「hostsファイルを編集してください」と言われたけど、ターミナルのコマンドは難しくて不安…
そんな人におすすめなのが、hostsファイルをデスクトップに移動して、普通のテキストエディタで編集する方法です。
この方法なら:
- 見慣れたテキストエディタで編集できる
- コマンドを覚える必要がない
- 間違えても簡単に元に戻せる
実は、プロの開発者もこの方法を使うことがあります。
この記事では、hostsファイルをデスクトップにコピーして編集し、元の場所に戻すまでの手順を、初心者にもわかりやすく解説します。
なぜデスクトップに移動するの?
直接編集しないで、わざわざデスクトップに移動する理由があります。
理由1:権限の問題を回避できる
hostsファイルは /etc/hosts
という場所にあり、システムファイルとして保護されています。
直接編集するには管理者権限が必要ですが、一度デスクトップにコピーすれば、普通のファイルとして自由に編集できます。
理由2:使い慣れたアプリで編集できる
ターミナルのnanoやvimではなく、テキストエディットなどの見慣れたアプリで編集できます。
理由3:バックアップが自動的に残る
デスクトップにコピーした時点で、元のファイルがバックアップとして残ります。
間違えても安心です。
理由4:複数人で確認しやすい
編集した内容を、チームメンバーに見せたり、確認してもらいやすくなります。
【完全版】デスクトップで編集する手順
ステップバイステップで解説します。
全体の流れ
- hostsファイルをデスクトップにコピー
- デスクトップのファイルを編集
- 編集したファイルを元の場所に戻す
- 設定を反映
それでは、詳しく見ていきましょう。
ステップ1:hostsファイルをデスクトップにコピー
まずは元のファイルをデスクトップに持ってきます。
方法A:ターミナルを使う(推奨)
手順:
- 「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「ターミナル」を開く
- 以下のコマンドをコピー&ペーストして Enter
sudo cp /etc/hosts ~/Desktop/hosts
- Macのログインパスワードを入力(画面には表示されません)
- Enter キーを押す
- デスクトップに「hosts」というファイルが表示される
コマンドの意味:
sudo
→ 管理者権限で実行cp
→ コピーする/etc/hosts
→ コピー元(元のhostsファイル)~/Desktop/hosts
→ コピー先(デスクトップ)
方法B:Finderを使う(GUI操作)
ターミナルを使いたくない場合の方法です。
手順:
- Finderを開く
- メニューバーの「移動」→「フォルダへ移動…」をクリック
- 以下を入力して「移動」
/etc
- 「hosts」ファイルを見つける
- hostsファイルをデスクトップにドラッグ&ドロップ
注意:
この方法だと、権限の関係でコピーできない場合があります。その時は方法Aを使ってください。
ステップ2:デスクトップのhostsファイルを編集
さあ、ここからが本番です。好きなエディタで編集しましょう。
編集方法1:テキストエディットで開く
手順:
- デスクトップの「hosts」ファイルを右クリック
- 「このアプリケーションで開く」→「テキストエディット」を選択
- ファイルが開く
もし開けない場合:
「”hosts”の識別子が不明です」というエラーが出たら:
- hostsファイルを右クリック
- 「情報を見る」
- 「このアプリケーションで開く」で「テキストエディット」を選択
- 「すべてを変更…」をクリック
編集方法2:Visual Studio Codeで開く
開発者に人気のエディタです。
手順:
- Visual Studio Codeを開く
- メニューバーの「ファイル」→「開く」
- デスクトップの「hosts」を選択
- シンタックスハイライト(色分け)されて見やすい
編集方法3:ダブルクリックで開く
手順:
- デスクトップの「hosts」ファイルをダブルクリック
- 「このアプリケーションで開く」を選択
- テキストエディットまたはお好みのエディタを選択
実際の編集例
ファイルを開くと、こんな内容が表示されます:
##
# Host Database
#
# localhost is used to configure the loopback interface
# when the system is booting. Do not change this entry.
##
127.0.0.1 localhost
255.255.255.255 broadcasthost
::1 localhost
既存の行は絶対に削除しないでください!
