Webサイトを作って、いざサーバーにファイルをアップロードしようとしたとき、「FTPホスト名を入力してください」と表示されて困った経験はありませんか?
FTPホスト名は、レンタルサーバーやWebサーバーにファイルを転送するために必要な「サーバーの住所」のようなものです。
この記事では、FTPの基礎知識から、ホスト名の確認方法、実際の接続手順まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。
FTPホスト名とは?まず基本を理解しよう
FTPって何?
まず「FTP」という言葉から説明します。
FTP(エフティーピー)
- 正式名称:File Transfer Protocol(ファイル転送プロトコル)
- インターネット上でファイルを送受信するための仕組み
- サーバーとパソコンの間でファイルをやり取りする
具体的な使い方
- 作成したWebサイトのファイルをサーバーにアップロード
- サーバー上のファイルをパソコンにダウンロード
- サーバー上のファイルを編集・削除
例えば
あなたがWordPressでブログを作った場合、画像ファイルや設定ファイルをサーバーに転送するときにFTPを使います。
FTPホスト名とは?
FTPホスト名の定義
- FTPサーバーの「場所」を示す情報
- インターネット上でサーバーを特定するための識別情報
- 「サーバーの住所」のようなもの
具体例
ftp.example.com
www123.example-server.jp
192.168.1.100
これらがFTPホスト名です。
ホスト名の2つの形式
FTPホスト名には、主に2つの形式があります。
1. ドメイン名形式
ftp.example.com
ftp.yoursite.jp
sv123.xserver.jp
- 人間が読みやすい
- 覚えやすい
- 最も一般的な形式
2. IPアドレス形式
203.0.113.1
192.168.1.100
- 数字だけで構成
- サーバーの実際のネットワーク上の住所
- 覚えにくいが、より直接的
どちらの形式でも接続できますが、通常はドメイン名形式を使います。
FTPホスト名を確認する方法
「FTPホスト名が分からない!」という方のために、確認方法を解説します。
レンタルサーバーの管理画面で確認
最も確実な方法は、契約しているレンタルサーバーの管理画面で確認することです。
主要レンタルサーバー別の確認方法
エックスサーバーの場合
- サーバーパネルにログイン
- 「FTPアカウント設定」をクリック
- 「FTPソフト設定」タブを選択
- 「FTPサーバー(ホスト)名」の欄に表示されている
表示例:sv123.xserver.jp
さくらインターネットの場合
- サーバーコントロールパネルにログイン
- 「契約情報」メニューを選択
- 「契約サービスの確認」をクリック
- 「FTPサーバー名」の欄に表示されている
表示例:example.sakura.ne.jp
ロリポップの場合
- ユーザー専用ページにログイン
- 「アカウント情報」をクリック
- 「サーバー情報」の欄に記載
- 「FTPSサーバー」または「FTPサーバー」の項目
表示例:ftp.lolipop.jp
ConoHa WINGの場合
- コントロールパネルにログイン
- 「サイト管理」→「サイト設定」
- 「FTP」タブを選択
- 「FTPサーバー」の欄に表示
契約時のメールで確認
レンタルサーバーを契約したときに届いた、初期設定メールに記載されています。
メールの件名例
- 「【重要】サーバーアカウント設定完了のお知らせ」
- 「FTPアカウント情報」
- 「サーバー開設のお知らせ」
メールに記載されている情報
FTPホスト名(FTPサーバー名): ftp.example.com
FTPユーザー名: username
FTPパスワード: ********
このメールは大切に保管しておきましょう。
独自ドメインを使っている場合
独自ドメインを取得している場合、FTPホスト名は以下のような形式になることが多いです。
よくあるパターン
ftp.あなたのドメイン名
例:ftp.example.com
www.あなたのドメイン名
例:www.example.com
あなたのドメイン名
例:example.com
ただし、サーバーによっては専用のFTPホスト名が割り当てられている場合もあります。
FTP接続に必要な4つの情報
FTPホスト名だけでは、サーバーに接続できません。以下の4つの情報が必要です。
1. FTPホスト名(FTPサーバー名)
サーバーの場所を示す情報です。
例:ftp.example.com
2. FTPユーザー名(FTPアカウント名)
サーバーにログインするためのユーザー名です。
例:username123
例:example_com
形式はサーバーによって異なる
- メールアドレス形式:
user@example.com
- シンプルな文字列:
username
- ドメイン名を含む:
example_com
3. FTPパスワード
ユーザー名に対応するパスワードです。
例:P@ssw0rd123!
