ネットワークプロトコル名を徹底解説【主要プロトコル一覧付き】

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インターネットを使っていると、「HTTP」「HTTPS」「FTP」といった言葉を目にすることがありますよね。

ブラウザのアドレスバーには「https://」と表示されているし、ファイル転送の話題では「FTPで送って」なんて会話も聞こえてきます。

でも、これらが具体的に何を意味しているのか、ちゃんと理解している人は意外と少ないかもしれません。

この記事では、ネットワークの世界で使われる「プロトコル」について、名前の意味から実際の役割まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

プロトコルを理解すれば、インターネットの仕組みがグッと身近に感じられますよ。


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そもそもプロトコルって何?

プロトコルの基本的な意味

プロトコルとは、簡単に言えば「通信のルール」のことです。

人間同士が会話するときにも、日本語や英語といった「言語」というルールがありますよね。それと同じで、コンピュータ同士が通信するときにも、共通のルールが必要なんです。

なぜルールが必要なの?

例えば、あなたが友達にメールを送るとします。

このとき、あなたのパソコンと友達のパソコンは、どうやってデータをやり取りすればいいのでしょうか?データの大きさ、送る順番、エラーが起きたときの対処法…決めることはたくさんあります。

プロトコルは、こうした細かいルールを定めることで、異なるメーカーのパソコンやスマホでも、問題なく通信できるようにしているんです。

プロトコルの階層構造

ネットワークのプロトコルは、役割ごとに階層化されています。

これを「プロトコルスタック」と呼びます。イメージとしては、配送サービスに似ています。

配送サービスの例

  1. 荷物を箱に詰める(梱包)
  2. 宛先を書く(アドレス指定)
  3. トラックで運ぶ(物理的な輸送)
  4. 受取人が開封する(受信)

ネットワークも同じように、データを段階的に処理して相手に届けます。各段階で異なるプロトコルが活躍しているわけです。


階層モデルで理解するプロトコル

TCP/IPモデルの4階層

インターネットで使われている標準的なモデルが「TCP/IPモデル」です。

これは4つの階層に分かれています。上から順に見ていきましょう。

アプリケーション層(第4層)
ユーザーが直接使うアプリケーションのためのプロトコルです。

Webブラウザやメールソフトが使う通信ルールがここに含まれます。HTTP、HTTPS、FTP、SMTP、POP3などがこの層のプロトコルです。

トランスポート層(第3層)
データを確実に届けるための層です。

データを小さな単位に分割したり、届いたかどうか確認したりします。TCPとUDPという2つの主要なプロトコルがあります。

インターネット層(第2層)
ネットワーク間でデータを届けるための層です。

IPアドレスを使って、データの送り先を決定します。IPプロトコルがこの層の代表格。

ネットワークインターフェース層(第1層)
物理的な通信を担当する層です。

LANケーブルやWi-Fiといった実際の通信媒体を使ってデータを送ります。イーサネットや無線LANのプロトコルがここに含まれます。

実際の通信の流れ

Webサイトを見る場合を例にしてみましょう。

  1. ブラウザが「このページが見たい」とHTTPリクエストを作成(アプリケーション層)
  2. TCPがデータを分割して送信準備(トランスポート層)
  3. IPが宛先のサーバーへの経路を決定(インターネット層)
  4. Wi-Fiやケーブルで実際にデータを送信(ネットワークインターフェース層)

受信側では、この逆の順序で処理が進みます。各層がそれぞれの役割を果たすことで、データが正確に届くわけですね。


主要なアプリケーション層プロトコル

HTTP(HyperText Transfer Protocol)

Webページを見るときに使うプロトコルです。

特徴

  • ポート番号:80番
  • 用途:Webサイトの閲覧
  • 暗号化:なし

ブラウザとWebサーバーの間でHTMLファイルや画像をやり取りします。URLの先頭に「http://」と付いているのがHTTPです。

ただし、暗号化されていないため、現在ではセキュリティ上の理由からあまり使われなくなっています。

HTTPS(HTTP Secure)

HTTPにセキュリティ機能を追加したプロトコルです。

特徴

  • ポート番号:443番
  • 用途:安全なWebサイト閲覧
  • 暗号化:あり(SSL/TLS)

通信内容が暗号化されるため、パスワードやクレジットカード情報を送信しても安全です。現在のWebサイトの大半がHTTPSを採用しています。

ブラウザのアドレスバーに鍵マークが表示されていれば、HTTPSで通信している証拠です。

FTP(File Transfer Protocol)

ファイルを転送するための専用プロトコルです。

特徴

  • ポート番号:20番(データ)、21番(制御)
  • 用途:ファイルのアップロード・ダウンロード
  • 暗号化:なし(FTPS、SFTPで暗号化可能)

Webサイトの更新作業などで、サーバーにファイルをアップロードする際によく使われます。

専用のFTPソフトを使うと、ドラッグ&ドロップで簡単にファイルを送受信できます。

SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)

