「会社のVPNに接続しようとしたら、エラーが出て繋がらない…」
「自宅から社内ネットワークにアクセスしたいのに、VPNが使えない!」
リモートワークが増えた今、VPN接続のトラブルは本当に困りますよね。
実は、WindowsでVPNに接続できない原因は様々です。ネットワーク設定、ファイアウォール、認証情報、プロトコルの問題など、複数の要因が考えられます。でも、ほとんどの場合は自分で解決できます。
この記事では、WindowsでVPNに接続できない時の原因と対処法を、エラーコード別に分かりやすく解説します。順番に試していけば、きっと問題を解決できるはずです。
VPN接続の基本知識

VPNとは?
VPN(Virtual Private Network)は、仮想的な専用回線を作る技術です。
主な用途:
- 会社のネットワークに外部からアクセス
- セキュアな通信の確保
- 地域制限の回避
- 公衆Wi-Fiでの安全な通信
仕組み:
インターネット上に暗号化されたトンネルを作り、安全にデータをやり取りします。
VPNとは?
仮想的なプライベートネットワーク。暗号化された通信経路を作り、安全にデータをやり取りできる技術です。
VPNの種類
Windows で使える主なVPN種類です。
1. PPTP(Point-to-Point Tunneling Protocol)
- 古い規格
- 設定が簡単
- セキュリティが弱い
- 最近は非推奨
2. L2TP/IPsec
- PPTPより安全
- 会社で広く使われる
- ファイアウォールで遮断されやすい
3. SSTP(Secure Socket Tunneling Protocol)
- Windows標準サポート
- ファイアウォールを通過しやすい
- セキュアな通信
4. IKEv2/IPsec
- 高速で安定
- モバイル環境に強い
- Windows 10/11で推奨
5. OpenVPN
- オープンソース
- 高いセキュリティ
- 専用ソフトが必要
VPNに接続できない主な原因
ネットワーク関連の問題
インターネット接続の不具合:
- そもそもネット接続がない
- 回線が不安定
- DNSの問題
ファイアウォール・セキュリティ:
- Windowsファイアウォールがブロック
- ウイルス対策ソフトが干渉
- ルーターのポートが閉じている
設定の問題
接続設定のミス:
- サーバーアドレスの間違い
- ユーザー名・パスワードの誤り
- VPNプロトコルの不一致
証明書の問題:
- 証明書の期限切れ
- 証明書がインストールされていない
- ルート証明書の不足
サーバー側の問題
VPNサーバーの状態:
- サーバーがダウン
- メンテナンス中
- 接続数の上限到達
まず確認すべき基本事項
VPN接続の前に、基本的な確認を行いましょう。
インターネット接続の確認
手順:
- ブラウザでWebサイトを開く
- GoogleやYahoo!など
- 正常にアクセスできるか確認
- 開けなければインターネット接続を修復
- DNS確認
- コマンドプロンプトで
nslookup google.com
- 正しく名前解決されるか確認
VPN認証情報の確認
確認項目:
- サーバーアドレス(URL or IPアドレス)
- ユーザー名
- パスワード
- 共有キー(Pre-shared key)
注意:
会社のVPNの場合、IT部門から提供された情報と一致しているか確認してください。
日時設定の確認
証明書の検証に日時が重要です。
手順:
- タスクバーの時計を右クリック
- 日付と時刻の調整
- 自動設定を確認
- 「時刻を自動的に設定する」がオン
- タイムゾーン確認
- 正しい地域になっているか
理由:
時刻がずれていると、証明書の有効期限チェックでエラーになります。
【Windows 11】VPN接続の基本設定
VPN接続の追加
手順:
- 設定を開く
- スタート→設定
- またはWindowsキー + I
- ネットワークとインターネット
- 左側メニューから選択
- VPN
- 「VPN」をクリック
- VPN接続を追加
- 「VPN接続を追加」ボタン
- 接続情報を入力
- VPNプロバイダー: Windows(ビルトイン)
- 接続名: 任意の名前(例:会社VPN)
