「Macの動作が重くなってきた」「外付けHDDをフォーマットしたい」「ディスクにエラーが出た」
こんな経験、ありませんか?
実は、Macには最初から入っている「ディスクユーティリティ」という超便利なツールがあります。このツールを使えば、ディスクの管理やトラブル対処が簡単にできるんです。
この記事では、ディスクユーティリティの基本から実践的な使い方まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
ディスクユーティリティとは?

ディスクユーティリティは、Macに標準搭載されているディスク管理ツールです。
簡単に言えば、Mac内蔵のハードディスクやSSD、外付けドライブ、USBメモリなどの「記憶装置」を管理するためのアプリケーション。
無料で使えて、追加インストールの必要もありません。
なぜディスクユーティリティが必要なの?
パソコンのストレージ(データを保存する場所)は、使っているうちに以下のような問題が起こることがあります:
- データの読み書きエラー
- ファイルシステムの破損
- 動作の遅延
ディスクユーティリティを使えば、こうした問題を診断したり、修復したりできるんです。
ディスクユーティリティでできる主な機能
ディスクユーティリティには、以下のような便利な機能が揃っています。
1. First Aid(応急処置)
ディスクやボリューム(パーティションとも呼ばれる、ディスク内の区画)にエラーがないかチェックして、見つかった問題を自動で修復してくれる機能です。
「最近Macの調子が悪いな」と感じたら、まず試したい機能ですね。
2. 消去(フォーマット)
ディスクやボリュームを初期化して、まっさらな状態にする機能。
外付けHDDを新しく使い始めるときや、譲渡する前にデータを完全に消したいときに使います。
3. パーティション作成
1つのディスクを複数の領域に分割する機能です。
例えば、1つのハードディスクを「データ用」と「バックアップ用」に分けて使うことができます。
4. 復元
ディスクイメージ(ディスクの内容を1つのファイルにまとめたもの)から、別のディスクにデータをコピーする機能。
システムのバックアップから復元するときなどに活用できます。
5. マウント/アンマウント
外付けドライブをMacに認識させたり(マウント)、安全に取り外せる状態にしたり(アンマウント)する機能です。
ディスクユーティリティの起動方法
ディスクユーティリティを開く方法は複数あります。状況に応じて使い分けましょう。
方法1:Finderから開く(通常時)
最も一般的な方法です。
- Finderを開く
- 「アプリケーション」フォルダを開く
- 「ユーティリティ」フォルダを開く
- 「ディスクユーティリティ」をダブルクリック
これでディスクユーティリティが起動します。
方法2:Spotlight検索を使う(素早く開きたいとき)
キーボードショートカットを使った速い方法です。
- command(⌘)+ スペースキーを押す
- 「ディスクユーティリティ」と入力
- Returnキーを押す
慣れればこの方法が一番早いですね。
方法3:macOS復旧モードから開く(起動できないとき)
Macが正常に起動しない場合は、復旧モードから起動します。
Intelプロセッサ搭載のMacの場合:
- Macを再起動
- 起動音が鳴ったらcommand(⌘)+ Rキーを押し続ける
- Appleロゴが表示されたら指を離す
- 「ディスクユーティリティ」を選択
Apple Siliconプロセッサ搭載のMacの場合:
- Macをシャットダウン
- 電源ボタンを長押し
- 起動オプションが表示されたら「オプション」を選択
- 「続ける」をクリック
- 「ディスクユーティリティ」を選択
基本的な使い方:First Aidでディスクをチェック
ディスクユーティリティの中で最もよく使う機能が「First Aid」です。手順を見ていきましょう。
First Aidの実行手順
- ディスクユーティリティを起動
- 左側のサイドバーからチェックしたいディスクまたはボリュームを選択
- 内蔵ディスクは通常「Macintosh HD」などの名前
- 外付けディスクは接続したドライブの名前で表示されます
- 上部のツールバーから「First Aid」をクリック
- 「実行」をクリックして確認
- 処理が完了するまで待つ
- ディスクの容量によって数分から数十分かかることがあります
- 結果を確認
- 「処理が完了しました」と表示されれば問題なし
- エラーが修復された場合はその内容が表示されます
First Aidを実行するタイミング
以下のような症状が出たら、First Aidを試してみましょう:
- アプリケーションの動作が不安定
- ファイルが開けない、保存できない
- Macの起動に時間がかかる
- 予期せぬフリーズやクラッシュが発生
定期的なメンテナンスとして、月に1回程度実行するのもおすすめです。
実践編:外付けドライブをフォーマットする方法
新しい外付けHDDやUSBメモリを購入したとき、Macで使えるようにフォーマットする手順を解説します。
フォーマット前の注意事項
重要:フォーマットするとドライブ内のすべてのデータが消去されます。
必要なデータは事前にバックアップを取っておきましょう。
フォーマットの手順
- 外付けドライブをMacに接続
- ディスクユーティリティを起動
- 左側のサイドバーから消去したいドライブを選択
- ボリュームではなく、ドライブ本体を選択します
- 上部のツールバーから「消去」をクリック
- 以下の項目を設定: 名前: 好きな名前を入力(例:「外付けHDD」「USBメモリ」など) フォーマット: 用途に応じて選択
- APFS:Macでのみ使用する場合(推奨)
- Mac OS拡張(ジャーナリング):古いmacOSとの互換性が必要な場合
- ExFAT:MacとWindows両方で使う場合
- MS-DOS(FAT):古いデバイスとの互換性が必要な場合 方式: 「GUIDパーティションマップ」を選択(通常はこれでOK)
