深夜に仕事のメールを書き終えたけれど、今すぐ送ると「夜中に仕事してる」と思われそう。明日の朝9時に送信したい。
海外の取引先に合わせて、相手の勤務時間にメールを届けたい。
こんな時、Outlookの「遅延送信」機能を使えば、メールを書いた後、指定した日時に自動送信できます。
この記事では、Windows版・Mac版・Web版すべてのOutlookで使える遅延送信の設定方法から、実践的な活用シーン、よくあるトラブルの解決方法まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。
遅延送信(送信予約)とは?
機能の概要
遅延送信(Delayed Delivery / Deferred Delivery)
- メールを指定した日時に自動送信する機能
- 「送信予約」「スケジュール送信」とも呼ばれる
- Outlookの標準機能(追加ソフト不要)
できること
- 特定の日時にメールを送信
- 深夜に書いたメールを朝に送信
- 複数のメールをタイミングをずらして送信
- 定期的なリマインダーメールの自動送信
遅延送信のメリット
1. ワークライフバランスの配慮
- 夜間や休日のメール送信を避ける
- 「いつも働いている」という印象を与えない
- 受信者の時間を尊重
2. タイムゾーンへの対応
- 海外の取引先の営業時間に合わせて送信
- 相手が確認しやすい時間に届ける
3. 最適なタイミングでの送信
- 重要なメールを朝一番に届ける
- 月曜日の朝に週報を送信
- 会議の直前にアジェンダを送信
4. 計画的なコミュニケーション
- 複数の案件を順序立てて送信
- バースデーメッセージなどを事前準備
【Windows版】遅延送信の設定方法
Windows版Outlookでの具体的な手順です。
基本的な設定手順
手順
- 新規メールを作成
- 「ホーム」タブ→「新しいメール」をクリック
- または Ctrl + N
- メールの内容を作成
- 宛先、件名、本文を通常通り入力
- 添付ファイルがあれば添付
- 「オプション」タブをクリック
- メール作成ウィンドウ上部のリボンメニュー
- 「配信タイミング」をクリック
- 「その他のオプション」グループ内
- または「配信オプション」「送信の詳細設定」などの表記
- 「次の日時以降に配信」にチェック
- 「プロパティ」ダイアログが開く
- 「配信オプション」セクションを探す
- 日時を設定
- ドロップダウンメニューで日付を選択
- 時刻を入力(例:9:00 AM)
- 「閉じる」をクリック
- 「送信」ボタンをクリック
- 通常の送信と同じボタン
- メールは送信トレイに保存される
設定のポイント
日時の指定
- 日付:カレンダーから選択
- 時刻:手動入力または上下ボタンで調整
- AM/PMを間違えないように注意
例
2025年10月16日 09:00 AM
明日の朝9時に送信
設定後の確認
送信トレイを確認
- 左側のフォルダ一覧で「送信トレイ」をクリック
- 遅延送信設定したメールが表示される
- 件名の横に時計マークまたは配信時刻が表示される
メールの詳細を確認
- 送信トレイのメールをダブルクリック
- 「オプション」タブで設定を確認
【Mac版】遅延送信の設定方法
Mac版Outlookでの手順です。
設定手順
手順
- 新規メールを作成
- Command + N
- または「ホーム」→「新規メール」
- メールの内容を入力
- 「送信」ボタンの横の▼をクリック
- メール作成ウィンドウの上部
- 「送信」ボタンの右側にある小さな矢印
- 「後で送信」を選択
- 日時を設定
- カレンダーと時刻入力欄が表示される
- 希望の日時を選択
- 「スケジュール」または「送信」をクリック
Mac版の注意点
バージョンによる違い
- 古いバージョンでは「後で送信」機能がない場合があります
- 最新版にアップデートすることをおすすめします
確認方法
- 「下書き」フォルダに保存される場合があります
- または「送信トレイ」に送信予定として表示されます
【Web版】Outlook on the webでの設定方法
ブラウザ版Outlookでの手順です。
設定手順
手順
- Outlook on the webにアクセス
- outlook.office.com または outlook.live.com
- サインイン
- 新規メールを作成
- 「新しいメッセージ」をクリック
