「iCloudの容量がいっぱいで困っている…」
「外付けHDDにバックアップしながらiCloudも使いたい!」
こんなお悩みをお持ちではないでしょうか?
iCloudは便利なクラウドストレージですが、無料プランは5GBと容量が限られています。一方、外付けHDDは大容量で安価ですが、どこからでもアクセスできるわけではありません。
この記事では、iCloudと外付けHDDを効率的に併用する方法から、データの同期・バックアップ手順まで詳しく解説します。両方の良いところを活かして、安全で快適なデータ管理環境を作りましょう!
iCloudと外付けHDDの基礎知識

それぞれの特徴を理解しよう
iCloudの特徴:
- どのデバイスからでもアクセス可能
- 自動バックアップ機能
- デバイス間でデータが同期される
- 容量は有料プランで拡張可能(月額課金)
外付けHDDの特徴:
- 大容量で低コスト(買い切り)
- 物理的にデータを保管
- インターネット不要でアクセス
- 持ち運びには不便
「同期」と「バックアップ」の違い
同期(シンク):
複数の場所にある同じデータを、常に最新の状態に保つことです。片方を変更すると、もう片方も自動的に更新されます。
バックアップ:
データのコピーを別の場所に保存することです。元データが消えても、バックアップから復元できます。
重要なポイント:
実は、iCloudと外付けHDDの「完全な同期」は、標準機能ではできません。ただし、工夫次第で近い環境を作ることは可能です。
iCloudと外付けHDDを併用する3つの方法
方法1:iCloud Driveを外付けHDDにバックアップ
最もシンプルな方法です。iCloudのデータを定期的に外付けHDDにコピーします。
メリット:
- 設定が簡単
- データの二重保管で安全性が高い
- 費用が抑えられる
デメリット:
- 手動コピーが必要(自動化は別途ツールが必要)
- リアルタイム同期ではない
方法2:外付けHDDをメインストレージにしてiCloudで選択同期
容量の大きいファイルは外付けHDD、重要なファイルだけiCloudに保存する方法です。
メリット:
- iCloudの容量を節約できる
- 必要なファイルだけクラウド化
- コストパフォーマンスが良い
デメリット:
- 管理がやや複雑
- 外付けHDDを接続しないとアクセスできないファイルがある
方法3:サードパーティ製ソフトで自動同期
専用ソフトを使って、iCloudと外付けHDDを自動的に同期させます。
メリット:
- 自動同期で手間いらず
- スケジュール設定が可能
- 双方向同期も可能(ソフトによる)
デメリット:
- ソフトの購入費用がかかる場合がある
- 設定に多少の知識が必要
【Windows編】iCloud Driveを外付けHDDにバックアップ
iCloud for Windowsのインストール
手順:
- MicrosoftストアまたはApple公式サイトから「iCloud for Windows」をダウンロード
- インストーラーを実行
- Apple IDでサインイン
- 同期したい項目を選択
- iCloud Drive
- 写真
- メール、連絡先、カレンダーなど
- 「適用」をクリック
iCloud Driveフォルダの場所を確認
デフォルトの保存場所:
C:\Users\ユーザー名\iCloudDrive
このフォルダが、iCloudと同期されるメインフォルダです。
外付けHDDへのバックアップ手順
手順:
- 外付けHDDをパソコンに接続
- エクスプローラーでiCloud Driveフォルダを開く
C:\Users\ユーザー名\iCloudDrive
- フォルダ全体を選択(Ctrl + A)
- コピー(Ctrl + C)
- 外付けHDDを開いて貼り付け(Ctrl + V)
- コピーが完了するまで待つ
定期的に実行:
週1回や月1回など、定期的にこの作業を繰り返すことで、常に最新のバックアップを保持できます。
Robocopyで自動バックアップ(上級者向け)
Windowsの標準コマンドで自動化できます。
コマンド例:
robocopy "C:\Users\ユーザー名\iCloudDrive" "E:\iCloudBackup" /MIR /R:3 /W:10
コマンドの意味:
/MIR
:ミラーリング(完全コピー)/R:3
:失敗時に3回リトライ/W:10
:リトライの間隔10秒
バッチファイルの作成:
- メモ帳を開く
- 上記のコマンドを入力(パスは自分の環境に合わせる)
- 「icloud_backup.bat」として保存
- ダブルクリックで実行
タスクスケジューラで自動実行:
- 「タスクスケジューラ」を検索して起動
- 「基本タスクの作成」をクリック
- 名前を入力(例:iCloudバックアップ)
- トリガーを設定(毎週、毎日など)
- 「プログラムの起動」を選択
- 作成したバッチファイルを指定
- 完了
これで、自動的にバックアップが実行されます!
