ストレージのパーティション分割を完全マスター【初心者向け】

プログラミング・IT

パソコンを使っていると、「Cドライブ」「Dドライブ」という言葉を聞きますよね。

実は、1台のハードディスクやSSDを、複数のドライブに分けて使うことができるんです。これが「パーティション分割」という技術。

「難しそう…」と思うかもしれませんが、基本を理解すれば意外とシンプル。

この記事では、パーティションの基礎から実践的な分割方法まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

データの整理や、システムの安定性向上に役立つ知識ですよ。


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  1. パーティションとは
    1. 基本的な概念
    2. なぜパーティションを分けるの?
    3. デメリットも知っておこう
  2. パーティションの種類
    1. プライマリパーティション
    2. 拡張パーティション
    3. 論理ドライブ
    4. システムパーティションとブートパーティション
  3. MBRとGPTの違い
    1. MBR(Master Boot Record)
    2. GPT(GUID Partition Table)
    3. 確認方法(Windows)
  4. Windowsでのパーティション作成
    1. ディスクの管理ツールを開く
    2. 新しいパーティションの作成
    3. パーティションのサイズ変更
  5. パーティションの削除と結合
    1. パーティションの削除
    2. パーティションの結合
  6. よくあるパーティション構成
    1. 標準的な構成(1台のSSD)
    2. システムとデータを分ける構成
    3. SSD + HDD の構成
    4. デュアルブート構成
  7. サードパーティ製ツール
    1. EaseUS Partition Master
    2. MiniTool Partition Wizard
    3. GParted(Linux向け)
  8. トラブルシューティング
    1. 縮小できる容量が少ない
    2. 未割り当て領域が結合できない
    3. パーティション削除ができない
    4. Windowsが起動しなくなった
  9. パーティション分割のベストプラクティス
    1. 適切なサイズ配分
    2. ファイルシステムの選択
    3. 定期的な見直し
  10. よくある質問
    1. パーティションを分けると速度は落ちる?
    2. 既存のパーティションのサイズ変更は安全?
    3. CドライブとDドライブ、どちらが速い?
    4. MBRからGPTに変換できる?
  11. まとめ:パーティションを上手に使おう

パーティションとは

基本的な概念

パーティション(Partition)とは、1つの物理的なストレージを、複数の論理的な領域に分割することです。

例えるなら
1つの大きな土地を、フェンスで区切って複数の区画に分けるイメージ。物理的には1つの土地ですが、それぞれ独立した区画として使えます。

実際のパソコンでは

  • 物理的には1台のSSD(500GB)
  • 論理的にはCドライブ(250GB)とDドライブ(250GB)

このように見えるわけです。

なぜパーティションを分けるの?