- メールの内容を入力
- 「送信」ボタンの横の▼をクリック
- 送信ボタンの右側にある小さな矢印
- または「その他のオプション」(…)から
- 「後で送信」を選択
- 日時を設定
- 日付と時刻を選択
- または事前設定された時間(明日の朝、今夜など)から選択
- 「送信」をクリック
Web版の便利な機能
クイック選択
- 明日の朝8:00
- 今日の午後5:00
- カスタム日時
これらの選択肢から選ぶだけで簡単に設定できます。
送信予定メールの確認
確認方法
- 左側の「下書き」フォルダをクリック
- 送信予定のメールが保存されている
- メールの横に時計マークと送信予定時刻が表示される
遅延送信の編集・キャンセル方法
送信予定のメールを変更またはキャンセルする方法です。
Windows版での編集・キャンセル
編集方法
- 送信トレイを開く
- 左側のフォルダ一覧で「送信トレイ」をクリック
- メールをダブルクリック
- 編集モードで開く
- 内容を修正
- 本文、宛先、送信日時など
- 「送信」をクリック
- 変更が保存される
キャンセル方法
方法1:削除
- 送信トレイでメールを選択
- Delete キーを押す
- または右クリック→「削除」
方法2:送信日時を解除
- メールをダブルクリックして開く
- 「オプション」タブ→「配信タイミング」
- 「次の日時以降に配信」のチェックを外す
- 「閉じる」→「送信」
- すぐに送信されるので注意
Mac版での編集・キャンセル
編集方法
- 「下書き」または「送信トレイ」を開く
- 送信予定メールをダブルクリック
- 編集して再度「後で送信」で保存
キャンセル方法
- メールを選択して削除
- またはCommand + Deleteキー
Web版での編集・キャンセル
編集方法
- 「下書き」フォルダを開く
- メールをクリック
- 編集して「後で送信」で再設定
キャンセル方法
- メールを選択して削除アイコンをクリック
遅延送信の実践的な活用シーン
具体的な使い方の例を紹介します。
活用シーン1:夜間・休日の作業時の配慮
状況
- 夜11時に仕事のメールを書き終えた
- でも今送ると「こんな時間に仕事?」と思われる
対処法
- 翌朝9時に送信するよう設定
- 相手の勤務時間内に届けられる
設定例
現在時刻:2025/10/15 23:00
送信予定:2025/10/16 09:00
活用シーン2:海外取引先へのメール
状況
- 日本時間の夕方に、アメリカの取引先へメール
- 相手の営業時間(現地朝)に届けたい
対処法
- タイムゾーンを計算して送信時刻を設定
- 相手が出社してすぐ確認できるタイミング
設定例
日本時間:2025/10/16 15:00に作成
送信予定:2025/10/17 00:00(日本時間)
= 2025/10/16 08:00(米国太平洋時間)
活用シーン3:週報の自動送信
状況
- 金曜日の夜に週報を書き終えた
- 月曜の朝一番に上司に届けたい
対処法
- 月曜日の朝8時に送信設定
設定例
作成:2025/10/15(金) 18:00
送信:2025/10/18(月) 08:00
活用シーン4:複数の案件を順序立てて送信
状況
- 3つのプロジェクトについて、それぞれメールを送りたい
- 相手を混乱させないよう、時間をずらして送信
対処法
- 1通目:9:00送信
- 2通目:10:00送信
- 3通目:11:00送信
それぞれ1時間ずつ間隔を空けて設定します。
活用シーン5:誕生日メッセージ
状況
- 同僚の誕生日が来週
- 当日の朝に祝福メッセージを送りたい
対処法
- 事前にメールを作成
- 誕生日当日の朝8時に送信設定
設定例
作成:2025/10/15
送信:2025/10/20 08:00(誕生日当日)
活用シーン6:会議前のリマインダー
状況
- 来週の会議のアジェンダを送りたい
- 会議の1時間前に送信
対処法
- 会議開始の1時間前に送信設定
設定例
会議:2025/10/20 14:00
送信:2025/10/20 13:00
よくあるトラブルと解決方法
問題1:指定した時刻にメールが送信されない
原因と解決法
原因1:Outlookが起動していない
- Windows版の注意点:Outlookが起動していないと送信されません
- 解決法:送信予定時刻にパソコンを起動し、Outlookを立ち上げておく
原因2:オフラインモード
- Outlookがオフライン作業モードになっている