【Mac編】iCloudと外付けHDDの連携
iCloud Driveの保存場所
Macでは、iCloud Driveは以下の場所にあります:
/Users/ユーザー名/Library/Mobile Documents/com~apple~CloudDocs/
またはFinderのサイドバーから「iCloud Drive」を直接開けます。
Time Machineでバックアップ
Macの標準バックアップ機能を活用します。
手順:
- 外付けHDDを接続
- システム設定→「一般」→「Time Machine」を開く
- 「バックアップディスクを追加」をクリック
- 外付けHDDを選択
- 「ディスクを使用」をクリック
- 自動バックアップを有効化
Time Machineの特徴:
- 1時間ごとに自動バックアップ
- iCloudデータも含めてMac全体を保護
- 過去のバージョンに戻すことも可能
Carbon Copy Clonerで選択同期
より柔軟なバックアップが必要な場合は、有料ソフトを検討しましょう。
特徴:
- iCloud Driveだけを選択してバックアップ
- スケジュール設定が自由
- 起動可能なクローンも作成可能
使い方:
- Carbon Copy Clonerをダウンロード&インストール
- 新規タスクを作成
- ソース:iCloud Driveフォルダを選択
- コピー先:外付けHDDを選択
- スケジュールを設定(毎日、毎週など)
- タスクを実行
外付けHDDをメインにしてiCloudを補助的に使う

容量の大きいファイルは外付けHDD、小さなファイルはiCloudという使い分けです。
Windowsでの設定方法
手順:
- 外付けHDDに作業フォルダを作成
- 例:
E:\Documents
、E:\Photos
- 重要な小さいファイルだけiCloud Driveにコピー
- エクスプローラーのクイックアクセスに両方を追加
- 右クリック→「クイックアクセスにピン留めする」
- ファイルの種類で使い分け:
- Word、Excel、PDF → iCloud Drive
- 動画、大量の写真 → 外付けHDD
Macでの設定方法
最適化ストレージの活用:
- システム設定→「一般」→「ストレージ」
- 「iCloud Drive」の「最適化」を有効
- 使用頻度の低いファイルは自動的にクラウドのみに保存される
- 外付けHDDには重要なファイルを手動でコピー
シンボリックリンクの活用(上級者向け)
外付けHDDのフォルダをiCloud Driveにリンクさせる方法です。
Windowsの場合:
- コマンドプロンプトを管理者として実行
- 以下のコマンドを入力:
mklink /D "C:\Users\ユーザー名\iCloudDrive\ExternalData" "E:\MyData"
- iCloud Drive内に外付けHDDへのショートカットが作成される
注意点:
- 外付けHDDが接続されていないとエラーになる
- iCloudの容量は消費しない(リンクのみ)
おすすめの同期・バックアップソフト
GoodSync(Windows/Mac対応)
特徴:
- 双方向同期が可能
- リアルタイム同期に対応
- iCloudとの連携が簡単
使い方:
- GoodSyncをインストール
- 新規ジョブを作成
- 左側:iCloud Driveフォルダを選択
- 右側:外付けHDDのフォルダを選択
- 同期方向を設定(双方向、片方向など)
- 「分析」→「同期」で実行
- スケジュール設定で自動化
価格:
年間約3,000円〜(買い切り版もあり)
FreeFileSync(無料)
特徴:
- 完全無料
- シンプルで使いやすい
- Windows、Mac、Linux対応
設定手順:
- 公式サイトからダウンロード&インストール
- 左側にiCloud Driveフォルダをドラッグ
- 右側に外付けHDDフォルダをドラッグ