主なメリット

データの整理がしやすい

  • Cドライブ:Windowsとアプリケーション
  • Dドライブ:写真や文書などのデータ

分けておけば、どこに何があるか分かりやすくなります。

Windowsの再インストールが楽
Cドライブだけフォーマットして、Dドライブのデータは残せます。

複数のOSを入れられる

  • パーティション1:Windows
  • パーティション2:Linux

デュアルブート環境が作れます。

バックアップが効率的
システムとデータを別々にバックアップできます。

デメリットも知っておこう

容量の調整が面倒
Cドライブが満杯なのに、Dドライブは空きだらけ。でも、後から調整するのは手間がかかります。

複雑になる
パーティションが増えすぎると、管理が大変になります。

SSDでは効果が薄い
高速なSSDなら、パーティション分割のメリットが少ないこともあります。


パーティションの種類

プライマリパーティション

最も基本的なパーティションです。

特徴

  • OSをインストールできる
  • 起動可能なパーティション
  • MBR形式では最大4つまで作成可能

Windowsをインストールする場合、必ずプライマリパーティションが必要です。

拡張パーティション

4つ以上のパーティションを作りたいときに使います。

特徴

  • プライマリパーティションの1つを拡張パーティションに変換
  • その中に論理ドライブを複数作成できる
  • MBR形式でのみ使用

拡張パーティション自体は直接使わず、その中に論理ドライブを作ります。

論理ドライブ

拡張パーティションの中に作る、実際に使える領域です。

特徴

  • 拡張パーティション内にいくつでも作成可能
  • 通常のドライブとして使える
  • OSの起動には使えない

データ保存用のDドライブ、Eドライブなどに使われます。

システムパーティションとブートパーティション

システムパーティション
起動に必要なファイル(ブートローダー)が入っている領域。通常100〜500MB程度の小さな隠しパーティション。

ブートパーティション
Windowsの本体が入っている、メインのCドライブ。

この2つは別物ですが、初心者は特に意識する必要はありません。


MBRとGPTの違い

MBR(Master Boot Record)

古い方式のパーティションテーブルです。

特徴

  • 最大4つのプライマリパーティション
  • 最大容量:2TB
  • 古いBIOSに対応
  • Windows XP以前の標準

制限
2TB以上のディスクでは、2TBまでしか使えません。

GPT(GUID Partition Table)

新しい方式のパーティションテーブルです。

特徴

  • 最大128個のパーティション
  • 最大容量:9.4ZB(実質無制限)
  • UEFI対応
  • Windows Vista以降で標準

メリット

  • 大容量ディスクに対応
  • パーティション情報のバックアップ機能
  • より堅牢なデータ保護

現在の推奨
新しくパーティションを作る場合は、GPT形式を選びましょう。

確認方法(Windows)

自分のディスクがどちらか確認できます。

手順

  1. Windowsキー + X を押す
  2. 「ディスクの管理」を選択
  3. ディスクを右クリック
  4. 「プロパティ」を選択
  5. 「ボリューム」タブを開く
  6. 「パーティションのスタイル」を確認

「GUID パーティション テーブル (GPT)」または「マスター ブート レコード (MBR)」と表示されます。


Windowsでのパーティション作成

ディスクの管理ツールを開く

Windows標準のツールで、パーティション操作ができます。

起動方法

  1. Windowsキー + X を押す
  2. 「ディスクの管理」を選択

または

  1. スタートメニューで「ディスクの管理」と検索
  2. 「ハードディスク パーティションの作成とフォーマット」をクリック

新しいパーティションの作成

既存のパーティションから、空き領域を分割します。

手順

ステップ1:ボリュームの縮小

  1. パーティション(例:Cドライブ)を右クリック
  2. 「ボリュームの縮小」を選択
  3. 縮小する容量を入力(MB単位)
  • 例:100GB作りたい → 100,000MBと入力
  1. 「縮小」ボタンをクリック

ステップ2:新しいボリュームの作成

  1. 作成された「未割り当て」領域を右クリック
  2. 「新しいシンプル ボリューム」を選択
  3. ウィザードが起動

ステップ3:ウィザードの設定

  1. 「次へ」をクリック
  2. ボリュームサイズを確認(通常はそのまま)
  3. 「次へ」をクリック
  4. ドライブ文字を選択(D、E、Fなど)
  5. 「次へ」をクリック
  6. ファイルシステムを選択
  • NTFS(推奨):Windowsで使う場合
  • exFAT:WindowsとMacで共有する場合
  1. ボリュームラベル(名前)を入力
  2. 「次へ」→「完了」

数分でパーティションが作成されます。

パーティションのサイズ変更

作成後も、サイズ調整が可能です。

拡大する場合

  1. 拡大したいパーティションの右側に未割り当て領域が必要
  2. パーティションを右クリック
  3. 「ボリュームの拡張」を選択
  4. 拡張するサイズを指定