- サーバー名またはアドレス: VPNサーバーのアドレス
- VPNの種類: 自動または指定されたプロトコル
- サインイン情報の種類: ユーザー名とパスワード
- ユーザー名: アカウント名
- パスワード: パスワード
- 保存
VPNへの接続
手順:
- 設定→ネットワークとインターネット→VPN
- 作成したVPN接続をクリック
- 接続ボタンをクリック
- 認証情報入力(必要な場合)
- 接続完了を確認
- 「接続済み」と表示
【Windows 10】VPN接続の基本設定
VPN接続の追加
手順:
- 設定→ネットワークとインターネット
- VPN→VPN接続を追加する
- 接続情報を入力
- Windows 11と同じ項目
- 保存
接続方法
手順:
- タスクバーのネットワークアイコン
- VPN接続を選択
- 接続をクリック
エラーコード別の対処法
エラー 800:リモート接続を確立できませんでした
原因:
- VPNサーバーに到達できない
- ファイアウォールがブロック
- インターネット接続の問題
対処法:
- インターネット接続確認
- ファイアウォール設定
- Windowsファイアウォールを一時的に無効化してテスト
- 有効な場合、VPNポートを許可
- VPNプロトコル変更
- PPTP → L2TP/IPsec に変更
- サーバーアドレス確認
- IPアドレスまたはFQDNが正しいか
エラー 807:ネットワーク接続が中断されました
原因:
- 接続が途中で切断
- ネットワークの不安定
- タイムアウト
対処法:
- ネットワーク接続を安定化
- Wi-Fi → 有線LAN
- 電波状況の改善
- VPNタイムアウト設定変更
- レジストリ編集(上級者向け)
- 別の時間帯に試す
- ネットワーク混雑を避ける
エラー 809:L2TPポートがブロックされています
原因:
- ルーターやファイアウォールがL2TPをブロック
- NATトラバーサルの問題
対処法:
- レジストリ値を追加 手順:
- Windowsキー + R
regedit
と入力- 以下のパスに移動:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\PolicyAgent
- 右クリック→新規→DWORD(32ビット)値
- 名前:
AssumeUDPEncapsulationContextOnSendRule
- 値:
2
- PCを再起動
- ルーターのポート転送設定
- UDP 500、4500を開放
- IPsec/L2TPパススルーを有効化
エラー 812/813:接続が拒否されました
原因:
- 認証情報の誤り
- サーバーのポリシー設定
- 証明書の問題
対処法:
- 認証情報の再確認
- ユーザー名、パスワードを再入力
- 証明書のインストール
- 必要な証明書をインポート
- 暗号化設定の変更
- VPN設定→詳細オプション
- データ暗号化:「オプション」に変更
エラー 691:ユーザー名またはパスワードが拒否されました
原因:
- 認証情報の間違い
- アカウントの無効化
- パスワードの期限切れ
対処法:
- 認証情報の確認
- 大文字小文字を正確に
- ドメイン名の追加
- ユーザー名を
ドメイン\ユーザー名
形式で入力
- IT部門に確認
- アカウント状態を確認
エラー 619:指定されたポートに接続できません
原因:
- ファイアウォールの干渉
- VPNプロトコルの不一致
対処法:
- ファイアウォール無効化テスト
- VPN種類を変更
- 自動 → SSTP または IKEv2
- セキュリティソフト確認
- 一時的に無効化してテスト
ファイアウォール・セキュリティ設定の調整

Windowsファイアウォールの設定
VPN用ポートの許可:
- コントロールパネル→Windows Defender ファイアウォール
- 詳細設定
- 受信の規則→新しい規則
- ポート→次へ
- プロトコルとポート指定
- PPTP:TCP 1723
- L2TP:UDP 500、4500、1701
- SSTP:TCP 443
- IKEv2:UDP 500、4500
- 接続を許可する→次へ
- 適用するプロファイル:すべて選択