- 解決法:オンラインに切り替える
- 「送受信」タブ→「オフライン作業」のチェックを外す
原因3:インターネット接続がない
- ネットワークに接続していない
- 解決法:インターネット接続を確認
Web版の場合
- ブラウザを開いていなくても送信される(サーバー側で処理)
問題2:送信トレイからメールが消えた
原因
- 送信予定時刻になり、既に送信された
- または誤って削除した
確認方法
- 「送信済みアイテム」フォルダを確認
- 送信されたメールはここに移動
- 「削除済みアイテム」フォルダを確認
- 誤って削除した場合はここにある
- 復元可能
問題3:時刻設定を間違えた
例:AM/PMの間違い
- 夜9時(21:00)に送りたかったのに、朝9時(09:00)に設定してしまった
解決法
- 送信予定時刻前なら編集可能
- 送信トレイからメールを開く
- 時刻を修正して再送信
送信されてしまった場合
- Windows版:「送信の取り消し」機能を使う(送信直後のみ)
- 送信後しばらく経っていたら、追加で訂正メールを送信
問題4:複数のメールを設定したが、同時に送信されてしまう
原因
- 同じ送信時刻を設定していた
解決法
- 送信時刻を数分〜数十分ずつずらす
- 送信トレイで確認してから修正
問題5:遅延送信の設定オプションが見つからない
原因
- Outlookのバージョンが古い
- またはWeb版を使っている(機能が異なる)
解決法
Windows版
- 「オプション」タブ→「配信タイミング」または「その他のオプション」
Mac版
- 「送信」ボタンの▼をクリック→「後で送信」
- 古いバージョンでは未対応の場合あり→アップデート
Web版
- 「送信」ボタンの▼→「後で送信」
- 一部の古いバージョンでは未対応
遅延送信の注意点とベストプラクティス
注意すべきポイント
1. Windows版はOutlookの起動が必須
最も重要な注意点です。
- 送信予定時刻にOutlookが起動していないと送信されません
- パソコンがスリープ状態でも送信されません
- 必ず電源を入れて、Outlookを起動しておく
対策
- 送信予定時刻の15分前にはOutlookを起動
- または在宅勤務の場合、パソコンを起動したまま外出
2. 送信予定のメールは編集可能
- 送信されるまでは何度でも編集できます
- 間違いに気づいたら、すぐに修正
3. タイムゾーンに注意
- Outlookの時刻設定は、パソコンのタイムゾーンに依存
- 海外への送信時は、時差を計算
4. メールの内容を再確認
- 送信予定を設定すると安心して忘れがち
- 送信前にもう一度内容を確認することを推奨
ベストプラクティス
1. 送信時刻のルール化
組織やチームでルールを決めると効率的です。
例
- 営業時間内:9:00〜18:00
- 週報:月曜日 9:00
- 議事録:会議終了後1時間以内、ただし営業時間外なら翌朝9:00
2. リマインダーを設定
重要なメールは、カレンダーでリマインダーも設定しましょう。
- 送信予定時刻の30分前に確認アラーム
- Outlookが起動しているか確認
3. テスト送信
初めて遅延送信を使う場合:
- 自分宛てにテストメールを送信
- 正しく動作するか確認
4. 送信トレイの定期確認
週に1回程度、送信トレイを確認しましょう。
- 送信し忘れたメールがないか
- 不要になったメールがないか
5. バックアップの考慮
重要なメールは:
- 下書きとしても保存
- またはメモ帳にコピー
万が一、送信されなかった場合の保険になります。
スマートフォンでの遅延送信
OutlookモバイルアプリでもWeb版と同様の機能があります。
iPhone/iPad/Android共通の手順
手順
- Outlookアプリを開く
- 新規メールを作成
- 右下の「+」ボタン→「メール」
- メールの内容を入力
- 送信ボタンを長押し
- または送信ボタンの横の「…」をタップ
- 「後で送信」を選択
- 日時を設定
- カレンダーと時刻ピッカーで選択
- 「スケジュール」または「完了」をタップ
モバイル版の特徴
メリット
- アプリを閉じても送信される(サーバー側で処理)
- 外出先でも設定できる
確認方法
- 「下書き」フォルダに送信予定メールが保存される
- メールの横に時計マークが表示される
よくある質問(FAQ)
Q1. 送信予定時刻にパソコンの電源が入っていないとどうなりますか?