セキュリティのポイント
- 他人に教えない
- 定期的に変更する
- 複雑なパスワードを使用
4. ポート番号
通信に使用するポート番号です。
標準的なポート番号
- FTP:21番ポート
- SFTP:22番ポート
- FTPS(Explicit):21番ポート
- FTPS(Implicit):990番ポート
通常は自動で設定されるため、変更する必要はありません。
FTPクライアントソフトでの接続方法
実際にFTPホスト名を使ってサーバーに接続する方法を、人気のFTPクライアント別に解説します。
FileZillaでの接続方法
FileZilla(ファイルジラ)は、無料で使える最も人気のあるFTPクライアントです。
接続手順
1. FileZillaのダウンロード
- 公式サイト(filezilla-project.org)からダウンロード
- Windows、Mac、Linuxに対応
2. 新規サイトの登録
- FileZillaを起動
- 左上の「ファイル」メニューをクリック
- 「サイトマネージャー」を選択
- 「新しいサイト」ボタンをクリック
3. 接続情報の入力
一般タブ
- プロトコル:FTPまたはSFTPを選択
- ホスト:FTPホスト名を入力(例:ftp.example.com)
- ポート:通常は空欄(自動)
- 暗号化:「使用可能なら明示的なFTP over TLSを使用」を推奨
- ログオンタイプ:「通常」を選択
- ユーザー:FTPユーザー名を入力
- パスワード:FTPパスワードを入力
4. 接続する
- 「接続」ボタンをクリック
- 初回接続時は証明書の確認画面が出る場合があります
- 「今後もこの証明書を常に信用する」にチェックを入れてOK
5. 接続成功の確認
- 右側のパネルにサーバー上のファイル一覧が表示される
- これで接続成功です
FFFTPでの接続方法(Windows専用)
FFFTP(エフエフエフティーピー)は、日本で人気の無料FTPクライアントです。
接続手順
1. FFFTPのダウンロード
- 公式サイトまたは窓の杜からダウンロード
- Windows専用
2. ホストの新規登録
- FFFTPを起動
- 「接続」メニューから「接続」を選択(またはCtrl+N)
- ホスト一覧が表示される
- 「新規ホスト」ボタンをクリック
3. ホスト設定の入力
基本タブ
- ホストの設定名:任意の名前(例:自分のサイト)
- ホスト名(アドレス):FTPホスト名を入力
- ユーザー名:FTPユーザー名を入力
- パスワード/パスフレーズ:FTPパスワードを入力
- ローカルの初期フォルダ:任意(パソコン側の初期表示フォルダ)
- ホストの初期フォルダ:通常は空欄
拡張タブ(必要に応じて)
- PASVモードを使う:通常はチェックを入れる
- ポート番号:通常は21(自動)
4. 接続テスト
- 「OK」ボタンをクリック
- ホスト一覧に戻るので、登録したホストを選択
- 「接続」ボタンをクリック
5. 接続成功の確認
- サーバー側のファイル一覧が右側に表示される
Cyberduckでの接続方法(Mac/Windows)
Cyberduck(サイバーダック)は、MacとWindowsで使える人気のFTPクライアントです。
接続手順
1. Cyberduckのダウンロード
- 公式サイト(cyberduck.io)からダウンロード
- Mac版とWindows版がある
2. 新規接続の設定
- Cyberduckを起動
- 左上の「新規接続」ボタンをクリック
3. 接続情報の入力
- プロトコル:ドロップダウンから「FTP」または「SFTP」を選択
- サーバー:FTPホスト名を入力
- ポート:通常は自動(21または22)
- ユーザー名:FTPユーザー名を入力
- パスワード:FTPパスワードを入力
4. 接続する
- 「接続」ボタンをクリック
- サーバーのファイル一覧が表示される
FTP、FTPS、SFTPの違いと選び方
「FTP」「FTPS」「SFTP」という似た用語があります。セキュリティに関わる重要な違いなので、理解しておきましょう。
FTP(通常のFTP)
特徴
- 最も基本的なファイル転送プロトコル
- データが暗号化されない
- ユーザー名やパスワードも平文で送信される
メリット
- 設定が簡単
- すべてのサーバーで対応
デメリット
- セキュリティが低い
- 盗聴される危険がある
使用シーン
- 内部ネットワーク(社内など)
- 重要でないデータの転送
- 古いサーバー
推奨度:★☆☆☆☆(現在は非推奨)
FTPS(FTP over SSL/TLS)
特徴
- FTPにSSL/TLSによる暗号化を追加
- 通信内容が暗号化される
- ポート番号は通常21番(Explicit)または990番(Implicit)
メリット
- 通信が暗号化される
- FTPの拡張なので、対応サーバーが多い
デメリット
- ファイアウォールとの相性が悪い場合がある
- 設定がやや複雑
使用シーン
- 一般的なWebサイト運営
- レンタルサーバーでの利用
推奨度:★★★★☆(推奨)
SFTP(SSH File Transfer Protocol)
特徴
- SSHプロトコルを利用したファイル転送
- FTPとは全く別のプロトコル
- ポート番号は22番
メリット
- 非常に高いセキュリティ
- ファイアウォールとの相性が良い
- 1つのポートで完結
デメリット
- サーバーがSSHに対応している必要がある
- 一部のレンタルサーバーでは使えない
使用シーン
- VPSや専用サーバー
- セキュリティが重要な業務
- 開発環境
推奨度:★★★★★(最も推奨)
どれを選ぶべき?
