UEFIとは?BIOSとの違いから設定まで徹底解説【現代PCの基礎知識】

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「パソコンの電源を入れると、OSが起動する前に何か動いてるみたい…」
「BIOSって聞いたことあるけど、最近はUEFIって言葉も出てくる。何が違うの?」

パソコンを使っていると、時々「UEFI」や「BIOS」という言葉に出会いますよね。

UEFIは、パソコンの電源を入れてからOSが起動するまでの「橋渡し役」を担う重要なシステムです。2010年頃から普及し始め、現在ではほとんどの新しいパソコンがUEFIを採用しているんです。

この記事では、UEFIの基礎から実践的な使い方まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます!


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  1. UEFIとは?基本を理解しよう
    1. 一言で説明すると
    2. ファームウェアって何?
    3. UEFIの役割
  2. BIOSとの違い
    1. BIOS(バイオス)とは
    2. 主な違い
    3. 視覚的な違い
  3. UEFIのメリット
    1. 1. 高速起動
    2. 2. 大容量ストレージに対応
    3. 3. セキュアブート
    4. 4. ネットワーク機能
    5. 5. モジュール化と拡張性
  4. UEFIのデメリット
    1. 1. 複雑さ
    2. 2. 互換性の問題
    3. 3. セキュアブートの制約
  5. GPTパーティションとMBR
    1. MBR(Master Boot Record)
    2. GPT(GUID Partition Table)
    3. 確認方法(Windows)
  6. UEFI設定画面の入り方
    1. 起動時に入る方法
    2. Macの場合
  7. UEFI設定画面の主な項目
    1. Main(メイン)
    2. Boot(ブート)
    3. Security(セキュリティ)
    4. Advanced(詳細設定)
    5. Chipset(チップセット)
  8. セキュアブートの詳細
    1. セキュアブートとは
    2. Windows 11の要件
    3. セキュアブートの無効化
  9. CSM(互換性サポートモジュール)
    1. CSMとは
    2. CSMの有効化
  10. UEFIのトラブルシューティング
    1. 問題1:起動しない
    2. 問題2:「No bootable device」エラー
    3. 問題3:デュアルブートできない
    4. 問題4:UEFI設定が保存されない
  11. UEFIファームウェアのアップデート
    1. アップデートの必要性
    2. アップデート方法
  12. Windows 11とUEFI
    1. Windows 11の必須要件
    2. Windows 11へのアップグレード
  13. Linux とUEFI
    1. Linuxのインストール
    2. セキュアブートとLinux
    3. GRUB ブートローダー
  14. よくある質問
    1. Q1. BIOSとUEFI、どちらを使うべき?
    2. Q2. UEFI設定を間違えると壊れる?
    3. Q3. オーバークロックはUEFIでする?
    4. Q4. UEFIは更新すべき?
    5. Q5. UEFIパスワードを忘れた場合は?
  15. まとめ:UEFIを理解して快適なPC環境を

UEFIとは?基本を理解しよう

一言で説明すると

UEFI(ユーイーエフアイ)は、パソコンの電源を入れた時に最初に動作するソフトウェアです。

正式名称は「Unified Extensible Firmware Interface(統合拡張ファームウェアインターフェース)」といいます。

ファームウェアって何?

ファームウェアとは、ハードウェア(機械)を動かすための基本的なソフトウェアです。

身近な例:

  • 洗濯機の制御プログラム
  • テレビのリモコン受信プログラム
  • スマホの起動プログラム

これらは製品に組み込まれていて、電源を入れればすぐに動作します。パソコンのUEFIも同じように、マザーボードに組み込まれているんです。

UEFIの役割

主な仕事:

1. ハードウェアの初期化

  • CPU、メモリ、ストレージなどをチェック
  • 各パーツが正常に動くか確認

2. OSへの橋渡し

  • WindowsやLinuxなどのOSを探して起動
  • OSにハードウェア情報を伝える

3. 設定の管理

  • 起動順序の設定
  • セキュリティ設定
  • ハードウェアの動作設定

BIOSとの違い

UEFIを理解するには、従来のBIOSとの違いを知ることが重要です。

BIOS(バイオス)とは

Basic Input/Output System の略で、1970年代から使われてきた古い仕組みです。

特徴:

  • シンプルな設計
  • 長年使われてきた実績
  • 機能が限定的

主な違い

項目BIOS(レガシーBIOS)UEFI
登場時期1970年代2000年代
起動速度遅い速い
対応ストレージ最大2TB実質無制限
パーティションMBRGPT
操作性キーボードのみマウス対応あり
セキュリティ脆弱セキュアブート対応
拡張性限定的高い

視覚的な違い

BIOS画面:

  • 青い背景に白い文字
  • シンプルな見た目
  • キーボードでしか操作できない

UEFI画面:

  • グラフィカルな画面
  • マウスが使える(製品による)
  • 日本語表示にも対応

UEFIのメリット

1. 高速起動

UEFIは起動プロセスが効率化されています。

起動時間の比較:

  • BIOS:30~60秒
  • UEFI:10~20秒

特に「Fast Boot」機能を有効にすると、さらに速くなります。

2. 大容量ストレージに対応

BIOSの制限:

  • 最大2TBまでしか認識できない
  • MBRパーティション(最大4パーティション)

UEFIの対応:

  • 実質無制限(9.4ZB = 約9兆GB)
  • GPTパーティション(128パーティション以上)

現代の大容量HDDやSSDを活かせます。

3. セキュアブート

不正なプログラムがOSより先に起動するのを防ぎます。

保護できる脅威:

  • ブートキットやルートキット
  • 不正なブートローダー
  • 署名されていないドライバー

信頼できるOSやプログラムのみを起動させることで、セキュリティが大幅に向上します。

4. ネットワーク機能

UEFIには、ネットワーク通信機能が組み込まれています。

できること:

  • OSのないPCに、ネットワーク経由でOSをインストール
  • リモートメンテナンス
  • ネットワークブート(PXEブート)

企業の大量のPCを一括セットアップする際に便利です。

5. モジュール化と拡張性

必要な機能を後から追加できます。

例:

  • ドライバーの追加
  • 診断ツールの組み込み
  • カスタムブートローダー

UEFIのデメリット

1. 複雑さ

機能が多い分、設定項目も増えています。

初心者には、どこを触っていいか分かりにくいことがあります。

2. 互換性の問題

古いOSや特殊なソフトウェアは、UEFIに対応していないことがあります。

対応していないOS:

  • Windows XP
  • 古いLinuxディストリビューション

対策:
CSM(Compatibility Support Module)を使ってレガシーBIOSモードで起動する

3. セキュアブートの制約

セキュリティ機能が強すぎて、一部のOSやソフトウェアが起動できないことがあります。

問題が起きるケース:

  • 一部のLinuxディストリビューション
  • 自作のブートローダー
  • 署名のないドライバー

必要に応じて、セキュアブートを無効にする必要があります。


GPTパーティションとMBR

UEFIとセットで理解すべきなのが、パーティション形式です。

MBR(Master Boot Record)

特徴:

  • BIOSで使われる古い形式
  • 最大2TBまで
  • 最大4つのプライマリパーティション

制限:

ディスク全体:最大2TB
パーティション1:500GB
パーティション2:500GB
パーティション3:500GB
パーティション4:500GB
(合計2TB、これ以上は使えない)

GPT(GUID Partition Table)

特徴:

  • UEFIで使われる新しい形式
  • 実質無制限の容量
  • 128個以上のパーティション

利点:

ディスク全体:9.4ZB(約9兆GB)
パーティション:128個以上作成可能
冗長性:バックアップパーティションテーブルあり

確認方法(Windows)

ディスクの管理で確認:

  1. Windows + X キーを押す
  2. 「ディスクの管理」を選択
  3. ディスクを右クリック
  4. 「プロパティ」→「ボリューム」タブ
  5. 「パーティションのスタイル」を確認

表示内容:

  • MBR(マスターブートレコード)
  • GPT(GUIDパーティションテーブル)

UEFI設定画面の入り方

起動時に入る方法

方法1:特定のキーを押す

パソコンの電源を入れた直後、画面にメーカーロゴが表示されている間に、特定のキーを連打します。

メーカー別のキー:

  • Dell:F2
  • HP:F10 または ESC
  • Lenovo:F1 または F2
  • ASUS:F2 または Del
  • MSI:Del
  • 自作PC:Del または F2(マザーボードによる)

注意:
Fast Boot が有効だと、キーを押すタイミングがシビアです。何度か試してみましょう。

方法2:Windowsから起動

Windows 10/11なら、OSから直接UEFI設定に入れます。

手順:

  1. 設定を開く(Windows + I)
  2. 「更新とセキュリティ」→「回復」
  3. 「PCの起動をカスタマイズする」の「今すぐ再起動」
  4. 「トラブルシューティング」→「詳細オプション」
  5. 「UEFIファームウェアの設定」をクリック
  6. 「再起動」をクリック

再起動後、UEFI設定画面が表示されます。

Macの場合

MacはUEFI風の独自ファームウェアを使用しています。

起動オプション:

  • Command + R:リカバリーモード
  • Option(Alt):起動ディスク選択

UEFI設定画面の主な項目

Main(メイン)