ファイルの最後に、新しい行を追加します。
追加例:
##
# Host Database
#
# localhost is used to configure the loopback interface
# when the system is booting. Do not change this entry.
##
127.0.0.1 localhost
255.255.255.255 broadcasthost
::1 localhost
# ここから下に追加
127.0.0.1 myproject.local
192.168.1.10 dev-server
編集時の注意点
1. 半角スペースを使う
127.0.0.1 myproject.local
全角スペースは使わないでください。
2. 1行に1つの設定
127.0.0.1 site1.local
127.0.0.1 site2.local
3. コメントは # で始める
# これはコメント
127.0.0.1 myproject.local # 開発用サイト
4. 改行コードはLFにする
テキストエディットの場合、自動で正しい改行コードになります。
保存方法
テキストエディットの場合:
Command + S
で保存- 「フォーマットを変換しますか?」と聞かれたら「変換しない」を選択
- 「.txt 拡張子を使用しますか?」と聞かれたら「.txt を使用しない」を選択
重要:
拡張子を付けずに、ファイル名は「hosts」のままにしてください。
ステップ3:編集したファイルを元の場所に戻す
編集が終わったら、元の場所に戻します。
方法A:ターミナルで戻す(推奨)
手順:
- ターミナルを開く
- 以下のコマンドを実行
sudo cp ~/Desktop/hosts /etc/hosts
- パスワードを入力
- Enter キーを押す
これで、編集したhostsファイルが元の場所に上書きされます。
方法B:Finderで戻す
手順:
- デスクトップの「hosts」ファイルをコピー(Command + C)
- Finderで「移動」→「フォルダへ移動…」
/etc
と入力して「移動」- 「hosts」ファイルの上に、コピーしたファイルをドラッグ
- 「認証」を求められるので、パスワードを入力
- 「置き換える」をクリック
ファイルが正しく戻ったか確認
ターミナルで確認:
cat /etc/hosts
編集した内容が表示されればOKです。
ステップ4:設定を反映する
ファイルを戻しただけでは、まだ設定が反映されていません。
DNSキャッシュをクリア
ターミナルで実行:
sudo dscacheutil -flushcache; sudo killall -HUP mDNSResponder
パスワードを入力して Enter を押します。
何も表示されませんが、これで完了です。
ブラウザのキャッシュもクリア
念のため、ブラウザのキャッシュも削除しましょう。
Chrome:
Command + Shift + Delete
- 「キャッシュされた画像とファイル」にチェック
- 「データを削除」
Safari:
Command + Option + E
動作確認
ブラウザで、設定したドメインにアクセスしてみましょう。
例えば、127.0.0.1 myproject.local
と設定した場合:
ブラウザで http://myproject.local
にアクセスして、期待通りの画面が表示されればOKです。
よくあるトラブルと解決法
デスクトップで編集する方法特有のトラブルです。
トラブル1:ファイルが開けない
エラー:
「”hosts”を開けませんでした」
原因:
ファイルの種類が認識されていない
解決策:
- hostsファイルを右クリック
- 「情報を見る」
- 「このアプリケーションで開く」で「テキストエディット」を選択
- 「すべてを変更…」
トラブル2:保存時に拡張子が付く
現象:
「hosts.txt」になってしまう
原因:
テキストエディットが自動で拡張子を付けている
解決策:
保存時に「.txt を使用しない」を選択してください。
もし「hosts.txt」になってしまった場合:
mv ~/Desktop/hosts.txt ~/Desktop/hosts
これで拡張子が削除されます。
トラブル3:元の場所に戻せない
エラー:
「”hosts”を置き換えるための十分なアクセス権がありません」
原因:
管理者権限がない
解決策:
ターミナルで戻す方法(方法A)を使ってください。
sudo cp ~/Desktop/hosts /etc/hosts
トラブル4:文字化けする
原因:
文字コードがShift_JISなどになっている
解決策:
テキストエディットの場合:
- 「テキストエディット」→「環境設定」
- 「開く/保存」タブ
- 「ファイルを開く」を「UTF-8」に変更
Visual Studio Codeの場合:
- 右下の文字コード表示をクリック
- 「UTF-8 で保存」を選択
トラブル5:改行コードが違う
原因:
WindowsからコピーしたファイルなどでCRLFになっている
解決策:
Visual Studio Codeの場合:
- 右下の「CRLF」または「LF」表示をクリック
- 「LF」を選択
ターミナルの場合:
dos2unix ~/Desktop/hosts
ただし、dos2unixがインストールされている必要があります。
デスクトップに置いたままにしてもいい?
