MBR(Master Boot Record)とは?初心者にも分かる完全ガイド

パソコンの電源を入れると、自動的にWindowsやLinuxが立ち上がりますよね。

でも、「どうやってパソコンはOSを見つけて起動しているんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?

その答えの一つがMBR(Master Boot Record、マスターブートレコード)なんです。

MBRは、ハードディスクやSSDの最初の部分に書かれた特別な情報で、パソコンが起動するときに真っ先に読まれる重要なデータです。

今回は、MBRの基本から、GPTとの違い、トラブル時の対処法まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説していきますね!

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  1. MBR(マスターブートレコード)とは何か
    1. 基本的な意味
    2. MBRの役割
    3. 身近な例で理解しよう
  2. MBRの構造と内容
    1. MBRの3つの構成要素
    2. MBRの位置
  3. パーティションテーブルの制限
    1. 制限1: 最大4つのプライマリパーティション
    2. 制限2: 最大ディスクサイズ2TB
    3. 制限3: 起動パーティションは1つだけ
  4. MBRとGPTの違い
    1. GPTとは
    2. 主な違いを比較
    3. どちらを選ぶべき?
  5. MBRの起動プロセス
    1. ステップバイステップで理解する
  6. MBRのトラブルと症状
    1. よくあるエラーメッセージ
    2. MBRが壊れる原因
  7. Windows でのMBR修復方法
    1. 準備するもの
    2. 修復手順(Windows 10/11)
    3. 上記で解決しない場合
  8. Linux でのMBR修復方法
    1. Live USBの準備
    2. GRUBの再インストール
  9. MBRのバックアップと復元
    1. Windows でのバックアップ
    2. Linux でのバックアップ
    3. パーティションテーブルだけのバックアップ
  10. MBRに関する高度なトピック
    1. ブートストラップローダーの仕組み
    2. デュアルブートとMBR
    3. MBRウイルスとセキュリティ
  11. MBRディスクからGPTディスクへの変換
    1. Windows での変換方法
    2. Linux での変換方法
  12. よくある質問と回答
    1. Q1: MBRとブートローダーの違いは?
    2. Q2: MBRがないディスクはある?
    3. Q3: USBメモリにもMBRがある?
    4. Q4: MBRを消すとどうなる?
    5. Q5: SSDでもMBRは使われている?
    6. Q6: 仮想マシンのディスクにもMBRがある?
    7. Q7: macOSはMBRを使う?
    8. Q8: MBRディスクで3TBのHDDは使える?
  13. まとめ: MBRの基本を理解しよう

MBR(マスターブートレコード)とは何か

基本的な意味

MBR(Master Boot Record)とは、ハードディスクやSSDの一番最初のセクタ(記憶領域)に保存されている特別なデータのことです。

日本語では「マスターブートレコード」や「主ブート記録」と呼ばれます。

もっと簡単に言うと:

ディスクの「目次」と「起動プログラム」が書かれた特別な領域

パソコンが起動するとき、この目次を見てOSがどこにあるかを確認し、起動するんです。

MBRの役割

MBRには2つの重要な役割があります。

役割1: ブートローダーの格納

ブートローダーとは、OSを起動するための小さなプログラムです。

電源を入れる → BIOS/UEFIがMBRを読む → MBRのブートローダーが実行される → OSが起動

という流れになっています。

役割2: パーティション情報の管理

パーティションとは、1つのディスクを複数の領域に分割したものです。

MBRには「どこにどんなパーティションがあるか」という情報が記録されています。

例えば:

  • Cドライブ(システム): 0〜500GB
  • Dドライブ(データ): 500GB〜1TB

このような情報がMBRに書かれているんですね。

身近な例で理解しよう

図書館を想像してみてください。

図書館の入り口(MBR)には:

  • 館内マップ(パーティション情報)
  • 案内係(ブートローダー)

が配置されています。

来館者(コンピュータ)は、まず入り口で館内マップを確認し、案内係の指示に従って目的の本(OS)を見つけます。

MBRも同じように、ディスクの「入り口」として機能しているんです。

MBRの構造と内容

MBRは512バイト(とても小さい!)の領域に、以下の情報が詰まっています。

MBRの3つの構成要素

1. ブートコード(446バイト)

OSを起動するための小さなプログラムです。

このコードが実行されると:

  1. パーティションテーブルを読む
  2. 起動可能なパーティションを探す
  3. そのパーティションのブートセクタを読み込む
  4. OSの起動プロセスを開始

という処理を行います。

2. パーティションテーブル(64バイト)