縮小する場合

  1. パーティションを右クリック
  2. 「ボリュームの縮小」を選択
  3. 縮小するサイズを指定

注意点
使用中のデータがある場合、縮小できるサイズに制限があります。


パーティションの削除と結合

パーティションの削除

不要なパーティションは削除できます。

手順

  1. ディスクの管理を開く
  2. 削除したいパーティションを右クリック
  3. 「ボリュームの削除」を選択
  4. 警告を確認して「はい」

重要な注意
削除すると、そのパーティション内のすべてのデータが失われます。必ず事前にバックアップを取ってください。

パーティションの結合

2つのパーティションを1つにまとめることもできます。

条件

  • 結合したいパーティションが隣接している
  • 一方を削除して未割り当て領域にする必要がある

手順

  1. 統合先として残すパーティションを決める
  2. もう一方のパーティションを削除(未割り当て領域になる)
  3. 残したパーティションを拡張して、未割り当て領域を取り込む

よくあるパーティション構成

標準的な構成(1台のSSD)

500GB SSDの例

パーティション1:システム予約(500MB)

  • Windowsが自動作成
  • 起動に必要なファイル
  • 通常は触らない

パーティション2:Cドライブ(499.5GB)

  • Windows本体とアプリケーション
  • ユーザーデータも含む

最もシンプルな構成です。小容量のSSDなら、これで十分。

システムとデータを分ける構成

1TB HDDの例

パーティション1:Cドライブ(200GB)

  • Windowsとアプリケーション専用
  • システムファイルのみ

パーティション2:Dドライブ(800GB)

  • 写真、動画、文書などのデータ保存
  • ユーザーフォルダをここに移動

Windowsを再インストールするとき、Dドライブは残せます。

SSD + HDD の構成

SSD 256GB + HDD 2TB

SSD(物理ディスク0)

  • Cドライブ(256GB):Windows とアプリケーション

HDD(物理ディスク1)

  • Dドライブ(2TB):データ保存

高速なSSDにシステムを、大容量のHDDにデータを。最もバランスの良い構成です。

デュアルブート構成

512GB SSDの例

パーティション1:EFI(100MB)

  • ブートローダー

パーティション2:Windows(250GB)

  • Windows 11本体

パーティション3:Linux(200GB)

  • Ubuntuなど

パーティション4:共有データ(残り)

  • WindowsとLinuxの両方からアクセス

複数OSを使いたい上級者向けです。


サードパーティ製ツール

EaseUS Partition Master

使いやすい無料のパーティション管理ソフトです。

できること

  • パーティションのサイズ変更(データを保持したまま)
  • パーティションの移動
  • パーティションの結合
  • MBRからGPTへの変換

Windows標準ツールより柔軟な操作が可能です。

MiniTool Partition Wizard

こちらも人気の無料ツールです。

特徴

  • 直感的なインターフェース
  • プレビュー機能(実行前に確認できる)
  • ディスクのコピー機能

初心者でも使いやすい設計です。

GParted(Linux向け)

Linux環境で使える強力なツールです。

特徴

  • 完全無料のオープンソース
  • 多くのファイルシステムに対応
  • LiveUSBから起動可能

Windowsの操作にも使えますが、やや上級者向けです。


トラブルシューティング

縮小できる容量が少ない

「ボリュームの縮小」を実行しても、期待より少ない容量しか縮小できないことがあります。

原因
移動できないファイル(システムファイルやページファイル)が、ディスクの後方にある。

解決方法

方法1:デフラグを実行

  1. ドライブを右クリック→「プロパティ」
  2. 「ツール」タブ→「最適化」
  3. デフラグを実行

方法2:ページファイルを一時的に無効化

  1. システムのプロパティを開く
  2. 「詳細設定」→「パフォーマンス」→「設定」
  3. 「詳細設定」タブ→「仮想メモリ」→「変更」
  4. 「ページングファイルなし」を選択
  5. 再起動後、縮小を実行
  6. 完了したらページファイルを元に戻す

未割り当て領域が結合できない

隣接していない未割り当て領域は、標準ツールでは結合できません。

解決方法

  • EaseUS Partition Masterなどのサードパーティツールを使う
  • または、間にあるパーティションを一度削除(データは失われる)