編集が終わったら、デスクトップのhostsファイルは削除しましょう。
削除すべき理由
1. セキュリティリスク
hostsファイルには、社内サーバーのIPアドレスなどが含まれている場合があります。
デスクトップに置きっぱなしだと、スクリーンショットで映り込む可能性があります。
2. 混乱の元
どっちが最新のファイルか分からなくなります。
3. ディスク容量の無駄
わずかですが、不要なファイルは削除すべきです。
削除方法
デスクトップの「hosts」ファイルをゴミ箱に入れるだけです。
ターミナルで削除する場合:
rm ~/Desktop/hosts
バックアップを取る正しい方法
編集前に必ずバックアップを取りましょう。
バックアップの作成
手順:
sudo cp /etc/hosts /etc/hosts.backup
これで /etc/hosts.backup
というバックアップファイルが作成されます。
バックアップから復元
間違えてしまった場合:
sudo cp /etc/hosts.backup /etc/hosts
これで元に戻ります。
日付付きバックアップ
複数のバックアップを取りたい場合:
sudo cp /etc/hosts /etc/hosts.backup.$(date +%Y%m%d)
例:hosts.backup.20241215
のような名前で保存されます。
より安全な編集方法:バージョン管理
上級者向けですが、Gitでバージョン管理する方法もあります。
手順
1. hostsファイルをホームディレクトリにコピー
cp /etc/hosts ~/hosts
2. Gitリポジトリとして初期化
cd ~
git init hosts-repo
mv hosts hosts-repo/
cd hosts-repo
git add hosts
git commit -m "Initial commit"
3. 編集後、コミット
git add hosts
git commit -m "Add myproject.local"
4. 元の場所に反映
sudo cp ~/hosts-repo/hosts /etc/hosts
これで、変更履歴が完全に管理できます。
この方法のメリット・デメリット
デスクトップで編集する方法を、他の方法と比較します。
メリット
1. 初心者に優しい
ターミナルのコマンドを最小限にできる
2. 視覚的に分かりやすい
ファイルがデスクトップにあるので安心感がある
3. 複数人で共有しやすい
編集中のファイルをメールやSlackで送れる
4. 使い慣れたエディタで編集できる
テキストエディット、VS Code、何でもOK
5. 間違えても元のファイルが残っている
最初にコピーした時点で、自動的にバックアップになる
デメリット
1. 手順が多い
コピー → 編集 → 戻す、という3ステップが必要
2. ファイルを戻し忘れるリスク
デスクトップで編集しただけで満足してしまうことがある
3. 権限エラーが起きやすい
戻す際に権限の問題が発生する場合がある
4. 古いファイルが残りやすい
デスクトップに編集済みファイルが残ってしまう
他の方法との比較
ターミナルで直接編集(nanoなど):
- 手順は少ないが、コマンドに慣れる必要がある
- プロ向け
デスクトップで編集(この記事の方法):
- 手順は多いが、わかりやすい
- 初心者向け
GUIアプリ(Gas Maskなど):
- 最も簡単だが、アプリのインストールが必要
- カジュアル利用向け
チェックリスト:編集前後の確認事項
安全に編集するためのチェックリストです。
編集前
- [ ] バックアップを作成した(
/etc/hosts.backup
) - [ ] 現在のhostsファイルの内容を確認した
- [ ] 何を追加・変更するのか明確になっている
- [ ] Webサーバーなど必要なアプリは起動している
編集中
- [ ] 既存の行は削除していない
- [ ] 半角スペースで区切っている
- [ ] IPアドレスは正しい
- [ ] ドメイン名にスペルミスがない
- [ ] 拡張子を付けずに保存した
編集後
- [ ] ファイルを元の場所(
/etc/hosts
)に戻した - [ ] DNSキャッシュをクリアした
- [ ] ブラウザのキャッシュをクリアした
- [ ] pingコマンドで動作確認した
- [ ] ブラウザで実際にアクセスして確認した
- [ ] デスクトップのhostsファイルを削除した
まとめ:初心者でも安全に編集できる
デスクトップで編集する方法は、ターミナルに慣れていない人に最適です。
この記事の重要ポイント:
手順:
sudo cp /etc/hosts ~/Desktop/hosts
でコピー- デスクトップのファイルをテキストエディタで編集
sudo cp ~/Desktop/hosts /etc/hosts
で戻す- DNSキャッシュをクリア
注意点:
- 既存の行は削除しない
- 半角スペースを使う
- 拡張子を付けない
- バックアップを取る
- 編集後はデスクトップから削除
メリット:
- 見慣れたエディタで編集できる
- 視覚的にわかりやすい
- 間違えても元のファイルが残っている
デメリット:
- 手順が多い
- ファイルを戻し忘れるリスク
慣れてきたら、ターミナルで直接編集する方が効率的ですが、最初はこの方法で十分です。
大切なのは、hostsファイルの仕組みを理解して、安全に編集できるようになることです。
この記事の手順に従えば、初心者でも安心してhostsファイルを編集できます。
ぜひ試してみてください!
コメント