【ネットから生まれた現代の妖怪】スレンダーマンとは?その姿・特徴・伝承をやさしく解説!

神話・歴史・伝承

深夜、森の中を歩いていると、異様に背の高い黒いスーツ姿の人影が木々の間から現れたら、どうしますか?

顔を見ようとしても、そこには何もない。のっぺらぼうの白い顔があるだけ。

2009年にインターネット上で誕生したこの不気味な存在は、またたく間に世界中に広まり、現代の都市伝説として多くの人々を恐怖に陥れました。

この記事では、デジタル時代が生んだ現代の妖怪「スレンダーマン」について、その恐ろしい姿や特徴、そして実際に起きた事件まで詳しく解説します。

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概要

スレンダーマンは、2009年6月10日にインターネット掲示板で生まれた架空のキャラクターです。

アメリカのサムシング・オーフル・フォーラムという掲示板で、「ビクター・サージ」というハンドルネームのエリック・クヌーゼンが創り出しました。もともとは「フォトショップで超常現象の画像を作ろう」というスレッドに投稿された作品だったんです。

子どもたちが遊んでいる白黒写真に、細長い黒い人影を合成した画像が最初でした。その画像には「1983年、撮影者不明、死亡したと推定される」といった不気味な説明文が添えられていて、まるで本物の事件資料のように見えたんですね。

すると、この創作キャラクターは瞬く間に拡散。わずか数か月でインターネットミームとして世界中に広まり、無数の二次創作や都市伝説が生まれることになりました。

姿・見た目

スレンダーマンの見た目は、名前の通り「細身の男」という意味で、とにかく異様な体型をしています。

スレンダーマンの身体的特徴

  • 身長:2.4m~3m(異常に背が高い)
  • 体型:骨と皮だけのような細身
  • :白くのっぺらぼう、目も鼻も口もない
  • 服装:黒いビジネススーツにネクタイ
  • :異様に長く、時には触手のように伸びる
  • 背中:黒い触手が生えていることもある

一見すると普通のビジネスマンのような服装なのに、よく見ると人間離れした不気味な姿。この「日常的なものと非日常的なものの組み合わせ」が、より一層恐怖を引き立てているんです。

森の中や子どもたちの遊び場の背景に紛れ込むように現れ、写真を見返すと「あれ?こんな人いたっけ?」と気づくような、そんな存在として描かれています。

特徴

スレンダーマンには、普通の怪物とは違う独特な能力があります。

主な能力と行動パターン

  • 瞬間移動:突然現れたり消えたりする
  • 精神への影響:近くにいると「スレンダー病」という症状が出る
  • 電子機器への干渉:ビデオや音声に異常を起こす
  • 子どもを狙う:特に子どもたちを標的にする
  • 森に潜む:主に森や廃墟に現れる

スレンダー病の症状

スレンダーマンに遭遇したり、近くにいたりすると起こる症状があります。

  • 激しい頭痛
  • 鼻血
  • 悪夢を見る
  • 妄想や幻覚
  • 記憶の欠落

面白いのは、スレンダーマンの目的がはっきりしないこと。なぜ子どもを連れ去るのか、どこに連れて行くのか、その動機は謎のままなんです。この「分からなさ」が、かえって恐怖を増幅させているんですね。

伝承

スレンダーマンは創作から始まりましたが、現実世界に大きな影響を与えてしまいました。

2014年ウィスコンシン州の事件

最も衝撃的だったのが、2014年5月31日にアメリカのウィスコンシン州で起きた事件です。

12歳の少女2人が、同級生を森に連れ出して19回も刺すという恐ろしい事件が発生しました。幸い被害者は一命を取り留めましたが、加害者の少女たちは「スレンダーマンの手下になるため」に犯行に及んだと供述したんです。

少女たちは、インターネットでスレンダーマンの話を読み、実在すると信じ込んでいました。「誰かを殺さないと、スレンダーマンに家族が殺される」と思い込んでいたそうです。

ネット発の都市伝説の広がり

スレンダーマンは、様々なメディアで取り上げられるようになりました。

  • YouTube動画シリーズ:「Marble Hornets」など複数のホラー動画が制作
  • ゲーム化:「Slender: The Eight Pages」が200万回以上ダウンロード
  • 映画化:2018年に映画「スレンダー・マン」が公開

特に「Marble Hornets」というYouTubeシリーズは、5500万回以上再生され、25万人以上のフォロワーを獲得。まるで実際の事件記録のように作られた動画で、多くの人が「本物かもしれない」と感じたんです。

起源

スレンダーマンの誕生には、様々な要素が影響していました。

創作者の意図

エリック・クヌーゼンは、スレンダーマンを作る際に以下のものから影響を受けたと語っています。

  • H.P.ラヴクラフトの作品:理解不能な恐怖という概念
  • スティーブン・キングの「霧」:未知の存在への恐怖
  • 都市伝説「メン・イン・ブラック」:黒いスーツの不気味な男たち
  • 映画「ファンタズム」のトールマン:背の高い不気味なキャラクター

クヌーゼンの狙いは「動機が理解できない、一般の人々に不安と恐怖を引き起こす存在」を作ることでした。

デジタル時代の民話

興味深いことに、研究者たちはスレンダーマンを「デジタル時代の民話」と呼んでいます。

昔の妖精伝説と同じように、スレンダーマンも:

  • 森に住んでいる
  • 子どもを連れ去る
  • 姿が変化する
  • 理解不能な存在

インターネットという新しい「口伝え」の場で、現代版の妖精物語が生まれたというわけです。ただし、昔の民話と違うのは、誕生の瞬間と作者が明確に分かっていること。これは民話研究にとって貴重な事例となっています。

まとめ

スレンダーマンは、インターネット時代が生んだ現代の妖怪です。

重要なポイント

  • 2009年6月10日にネット掲示板で誕生した創作キャラクター
  • 異常に背が高く、のっぺらぼうの顔、黒いスーツが特徴
  • 子どもを標的にし、森や廃墟に現れる
  • 近づくと精神に異常をきたす「スレンダー病」を引き起こす
  • 実際の事件を引き起こすほど、現実世界に影響を与えた
  • デジタル時代における新しい形の民話・都市伝説として研究対象に

創作から始まった存在が、わずか数年で世界中に広まり、現実の事件まで引き起こしてしまった。スレンダーマンは、インターネットの影響力と、人間の想像力の恐ろしさを同時に示す、まさに21世紀を象徴する都市伝説といえるでしょう。

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