- 「消去」ボタンをクリック
- 完了まで待つ
これで外付けドライブがMacで使える状態になりました。
フォーマット形式の選び方
どのフォーマットを選べばいいか迷ったら、以下を参考にしてください:
Macだけで使う → APFS
- 最新のmacOS向けに最適化されている
- 高速で安全性が高い
MacとWindows両方で使う → ExFAT
- 両方のOSで読み書き可能
- ファイルサイズの制限がほぼない
古いデバイスでも使う → MS-DOS(FAT)
- 互換性が最も高い
- ただし1ファイル4GB以上は扱えない
よくある使用場面と対処法

場面1:「このディスクは読み取れません」と表示された
外付けドライブを接続したときにこのメッセージが出たら:
- 「初期化」をクリック(データが消えても問題ない場合)
- ディスクユーティリティが起動するので、前述の手順でフォーマット
データを残したい場合は、専門のデータ復旧ソフトを使うか、プロに相談しましょう。
場面2:ディスクの空き容量が少ない
ディスクユーティリティでは以下を確認できます:
- ディスクの総容量
- 使用済み容量
- 空き容量
容量が少なくなってきたら、不要なファイルを削除するか、外付けドライブにデータを移動させましょう。
場面3:macOSの再インストール前
macOSをクリーンインストールする前には、ディスクユーティリティでディスクを消去する必要があります。
この場合は、復旧モードからディスクユーティリティを起動して作業します。
場面4:Time Machineバックアップ用ドライブの準備
Time Machine(macOSの自動バックアップ機能)用のドライブを準備するときも、ディスクユーティリティでフォーマットします。
フォーマット形式は「APFS」または「Mac OS拡張(ジャーナリング)」を選択しましょう。
知っておきたい注意点とトラブルシューティング
注意点1:起動ディスクは消去できない
Macが現在起動している内蔵ディスクは、通常モードでは消去できません。
消去が必要な場合は、復旧モードから起動してディスクユーティリティを使用する必要があります。
注意点2:First Aidで修復できない場合もある
First Aidは万能ではありません。
物理的な故障やデータの深刻な破損は修復できないことがあります。
「修復できませんでした」と表示された場合は、以下を検討しましょう:
- データをすぐにバックアップする
- ディスクの交換を考える
- 専門業者に相談する
注意点3:フォーマット形式の変更後は元に戻せない
一度フォーマットすると、データは完全に消去されます。
間違えてフォーマットしてしまった場合、データ復旧ソフトを使っても100%復元できる保証はありません。
作業前には必ずバックアップを取る習慣をつけましょう。
トラブル:ディスクユーティリティが起動しない
まれにディスクユーティリティ自体が起動しない場合があります。
その場合は:
- Macを再起動
- SMCリセット(システム管理コントローラのリセット)を試す
- それでもダメなら復旧モードから起動
それでも解決しない場合は、Appleサポートに連絡することをおすすめします。
セキュリティ面での活用
セキュア消去で情報漏洩を防ぐ
ディスクを人に譲渡したり、処分したりする前には、セキュアな消去が重要です。
通常の「消去」では、データの復元が可能な場合があります。
macOS Monterey以降のAPFSでフォーマットする場合、暗号化により実質的にセキュアな消去が行われます。
古いバージョンのmacOSやHDDを使用している場合は、専用のデータ消去ソフトの使用を検討しましょう。
暗号化されたボリュームの管理
FileVault(macOSのディスク暗号化機能)を使用している場合、ディスクユーティリティで暗号化の状態を確認できます。
セキュリティを重視するなら、特に外付けドライブの暗号化も検討する価値があります。
上級者向け:パーティション管理
パーティションとは?
パーティションとは、1つのディスクを複数の独立した領域に分割することです。
例えば、500GBのディスクを:
- 300GB:メインシステム用
- 200GB:データ保存用
といった具合に分けることができます。
パーティションを作成する理由
- データの整理整頓がしやすい
- 異なるOSをインストールできる
- システムとデータを分離してセキュリティを高める
- ディスクの一部だけをフォーマットできる
パーティション作成の手順
- ディスクユーティリティを起動
- パーティションを作成したいディスクを選択
- 「パーティション」ボタンをクリック
- 円グラフの下の「+」ボタンをクリック
- 新しいパーティションのサイズと名前を設定
- フォーマット形式を選択
- 「適用」をクリック
ただし、パーティション作成はディスク構造を変更する操作なので、事前に必ずバックアップを取っておきましょう。
まとめ:ディスクユーティリティを味方につけよう
ディスクユーティリティは、Macを快適に使い続けるための重要なツールです。
この記事のポイントまとめ
- ディスクユーティリティはMac標準搭載の無料ツール
- First Aidで定期的なディスクチェックができる
- 外付けドライブのフォーマットも簡単
- 用途に応じてフォーマット形式を選ぶ
- 作業前には必ずバックアップを取る
- 物理的な故障は修復できないことがある
最後に
最初は難しそうに見えるディスクユーティリティですが、基本的な使い方を覚えればとても便利です。
特にFirst Aid機能は、トラブルが起きる前の予防として定期的に実行することをおすすめします。
「Macの調子がおかしいな」と感じたら、まずディスクユーティリティでチェックしてみましょう。
簡単な操作で問題が解決することも多いですよ。
ディスクの健康を保つことが、Macの快適な動作につながります。
この記事が、あなたのMacライフをより快適にするお手伝いになれば嬉しいです!
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