推奨順
- SFTP:使えるなら最優先
- FTPS:SFTPが使えない場合
- FTP:どうしても他が使えない場合のみ
現代では、セキュリティの観点から通常のFTPは避けるべきです。
FTP接続でよくあるトラブルと解決法
実際に接続しようとして、うまくいかないときの対処法です。
トラブル1:「ホスト名が見つかりません」
エラーメッセージ例
ホスト ftp.example.com が見つかりません
原因
- FTPホスト名の入力ミス
- ドメインの設定が完了していない
- DNSの反映待ち
解決法
- FTPホスト名のスペルを再確認
- ドット(.)やハイフン(-)の有無を確認
- サーバー契約直後なら、数時間〜24時間待つ
- レンタルサーバーの管理画面で正しいホスト名を確認
トラブル2:「ユーザー名またはパスワードが違います」
エラーメッセージ例
530 Login authentication failed
認証に失敗しました
原因
- ユーザー名またはパスワードの入力ミス
- 大文字・小文字の間違い
- 余計なスペースが入っている
解決法
- ユーザー名とパスワードをコピー&ペーストで入力
- 大文字・小文字を確認
- 前後にスペースが入っていないか確認
- パスワードをリセットして再設定
トラブル3:「タイムアウトしました」
エラーメッセージ例
接続がタイムアウトしました
Connection timed out
原因
- ネットワーク接続の問題
- ファイアウォールがブロック
- ポート番号の間違い
- サーバーがダウンしている
解決法
- インターネット接続を確認
- ファイアウォール設定を確認
- PASVモード(パッシブモード)を有効にする
- ポート番号を確認(FTP:21、SFTP:22)
- サーバーの稼働状況を確認
トラブル4:「接続は確立されましたが、ディレクトリ一覧を取得できません」
原因
- PASVモード(パッシブモード)の設定問題
- ファイアウォールの制限
解決法
FileZillaの場合
- サイトマネージャーを開く
- 「転送設定」タブを選択
- 「パッシブ」を選択
- 再接続
FFFTPの場合
- ホスト設定を開く
- 「拡張」タブを選択
- 「PASVモードを使う」にチェック
- 再接続
トラブル5:「証明書エラー」
エラーメッセージ例
証明書を検証できません
Unknown certificate
原因
- FTPS接続時のSSL証明書の問題
- 自己署名証明書を使用している
解決法
- 証明書の内容を確認
- 信頼できるサーバーなら「常に信頼する」を選択
- それでもダメなら、一時的に暗号化なしのFTPで接続
- サーバー管理者に問い合わせ
セキュリティ上の注意点
FTP接続時には、セキュリティに注意が必要です。
1. パスワード管理
やるべきこと
- 複雑なパスワードを使用(12文字以上、英数字記号混在)
- 定期的にパスワードを変更(3〜6ヶ月ごと)
- パスワードマネージャーで管理
やってはいけないこと
- 簡単なパスワード(password、123456など)
- 他のサービスと同じパスワード
- パスワードをメモ帳に保存
2. 公共Wi-Fiでの接続は避ける
危険性
- カフェや空港などの公共Wi-Fiは盗聴のリスクが高い
- 通常のFTPではパスワードが平文で送信される
対策
- 自宅やオフィスの安全なネットワークから接続
- どうしても必要なら、必ずSFTPまたはFTPSを使用
- VPNを経由して接続
3. 接続情報の保管
安全な保管方法
- パスワードマネージャー(1Password、LastPassなど)
- サーバー管理者しかアクセスできない場所
- 暗号化されたファイル
危険な保管方法
- デスクトップにテキストファイルで保存
- メールで送信したまま
- 付箋に書いてディスプレイに貼る
4. 不要になったら接続情報を削除
FTPアカウントの整理
- プロジェクト終了後は接続情報を削除