- 名前:VPN接続
- 完了
セキュリティソフトの設定
対処法:
- VPNを例外に追加
- セキュリティソフトの設定
- VPN接続を許可リストに
- ファイアウォール機能の一時無効化
- テスト目的で無効化
- 接続できたら個別設定で許可
- VPNモード設定
- 一部のセキュリティソフトにVPN専用モードあり
ネットワークアダプターのトラブル対処
VPNアダプターの再インストール
手順:
- デバイスマネージャーを開く
- スタート右クリック→デバイスマネージャー
- ネットワークアダプターを展開
- WAN Miniportを確認
- WAN Miniport (PPTP)
- WAN Miniport (L2TP)
- WAN Miniport (IKEv2)
- WAN Miniport (SSTP)
- 再インストール
- 各アダプターを右クリック
- デバイスのアンインストール
- 「このデバイスのドライバーを削除する」にチェック
- アンインストール
- ハードウェア変更のスキャン
- デバイスマネージャーのメニュー
- 操作→ハードウェア変更のスキャン
- 再起動
ネットワークのリセット
手順:
- 設定→ネットワークとインターネット
- 詳細なネットワーク設定
- またはネットワークの詳細設定
- ネットワークのリセット
- 今すぐリセット
- 確認画面で「はい」
- 再起動
注意:
すべてのネットワーク設定が初期化されます。Wi-Fiのパスワードなども再設定が必要です。
DNS・プロキシ設定の確認
DNSサーバーの変更
手順:
- コントロールパネル→ネットワークとインターネット
- ネットワーク接続
- 使用中のアダプターを右クリック
- プロパティ
- インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)
- 選択→プロパティ
- DNS設定
- 「次のDNSサーバーのアドレスを使う」を選択
- 優先:8.8.8.8(Google DNS)
- 代替:8.8.4.4
- OK→閉じる
- VPN接続を再試行
プロキシ設定の無効化
手順:
- 設定→ネットワークとインターネット
- プロキシ
- 手動プロキシセットアップ
- 「プロキシサーバーを使う」をオフ
- 自動プロキシセットアップ
- 「設定を自動的に検出する」をオフ(一時的)
- VPN接続テスト
VPNプロトコルの最適化
プロトコルの変更
接続できない場合、別のプロトコルを試します。
推奨順序:
- IKEv2/IPsec(最新、高速)
- SSTP(ファイアウォールに強い)
- L2TP/IPsec(広く対応)
- PPTP(非推奨、最終手段)
変更手順:
- VPN接続のプロパティ
- 設定→ネットワークとインターネット→VPN
- 接続を選択→詳細オプション
- 編集
- VPNの種類を変更
- 保存
詳細設定の調整
手順:
- コントロールパネル→ネットワーク接続
- VPN接続を右クリック→プロパティ
- セキュリティタブ
- データの暗号化:オプション(暗号化なしでも可)
- 認証:許可するプロトコルを選択
- ネットワークタブ
- IPv6のチェックを外す(必要に応じて)
- 適用→OK
コマンドプロンプトでのトラブル対処
ネットワークコマンド
基本的な修復コマンド:
- コマンドプロンプト(管理者)を開く
- スタート右クリック→ターミナル(管理者)
- 以下のコマンドを順に実行
ipconfig /flushdns
ipconfig /registerdns
ipconfig /release
ipconfig /renew
netsh winsock reset
netsh int ip reset
- 再起動
VPN接続状態の確認
コマンド:
rasdial
または
netsh interface show interface
現在の接続状態が表示されます。
会社VPNでの特有の問題
証明書のインストール
会社から提供された証明書をインストールします。
手順:
- 証明書ファイルをダブルクリック
- .cer、.pfx、.p12 ファイル
- 証明書のインポートウィザード
- 保存場所:ローカルコンピューター
- 次へ
- 証明書ストア
