【荒れた御所に潜む怨念】妖怪「青女房(あおにょうぼう)」とは?その正体・特徴・伝承をやさしく解説!

神話・歴史・伝承

古くて荒れ果てた御所の中から、ぼうぼうの眉毛と真っ黒なお歯黒をつけた女性が現れたら…あなたはどう思いますか?

平安時代の宮廷に仕えていた若い女官たちが、死んでもなお御所をさまよい続ける――それが妖怪「青女房(あおにょうぼう)」なんです。

江戸時代の有名な妖怪絵師・鳥山石燕(とりやませきえん)が描いたこの不気味な存在は、宮廷の闇と女性の怨念が生み出した恐ろしい妖怪として語り継がれています。

この記事では、荒廃した御所に潜む怨霊「青女房」について詳しくご紹介します。

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青女房ってどんな妖怪なの?

青女房(あおにょうぼう)は、江戸時代の絵師・鳥山石燕が『今昔画図続百鬼』で描いた、女官の姿をした妖怪です。

もともと「青女房」という言葉は、宮廷や貴族の家に仕える若くて経験の浅い、身分の低い女官を指していました。「青二才」と同じように、未熟さを表す言葉だったんですね。

石燕は、この言葉をもとに独自の妖怪として創作したと考えられています。彼の描いた青女房は、荒れ果てた古い御所に出現し、過去の栄華を偲びながらさまよい続ける存在として描かれました。

姿・見た目

青女房の外見は、平安時代の女官そのものなんですが、どこか不気味で恐ろしいんです。

青女房の特徴的な姿

  • ぼうぼうに伸びた眉毛
  • 真っ黒な鉄漿(お歯黒)をつけた口元
  • 平安時代風の女官装束を身にまとう
  • 青みがかった着物や黒染めの衣装

石燕の絵では、お歯黒をつけた公家風の女官として描かれており、一見すると普通の宮廷女性のようです。でも、その表情や雰囲気には何か異様なものが漂っているんですね。

特徴

青女房には、他の妖怪とは違う独特な特徴があります。

まず、荒廃した古御所にだけ出現するという点です。かつて華やかだった宮廷が朽ち果てた場所に、昔のままの姿で現れるという不気味さがあります。

また、青女房は女性の怨念や生霊としての性質も持っています。生前に受けた仕打ちや、叶わなかった想いが妖怪となって現れたものとも解釈されているんです。

『百鬼夜行絵巻』などの妖怪画では、鏡の前でお歯黒をつけたりする姿で描かれることもあり、過去の美しさや身分にこだわり続ける執念深さも特徴的です。

伝承

青女房にまつわる話で興味深いのは、『今昔物語集』に登場する女の生霊の話です。

生霊伝説のあらすじ

  • 京から美濃尾張へ向かう男が、夜中に青い着物の女に出会った
  • 女は「民部の大夫の家へ連れて行ってほしい」と頼む
  • 男が屋敷まで送り届けると、女は突然消えてしまった
  • その直後、屋敷の主人が急死した
  • 実は民部の大夫に捨てられた女の生霊だった

この話では、恨みを抱いた女性が生霊となって相手を取り殺すという、平安時代によくあった怨霊譚(おんりょうたん)の典型例として描かれています。

また、『吾妻鏡』には、鎌倉幕府の将軍・源実朝の前に青女の姿をした妖怪が現れ、翌日に大地震が起きたという記録も残されています。このように、不吉な前兆として恐れられていたことも分かります。

まとめ

青女房は、宮廷文化の闇と女性の怨念が生み出した、日本独特の妖怪です。

重要なポイント

  • 江戸時代の鳥山石燕が創作した女官姿の妖怪
  • ぼうぼう眉とお歯黒が特徴的な不気味な姿
  • 荒廃した古御所に出現する存在
  • 女性の怨念や生霊としての性質を持つ
  • 災いの前兆として恐れられた

平安時代の華やかな宮廷文化の裏側にあった、女性たちの悲しみや恨みを象徴する妖怪として、青女房は今も私たちに当時の社会の一面を伝えているのかもしれません。

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