ディスク上のパーティション情報が記録されています。

64バイトという限られたスペースに、最大4つのパーティション情報が保存できます。

各パーティションの情報には:

  • 開始位置
  • サイズ
  • パーティションの種類
  • 起動可能かどうか

などが含まれます。

3. ブートシグネチャ(2バイト)

最後の2バイトには、0x55AAという固定の値が書かれています。

これは「このMBRは有効ですよ」という印のようなものです。

BIOSはこの値を確認することで、正しいMBRかどうかを判断します。

MBRの位置

MBRは、ディスクの最初のセクタ(セクタ0)に配置されています。

物理的には、ディスクの一番外側のトラック、最初のセクタです。

この位置は絶対に変わりません。だからBIOSは確実にMBRを見つけられるんですね。

パーティションテーブルの制限

MBRのパーティションテーブルには、いくつか制限があります。

制限1: 最大4つのプライマリパーティション

MBRでは、最大4つのプライマリパーティション(基本パーティション)しか作れません。

なぜ4つだけ?

パーティションテーブルが64バイトしかなく、1つのパーティション情報に16バイト必要なため、64÷16=4となるからです。

5つ以上のパーティションが欲しい場合は?

拡張パーティションという仕組みを使います。

4つのうち1つを拡張パーティションにすると、その中に複数の論理ドライブを作成できます。

構成例:

  • プライマリパーティション1: C:ドライブ
  • プライマリパーティション2: D:ドライブ
  • プライマリパーティション3: E:ドライブ
  • 拡張パーティション
  • 論理ドライブ1: F:ドライブ
  • 論理ドライブ2: G:ドライブ
  • 論理ドライブ3: H:ドライブ

この方法で、4つ以上のドライブが使えるようになります。

制限2: 最大ディスクサイズ2TB

MBRの最大の制限がこれです。

2TBを超えるディスクは使えません

なぜ2TBまで?

MBRでは、セクタ(記憶領域の最小単位)のアドレスを32ビットで表現します。

計算すると:

2^32 × 512バイト(1セクタのサイズ)= 2,199,023,255,552バイト
≒ 2TB

これが上限になるんです。

現代の問題

最近は3TB、4TB、8TBといった大容量ディスクが普通になっています。

MBRではこれらを完全に活用できないため、後述するGPTという新しい方式が主流になってきています。

制限3: 起動パーティションは1つだけ

MBRでは、4つのパーティションのうち1つだけを「起動可能」に設定できます。

複数のOSをインストールする場合(デュアルブート)は、ブートマネージャーという別のプログラムが必要になります。

MBRとGPTの違い

MBRの後継として登場したのがGPT(GUID Partition Table)です。

GPTとは

GPTは、より新しく、より高機能なパーティション管理方式です。

UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)という新しいファームウェアとセットで使われます。

主な違いを比較

ディスクサイズの上限:

  • MBR: 最大2TB
  • GPT: 最大9.4ZB(ゼタバイト、2TBの何百万倍)

実質的に制限なしと言えますね。

パーティション数:

  • MBR: 最大4つのプライマリパーティション
  • GPT: 最大128個(Windows標準)

拡張パーティションなどの複雑な仕組みも不要です。

データの冗長性:

  • MBR: ディスクの先頭にのみ存在、破損すると致命的
  • GPT: ディスクの先頭と末尾に情報を保持、バックアップあり

GPTの方が安全です。

互換性:

  • MBR: 古いBIOSと互換性あり、すべてのOSで利用可能
  • GPT: UEFI必須、Windows 8以降、新しいLinux、macOS対応

古いシステムではGPTが使えない場合があります。

起動モード:

  • MBR: BIOS起動(レガシーモード)
  • GPT: UEFI起動(モダンモード)

どちらを選ぶべき?

GPTを選ぶべき場合:

  • 新しいパソコン(2012年以降)
  • 2TB以上のディスク
  • Windows 10/11をインストール
  • セキュリティを重視(Secure Boot対応)

MBRを選ぶべき場合:

  • 古いパソコン(UEFI非対応)
  • 2TB以下の小さなディスク
  • Windows 7以前のOS
  • レガシーシステムとの互換性が必要

現代の推奨:

特別な理由がない限り、GPTを使うことをおすすめします。

MBRの起動プロセス

パソコンが電源オンからOSが起動するまでの流れを見てみましょう。

ステップバイステップで理解する

ステップ1: 電源投入

パソコンの電源ボタンを押します。

ステップ2: BIOS/UEFIの起動

マザーボード上のファームウェア(BIOS/UEFI)が起動します。

このファームウェアは、ハードウェアの基本的なチェックを行います(POST: Power-On Self-Test)。

ステップ3: ブートデバイスの検索

BIOS/UEFIは、起動可能なデバイス(ハードディスク、SSD、USBメモリなど)を探します。

優先順位は、BIOS設定で決められています。

ステップ4: MBRの読み込み

起動デバイスが見つかると、そのディスクのセクタ0(MBR)を読み込みます。

512バイトのデータがメモリにロードされます。

ステップ5: ブートシグネチャの確認

MBRの最後の2バイトが0x55AAかどうかを確認します。

正しければ、これは有効なMBRだと判断します。

ステップ6: ブートコードの実行

MBRの最初の446バイト(ブートコード)が実行されます。

このコードは、パーティションテーブルを読んで起動可能なパーティションを探します。

ステップ7: パーティションのブートセクタを読み込む

起動可能なパーティションが見つかると、そのパーティションの先頭(ボリュームブートレコード)を読み込みます。

ステップ8: OSブートローダーの起動

パーティション内のブートローダー(Windowsならbootmgr、Linuxならgrub)が起動します。

ステップ9: OSカーネルの読み込み

ブートローダーがOSのカーネル(中核部分)をメモリに読み込みます。

ステップ10: OSの起動

カーネルが実行され、Windowsやリナックスのログイン画面が表示されます。

このすべてのプロセスが、数秒〜数十秒で完了するんです。すごいですね!

MBRのトラブルと症状

MBRが壊れると、パソコンが起動できなくなります。

よくあるエラーメッセージ

MBRに問題があると、以下のようなエラーが表示されます。

1. “Operating System not found”

日本語: オペレーティングシステムが見つかりません

原因:

  • MBRのブートコードが破損
  • パーティションテーブルが壊れている
  • OSがインストールされたパーティションが見つからない

2. “Error loading operating system”

日本語: オペレーティングシステムの読み込みエラー

原因:

  • MBRは正常だが、パーティションのブートセクタに問題
  • ディスクの物理的な損傷

3. “Invalid partition table”

日本語: 無効なパーティションテーブル

原因:

  • パーティションテーブルのデータが破損
  • パーティション情報が矛盾している

4. “Missing operating system”

日本語: オペレーティングシステムが見つかりません

原因:

  • 起動可能なパーティションが見つからない
  • MBRのブートコードが正しく機能していない

5. “BOOTMGR is missing”(Windows)

日本語: BOOTMGRが見つかりません

原因:

  • Windowsのブートマネージャーが削除または破損
  • MBRが正しいパーティションを指していない

MBRが壊れる原因

原因1: ウイルス感染

昔は、MBRを標的にするウイルス(ブートセクタウイルス)が流行しました。

最近は少なくなりましたが、まだ存在します。

原因2: 不適切なシャットダウン

書き込み中に電源が切れると、MBRが破損する可能性があります。

原因3: ディスクエラー

ハードディスクの物理的な故障で、MBRのセクタが読めなくなることがあります。

原因4: 不適切なパーティション操作

パーティション編集ツールの誤操作や、操作中の中断でMBRが壊れることがあります。

原因5: デュアルブートの設定ミス

複数のOSをインストールする際、MBRが上書きされて問題が起きることがあります。

Windows でのMBR修復方法

Windowsが起動しなくなったときの対処法です。

準備するもの

Windowsインストールメディア:

  • Windows 10/11のインストールUSBまたはDVD
  • 公式サイトからダウンロードして作成できます

修復手順(Windows 10/11)

ステップ1: インストールメディアから起動

  1. USBまたはDVDをパソコンに挿入
  2. パソコンを再起動
  3. BIOS画面でブート順序を変更(F12やDelキーで入る)
  4. インストールメディアから起動

ステップ2: 回復環境を起動

  1. 「Windowsセットアップ」画面で「次へ」
  2. 左下の「コンピューターを修復する」をクリック
  3. 「トラブルシューティング」を選択
  4. 「詳細オプション」を選択
  5. 「コマンドプロンプト」を選択

ステップ3: MBRを修復

コマンドプロンプトが開いたら、以下のコマンドを順番に入力します。

bootrec /fixmbr

これでMBRが修復されます。

ステップ4: ブートセクタを修復(必要に応じて)

bootrec /fixboot

パーティションのブートセクタを修復します。

ステップ5: BCD(ブート設定データ)を再構築

bootrec /rebuildbcd

Windowsの起動設定を再構築します。

「Windowsのインストールを追加しますか?」と聞かれたら「Y」を入力します。

ステップ6: 再起動

exit

でコマンドプロンプトを終了し、パソコンを再起動します。

これでWindowsが正常に起動するはずです!