A. Windows版では送信されません。次回Outlookを起動した時に送信されます。
- Windows版:Outlookが起動していないと送信されない
- Web版・モバイル版:サーバー側で処理されるため、端末の電源状態に関係なく送信される
Q2. 遅延送信のメールを取り消せますか?
A. はい、送信予定時刻前なら取り消せます。
送信トレイまたは下書きフォルダからメールを削除するだけです。既に送信されてしまった場合は取り消せません。
Q3. 同じメールを毎週決まった時間に送信できますか?
A. 定期送信機能はありませんが、工夫次第で可能です。
方法:
- メールのテンプレートを作成
- 毎週、そのテンプレートから新規メールを作成
- 遅延送信を設定
または、Power Automate(Microsoft Flow)などの自動化ツールを使用すると、完全自動化できます。
Q4. 遅延送信したメールを相手は気づきますか?
A. 通常、相手は気づきません。
受信側には、実際に送信された時刻が表示されます。「遅延送信で送られた」という情報は相手には分かりません。
ただし、メールヘッダーを詳しく見れば、作成日時と送信日時の違いが分かる場合もあります。
Q5. 遅延送信したメールの優先度や重要度は設定できますか?
A. はい、通常のメール作成時と同様に設定できます。
「メッセージ」タブで:
- 「重要度:高」を設定
- 「重要度:低」を設定
- 開封確認の要求
これらは遅延送信と併用可能です。
Q6. 添付ファイル付きのメールも遅延送信できますか?
A. はい、問題ありません。
通常のメールと同様に、添付ファイルを含めたまま遅延送信できます。
注意点:
- 送信されるまで、添付ファイルを移動・削除しない
- ファイルサイズが大きい場合、送信に時間がかかる可能性
まとめ|遅延送信で賢く効率的なメールコミュニケーション
Outlookの遅延送信機能を使いこなせば、ワークライフバランスを保ちながら、効率的なメールコミュニケーションが実現できます。
この記事の重要ポイント
設定方法(Windows版)
- メールを作成
- 「オプション」タブ→「配信タイミング」
- 「次の日時以降に配信」にチェック
- 日時を設定
- 「送信」をクリック
プラットフォーム別の特徴
- Windows版:Outlookの起動が必要
- Mac版:「送信」ボタンの▼から設定
- Web版・モバイル版:サーバー側で処理、端末の状態に依存しない
活用シーン
- 夜間・休日の作業時の配慮
- 海外取引先へのタイムゾーン対応
- 週報などの定期送信
- 複数メールのタイミング調整
- 誕生日メッセージなどの事前準備
注意点
- Windows版は送信時刻にOutlook起動が必須
- AM/PMの間違いに注意
- 送信トレイで定期的に確認
- 編集・キャンセルは送信前なら可能
ベストプラクティス
- 組織でルールを統一
- リマインダーと併用
- 重要メールはバックアップ
- テスト送信で動作確認
遅延送信機能を活用して、相手の時間を尊重しながら、自分のペースで効率的にメールを管理してください。
夜遅くまで働いていると思われることなく、相手にとって最適なタイミングでメールを届けられる。そんなスマートなメールコミュニケーションを実現しましょう!
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