎回手動で開く手間が省ける
- 作業開始までの時間を短縮できる
この機能は、macOS標準の「システム設定」(または「システム環境設定」)から簡単に設定できます。
どんな時に便利なのか
ログイン項目が特に役立つのは、こんな場面です:
在宅勤務やリモートワーク:
- Slack、Microsoft Teams、Zoomなどのコミュニケーションツール
- メールアプリ
- カレンダーアプリ
クリエイティブワーク:
- Photoshop、Illustratorなどのデザインツール
- 動画編集ソフト
- メモアプリ
日常的な作業:
- ブラウザ(Safari、Chrome、Firefox)
- クラウドストレージ(Dropbox、Google Drive)
- 音楽プレーヤー(Spotify、Apple Music)
毎日必ず使うアプリを登録しておけば、作業開始までのルーティンが大幅に短縮されます。
Macの起動時に開くアプリを設定する方法
macOS Ventura(13)以降の設定方法
2022年以降にリリースされたmacOSでは、設定画面の構成が変わっています。
手順:
1. システム設定を開く
- 画面左上のAppleメニュー()をクリック
- 「システム設定」を選択
2. 一般>ログイン項目に移動
- 左側のメニューから「一般」をクリック
- 「ログイン項目」を選択
3. アプリを追加する
- 「ログイン時に開く」の欄にある「+」ボタンをクリック
- アプリケーションフォルダから追加したいアプリを選択
- 「開く」ボタンをクリック
4. 確認
- リストに追加されたアプリが表示される
- 次回のログイン時から自動的に起動するようになる
macOS Monterey(12)以前の設定方法
2021年以前のmacOSでは、「システム環境設定」という名前です。
手順:
1. システム環境設定を開く
- Appleメニューから「システム環境設定」を選択
2. ユーザとグループを選択
- 「ユーザとグループ」アイコンをクリック
3. ログイン項目タブを開く
- 上部の「ログイン項目」タブをクリック
4. アプリを追加
- リスト下にある「+」ボタンをクリック
- アプリケーションフォルダから追加したいアプリを選択
- 「追加」をクリック
設定手順は少し異なりますが、基本的な機能は同じです。
起動時に開くアプリを削除する方法
不要になったアプリを外す
起動時に開くアプリが増えすぎると、逆に起動が遅くなってしまいます。
不要になったアプリは、こまめに削除しましょう。
削除手順(全バージョン共通):
- システム設定(またはシステム環境設定)を開く
- ログイン項目の設定画面に移動
- 削除したいアプリを選択
- リスト下にある「−」(マイナス)ボタンをクリック
- アプリがリストから消えればOK
削除してもアプリ自体は残るので、また手動で起動できます。
複数のアプリを一度に削除
複数のアプリを削除したい場合:
- Commandキーを押しながら複数のアプリをクリック
- まとめて選択された状態で「−」ボタンをクリック
これで効率的に整理できます。
ログイン時に隠す設定
アプリを起動するけど画面には表示しない
起動はしたいけど、画面にウィンドウを表示する必要がないアプリもありますよね。
例えば:
- Dropboxなどのクラウド同期アプリ
- メニューバーにだけ表示されるユーティリティ
- バックグラウンドで動作するアプリ
こうしたアプリは、「隠す」オプションを使うと便利です。
設定方法:
macOS Ventura以降:
- ログイン項目の一覧で、アプリの右側にある「隠す」チェックボックスにチェックを入れる
macOS Monterey以前:
- ログイン項目の一覧で、アプリ名の右側に「隠す」というチェックボックスがある
- ここにチェックを入れる
この設定により、アプリは起動するものの、ウィンドウは表示されずバックグラウンドで動作します。
おすすめのログイン項目設定例
在宅勤務・リモートワーク向け
基本セット:
- メールアプリ(Mail、Outlook、Gmailアプリなど)
- カレンダー(標準カレンダー、Googleカレンダーアプリ)
- Slack、Microsoft Teams、Zoom(コミュニケーションツール)
- ブラウザ(Safari、Chrome)
バックグラウンド稼働推奨:
- クラウドストレージ(Dropbox、Google Drive)→「隠す」設定がおすすめ
- VPNアプリ(会社のVPN接続が必要な場合)
クリエイター向け
デザイン作業:
- Adobe Creative Cloud
- Figma、Sketch
- メモアプリ(Notion、Bear、Apple純正メモ)
動画編集:
- Final Cut Pro、Adobe Premiere Pro
- 参考資料用のブラウザ
- プロジェクト管理ツール
学生・研究者向け
- Microsoft Word、Excel、PowerPoint
- メモアプリ
- 参考文献管理ツール(Zotero、Mendeleyなど)
- ブラウザ
ミニマリスト設定
起動速度を優先したい方は、最小限に:
- ブラウザのみ
- または完全にログイン項目を空にして、必要な時だけ手動起動
シンプルな方が、起動後すぐに作業を始められます。
起動時間が遅くなった時の対処法
アプリが多すぎる場合
ログイン項目に10個以上のアプリを登録していると、起動に時間がかかるようになります。
改善策:
- 優先順位をつける
- 本当に毎日使うアプリだけを残す
- 週に数回しか使わないアプリは削除
- 段階的に起動する
- 最重要アプリだけをログイン項目に設定
- その他は手動で起動するか、後述のスクリプトを活用