上記で解決しない場合

より徹底的な修復:

bootrec /scanos
bootrec /rebuildbcd

これでWindowsのインストールを再スキャンして、起動設定を完全に再構築します。

システムファイルのチェック:

sfc /scannow

Windowsのシステムファイルに問題がないか確認します(時間がかかります)。

Linux でのMBR修復方法

Linuxの場合も同様に修復できます。

Live USBの準備

Ubuntu、Fedora、Debian などのLive USBを作成します。

公式サイトからISOファイルをダウンロードし、RufusなどのツールでブータブルUSBを作成します。

GRUBの再インストール

LinuxではGRUB(グラブ)というブートローダーを使います。

ステップ1: Live USBから起動

Live USBをパソコンに挿入して起動します。

ステップ2: ターミナルを開く

デスクトップからターミナル(端末)を起動します。

ステップ3: パーティションを確認

sudo fdisk -l

Linuxがインストールされているパーティションを確認します(例: /dev/sda1)。

ステップ4: パーティションをマウント

sudo mount /dev/sda1 /mnt

Linuxのルートパーティションをマウントします。

ステップ5: 必要なディレクトリをマウント

sudo mount --bind /dev /mnt/dev
sudo mount --bind /proc /mnt/proc
sudo mount --bind /sys /mnt/sys

ステップ6: chroot環境に入る

sudo chroot /mnt

これで、インストールされたLinux環境に切り替わります。

ステップ7: GRUBを再インストール

grub-install /dev/sda

MBRにGRUBをインストールします(/dev/sdaはディスク全体、パーティションではない)。

ステップ8: GRUB設定を更新

update-grub

または

grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg

ステップ9: 終了して再起動

exit
sudo reboot

これでLinuxが起動するはずです!

MBRのバックアップと復元

万が一に備えて、MBRをバックアップしておくと安心です。

Windows でのバックアップ

Windowsには標準でMBRバックアップ機能がないので、サードパーティ製ツールを使います。

おすすめツール:

  • EaseUS Todo Backup: 無料版でもMBRバックアップ可能
  • Macrium Reflect: 高機能なバックアップソフト
  • Acronis True Image: 有料だが高機能

これらのツールで「ディスクバックアップ」を実行すると、MBRも含めてバックアップされます。

Linux でのバックアップ

Linuxならコマンドで簡単にバックアップできます。

MBRのバックアップ:

sudo dd if=/dev/sda of=~/mbr-backup.img bs=512 count=1

これで、MBRの512バイトがホームディレクトリに保存されます。

説明:

  • if=/dev/sda: 入力ファイル(ディスク)
  • of=~/mbr-backup.img: 出力ファイル(バックアップ先)
  • bs=512: ブロックサイズ512バイト
  • count=1: 1ブロックだけコピー

MBRの復元:

sudo dd if=~/mbr-backup.img of=/dev/sda bs=512 count=1

バックアップファイルからMBRを復元します。

注意:

ddコマンドは強力ですが、間違えるとディスクが壊れます。十分注意してください!

パーティションテーブルだけのバックアップ

ブートコードを含めず、パーティション情報だけをバックアップすることもできます。

バックアップ:

sudo sfdisk -d /dev/sda > partition-backup.txt

復元:

sudo sfdisk /dev/sda < partition-backup.txt

テキストファイルなので、中身を確認・編集できるのがメリットです。

MBRに関する高度なトピック

少し技術的な内容にも触れておきます。

ブートストラップローダーの仕組み

MBRのブートコードは、わずか446バイトしかありません。

この限られたスペースで、複雑なOSを起動するのは不可能です。

そこで、多段階ブートという仕組みを使います。

段階1: MBRのブートコード

最小限のコードで、次のステージを読み込みます。

段階2: パーティションのブートセクタ

もう少し大きなプログラムで、OSのローダーを見つけます。

段階3: OSブートローダー

本格的なブートマネージャー(Windows Boot Manager、GRUBなど)。

段階4: OSカーネル

ついにOSが起動!