- 退職した社員のアカウントは無効化
- 使わなくなったFTPクライアントからも削除
FTPの代替手段
最近では、FTPに代わる、より便利で安全な方法も登場しています。
Git/GitHub
特徴
- バージョン管理機能付き
- 複数人での共同作業に最適
- 変更履歴が残る
使用シーン
- プログラムコードの管理
- チーム開発
- 現代的なWeb開発
レンタルサーバーのファイルマネージャー
特徴
- ブラウザ上で操作可能
- FTPクライアント不要
- 簡単な編集も可能
使用シーン
- 簡単なファイル修正
- FTPクライアントがない環境
- 緊急の対応
rsync
特徴
- 差分のみを転送(高速)
- ミラーリングに最適
- コマンドライン操作
使用シーン
- 大量のファイル転送
- 定期的な同期作業
- サーバー間のデータコピー
よくある質問(FAQ)
Q1. FTPホスト名は後から変更できる?
A. 基本的には変更できません。
FTPホスト名は、サーバー契約時に自動的に割り当てられ、通常は変更できません。ただし、独自ドメインを設定することで、独自のFTPホスト名を使えるようになる場合もあります。
Q2. FTPホスト名とWebサイトのURLは同じ?
A. 多くの場合、違います。
- Webサイト:
https://www.example.com
- FTPホスト名:
ftp.example.com
またはsv123.server.jp
独自ドメインを使っている場合、似ていることもありますが、完全に同じとは限りません。
Q3. スマホからFTP接続できる?
A. はい、専用アプリを使えば可能です。
iOS(iPhone/iPad)
- FTP Manager
- Documents by Readdle
Android
- AndFTP
- Total Commander
ただし、画面が小さいため、細かい作業には向きません。
Q4. FTPホスト名を忘れてしまった場合は?
A. レンタルサーバーの管理画面で確認できます。
また、契約時のメールを探すか、サーバー会社のサポートに問い合わせれば教えてもらえます。
Q5. 1つのFTPホスト名で複数のサイトを管理できる?
A. はい、可能です。
レンタルサーバーでは、1つのFTPアカウントで複数のドメイン・サイトを管理できることが多いです。サーバー内のフォルダを分けて管理します。
Q6. FTP接続とSSH接続は何が違う?
A. プロトコルと用途が異なります。
- FTP:ファイル転送専用
- SSH:サーバーへのリモートログイン全般(ファイル転送も含む)
SFTPはSSHを利用したファイル転送なので、より安全です。
まとめ|FTPホスト名を理解してサーバー接続をマスター
FTPホスト名は、サーバーにファイルをアップロードする際に必要な「サーバーの住所」です。
この記事の重要ポイント
- FTPホスト名は、レンタルサーバーの管理画面または契約時のメールで確認できる
- 接続には、ホスト名、ユーザー名、パスワード、ポート番号の4つが必要
- FileZilla、FFFTP、Cyberduckなどのクライアントソフトで接続する
- セキュリティ面から、FTPではなくSFTPまたはFTPSの使用を推奨
- パスワード管理と安全なネットワーク環境に注意
今日からできること
- レンタルサーバーの管理画面でFTPホスト名を確認する
- FileZillaなどのFTPクライアントをインストールする
- 接続情報を安全に保管する
- 可能ならSFTPまたはFTPSで接続する
FTP接続は、Webサイト運営の基本スキルです。最初は難しく感じるかもしれませんが、一度設定すれば、後は簡単に使えるようになります。
この記事を参考に、ぜひFTP接続にチャレンジしてみてくださいね。あなたのWebサイト運営がスムーズに進むことを願っています!
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