メールを送信するためのプロトコルです。

特徴

  • ポート番号:25番(通常)、587番(サブミッション)
  • 用途:メールの送信
  • 暗号化:STARTTLS で対応可能

あなたがメールを送信すると、メールソフトはSMTPを使ってメールサーバーに配送します。郵便局にハガキを出すイメージですね。

POP3(Post Office Protocol version 3)

メールを受信するためのプロトコルの一つです。

特徴

  • ポート番号:110番(通常)、995番(SSL/TLS)
  • 用途:メールのダウンロード
  • 特性:サーバーからメールを取り出して端末に保存

メールをサーバーからダウンロードして、自分のパソコンに保存します。郵便局で郵便物を受け取るイメージです。

ダウンロード後はサーバーから削除されることが多いため、複数の端末で同じメールを見るのには向いていません。

IMAP(Internet Message Access Protocol)

POP3と同じくメール受信用のプロトコルですが、より高機能です。

特徴

  • ポート番号:143番(通常)、993番(SSL/TLS)
  • 用途:メールの閲覧・管理
  • 特性:メールをサーバー上で管理

メールはサーバーに残ったまま閲覧できます。スマホでもパソコンでも、どこからでも同じメールを確認できるのが便利。

GmailやOutlook.comなど、現代的なメールサービスはIMAPを採用しています。

DNS(Domain Name System)

ドメイン名とIPアドレスを変換するプロトコルです。

特徴

  • ポート番号:53番
  • 用途:名前解決
  • 役割:www.example.com → 192.0.2.1 への変換

人間が覚えやすいドメイン名を、コンピュータが理解できるIPアドレスに変換します。インターネットの「電話帳」のような役割ですね。

ブラウザでURLを入力すると、まずDNSサーバーに問い合わせて、実際のIPアドレスを調べてから接続します。


トランスポート層の主要プロトコル

TCP(Transmission Control Protocol)

信頼性の高いデータ転送を実現するプロトコルです。

特徴

  • コネクション型通信
  • データの順序保証
  • 再送制御でエラー訂正
  • フロー制御で送信速度を調整

TCPは、データが確実に届くことを保証します。

例えば、ファイルをダウンロードするとき、途中で一部が欠けたら困りますよね。TCPは、すべてのデータが正しい順序で届くまで管理してくれます。

用途の例

  • Webブラウジング(HTTP/HTTPS)
  • メール送受信(SMTP、POP3、IMAP)
  • ファイル転送(FTP)

確実性が求められる通信で使われます。

UDP(User Datagram Protocol)

速度を重視した軽量なプロトコルです。

特徴

  • コネクションレス型通信
  • データの順序保証なし
  • 再送制御なし
  • 低遅延・高速

UDPは、確実性よりもスピードを優先します。

多少データが欠けても構わないから、とにかく速く送りたいという場面で活躍します。

用途の例

  • 動画配信やライブストリーミング
  • オンラインゲーム
  • 音声通話(VoIP)
  • DNS問い合わせ

リアルタイム性が重要な通信に適しています。

TCPとUDPの使い分け

どちらを使うかは、用途次第です。

TCPを選ぶべき場合

  • データの完全性が重要
  • 順序が保証される必要がある
  • 多少の遅延は許容できる

UDPを選ぶべき場合

  • リアルタイム性が最優先
  • 多少のデータ欠落は問題ない
  • 通信のオーバーヘッドを減らしたい

ライブ配信で音声が少し途切れても気にならないけど、遅延は避けたい。そんなときはUDPが最適というわけです。


その他の重要なプロトコル

SSH(Secure Shell)

リモートでサーバーを操作するための安全なプロトコルです。

特徴

  • ポート番号:22番
  • 用途:サーバーへの安全なリモート接続
  • 暗号化:あり

サーバー管理者が、自宅から会社のサーバーを操作するような場面で使います。すべての通信が暗号化されるため、安全にコマンド操作ができます。

Telnet(Teletype Network)

古いリモート接続プロトコルです。

特徴

  • ポート番号:23番
  • 用途:リモート接続(非推奨)
  • 暗号化:なし

SSHが登場する前は広く使われていましたが、暗号化されないため現在では使用すべきではありません。歴史的な理解として知っておく程度で十分です。

DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)

IPアドレスを自動的に割り当てるプロトコルです。

特徴

  • ポート番号:67番(サーバー)、68番(クライアント)
  • 用途:ネットワーク設定の自動配布
  • 役割:IPアドレス、サブネットマスク、ゲートウェイなどを配布

家庭や会社のWi-Fiに接続すると、自動的にIPアドレスが割り振られますよね。それがDHCPの働きです。

手動で設定する手間が省けるので、とても便利な仕組みです。

NTP(Network Time Protocol)

コンピュータの時刻を同期するプロトコルです。

特徴

  • ポート番号:123番
  • 用途:正確な時刻の取得と同期
  • 精度:数ミリ秒レベルの同期が可能

インターネット上の時刻サーバーから正確な時刻を取得して、パソコンやスマホの時計を合わせます。

ログファイルの時刻が正確でないと、トラブル調査が困難になるため、サーバー管理では特に重要です。

SNMP(Simple Network Management Protocol)

