「サーバーが1台止まったら、サービス全体が停止してしまう」
こんな不安を抱えていませんか?
Webサービスやシステムを運用していると、サーバーの障害は避けられない問題です。でも、ユーザーにはサービスを止めずに提供し続けたいですよね。
そこで活躍するのがKeepalived(キープアライブド)です。
この記事では、サーバーの高可用性を実現するKeepalived について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。仕組みから導入メリットまで、実務で使える知識をお届けしますよ。
Keepalivedとは?システムを守る「見張り番」

Keepalivedは、Linuxサーバーの高可用性を実現するオープンソースソフトウェアです。
簡単に言うと、複数のサーバーを監視して、メインのサーバーが故障したときに自動的に予備のサーバーに切り替えてくれる「見張り番」のような存在なんです。
高可用性(HA)って何?
高可用性とは「High Availability」の略で、システムやサービスが常に利用可能な状態を保つことを指します。
例えば、ECサイトが24時間365日止まらずに動き続けることが、高可用性の実現といえるでしょう。
Keepalivedの2つの主要機能
Keepalivedには大きく分けて2つの機能があります。
1. VRRP(仮想ルータ冗長化プロトコル)
VRRPは「Virtual Router Redundancy Protocol」の略で、複数のサーバーで1つの仮想IPアドレスを共有する技術です。
仮想IPアドレスというのは、実際のサーバーに割り当てられたIPアドレスとは別に、複数のサーバーで共有できる特別なIPアドレスのこと。
クライアントはこの仮想IPアドレスにアクセスするので、裏側でどのサーバーが動いていても気づきません。
仕組みの流れ
- マスターサーバー(メイン)が仮想IPアドレスを持って稼働
- バックアップサーバー(予備)は待機状態
- マスターサーバーに障害が発生
- バックアップサーバーが自動的に仮想IPアドレスを引き継ぐ
- サービスは継続して利用可能
この切り替えをフェイルオーバーと呼びます。
2. ヘルスチェック機能
Keepalivedは定期的にサーバーやサービスのヘルスチェック(健康状態の確認)を行います。
例えば:
- Webサーバーが応答しているか
- データベースに接続できるか
- 特定のポートが開いているか
これらをチェックして、問題があればすぐにフェイルオーバーを実行してくれるんです。
Keepalivedが必要な場面
実際にどんな場面でKeepalived が活躍するのか見ていきましょう。
Webサーバーの冗長化
ECサイトやWebアプリケーションのフロントエンドサーバーを2台構成にして、片方が止まってももう片方で継続運用できます。
ロードバランサーの冗長化
ロードバランサー(負荷分散装置)自体が単一障害点にならないよう、Keepalived でロードバランサーを冗長化するケースも多いです。
データベースサーバーの監視
データベースサーバーのマスター・スレーブ構成で、マスターに障害が起きたときの自動切り替えにも使われます。
Keepalivedの導入メリット
1. サービスの継続性向上
サーバー障害が発生しても、ユーザーは何事もなくサービスを利用し続けられます。
ダウンタイムを最小限に抑えられるのは大きな強みですね。
2. 自動フェイルオーバー
手動での切り替え作業が不要なので、深夜や休日の障害でも安心です。
人的ミスも減らせるため、運用の安定性が向上します。
3. コストパフォーマンスが高い
オープンソースソフトウェアなので、ライセンス費用がかかりません。
既存のLinuxサーバーに導入するだけで、高可用性を実現できるんです。
4. 柔軟なヘルスチェック設定
アプリケーションの特性に合わせて、細かくヘルスチェックの条件を設定できます。
スクリプトを使ったカスタムチェックも可能です。
導入時の注意点
ネットワーク設計が重要
Keepalived を効果的に使うには、適切なネットワーク設計が必要です。
特に、複数のサーバーが同じネットワークセグメントに存在し、相互に通信できる環境が求められます。
スプリットブレイン問題
ネットワークが分断されて、両方のサーバーがマスターになってしまうスプリットブレインという状態に注意が必要です。
これを防ぐため、適切な優先度設定やネットワーク監視が重要になります。
定期的な動作確認
フェイルオーバーが正しく動作するか、定期的にテストすることをおすすめします。
いざという時に動かないのでは意味がありませんからね。
関連技術との組み合わせ
Keepalived は他の技術と組み合わせることで、さらに強力なシステムを構築できます。
HAProxy + Keepalived
HAProxyというロードバランサーとKeepalived を組み合わせると、負荷分散と高可用性の両方を実現できます。
これは非常に人気のある構成ですよ。
Pacemaker/Corosync
より高度なクラスタリングが必要な場合は、PacemakerやCorosyncといったクラスタ管理ソフトウェアと併用することもあります。
DRBD
ディスクの冗長化が必要な場合は、DRBD(Distributed Replicated Block Device)と組み合わせて、データレベルでの冗長化も実現できます。
まとめ:システムの安定運用にKeepalived を活用しよう
Keepalived は、サーバーの高可用性を実現するための強力なツールです。
この記事のポイント:
- Keepalived はサーバー障害時に自動でフェイルオーバーを実行
- VRRPによる仮想IPアドレスの共有が基本の仕組み
- ヘルスチェック機能で常にサーバーの状態を監視
- オープンソースで導入コストが低い
- Webサーバー、ロードバランサー、データベースなど幅広く活用可能
サービスの信頼性を高めたい、ダウンタイムを減らしたいと考えているなら、Keepalived の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
小規模なシステムから大規模なインフラまで、幅広く活用できる技術です。まずはテスト環境で動作を試してみることをおすすめしますよ。


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