【月に住む心優しい精霊】沖縄の妖怪「アカナー」とは?その姿・特徴・伝承をやさしく解説!

神話・歴史・伝承

月を見上げたとき、そこに何が見えますか? 本土では餅つきをするウサギの姿が有名ですが、沖縄の人々は違うものを見ていました。 それは、桶を担いで水を汲む「アカナー」という心優しい子どもの姿だったんです。

この記事では、沖縄に伝わる月の精霊「アカナー」について、その不思議な姿や正直者の性格、そして月に住むようになった切ない物語をご紹介します。

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概要

アカナーは、沖縄の昔話や童謡に登場する月の精霊です。

その名前は「赤い顔」という意味を持ち、沖縄では月の影がアカナーが桶を担いで立っている姿だと言い伝えられています。本土の「月のウサギ」とは違う、沖縄独自の月世界の住人なんですね。

性格はとても正直で心優しく、ずる賢い者に騙されることもあったけれど、その純粋さゆえに天の神様に助けられ、今も月で水汲みや塩汲みの仕事をしているとされています。

一説では、いたずら好きな妖怪キジムナーのおとなしい兄弟だという話もあり、キジムナーとは対照的な性格の持ち主として描かれることもあるんです。

姿・見た目

アカナーの姿について、伝承では詳しい描写はあまりありません。

でも、いくつかの特徴が語り継がれています。

アカナーの外見的特徴

  • 子どもの姿をしている
  • 赤い顔(名前の由来)
  • 猿に似ているという説もある
  • 月では桶を担いでいる姿で見える

月の影を見たとき、本土の人々がウサギの餅つきに見えるのに対し、沖縄の人々には桶を担いで水を運ぶアカナーの姿に見えるというのが面白いですよね。

これは、アカナーが月で天の神様のお手伝いをしているからだと言われています。

特徴

アカナーには、他の妖怪とは違う独特な特徴があります。

性格の特徴

  • 正直者で素直な心の持ち主
  • 人を疑うことを知らない純粋さ
  • 困ったときは神様に祈る信心深さ
  • 漁が得意(キジムナーと違って魚の目玉だけ取ったりしない)
  • 大好物は蟹

アカナーは、キジムナーのようないたずら好きではなく、むしろ騙されやすいほど純粋な存在として描かれています。悪知恵を働かせることができない分、天の神様に愛される存在だったんですね。

また、人間の祖先を助けたという伝承もあります。この世に初めて誕生した人間の子どもに、月から餅を投げて食べ物を与えて養ったという、まさに守護精霊のような一面も持っているんです。

伝承

アカナーにまつわる物語は、いくつかのバリエーションがありますが、どれも共通しているのは「騙されて月に逃げた」という結末です。

猿との桃売り競争

最も有名な話が、ずる賢い猿との桃売り競争の物語。

二人の庭には実のよくなる桃の木がありました。桃を独り占めしたい猿は、恐ろしい提案をしたんです。 「桃を売る競争をして、負けた方が勝者に殺される」という条件で勝負しようと。

素直なアカナーは断りきれず、しかも猿の策略で熟していない固い桃を売らされることに。当然、熟れた実を売る猿には勝てません。

夜道を歩きながら、アカナーは涙を流して月に祈りました。 「お月様、どうか私を助けてください」

すると月は天から籠を降ろし、アカナーを天上の世界へ救い上げてくれたというお話です。

鬼との騙し合い

もう一つの有名な伝承が、大宜味村に伝わる鬼との物語。

釣りに行くことになったアカナーと鬼。アカナーは木の舟を、鬼は泥舟を作りました。アカナーには魚がたくさん釣れるのに、鬼には全然釣れません。

鬼が尋ねると、アカナーはいたずら心を起こして嘘を教えます。 「舟に小便をかけて叩けば、魚が寄ってくるよ」

真に受けた鬼の泥舟は真っ二つに割れて沈没。怒った鬼から逃げるアカナーは、唐辛子で顔を洗わせたり(目が開かなくなる)、池に映った自分の姿で鬼をだましたり、なんとか逃げ回ります。

最後は木の上に追い詰められ、片足を鬼に食いちぎられながらも、天の神様に助けられて月へ逃げることができました。

それ以来、アカナーは月で水汲みや塩汲みの仕事をするようになったんです。

地域による違い

面白いことに、地域によって細かい部分が違います。

  • 北谷町では「キジムナーのおとなしい兄弟」
  • 大宜味村では「鬼から逃げた存在」
  • 一般的な伝承では「猿に騙された正直者」

でも共通しているのは、心優しいがゆえに騙され、最終的に月の住人になったという点なんですね。

まとめ

アカナーは、沖縄の人々が月に見出した心優しい精霊です。

重要なポイント

  • 名前は「赤い顔」を意味し、月の影として見える
  • 正直で純粋な性格ゆえに騙されやすい
  • 猿や鬼に騙されて、最終的に月へ逃げた
  • 月で水汲み・塩汲みの仕事をしている
  • キジムナーの兄弟という説もある
  • 人間の祖先を助けた守護精霊的な側面も持つ

今夜、月を見上げたとき、そこに見えるのはウサギでしょうか、それともアカナーでしょうか。 沖縄の人々が見つめてきた月には、正直者ゆえに天に救われた、優しい心を持つアカナーが今も水を汲み続けているのかもしれませんね。

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