【呪われた村の白い魔女】ラヴィニア・ウェイトリーとは?ダンウィッチに生きた悲劇の女性

神話・歴史・伝承

夜中に山から聞こえる不気味な音、突然姿を消す村人、そして誰も近づかない荒れ果てた屋敷…

マサチューセッツ州の山奥にあるダンウィッチ村には、恐ろしい秘密を抱えた一族が住んでいました。その中でも特に悲劇的な運命をたどったのが、白い肌を持つ女性「ラヴィニア・ウェイトリー」です。

彼女は人ならざるものとの間に双子を産み、最後には息子の手によって姿を消してしまった、まさに呪われた母親でした。

この記事では、クトゥルフ神話の中でも特に印象深い女性、ラヴィニア・ウェイトリーの謎に包まれた生涯について詳しく解説します。

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概要

ラヴィニア・ウェイトリー(Lavinia Whateley)は、H.P.ラヴクラフトの代表作「ダンウィッチの怪」(1928年執筆)に登場する重要人物です。

彼女はダンウィッチ村の呪われた家系「ウェイトリー一族」の一員で、禁断の知識と邪悪な魔術を代々受け継ぐ家に生まれました。アルビノ(先天性白皮症)で身体に軽い障害を持ち、村人からは不気味がられていたんです。

1878年頃に生まれた彼女は、12歳の時に母親が謎の変死を遂げ、その後は魔術師である父親の老ウェイトリーと二人で暮らしていました。そして35歳の時、父親の知れない双子を出産することになります。

系譜

ラヴィニアが属するウェイトリー家は、ダンウィッチでも特に堕落した一族として知られていました。

ウェイトリー家の家系

  • 父親:老ウェイトリー – 魔術師として恐れられ、太古の邪悪な知識を娘に教え込んだ
  • 母親:不明 – ラヴィニアが12歳の時に不可解な暴力的死を遂げる
  • 息子たち:ウィルバーと名もなき双子の兄弟 – 1913年2月2日に出産

特筆すべきは、双子の父親が人間ではないということ。古文書によれば、その父親は異次元の存在「ヨグ=ソトース」という外なる神だったとされています。

姿・見た目

ラヴィニアの外見は、村人たちにとって不気味で不吉な印象を与えるものでした。

身体的特徴

  • アルビノ:生まれつき色素が欠乏し、肌は真っ白、目はピンク色
  • 身体の障害:やや体に障害があり、左右の腕の長さが違っていた
  • ウェイトリー家の特徴:貧弱な顎(家系に共通する特徴)
  • 不器量:美しいとは言い難い容貌

この異様な外見のせいで、村人たちからは「魔女」のように恐れられ、避けられていたんです。

特徴

ラヴィニアには、普通の人間とは異なる不思議な特徴がありました。

行動パターンと性格

  • 嵐を好む:雷雨の夜に外に出て、何かを待っているような行動をとる
  • 古代の知識:父親から太古の伝承や魔術の知識を教え込まれていた
  • 母性の変化:息子が生まれた当初は自慢していたが、父の死後は息子を恐れるようになった

興味深いのは、彼女が息子たちの正体に気づいていなかった可能性があることです。父親の真の目的や、息子たちが持つ恐ろしい使命について、最後まで理解していなかったのかもしれません。

伝承

ラヴィニアにまつわる最も重要な出来事は、1913年の聖燭節(2月2日)に起きました。

双子の誕生(1913年)

この日の午前5時、35歳のラヴィニアは双子を出産します。村中の犬が吠え、夜鷹が鳴き続けるという不吉な前兆の中での出産でした。

生まれた子供たちは:

  • ウィルバー:人間に近い姿だが、成長が異常に早く、奇怪な容貌を持つ
  • 名もなき兄弟:完全に異形の姿で、家の中に隠されていた

消失(1926年)

最も謎めいているのが、彼女の失踪です。1926年の万聖節(ハロウィン)の夜を境に、ラヴィニアは忽然と姿を消してしまいます。

村人たちの間では、息子のウィルバーが母親を生贄として捧げたのではないかと囁かれました。実際、この頃からウィルバーの行動はさらに不気味なものになっていきます。

出典

ラヴィニア・ウェイトリーが登場する主な作品:

原作

  • 「ダンウィッチの怪」(The Dunwich Horror) – H.P.ラヴクラフト著(1928年執筆、1929年発表)
  • 雑誌『ウィアード・テイルズ』1929年4月号に掲載

関連作品

  • 映画版:1970年版、2009年版など複数の映像化作品
  • 漫画版:田辺剛によるコミカライズ(2021年)
  • ゲーム:『クトゥルフ神話TRPG』などで言及

まとめ

ラヴィニア・ウェイトリーは、クトゥルフ神話における悲劇の母親の象徴的存在です。

重要なポイント

  • 呪われたウェイトリー一族の一員として生まれた不運
  • アルビノと身体障害により村人から疎外された孤独な人生
  • 異次元の存在「ヨグ=ソトース」との間に双子を産んだ
  • 父親の邪悪な計画の犠牲者でありながら、その真意に気づかなかった
  • 最後は息子に殺されたと推測される悲劇的な最期

ラヴィニアの物語は、人間と異形の存在との境界線上で苦しむ女性の悲劇を描いています。彼女は邪悪な計画の道具として使われながらも、母親としての愛情と恐怖の間で揺れ動く、複雑な人物として描かれているんです。

現代のホラー作品にも影響を与え続けるラヴィニア・ウェイトリーの存在は、単なる恐怖の対象ではなく、運命に翻弄された一人の女性の物語として、今も多くの人々の心に残り続けています。

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