- 比較ボタンをクリック
- 差分が表示される
- 同期ボタンで実行
Synology Drive(NAS利用者向け)
特徴:
- Synology NASを使っている場合に最適
- クラウドと外付けストレージの良いとこ取り
- 自動バックアップとバージョン管理
データ管理の最適化テクニック
容量別のファイル振り分け
推奨する使い分け:
iCloudに保存:
- WordやExcelなどの文書ファイル(数MB程度)
- 重要な写真(厳選したもの)
- すぐにアクセスしたいファイル
- 複数デバイスで編集するファイル
外付けHDDに保存:
- 動画ファイル(数GB〜数十GB)
- RAW画像や大量の写真
- アーカイブ(過去の資料)
- バックアップデータ
定期的な整理のルール
月1回のメンテナンス:
- iCloud Driveの不要ファイルを削除
- 重要度の低いファイルを外付けHDDに移動
- 外付けHDDのバックアップを実行
- 両方の容量を確認
フォルダ構造の統一
おすすめの構造:
📁 iCloud Drive
└─ 📁 仕事
└─ 📁 個人
└─ 📁 重要書類
📁 外付けHDD
└─ 📁 iCloudバックアップ
└─ 📁 動画
└─ 📁 写真アーカイブ
└─ 📁 大容量ファイル
同じ名前のフォルダを作ると、管理がしやすくなります。
トラブルシューティング
Q1. iCloudのファイルが外付けHDDにコピーできない
原因:
「オンラインのみ」で保存されているファイルは、実体がローカルにありません。
解決法:
- ファイルを右クリック
- 「このデバイスに常に保持」を選択
- ダウンロードが完了してからコピー
Q2. 同期ソフトでエラーが出る
原因:
ファイルが使用中、またはアクセス権限の問題です。
解決法:
- iCloudからサインアウト→再サインイン
- 同期ソフトを管理者として実行
- セキュリティソフトの除外設定に追加
Q3. 外付けHDDが認識されない
チェック項目:
- USB接続を確認(別のポートを試す)
- 電源供給が十分か確認(USBハブを使っている場合)
- ディスクの管理でドライブを確認
- ドライバを更新
Q4. バックアップに時間がかかりすぎる
対処法:
- 初回は全ファイルをコピーするため時間がかかる(正常)
- 2回目以降は差分のみコピーされ高速化
- USB 3.0以上の接続を使用
- 不要なファイルを事前に削除
セキュリティとバックアップの重要性
3-2-1ルールの実践
データ保護の基本原則です。
3-2-1ルールとは:
- 3つのコピーを持つ(オリジナル + バックアップ2つ)
- 2種類の異なるメディアに保存(クラウド + 外付けHDD)
- 1つは遠隔地に保管(クラウドがこれに該当)
実践例:
- パソコン本体にオリジナル
- iCloudにバックアップ1
- 外付けHDDにバックアップ2
暗号化の設定
iCloud:
- 標準で暗号化されている
- 2ファクタ認証を有効化する
外付けHDD:
- Windows:BitLockerで暗号化
- Mac:FileVaultまたはディスクの暗号化
まとめ:iCloudと外付けHDDで最強のデータ管理を
iCloudと外付けHDDを上手に併用すれば、安全で効率的なデータ管理が実現できます。
この記事のポイント:
- iCloudと外付けHDDは役割が異なる
- 完全な自動同期は標準機能では不可
- 定期バックアップやソフト活用で近い環境を構築可能
- ファイルサイズで使い分けるのが効率的
- 3-2-1ルールでデータを確実に保護
- 月1回のメンテナンスで快適な環境を維持
まずは手動バックアップから始めて、慣れてきたら自動化ツールの導入を検討しましょう。
大切なデータを守りながら、どこからでもアクセスできる便利な環境を作ってください!
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