- 軽量な代替アプリを検討
- 重いアプリの代わりに軽量版を使う
- ブラウザ版で十分なアプリはブラウザで開く
Macの動作が重い場合の確認ポイント
起動時にMac全体の動作が遅い場合:
アクティビティモニタで確認:
- アプリケーションフォルダ→ユーティリティ→アクティビティモニタを開く
- CPU使用率が高いアプリを確認
- 不要なプロセスを終了
ストレージ容量の確認:
- Appleメニュー→このMacについて→ストレージ
- 空き容量が少ない場合は、不要なファイルを削除
SMCリセット(最終手段):
- Macの電源管理をリセットする方法
- Appleの公式サポートページで機種ごとの手順を確認
トラブルシューティング
アプリが自動起動しない
設定したのに起動時にアプリが開かない場合:
確認ポイント:
- ログイン項目に正しく追加されているか
- システム設定でリストを再確認
- アプリ名が正しく表示されているか
- アプリが移動・削除されていないか
- アプリケーションフォルダにアプリが存在するか確認
- アプリを移動した場合は、ログイン項目から削除して再登録
- macOSのバージョンとの互換性
- 古いアプリは最新のmacOSで動作しないことがある
- アプリのアップデートを確認
意図しないアプリが勝手に起動する
ログイン項目に登録していないのに、起動時にアプリが開く場合:
原因と対処:
1. アプリ自体の設定
- 一部のアプリは独自の「起動時に開く」設定を持っている
- アプリの環境設定で「ログイン時に起動」のチェックを外す
2. 前回開いていたウィンドウを復元
- macOSの「ウィンドウを復元」機能が原因の場合がある
- システム設定→デスクトップとDock→「アプリケーションの終了時にウィンドウを閉じる」をオンにする
3. バックグラウンドアイテム
- macOS Ventura以降では「バックグラウンドで実行を許可」という項目もある
- システム設定→一般→ログイン項目→バックグラウンドアイテムを確認
パスワード入力後に起動が遅い
ログイン後の起動が遅い場合の改善方法:
- ログイン項目を5個以下に減らす
- 「隠す」設定を活用してウィンドウ表示を最小限に
- 起動ディスクの空き容量を確保(最低でも15%以上)
- 可能であればHDDからSSDへ換装を検討
スクリプトで高度な自動化

Automatorを使った段階的起動
全てのアプリを一度に起動すると重い場合、Automatorを使って時間差で起動させる方法があります。
簡単な手順:
- Automatorを開く(アプリケーション→Automator)
- 「アプリケーション」を選択
- 「アプリケーションを起動」アクションを追加
- 起動したいアプリを選択
- 「一時停止」アクションを追加(5秒など)
- 次のアプリの「アプリケーションを起動」を追加
- 保存して、そのAutomatorアプリをログイン項目に追加
これにより、アプリが順番に起動するため、Macへの負荷が分散されます。
AppleScriptでの制御
もっと細かく制御したい場合は、AppleScriptを使う方法もあります。
例:ブラウザで特定のURLを開く
tell application "Safari"
activate
open location "https://example.com"
end tell
こうしたスクリプトを作成して、アプリケーションとして保存し、ログイン項目に追加できます。
セキュリティとプライバシーの考慮
共用Macでは慎重に
複数の人が使うMacでは、ログイン項目の設定に注意が必要です。
- 個人的なアプリ(メール、SNSなど)は自動起動しない方が安全
- 使用後は必ずログアウトする習慣をつける
会社支給のMacの場合
企業のMacでは、セキュリティポリシーにより:
- 特定のアプリのみログイン項目に追加できる場合がある
- VPNアプリなど、起動が必須のアプリが事前設定されている場合がある
設定を変更する前に、IT部門のポリシーを確認しましょう。
起動時に開くアプリのベストプラクティス
適切な数を保つ
推奨:5〜7個以内
これ以上増やすと、起動時間が長くなり、本来の目的である「効率化」が損なわれます。
定期的に見直す
仕事内容やライフスタイルの変化に応じて:
- 月に1回程度、ログイン項目を見直す
- 使わなくなったアプリは削除
- 新しく毎日使うようになったアプリは追加
メモリ使用量を意識
メモリ(RAM)が少ないMacでは:
- 8GB以下のMacでは、ログイン項目は最小限に
- メモリを大量に使うアプリは必要な時だけ手動起動
アクティビティモニタで各アプリのメモリ使用量をチェックしましょう。
まとめ:快適な作業環境は起動時から
Macの起動時に開くアプリを適切に設定することで、毎日の作業効率が大きく向上します。
この記事のポイント:
- ログイン項目を使えば、Macのログイン時に自動的にアプリが起動する
- システム設定(システム環境設定)から簡単に追加・削除が可能
- 「隠す」オプションでバックグラウンド起動も設定できる
- 毎日使うアプリだけを登録するのがポイント(5〜7個が目安)
- 起動が遅くなったら、ログイン項目を見直す
- Automatorを使えば段階的な起動も可能
- 定期的に見直して最適な状態を保つ
「毎朝Macを開いたら、すぐに作業を始められる」——そんな快適な環境を、ログイン項目の設定で実現しましょう。
最初は少なめに設定して、必要に応じて追加していくのがおすすめです。
自分の作業スタイルに合わせて、最適なログイン項目を見つけてくださいね。

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