基本情報の表示:

  • システム日時
  • BIOSバージョン
  • CPU情報
  • メモリ情報
  • ストレージ情報

ここで現在のハードウェア構成を確認できます。

Boot(ブート)

起動順序の設定:

どのストレージから優先的にOSを起動するか設定します。

一般的な順序:

1. Windows Boot Manager(NVMe SSD)
2. USB Drive
3. CD/DVD Drive
4. Network Boot

Fast Boot:

  • 有効:高速起動(一部のチェックをスキップ)
  • 無効:通常起動(全チェックを実行)

Security(セキュリティ)

セキュアブート:

  • Enabled:有効(推奨)
  • Disabled:無効

管理者パスワード:
UEFI設定を変更する際のパスワードを設定できます。

TPM設定:
Trusted Platform Module の有効/無効

Advanced(詳細設定)

CPU設定:

  • 仮想化技術(Intel VT-x、AMD-V)
  • ハイパースレッディング
  • オーバークロック設定

ストレージ設定:

  • SATA動作モード(AHCI、RAID)
  • M.2スロット設定

電源管理:

  • Wake on LAN
  • 電源ボタンの動作

Chipset(チップセット)

マザーボードのチップセット関連の設定です。

主な項目:

  • オンボードデバイスの有効/無効
  • USB設定
  • オーディオ設定

セキュアブートの詳細

セキュアブートとは

仕組み:

  1. OSやドライバーにデジタル署名を要求
  2. 信頼できる署名のみを許可
  3. 不正なプログラムの起動を防ぐ

保護の流れ:

電源ON → UEFI起動 → 署名チェック → OS起動
                      ↓
                  署名なし・不正
                      ↓
                  起動拒否

Windows 11の要件

Windows 11では、セキュアブートが必須要件になっています。

必要な設定:

  • セキュアブート:有効
  • TPM 2.0:有効
  • UEFIモード:有効

セキュアブートの無効化

一部のOSやソフトウェアで必要になることがあります。

手順:

  1. UEFI設定画面に入る
  2. Security または Boot タブを選択
  3. Secure Boot を探す
  4. Disabled に変更
  5. 設定を保存して再起動

注意:
無効化すると、セキュリティリスクが高まります。必要な作業が終わったら、再度有効にしましょう。


CSM(互換性サポートモジュール)

CSMとは

Compatibility Support Module の略で、UEFIでレガシーBIOSモードを使えるようにする機能です。

使用場面:

  • 古いOSをインストールする
  • UEFI非対応のハードウェアを使う
  • MBRパーティションから起動する

CSMの有効化

手順:

  1. UEFI設定画面で Boot タブを開く
  2. CSM(または Launch CSM)を探す
  3. Enabled に変更
  4. 保存して再起動

注意:
CSMを有効にすると、セキュアブートは自動的に無効になります。


UEFIのトラブルシューティング

問題1:起動しない

症状:
パソコンの電源は入るが、OSが起動しない

原因と対処法:

ブート順序の問題:

  1. UEFI設定に入る
  2. Boot順序を確認
  3. OSがインストールされているドライブを最優先に設定

セキュアブートの問題:

  1. Secure Boot を一時的に無効化
  2. 起動するか確認
  3. OSのデジタル署名を確認

問題2:「No bootable device」エラー

意味:
起動可能なデバイスが見つからない

対処法:

ストレージの接続確認:

  • ケーブルが正しく接続されているか
  • ドライブが認識されているか(UEFI設定で確認)

ブートローダーの修復:

Windows の場合:

# Windows回復環境で
bootrec /fixboot
bootrec /rebuildbcd

問題3:デュアルブートできない

症状:
WindowsとLinuxなど、複数のOSを切り替えられない

原因:

  • パーティション形式の不一致(MBRとGPT混在)
  • セキュアブートの制限
  • ブートローダーの競合

対処法:

  1. 全てのOSを同じパーティション形式(GPT推奨)にする
  2. Linuxの場合、セキュアブートを無効化
  3. ブートマネージャー(GRUB、rEFIndなど)を使用

問題4:UEFI設定が保存されない

原因:

  • CMOSバッテリーの消耗
  • ファームウェアの破損

対処法:

CMOSバッテリー交換:
マザーボード上のボタン電池(CR2032)を交換します。

ファームウェアアップデート:
メーカーサイトから最新版をダウンロードして更新します。


UEFIファームウェアのアップデート

アップデートの必要性

更新すべき理由:

  • セキュリティの脆弱性修正
  • 新しいCPUやメモリへの対応
  • バグ修正
  • 機能追加

アップデートの頻度:
特に問題がなければ、年1回程度のチェックで十分です。

アップデート方法

方法1:Windows上から

多くのメーカーが、Windows用のアップデートツールを提供しています。

Dell、HP、Lenovoなど:
メーカー公式サイトからツールをダウンロードして実行

方法2:UEFI内部から

一部のマザーボードは、UEFI設定画面からインターネット経由でアップデートできます。

ASUS、MSIなど:
「EZ Flash」「M-Flash」などの機能を使用

方法3:USBメモリから

手順:

  1. メーカーサイトから最新ファームウェアをダウンロード
  2. USBメモリにコピー
  3. UEFI設定画面から更新機能を選択
  4. USBメモリ内のファイルを指定
  5. アップデート実行

注意事項:

⚠️ 絶対に守るべきこと

  • アップデート中は絶対に電源を切らない
  • UPS(無停電電源装置)の使用推奨
  • 現在のバージョンをメモしておく
  • 問題なく動いているなら、無理にアップデートしない

失敗すると、パソコンが起動不能になる可能性があります。


Windows 11とUEFI

Windows 11の必須要件

ハードウェア要件:

  • TPM 2.0
  • セキュアブート対応
  • UEFIファームウェア
  • 64ビットCPU

確認方法:

PowerShellで確認:

# TPMの確認
Get-Tpm

# セキュアブートの確認
Confirm-SecureBootUEFI

Windows 11へのアップグレード

古いPCでWindows 11にアップグレードする場合、以下が必要です。

手順:

  1. UEFIモードで起動しているか確認
  2. GPTパーティションに変換(MBRの場合)
  3. TPM 2.0を有効化
  4. セキュアブートを有効化

MBRからGPTへの変換:

# 管理者権限のコマンドプロンプトで
mbr2gpt /convert /disk:0 /allowFullOS

注意:
データのバックアップを取ってから実行してください。


Linux とUEFI

Linuxのインストール

多くのLinuxディストリビューションは、UEFIに対応しています。

対応ディストリビューション:

  • Ubuntu
  • Fedora
  • Debian
  • Arch Linux

セキュアブートとLinux

署名済みディストリビューション:

  • Ubuntu
  • Fedora
  • openSUSE

これらは、セキュアブートを有効にしたまま起動できます。

署名なしのディストリビューション:
セキュアブートを無効にする必要があります。

GRUB ブートローダー

LinuxではGRUB2がブートローダーとして使われます。

設定ファイル:

# Ubuntu/Debianの場合
/boot/efi/EFI/ubuntu/grub.cfg

# 設定の更新
sudo update-grub

よくある質問

Q1. BIOSとUEFI、どちらを使うべき?

新しいパソコンなら、UEFI一択です。

BIOSは古い技術で、現在のハードウェアを十分に活かせません。ただし、古いOSや特殊なソフトウェアを使う場合は、CSMでレガシーBIOSモードを使うこともあります。

Q2. UEFI設定を間違えると壊れる?

基本的には大丈夫です。

ほとんどの設定は、再起動すれば元に戻せます。最悪の場合、CMOSクリア(設定の初期化)で復旧できます。ただし、ファームウェアアップデートの失敗は危険なので注意が必要です。

Q3. オーバークロックはUEFIでする?

はい、UEFIで設定します。

CPU、メモリ、GPUのオーバークロック設定は、UEFI(またはBIOS)の「Advanced」や「OC」セクションで行います。ただし、オーバークロックは保証対象外になるので、自己責任で行ってください。

Q4. UEFIは更新すべき?

問題がなければ、無理に更新する必要はありません。

ただし、セキュリティ上の重大な脆弱性が発見された場合や、新しいハードウェアを使う場合は更新を検討しましょう。

Q5. UEFIパスワードを忘れた場合は?

CMOSクリアで初期化できます。

マザーボードのCMOSクリアジャンパーを使うか、ボタン電池を一時的に外すことで、設定を初期化できます。ただし、全ての設定が消えるので注意してください。


まとめ:UEFIを理解して快適なPC環境を

UEFIについて、基礎から実践まで解説してきました。

重要ポイントのおさらい:

  1. UEFIは現代的なファームウェア
    従来のBIOSより高速・安全・高機能
  2. GPTパーティションとセットで使う
    大容量ストレージを活かせる
  3. セキュアブートで安全性向上
    不正なプログラムの起動を防止
  4. Windows 11には必須
    TPM 2.0とセキュアブートが要件
  5. 設定は慎重に、でも恐れすぎない
    基本的には元に戻せるので安心

UEFIは、私たちが意識することは少ないですが、パソコンの快適さとセキュリティを支える重要な技術です。この記事を参考に、UEFIの理解を深めて、より安全で快適なPC環境を実現してくださいね!

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