夜のトンネルを車で走っていると、突然、下駄を履いたおじさんが現れて、あなたに向かって下駄を投げてくる…。
もしその下駄が当たってしまったら、翌日には命を落としてしまうという恐ろしい話があるんです。
北海道函館市に実在する通称「おばけトンネル」には、こんな不気味な都市伝説が語り継がれています。
この記事では、「ゲタに注意」という看板から生まれた奇妙な怪異について、その真相も含めて詳しくご紹介します。
概要
「ゲタに注意」は、北海道函館市の五稜郭駅北側にある通称「おばけトンネル」に現れるとされる怪異です。
このトンネルを車で通ると、下駄を履いたおじさんの霊が出現し、車に向かって下駄を投げつけてくるといわれています。そして恐ろしいことに、その下駄が当たってしまうと、翌日には死んでしまうという呪いがかかるんだとか。
この都市伝説の特徴的な点は、実際のトンネルに書かれた注意書きから生まれた可能性が高いということなんです。
伝説が生まれた背景
実はこのトンネルには、本当に注意書きが存在しています。しかし、そこに書かれているのは「げたに注意」ではなく「けたに注意」なんです。
「けた」というのは漢字で「桁」と書き、橋や建築物を支える横材のことを指します。つまり、車高の高い車両が天井の低いトンネルを通る際に、上部がぶつからないよう警告する交通標識だったんですね。
でも、この「けた」を「げた（下駄）」と見間違えた人がいて、そこから想像力が働いて、下駄を投げるおじさんの霊という奇妙な都市伝説が生まれたと考えられています。
伝承
この怪異にまつわる伝承には、いくつかのバリエーションがあります。
下駄おじさんの出現パターン
基本的な遭遇状況：
- トンネル内を車で走行中に突然現れる
- 下駄を履いた老人の姿をしている
- 車に向かって下駄を投げつけてくる
- 下駄が当たると翌日死んでしまう
この伝説は、特に地元の女子高生たちの間で広まったとされ、『女子高生が語る不思議な話』という本にも収録されています。若い世代の間で噂話として広がっていったことで、より恐怖感が増していったんでしょうね。
他の霊の目撃談
実は、このおばけトンネルには下駄おじさん以外の霊も出るという話があります。
もう一つの悲しい伝説：
- 近くの鉄塔で自殺した母親の霊
- その娘と手をつないで現れる
- 親子の霊がトンネル内を彷徨っている
こちらの話は、下駄おじさんよりも悲しく、切ない背景を持った怪談として語られています。自殺という重いテーマが含まれているため、より現実味を帯びた恐怖として受け止められているようです。
伝説の広がり方
この都市伝説が広まった理由として、以下のような要因が考えられます。
伝説が定着した理由：
- 実在するトンネルであること
- 実際に注意書きが存在すること
- 「おばけトンネル」という通称が定着していること
- 複数の霊の目撃談が重なっていること
特に「けた」と「げた」の見間違いから生まれた可能性があるという点は、日本の都市伝説らしい特徴といえるでしょう。文字の読み違えや聞き間違いから、想像力が膨らんで新たな怪談が生まれるというのは、他の地域でも見られる現象なんです。
現代における影響
今でも函館市民の間では、このトンネルは「おばけトンネル」として知られています。
観光地としての側面もあり、肝試しスポットとして訪れる人も少なくありません。ただし、実際のトンネルは交通量もあり、安全面での配慮が必要な場所でもあります。
地元では、この伝説を知らない人でも「おばけトンネル」という通称は知っているという状況で、都市伝説が地域の文化として根付いている例といえるでしょう。
まとめ
「ゲタに注意」は、実在する交通標識の読み間違いから生まれた、ユニークな都市伝説です。
重要なポイント
- 函館市五稜郭駅北側の実在するトンネルが舞台
- 下駄を投げる老人の霊が車を襲うという恐怖譚
- 実際は「けた（桁）に注意」という交通標識
- 見間違いから生まれた可能性が高い都市伝説
- 親子の霊など、複数の怪談が重なって恐怖感を増幅
- 「おばけトンネル」として地域に定着した文化
この伝説は、単なる怖い話というだけでなく、人間の想像力や誤解から新たな文化が生まれる過程を示す興味深い事例でもあります。交通標識の文字を見間違えたことから、これだけ豊かな物語が生まれたというのは、日本の都市伝説文化の奥深さを感じさせますね。
もし函館を訪れる機会があったら、このトンネルを通ってみるのもいいかもしれません。ただし、下駄が飛んでこないことを祈りながら…。
コメント