ネットワーク機器を監視・管理するプロトコルです。

特徴

  • ポート番号:161番(管理)、162番(トラップ)
  • 用途:ルーターやスイッチの状態監視
  • 機能:トラフィック量、エラー率、稼働状況などを取得

大規模ネットワークで、多数の機器の状態を一元管理するために使われます。異常が発生したら自動的に通知する機能もあります。


ポート番号の役割

ポート番号とは

プロトコルごとに決められた「入口の番号」のことです。

マンションの部屋番号をイメージすると分かりやすいでしょう。IPアドレスが「建物の住所」なら、ポート番号は「部屋番号」です。

よく使われるポート番号一覧

0〜1023番:ウェルノウンポート
よく知られたサービス用に予約されている番号です。

  • 20/21:FTP
  • 22:SSH
  • 23:Telnet
  • 25:SMTP
  • 53:DNS
  • 80:HTTP
  • 110:POP3
  • 143:IMAP
  • 443:HTTPS
  • 465:SMTPS
  • 587:SMTP(サブミッション)
  • 993:IMAPS
  • 995:POP3S

1024〜49151番:登録済みポート
特定のアプリケーション用に登録されている番号です。

  • 3306:MySQL
  • 3389:リモートデスクトップ
  • 5432:PostgreSQL
  • 8080:代替HTTP(開発用など)

49152〜65535番:動的ポート
クライアント側が一時的に使用する番号です。

Webサイトにアクセスするとき、あなたのパソコンはこの範囲から適当な番号を選んで通信します。

ポート番号の使い方

サーバーにアクセスするときは、IPアドレスとポート番号をセットで指定します。

例えば、192.168.1.1:8080 という表記は、「192.168.1.1というIPアドレスの、8080番ポートに接続する」という意味です。

コロン(:)の後ろの数字がポート番号ですね。


セキュアなプロトコルの重要性

暗号化プロトコルの必要性

インターネット上の通信は、基本的に誰でも傍受できる可能性があります。

郵便はがきを想像してください。内容が丸見えですよね。それと同じで、暗号化されていない通信は、途中で読まれる危険があります。

SSL/TLSの役割

SSL(Secure Sockets Layer)とTLS(Transport Layer Security)は、通信を暗号化する技術です。

正確には、TLSがSSLの後継技術ですが、一般的には「SSL」という呼び方が広く使われています。

暗号化の仕組み

  1. 公開鍵と秘密鍵のペアを使用
  2. データを暗号化して送信
  3. 受信側だけが復号化できる

この技術により、HTTPはHTTPSに、FTPはFTPSに、SMTPはSMTPSになります。

セキュアなプロトコルへの移行

現在、多くのサービスが暗号化プロトコルへ移行しています。

推奨される選択

  • HTTPではなくHTTPSを使う
  • FTPではなくSFTPやFTPSを使う
  • TelnetではなくSSHを使う
  • 平文メール送信ではなくSTARTTLSを使う

Googleなどの検索エンジンも、HTTPSを使っているサイトを優遇するようになっています。セキュリティは、もはや必須の要件なんです。


プロトコルのトラブルシューティング

ポートが開いているか確認

サービスに接続できない場合、ポートがブロックされている可能性があります。

確認方法(Windows)

コマンドプロンプトで以下を実行します。

telnet example.com 80

接続できれば、そのポートは開いています。接続できない場合、ファイアウォールで閉じられているかもしれません。

DNSの問題を切り分ける

Webサイトが開けないとき、DNS が原因かどうか確認しましょう。

確認方法

  1. ドメイン名でアクセス → 失敗
  2. IPアドレスで直接アクセス → 成功

この場合、DNS の名前解決に問題があります。DNSサーバーの設定を確認してください。

プロトコルのバージョン確認

古いプロトコルのバージョンを使っていると、接続できないことがあります。

特に、TLS 1.0 や SSL 3.0 などの古いバージョンは、セキュリティ上の理由から多くのサーバーで無効化されています。

クライアント側のソフトウェアを最新版にアップデートしましょう。


まとめ:プロトコルはインターネットの共通言語

ネットワークプロトコルについて、主要なものを中心に解説してきました。

この記事のポイント

  • プロトコルは通信のルール・共通言語
  • 階層ごとに異なる役割のプロトコルが存在
  • HTTP、FTP、SMTP など用途別に多様なプロトコルがある
  • TCP は確実性、UDP は速度を重視
  • ポート番号でサービスを識別する
  • セキュリティのため暗号化プロトコルが重要

プロトコルを理解すれば、ネットワークトラブルの原因を特定しやすくなります。

「ポート443がブロックされている」と言われても、「ああ、HTTPSが使えないのか」とすぐに理解できるようになりますよ。

一度にすべてを覚える必要はありません。

必要になったときに、この記事を参照してください。プロトコルの知識は、ITの世界で働くうえでも、日常のトラブル解決にも、必ず役立つはずです!

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