Eclipse(Java)とは?無料で使える統合開発環境の始め方完全ガイド

「Javaでプログラミングを始めたい!」と思っても、「どのツールを使えばいいの?」と迷いますよね。

そんな時におすすめなのがEclipse(イクリプス)という開発ツールです。

無料で使える高機能な開発環境として、世界中で愛用されています。

今回は、Eclipseのダウンロードから基本的な使い方、実際にプログラムを書いて動かすまで、初心者の方にも分かりやすく解説していきますね。


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  1. Eclipseとは何か?
    1. Java開発のための統合開発環境
    2. オープンソースで完全無料
    3. Javaだけじゃない多言語対応
  2. Eclipseの主な機能
    1. コードエディタ
    2. デバッガー
    3. プロジェクト管理
    4. ビルド機能
    5. バージョン管理連携
  3. Eclipseのインストール
    1. システム要件
    2. ダウンロード
    3. インストール手順(Windows)
    4. インストール手順(macOS)
    5. インストール手順(Linux)
  4. ワークスペースの設定
    1. 初回起動時の設定
  5. 最初のJavaプロジェクトを作る
    1. プロジェクトの作成
    2. クラスの作成
    3. プログラムを書く
    4. 実行する
  6. よく使う機能と操作
    1. コード補完
    2. 自動インポート
    3. フォーマット整形
    4. リファクタリング
    5. デバッグ実行
  7. 便利な設定とカスタマイズ
    1. フォントサイズの変更
    2. 行番号の表示
    3. 自動保存の設定
    4. テーマの変更
    5. キーバインドの確認
  8. よく使うショートカット
    1. 必須ショートカット
    2. 効率アップのショートカット
  9. ライブラリの追加
    1. JARファイルの追加
    2. Mavenプロジェクトとして作成
  10. よくあるトラブルと対処法
    1. プロジェクトにエラーマーク(赤いバツ)が付く
    2. 日本語が文字化けする
    3. 実行しても何も表示されない
    4. Eclipseが重い・遅い
    5. インポートしたプロジェクトが動かない
  11. プラグインの追加
    1. Eclipse Marketplaceから追加
  12. よくある質問
    1. EclipseとIntelliJ IDEA、どちらが良い?
    2. Visual Studio Codeでも開発できる?
    3. ワークスペースとプロジェクトの違いは?
    4. コンパイルエラーが出た時はどうする?
  13. まとめ:Eclipseで快適なJava開発を始めよう

Eclipseとは何か?

Java開発のための統合開発環境

Eclipse(イクリプス)は、主にJavaプログラムの開発に使われる統合開発環境(IDE)です。

IDEとは「Integrated Development Environment」の略で、プログラミングに必要な機能を一つにまとめたソフトウェアのこと。

メモ帳でもプログラムは書けますが、Eclipseを使うと何倍も効率的に開発できます。

オープンソースで完全無料

Eclipseはオープンソースソフトウェアとして公開されており、誰でも無料で使用できます。

商用プロジェクトでも自由に利用可能です。

Eclipse Foundationという非営利団体が開発を管理しており、IBM、Oracle、Googleなど大手企業も参加しています。

Javaだけじゃない多言語対応

基本はJava向けですが、プラグインを追加することで以下の言語にも対応できます:

  • C/C++:CDTプラグイン
  • Python:PyDevプラグイン
  • PHP:PDTプラグイン
  • JavaScript:標準搭載
  • Kotlin:Kotlinプラグイン

ただし、最も強力なのはJava開発機能です。


Eclipseの主な機能

コードエディタ

プログラムを書くための高機能なエディタが搭載されています。

便利な機能:

  • シンタックスハイライト:コードを色分けして見やすく表示
  • コード補完:入力途中で候補を表示(Ctrl + Space)
  • 自動インデント:適切な字下げを自動で調整
  • エラー表示:間違いを即座に赤線で指摘
  • リファクタリング:コードの構造を安全に変更

デバッガー

プログラムのバグを見つけるための強力なツールです。

できること:

  • ブレークポイントで実行を一時停止
  • 変数の値をリアルタイムで確認
  • ステップ実行(1行ずつ実行)
  • スタックトレースの表示
  • 条件付きブレークポイント

プロジェクト管理

複数のファイルやフォルダをまとめて管理できます。

機能:

  • ファイルの階層管理
  • パッケージの整理
  • ビルドパスの設定
  • ライブラリの追加
  • リソースの管理

ビルド機能

書いたコードを自動的にコンパイルしてくれます。

特徴:

  • 自動ビルド機能(ファイル保存時に自動コンパイル)
  • インクリメンタルビルド(変更部分だけ再コンパイル)
  • エラー箇所の即座な表示
  • Antやライブラリとの連携

バージョン管理連携

Git、SVNなどのバージョン管理システムと統合できます。

できること:

  • コミット・プッシュ
  • ブランチの切り替え
  • 差分表示
  • マージ・競合解決
  • 履歴の閲覧

Eclipseのインストール

システム要件

必要なもの:

  • JDK(Java Development Kit):8以降(11または17推奨)
  • メモリ:最低2GB、推奨4GB以上
  • ストレージ:1GB以上の空き容量
  • OS:Windows、macOS、Linux

まず、JDKがインストールされているか確認しましょう。

確認コマンド:

java -version
javac -version

JDKがない場合は、Oracle JDKまたはOpenJDKをインストールしてください。

ダウンロード

1. 公式サイトにアクセス
https://www.eclipse.org/downloads/

2. 「Download」ボタンをクリック

3. Eclipse Installerをダウンロード
お使いのOS(Windows、macOS、Linux)に対応したバージョンを選択します。

インストール手順(Windows)

1. ダウンロードしたインストーラーを実行
eclipse-inst-win64.exeをダブルクリック。

2. インストールする種類を選択

  • Eclipse IDE for Java Developers:標準的なJava開発向け(推奨)
  • Eclipse IDE for Enterprise Java Developers:Webアプリ開発向け
  • Eclipse IDE for C/C++ Developers:C/C++開発向け

Java開発なら、最初の「Eclipse IDE for Java Developers」を選びましょう。

3. インストール先を指定
デフォルトのままでOKです。

4. Java VMの選択
インストールされているJDKを自動検出するので、そのまま進みます。

5. ライセンスに同意
「Accept」をクリック。

6. インストール開始
数分待つとインストールが完了します。

7. 起動
「LAUNCH」ボタンでEclipseを起動できます。

インストール手順(macOS)

1. ダウンロードしたDMGファイルを開く

2. Eclipseをアプリケーションフォルダにドラッグ

3. セキュリティ設定
初回起動時に「開発元を確認できません」と表示されることがあります。

  • システム設定 → セキュリティとプライバシー
  • 「このまま開く」をクリック

4. 起動
アプリケーションフォルダからEclipseを起動します。

インストール手順(Linux)

Ubuntu/Debian:

# Eclipse Installerをダウンロード
wget https://www.eclipse.org/downloads/download.php?file=/...

# 解凍
tar -xzf eclipse-inst-linux64.tar.gz

# インストーラー実行
./eclipse-inst/eclipse-inst

または、Snap経由:

sudo snap install eclipse --classic

ワークスペースの設定

初回起動時の設定

Eclipseを起動すると、ワークスペース(Workspace)の場所を聞かれます。

ワークスペースとは、プロジェクトファイルを保存する作業場所のことです。

推奨設定:

  • デフォルトのパス(通常はC:\Users\ユーザー名\eclipse-workspace)でOK
  • 「Use this as the default…」にチェックを入れると次回から聞かれない

複数のワークスペース:
プロジェクトの種類ごとに異なるワークスペースを作成することもできます。

切り替え方法:
File → Switch Workspace → Other…


最初のJavaプロジェクトを作る

プロジェクトの作成

手順:

1. 新規プロジェクトを作成

  • File → New → Java Project
  • または、Ctrl + N(Windows/Linux)、Command + N(macOS)

2. プロジェクト名を入力

  • Project name:HelloWorld(例)
  • JREはデフォルトのままでOK

3. Finishをクリック

4. モジュール作成の確認
「Create module-info.java」と聞かれたら、「Don’t Create」を選択
(初心者には不要)

クラスの作成

手順:

1. パッケージを作成(推奨)

  • プロジェクトを右クリック
  • New → Package
  • Name:com.example.hello(例)

2. クラスを作成

  • パッケージを右クリック
  • New → Class
  • Name:HelloWorld
  • 「public static void main(String[] args)」にチェック
  • Finish

3. コードが自動生成される

package com.example.hello;

public class HelloWorld {

    public static void main(String[] args) {
        // TODO Auto-generated method stub

    }

}

プログラムを書く

自動生成されたコードを編集します。

完成したコード:

package com.example.hello;

public class HelloWorld {

    public static void main(String[] args) {
        System.out.println("Hello, World!");
    }

}

System.out.printlnと入力する時、途中でCtrl + Spaceを押すと、コード補完が表示されて便利です。

実行する

方法1:右クリックから実行

  • コードエディタ内で右クリック
  • Run As → Java Application

方法2:実行ボタン

  • ツールバーの緑色の▶ボタンをクリック

方法3:ショートカット

  • Ctrl + F11(Windows/Linux)
  • Command + Fn + F11(macOS)

実行結果:
画面下部の「Console」タブに以下のように表示されます:

Hello, World!