パーティション削除ができない

「このボリュームは削除できません」というエラーが出る場合。

原因

  • システムパーティション
  • 回復パーティション
  • OEMパーティション

対処法
これらは削除しないほうが安全です。どうしても削除したい場合は、diskpartコマンドを使う必要があります(上級者向け)。

Windowsが起動しなくなった

パーティション操作中に電源が切れたり、誤って重要なパーティションを削除した場合。

対処法

方法1:スタートアップ修復

  1. Windowsインストールメディアから起動
  2. 「コンピューターを修復する」を選択
  3. 「トラブルシューティング」→「スタートアップ修復」

方法2:ブートセクターの修復
コマンドプロンプトから以下を実行

bootrec /fixmbr
bootrec /fixboot
bootrec /rebuildbcd

パーティション分割のベストプラクティス

適切なサイズ配分

小容量SSD(256GB以下)の場合
パーティション分割は不要。全体を1つのCドライブとして使いましょう。

中容量SSD/HDD(500GB〜1TB)の場合

  • システム(C):150〜250GB
  • データ(D):残り

大容量HDD(2TB以上)の場合

  • システム(C):200〜300GB
  • データ(D):1TB程度
  • バックアップ(E):残り

用途に応じて調整してください。

ファイルシステムの選択

NTFS(推奨)

  • Windowsで使う場合の標準
  • 大容量ファイルに対応
  • 高度な機能(圧縮、暗号化など)

FAT32

  • 古い互換性が必要な場合
  • 4GB以上のファイルを扱えない
  • 現在はあまり使わない

exFAT

  • WindowsとMacで共有する場合
  • USBメモリや外付けHDDに適している

定期的な見直し

パーティション構成は、一度決めたら永久ではありません。

見直しのタイミング

  • Cドライブの空き容量が20%を切ったとき
  • 使い方が変わったとき(例:動画編集を始めた)
  • SSDを新しく追加したとき

状況に応じて、柔軟に変更しましょう。


よくある質問

パーティションを分けると速度は落ちる?

HDDの場合
データが分散すると、わずかに遅くなることがあります。ただし、体感できるほどではありません。

SSDの場合
ほぼ影響ありません。SSDは物理的なヘッドの移動がないため、パーティション分割によるパフォーマンス低下はほぼゼロです。

既存のパーティションのサイズ変更は安全?

基本的には安全ですが、リスクはあります。

推奨する予防策

  • 重要なデータは事前にバックアップ
  • 電源が安定している環境で作業
  • ノートPCなら、バッテリーを十分充電しておく

CドライブとDドライブ、どちらが速い?

同じ物理ディスク上なら、速度差はほとんどありません。

HDDの場合、ディスクの外周(通常C)の方が、わずかに速いことがありますが、実用上は無視できるレベルです。

MBRからGPTに変換できる?

可能ですが、データが消える方法と消えない方法があります。

データが消える方法
ディスクを完全に初期化して変換。新規インストール時に使います。

データが残る方法
サードパーティツール(MBR2GPT.exeやEaseUS Partition Master)を使用。ただし、100%安全とは言えないので、バックアップ必須です。


まとめ:パーティションを上手に使おう

ストレージのパーティション分割について、基礎から実践まで解説してきました。

この記事のポイント

  • パーティションは1つのディスクを複数の領域に分割する技術
  • プライマリ、拡張、論理の3種類がある
  • MBRは古い方式、GPTが新しい標準
  • Windows標準ツールで基本的な操作が可能
  • サードパーティツールでより柔軟な操作
  • システムとデータを分けると管理が楽
  • 小容量SSDなら分割不要

パーティション分割は、必須ではありません。

でも、上手に使えば、データ管理がしやすくなり、トラブル時の被害も最小限に抑えられます。

初心者へのアドバイス

  • まずは2分割(CとD)から始める
  • 頻繁に変更するものではない
  • 迷ったら分割しなくてもOK
  • バックアップは必ず取る

自分の使い方に合った、最適なパーティション構成を見つけてくださいね!

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