このように、バトンを渡しながら起動していくんです。

デュアルブートとMBR

複数のOSをインストールする場合、MBRの扱いが重要になります。

典型的な構成:

  1. Windowsをインストール → MBRにWindows Boot Managerが書き込まれる
  2. Linuxをインストール → MBRがGRUBで上書きされる
  3. GRUBからWindowsとLinuxを選択できるようになる

注意点:

Windowsを後からインストールすると、MBRが上書きされてLinuxが起動できなくなります。

その場合は、前述のGRUB再インストール手順で復旧できます。

MBRウイルスとセキュリティ

かつて、MBRを書き換えるウイルスが猛威を振るいました。

有名なMBRウイルス:

  • Stoned: 1980年代の古典的ブートセクタウイルス
  • Michelangelo: 特定の日にデータを破壊
  • Petya/NotPetya: 2016〜2017年に流行したランサムウェア

現代の対策:

  • Secure Boot: UEFI/GPT環境での起動時検証
  • アンチウイルスソフト: ブートセクタスキャン機能
  • 定期的なバックアップ: MBRを含むシステム全体

GPT + UEFI + Secure Bootの組み合わせなら、MBRウイルスの脅威は大幅に減少します。

MBRディスクからGPTディスクへの変換

既存のMBRディスクをGPTに変換する方法です。

Windows での変換方法

方法1: MBR2GPT ツール(Windows 10/11)

データを保持したままGPTに変換できます。

手順:

  1. 管理者権限でコマンドプロンプトを開く
  2. 以下のコマンドを実行:
mbr2gpt /validate

変換可能かチェックします。

mbr2gpt /convert

実際に変換を実行します。

注意:

  • Windowsが起動している状態で実行
  • システムドライブのみ対応
  • BIOSをUEFIモードに変更する必要あり

方法2: ディスクの管理から変換

Windows 10/11なら、GUI操作でも可能です。

  1. ディスクを完全に初期化(データは全削除)
  2. 「ディスクの管理」を開く
  3. ディスクを右クリック → 「GPTディスクに変換」

警告: この方法はデータが全消去されます!

Linux での変換方法

gdisk ツールを使用:

sudo gdisk /dev/sda

対話的にMBRからGPTに変換できます。

手順:

  1. gdiskを起動
  2. r(リカバリーモード)
  3. g(MBRをGPTに変換)
  4. w(書き込んで終了)

注意: データは保持されますが、起動に失敗する可能性があるのでバックアップ推奨。

よくある質問と回答

Q1: MBRとブートローダーの違いは?

A: MBRはブートローダーを含む領域全体のことです。

  • MBR = ブートコード + パーティションテーブル + 署名
  • ブートローダー = MBRの一部(ブートコード)

ブートローダーはMBRの中に含まれています。

Q2: MBRがないディスクはある?

A: はい、GPTディスクはMBRを持ちません。

代わりにGPTヘッダーとパーティションエントリアレイという構造を使います。

ただし、互換性のために「保護MBR」という特殊なMBRが先頭に配置されます。

Q3: USBメモリにもMBRがある?

A: はい、ほとんどのUSBメモリにもMBRがあります。

ブート可能なUSBメモリを作る場合、MBRに起動コードを書き込みます。

Q4: MBRを消すとどうなる?

A: パソコンが起動できなくなります。

でも、データ自体は残っているので、MBRを復元すれば元に戻ります。

Q5: SSDでもMBRは使われている?

A: はい、SSDでもMBRまたはGPTが使われています。

物理的な構造は違いますが、論理的には同じです。最近のSSDはGPTが主流ですね。

Q6: 仮想マシンのディスクにもMBRがある?

A: はい、仮想ディスクも通常のディスクと同じ構造です。

VMwareやVirtualBoxの仮想ディスクにも、MBRまたはGPTがあります。

Q7: macOSはMBRを使う?

A: Intel Macは以前MBRを使っていましたが、現在はGPTが標準です。

Apple Silicon Mac(M1/M2など)は完全にGPTのみです。

Q8: MBRディスクで3TBのHDDは使える?

A: 完全には使えません。

2TBまでしか認識されず、残りの1TBは使えない領域になります。GPTに変換すれば全容量使えます。

まとめ: MBRの基本を理解しよう

MBR(Master Boot Record)について解説してきました。最後にポイントをまとめます。

重要ポイント:

  • MBRはディスクの最初の512バイトに格納される起動情報
  • ブートコード、パーティションテーブル、署名の3つで構成
  • 最大4つのパーティション、2TBまでという制限がある
  • GPTが後継として登場し、制限が大幅に緩和
  • 壊れると起動不能になるが、修復ツールで復旧可能
  • 現代のシステムではGPTへの移行が推奨される

MBRは、パソコンが生まれた時から使われている古い技術ですが、今でも多くのシステムで現役です。

特にトラブル時の対処法を知っておくと、いざというときに役立ちますよ。

大容量ディスクを使う場合や、新しいパソコンを購入した場合は、MBRではなくGPTを選ぶことをおすすめします。より高速で、安全で、制限も少ないですからね。

それでは、快適なパソコンライフを!

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