おめでとうございます!最初のJavaプログラムが動きました。


よく使う機能と操作

コード補完

入力途中でCtrl + Spaceを押すと、候補が表示されます。

例:

Sys  ← ここでCtrl + Space
→ System が補完される

System.out.pri  ← ここでCtrl + Space
→ println が候補に表示される

自動インポート

必要なクラスをインポートし忘れても、Eclipseが提案してくれます。

例:

ArrayList<String> list = new ArrayList<>();

ArrayListに赤線が表示されたら:

  • Ctrl + 1(クイックフィックス)
  • 「Import ‘ArrayList’ (java.util)」を選択

または、Ctrl + Shift + O で一括インポート。

フォーマット整形

コードの見た目を綺麗に整えます。

実行方法:

  • Ctrl + Shift + F(Windows/Linux)
  • Command + Shift + F(macOS)

インデントや改行が自動的に調整されます。

リファクタリング

変数名やメソッド名を安全に変更できます。

変数名の変更:

  1. 変数名を選択
  2. 右クリック → Refactor → Rename
  3. または Alt + Shift + R
  4. 新しい名前を入力
  5. すべての箇所が自動的に変更される

デバッグ実行

ブレークポイントの設定:

  1. 止めたい行番号の左側をダブルクリック
  2. 青い丸が表示される

デバッグ実行:

  • 右クリック → Debug As → Java Application
  • または F11キー

デバッグ操作:

  • F5:ステップイン(メソッド内部に入る)
  • F6:ステップオーバー(次の行へ)
  • F7:ステップリターン(メソッドから戻る)
  • F8:次のブレークポイントまで実行

変数の値をリアルタイムで確認しながら実行できます。


便利な設定とカスタマイズ

フォントサイズの変更

手順:

  1. Window → Preferences
  2. General → Appearance → Colors and Fonts
  3. Basic → Text Font
  4. Edit をクリック
  5. サイズを変更

行番号の表示

手順:

  1. エディタの左端を右クリック
  2. Show Line Numbers にチェック

自動保存の設定

デフォルトでは自動保存がオンになっています。

確認方法:

  1. Window → Preferences
  2. General → Workspace
  3. 「Build automatically」にチェックが入っていればOK

テーマの変更

ダークテーマに変更できます。

手順:

  1. Window → Preferences
  2. General → Appearance
  3. Theme:Dark を選択

キーバインドの確認

ショートカットキーの一覧:
Help → Key Assist(Ctrl + Shift + L)

よく使うショートカットが表示されます。


よく使うショートカット

必須ショートカット

Windows/Linux:

  • Ctrl + Space:コード補完
  • Ctrl + Shift + O:インポートの整理
  • Ctrl + Shift + F:コードフォーマット
  • Ctrl + 1:クイックフィックス
  • Ctrl + D:行削除
  • Ctrl + /:コメントアウト/解除
  • Ctrl + S:保存
  • F11:デバッグ実行
  • Ctrl + F11:実行

macOS:

  • Ctrl を Command に、Alt を Option に読み替えてください

効率アップのショートカット

  • Alt + ↑/↓:行の移動
  • Ctrl + Alt + ↑/↓:行の複製
  • Ctrl + Shift + R:ファイルを開く
  • Ctrl + Shift + T:型を開く
  • Ctrl + H:検索
  • Alt + Shift + R:名前変更(リファクタリング)

これらを覚えるだけで、作業効率が大幅に向上します。


ライブラリの追加

JARファイルの追加

外部ライブラリを使いたい場合の手順です。

方法1:Build Pathに追加

  1. プロジェクトを右クリック
  2. Build Path → Configure Build Path…
  3. Libraries タブ
  4. Add External JARs…
  5. JARファイルを選択
  6. Apply and Close

方法2:libフォルダを作成

  1. プロジェクト直下にlibフォルダを作成
  2. JARファイルをコピー
  3. JARファイルを右クリック
  4. Build Path → Add to Build Path

Mavenプロジェクトとして作成

Mavenを使うと、依存関係の管理が楽になります。

手順:

  1. File → New → Maven Project
  2. 「Create a simple project」にチェック
  3. Group Id:com.example
  4. Artifact Id:myapp
  5. Finish

pom.xmlに依存関係を追加するだけで、自動ダウンロードされます。


よくあるトラブルと対処法

プロジェクトにエラーマーク(赤いバツ)が付く

原因:

  • JDKが正しく設定されていない
  • ビルドパスに問題がある

対処法:

  1. プロジェクトを右クリック
  2. Build Path → Configure Build Path…
  3. Libraries タブで JRE System Library を確認
  4. 問題があれば、Edit で正しいJDKを指定

日本語が文字化けする

原因:
ファイルの文字コードがUTF-8でない。

対処法:

  1. Window → Preferences
  2. General → Workspace
  3. Text file encoding:Other → UTF-8
  4. Apply and Close

実行しても何も表示されない

原因:
Consoleビューが表示されていない。

対処法:

  1. Window → Show View → Console
  2. または、Alt + Shift + Q, C

Eclipseが重い・遅い

対処法:

メモリの増量:
eclipse.iniファイルを編集:

-Xms512m
-Xmx2048m

ワークスペースのクリーン:

  1. Project → Clean…
  2. Clean all projects

不要なプラグインを無効化:

  1. Help → Eclipse Marketplace
  2. Installed タブ
  3. 不要なものをアンインストール

インポートしたプロジェクトが動かない

対処法:

  1. プロジェクトを右クリック
  2. Maven → Update Project…(Mavenの場合)
  3. または、Build Path の JRE を確認

プラグインの追加

Eclipse Marketplaceから追加

手順:

  1. Help → Eclipse Marketplace
  2. 検索ボックスにプラグイン名を入力
  3. Install ボタンをクリック
  4. 指示に従ってインストール
  5. Eclipseを再起動

おすすめプラグイン:

Darkest Dark Theme:
美しいダークテーマ。

SonarLint:
コード品質をチェック。

CheckStyle:
コーディング規約をチェック。

EGit:
Git連携(標準搭載の場合もあり)。


よくある質問

EclipseとIntelliJ IDEA、どちらが良い?

Eclipse:

  • 完全無料
  • 軽量
  • カスタマイズ性が高い
  • 長い歴史と豊富な情報

IntelliJ IDEA:

  • コード補完がより賢い
  • 最新技術への対応が早い
  • モダンなUI
  • 有料版(Ultimate)がある

初心者や無料で始めたい方はEclipse、より高機能を求める方はIntelliJ IDEAがおすすめです。

Visual Studio Codeでも開発できる?

はい、可能です。

ただし、VS CodeはエディタとしてはEclipseより軽量ですが、Java開発に特化した機能はEclipseの方が充実しています。

ワークスペースとプロジェクトの違いは?

ワークスペース:
複数のプロジェクトをまとめて保存する「場所」。

プロジェクト:
個別のアプリケーションやライブラリの単位。

一つのワークスペースに、複数のプロジェクトを作成できます。

コンパイルエラーが出た時はどうする?

手順:

  1. Problems ビューでエラーメッセージを確認
  2. 該当箇所をダブルクリックすると、エラー箇所にジャンプ
  3. 赤い波線の上にマウスを置くとヒントが表示される
  4. Ctrl + 1 でクイックフィックスを確認

エラーメッセージを丁寧に読むことが重要です。


まとめ:Eclipseで快適なJava開発を始めよう

Eclipseは、無料で使える強力なJava開発環境です。

初心者から上級者まで、幅広く利用されている定番ツールですね。

この記事のポイント:

  • EclipseはJava開発の統合開発環境(IDE)
  • 完全無料でオープンソース
  • コード補完、デバッグ、リファクタリングなど高機能
  • JDKのインストールが必要
  • Eclipse Installerで簡単インストール
  • ワークスペースでプロジェクトを管理
  • Ctrl + Space でコード補完
  • Ctrl + Shift + F でフォーマット整形
  • ブレークポイントで効率的なデバッグ
  • プラグインで機能拡張が可能

最初のステップ:

  1. JDKをインストール
  2. Eclipseをダウンロード・インストール
  3. Hello Worldプログラムを作成
  4. よく使うショートカットを覚える

最初は画面の情報量に圧倒されるかもしれませんが、基本的な操作を繰り返すうちに自然と慣れていきます。

まずはシンプルなプログラムから始めて、少しずつEclipseの機能を活用していきましょう。

快適なJava開発ライフを楽しんでください!

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