- 「証明書をすべて次のストアに配置する」
- 参照→「信頼されたルート証明機関」
- 完了
- VPN再接続
VPNクライアントソフトの使用
会社によっては専用ソフトが必要です。
主なVPNクライアント:
- Cisco AnyConnect
- FortiClient
- Pulse Secure
- Palo Alto GlobalProtect
インストール:
IT部門から提供されたソフトをインストールし、設定ファイルをインポートします。
トラブルシューティングの手順
段階的な確認
手順:
- 基本確認
- インターネット接続
- 認証情報
- 日時設定
- ファイアウォール
- 一時的に無効化してテスト
- プロトコル変更
- 自動 → IKEv2 → SSTP
- ネットワークリセット
- アダプター再インストール
- ネットワークリセット
- 専門家に相談
- IT部門、VPNサービス提供元
ログの確認
イベントビューアーでエラー確認:
- イベントビューアーを開く
- スタート右クリック→イベントビューアー
- Windowsログ→システム
- RAS関連のエラーを検索
- ソース:RemoteAccess
- エラー内容を確認
よくある質問(Q&A)
Q1:会社のVPNに自宅から接続できません
まずIT部門に、自宅からのアクセスが許可されているか確認してください。許可されている場合、ファイアウォール設定とVPNプロトコルを確認しましょう。
Q2:公衆Wi-FiではVPNに接続できるのに、自宅では繋がりません
自宅のルーター設定で、VPN用のポートがブロックされている可能性があります。ルーターの設定画面で、VPNパススルーを有効化してください。
Q3:VPN接続後、インターネットに繋がらなくなりました
スプリットトンネリングの設定問題です。VPN接続のプロパティ→ネットワークタブ→詳細設定で「リモートネットワークでデフォルトゲートウェイを使う」のチェックを外してください。
Q4:接続はできるのに、社内リソースにアクセスできません
DNS設定の問題です。VPN接続のプロパティで、社内DNSサーバーのアドレスを設定してください。
Q5:突然VPNに接続できなくなりました
Windows Updateによる影響の可能性があります。最近のアップデートをアンインストールするか、VPNアダプターのドライバーを更新してください。
Q6:エラーコードが表示されません、単に接続できません
詳細なログを確認するため、イベントビューアーでRASカテゴリのエラーをチェックしてください。具体的なエラー情報が得られます。
まとめ:段階的に確認して確実に解決しよう
WindowsでのVPN接続トラブル対処法を解説しました。
基本的な確認事項:
✅ インターネット接続
✅ 認証情報(サーバー、ユーザー名、パスワード)
✅ 日時設定
主なエラーと対処:
エラー800:
→ ファイアウォール確認、プロトコル変更
エラー807:
→ ネットワーク安定化
エラー809:
→ レジストリ値追加、ポート開放
エラー691:
→ 認証情報再確認
ファイアウォール設定:
⚠️ VPN用ポートを許可
⚠️ セキュリティソフトの例外設定
⚠️ ルーターのVPNパススルー有効化
ネットワーク修復手順:
- VPNアダプター再インストール
- ネットワークのリセット
- DNS・プロキシ設定確認
プロトコルの選択:
- IKEv2/IPsec(推奨)
- SSTP(ファイアウォールに強い)
- L2TP/IPsec(広く対応)
会社VPNの場合:
- IT部門に設定を確認
- 証明書のインストール
- 専用クライアントソフト使用
トラブル時の基本:
- 基本確認から始める
- ファイアウォール一時無効化でテスト
- プロトコルを変更
- ネットワークをリセット
- ログで詳細確認
VPN接続のトラブルは、焦らず一つずつ確認していけば必ず解決できます。この記事を参考に、安全で安定したVPN接続を実現してください!
どうしても解決しない場合は、IT部門やVPNサービス提供元のサポートに相談しましょう。ログ情報を共有すると、スムーズに解決できます。
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